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犬のしつけの順番|迎える前・初日・1か月・半年の実際にやる順番
公開日:2025年3月9日(日) 更新日:2026年10月6日(火) 犬の育て方
この記事の要点
犬のしつけの順番は「合図の順番」ではなく「暮らしの順番」です。最初にやるのは「おすわり」ではなく、家とトイレとハウスに慣れること、体を触られること、名前を呼んだら目が合うこと、そして生後16週までの社会化で、こちらには期限があります。迎える前に家族の合図・寝床とトイレの位置・家の決まりを決め、初日〜1週目は慣らすこと、2〜4週目は社会化と一人の時間とごはんの前の「おすわり」、2〜3か月目は「待て」「おいで」「ちょうだい」と散歩デビュー、半年〜1年は場所を広げて思春期を越える、の順に進めます。順番は犬種で変わりません(犬種で説明できるのは行動の違いの約9%)。芸を先に教える・叱る・リードで引く・社会化を後回しにする・飛びつきを許す、の5つが順番を飛ばして起きる失敗で、どれも前の段階に戻れば直ります。
「犬のしつけは、何から始めて、どの順番で進めればいいのか」「おすわり・待て・伏せは、どれが先か」「トイプードルやポメラニアンだと順番は変わるのか」。初めて犬を迎える方が、しつけの本や動画を見て最初に迷うのが「順番」です。この記事は、迎える前に決めておくことから、初日〜1週目、2〜4週目、2〜3か月目、半年〜1年まで、実際にやる順番をチェックリストの形で書いた記事です。「いつから・1回何分・何日で覚えるか」はしつけはいつからの記事に、合図の一覧と言い方はコマンド一覧の記事に分けているので、ここは「何を、どの順で、できたと言える目安は何か」に絞ります。
先に結論を書きます。しつけの順番は「合図の順番」ではなく「暮らしの順番」です。最初にやるのは「おすわり」ではなく、家とトイレとハウスに慣れること、体を触られること、名前を呼んだら目が合うこと、そして生後16週までの社会化です。合図(おすわり・待て・おいで)は、その土台の上に、暮らしの場面に置いていきます。順番を飛ばして起きる失敗は決まっていて、芸を先に教える、叱る、リードで引く、社会化を後回しにする、飛びつきを許す、の5つです。この記事は、アメリカの犬の団体(アメリカンケネルクラブ)やアメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の見解、環境省の資料、動物の行動を専門に診る獣医師の知見をもとに書いています。
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子犬を見る犬のしつけの順番|「合図の順番」ではなく「暮らしの順番」で考えます
「犬 しつけ 順番」で調べると、「おすわり→待て→伏せ→おいで」のような合図の並びが出てきます。それも順番の一つですが、初めて犬を迎える方がまず知っておきたいのは、もう一つの順番です。新しい飼い主はたいてい「おすわり」「伏せ」のような合図から始めますが、迎えた最初の数週間には先に教えたいものがあります。トイレ、クレート、一人でいる時間、かじってよいものを覚えること、社会化、噛む力の加減です。迎えた初日から決めた行動と家の決まりは、その犬の一生を通じて続きます。そして、この時期に身についた悪い癖やこわがりは、直せはしますが、その犬のこれからを左右します。つまり、合図の順番の前に「暮らしの順番」があり、そちらには期限があります。
期限とは社会化期のことです。犬は生後3週から16週までが「社会化期」と呼ばれ、さまざまなことを受け入れやすい時期です。アメリカの獣医師の学会の2024年の見解では、いちばん重要な時期は生後3か月までです。この時期は人や物への興味がこわさを上回るので、新しい人・動物・経験に慣れるいちばんの時期で、ここで慣れが足りないと、あとで、こわがる・避ける・攻撃する危険が高くなります。日本では動物愛護管理法で、生後56日を過ぎるまで子犬を販売できず、販売するときは動物の状態を直接見せて対面で説明することが義務なので、家に来るのは早くて生後8週です。家に来た時点で、社会化期は残り半分です。おすわりは1歳からでも教えられますが、この数週間は戻ってきません。だからこの記事の順番は、「期限のあるもの」を先に、「いつでも教えられるもの」をあとに並べています。
トイプードルやポメラニアンで順番は変わりますか
「トイプードル しつけ 順番」「ポメラニアン しつけ 順番」で調べて来られる方も多いので、先に答えます。順番は犬種で変わりません。犬の行動を大規模に調べた2022年の研究(サイエンス誌)では、犬種で説明できるのは個体ごとの行動の違いのうち約9%で、犬種による差より同じ犬種の中の差のほうが大きい、と報告されています。トイプードルもポメラニアンも、うちで紹介しているチワワ、ミニチュアダックスフンド、マルチーズ、シーズーも、暮らしの順番は同じです。犬種で変わるのは体のほうです。滑りやすいフローリングや足裏の毛が長い子は後ろ足が滑るので、骨格が形成途中の子犬や関節の弱い犬種は滑りにくいマットの上で練習しましょう。小型犬は、順番より「練習する床」と「抱き上げられる場面が多いぶん、触られる練習を先に」が違いになります。犬種ごとの性格の話はチワワの記事やマルチーズの記事のような犬種の記事に分けています。
新しく載った子犬
迎える前に決めておくこと|家族の合図・寝床とトイレの位置・家の決まり
しつけの順番は、子犬が来る前から始まっています。しつけを始める前にやることは、子犬が飼い主のそばで安全だと感じられる環境を作ることです。しつけは「関係を作ること」と「生活の枠組みを作ること」の2つでできています。枠組みは、迎えてから決めると家族でばらつきます。子犬が来る前に、次の6つを決めて、紙に書いて冷蔵庫に貼ってください。
| 決めること | 決め方 | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
| 合図の言葉(家族で1つずつ) | 「できた」の合図(「いいこ」「イエス」のどちらか1つ)、「おすわり」「まて」「おいで」「ハウス」「ちょうだい」の言葉、解除の「よし」。言い方はコマンド一覧の記事で | 「おすわり」と「すわれ」は犬には別の言葉。家族で言葉が違うと、犬は「誰のときだけ座ればいいのか」を覚える |
| 叱らない、を家の決まりにする | 失敗したら片づける、できたらほめる。大声・押さえる・マズルをつかむ、はやらない | 罰を使った方法は、攻撃的な行動や不安に関わる行動との結びつきが見られ、新しいことを覚える力も落とすとされている(2021年の見解) |
| 寝床(クレート)の場所 | 家族の気配が分かるが、人の動線から外れた静かな場所。扉は開けたまま置く | 寝床が決まらないと、子犬は自分で「隠れる場所」を探す。あとから動かすと、覚え直しになる |
| トイレの場所と数 | 寝床から少し離れた場所に1か所。留守番が長い家は2か所。最初はサークルの中に | 置き場所を変えるたびに失敗が増える。トイレの覚え方はトイレのしつけの記事へ |
| 入ってよい部屋・乗ってよい場所 | ソファ・ベッド・寝室・キッチンに入れるかどうかを先に決め、家族全員で同じにする | 最初だけ許して後から禁止するのが、犬にいちばん伝わらない。一貫した対応は犬の不安と葛藤を減らし、日によって違う対応はその逆になる |
| 子犬の目の高さで部屋を見る | 床に座って部屋を見回し、靴・コード・子どものおもちゃ・小物を届かない場所へ。かじってよいおもちゃを2〜3種類 | 部屋を子犬の目の高さで見て、靴・子どものおもちゃ・コードを片づける。かじれるものが多い家では「かじってよいもの」が教えられない |
この6つのうち、あとから直しにくいのが「合図の言葉」と「入ってよい場所」です。どちらも、決めていないことが失敗を作ります。迎える前の準備の全体(手続き・道具・最初の1週間)は犬の飼い方の記事にまとめています。
段階1(初日〜1週目)|家に慣れる・トイレ・ハウス・触られる・名前
最初の1週間にやることは、教えることより「慣らすこと」です。アメリカの犬の団体の「最初に教える行動」の解説の順に、やることと「できたと言える目安」を表にします。目安に達していなくても、次の段階に進んでかまいません。ただし、段階1の項目は、そのあともずっと続けます。
| やること | 具体的に | できたかチェック |
|---|---|---|
| 家に慣れる | 初日は静かに。来客を呼ばない、抱き回さない。子犬の日課(ごはん・排泄・遊び・昼寝)を同じ順番で回す | 寝床で自分から寝る。ごはんを食べる。昼寝のあいだ家族が起こさない。決まった日課があると、犬は安心し、何を求められているかが分かる |
| トイレ | 起きてすぐ・食べたあと・水を飲んだあと・遊んだあと・昼寝のあとに、トイレへ連れて行く。できたらその場でほめておやつ。失敗は騒がず片づける | 「連れて行けばする」が1日に何回かある。失敗が減っているか(ゼロになるのは数か月先でふつう。数か月かかる子犬もいる) |
| ハウス(クレート) | 扉を開けたまま、中におやつを投げる→自分から入ったらおやつ→中でごはんを食べる。閉じ込めない、罰に使わない | おやつを見せなくても自分から入って休むことがある。クレートに慣れることは一生使う技術。罰に使わない・長く入れすぎない。手順はクレートトレーニングの記事へ |
| 触られる | 子犬が落ち着いているときに、背中→胸→足先→耳→口の順で、1か所を1秒触っておやつ。嫌がる場所はその手前で止める | 手が伸びてくると、逃げずにおやつを期待する顔をする。触られたり扱われたりするときに力を抜いて協力できるようにする練習は、家に慣れたらすぐ始めましょう。リラックスポジションの記事へ |
| 名前 | 子犬が他を見ているときに名前を呼び、振り向いた瞬間に「いいこ」とおやつ。1日に何回でも。呼んで嫌なこと(爪切り・叱る)をしない | 名前を呼ぶとこちらを見る。「おいで」を教える前に、名前を「こちらに注意を向けて」の意味にする「名前ゲーム」から始める。アイコンタクトの記事へ |
| かじってよいもの | かじってよいおもちゃを常に置き、手や家具をかじったら静かにおもちゃへ替える。歯が当たったら遊びを止める | かじりたくなったときに、おもちゃを選ぶことが増えている。噛む力の加減の教え方は犬が噛む理由の記事へ |
この段階で「おすわり」を教えなくてよいのか、と思われるかもしれません。教えても構いませんが、順番として先ではありません。生後8〜16週の目標は「環境への慣れ(交通の音・乗り物・あらゆる年齢と姿の通行人・他の犬・動物病院・体を触られること)」と「我慢の基本」の2つです。我慢の基本として多くの飼い主が始めるのが「おすわり」で、最低でも、ごはんの前に座る習慣をつけます。つまりおすわりは「ごはんの前の習慣」として自然に入れればよく、練習の時間をそこに使うのは、段階2からです。お迎え初日の夜の過ごし方と最初の1週間の流れは犬を迎えた初日の記事に書いています。
段階2(2〜4週目)|社会化・一人の時間・「おすわり」を暮らしに置く
家とトイレとハウスに慣れたら、いちばん期限の近いものに時間を使います。社会化です。生後8週で迎えた子は、2〜4週目が生後10〜12週にあたり、いちばん重要とされる生後3か月の時期の中です。混合ワクチンが終わっていない時期なので、地面に下ろさず、抱っこかキャリーで外の世界を見せます。アメリカの獣医師の学会の見解は、ワクチンが終わる前に社会化を始めるのが子犬のふつうのケアであるべきだとしつつ、ドッグランや、ワクチンを打ったか分からない犬が多く通る場所は避ける、としています。どこまで出すかは、獣医師と相談してください。
| やること | 具体的に | できたかチェック |
|---|---|---|
| 社会化(人) | 友人に来てもらい、座ってもらう。子犬が自分から近づいたら、その人の手からおやつ。男性・高齢の方・子ども・帽子・眼鏡・マスク、を1人ずつ | 知らない人が座っていると、自分から近づく。環境省は「男性、女性、作業着や白衣の人など、さまざまな人からフードを与える」ことを勧めています。人・犬・物・音の一覧と月齢別の進め方は社会化トレーニングの記事へ |
| 社会化(音・物・場所) | 掃除機・ドライヤー・インターホンは小さな音から、鳴っている間だけおやつ。抱っこで玄関先→家の前→少し先の角、と1段ずつ。車に乗せて数分 | 音が鳴っても、おやつを食べ続けている。抱っこで外に出て、震えずに周りを見ている。怖がったら距離を戻す(環境省:「慣らす」ことであり「強いる」ことではない) |
| 一人の時間 | 家にいるときに、クレートかサークルで数秒→数分、別の部屋にいる時間を作る。戻ってきても大げさにしない | 数分なら鳴かずに待てる。一人でいる時間は数秒から始めて、日〜週の単位で延ばす。家にいる日でも、クレートやサークルで過ごす時間を作る。留守番の時間の目安は留守番は何時間までの記事へ |
| 「おすわり」を暮らしに置く | ごはんの前、遊びの前、玄関のドアの前で、おやつを鼻先から頭の上へ動かして座らせ、座ったまま渡す。お尻を押さない | ごはんの器を持つと、言わなくても座ることがある。欲しいものの前で座る習慣を「ください」の代わりにする。教え方はおすわりの教え方の記事へ |
| 触られる(続き) | 足先・耳・口の周りを触っておやつ。歯ブラシ・ブラシ・爪切りを見せるだけでおやつ | 道具を見ても逃げない。爪切りは1本、歯磨きは前歯だけ、から |
この段階の「一人の時間」は、見落とされやすいところです。子犬が来た最初の数週間は、家族がずっとそばにいます。すると子犬は「一人でいる」を一度も経験しないまま、ある日いきなり長い留守番を迎えます。一人でいる時間を数秒から始めるのは、そのためです。家にいる日にこそ、数分の一人の時間を作ってください。留守番中に吠え続ける・部屋を荒らすが始まってからの練習は分離不安の記事に分けています。
段階3(2〜3か月目)|待て・おいで・散歩デビュー・「ちょうだい」
お迎えから2〜3か月目は、生後4〜5か月ごろです。混合ワクチンが終わって散歩デビューを迎え、家の中の合図を外に持ち出し始める時期です。生後6か月までの目標は、礼儀正しい遊び(「出せ」・噛まない・おもちゃと人の体や服の区別)、トイレの進み具合、短時間なら一人でいられること、呼び戻し(完璧でなくても、呼ばれて来るのが大好きなら十分)、そして我慢の継続(欲しいものの前で座る。吠える・飛びつく・噛んで要求させない)です。
| やること | 具体的に | できたかチェック |
|---|---|---|
| 「おいで」 | 数歩の距離で名前→「おいで」、後ろに下がりながら明るく誘う。来た瞬間にほめておやつ。遊びの最後にだけ呼ばない | 家の中で呼ぶと、たいてい走って来る。外ではロングリードを付けたまま同じ手順。呼び戻しの記事へ |
| 「待て」(数秒から) | 座った状態で手のひらを見せて1秒→「よし」で解除しておやつ。時間→気を散らすもの→距離の順に1つずつ上げる | 解除の「よし」まで座っていられる。時間を延ばす前に、解除の言葉が入っている。待ての教え方の記事へ |
| 「ちょうだい」(出せ) | くわえたおもちゃの鼻先におやつを出し、口から出た瞬間に言葉を言って渡す。おもちゃはすぐ返す。取り上げて終わりにしない | 言葉だけで口から出す。持っている物と交換すると学んでいるので、拾った物を守らない。出せの教え方の記事へ |
| 散歩デビュー | 最後のワクチンの2週間後を目安に獣医師と決める。家の中でハーネスとリードに慣らし、静かな道を数分から。歩かなければ待つか抱いて帰る | 家を出て家に戻る散歩ができる。リードが張ったら止まり、たるんだら歩く。手順は散歩デビューの記事、横について歩く教え方はリーダーウォークの記事へ |
| 飛びつきの代わり | 来客・帰宅のとき、四つ足が床にあるときと座っているときだけ触る。飛びついたら向きを変える | 帰宅時に、飛びつく前に座ることがある。「飛びつくな」より「あいさつは座る」のほうが、犬に分かりやすい決まり。飛びつきの記事へ |
| 要求に応えない | 吠える・飛びつく・噛んで要求してきたときは応えず、座った・静かになった瞬間に応える | 欲しいものがあるとき、吠える前に座ることが増えている。要求吠えの記事へ |
「待て」「おいで」「ちょうだい」の3つは、犬の安全に直結する合図です。この3つを教えるコツは共通で、合図のあとに良いことが起きる形を崩さないことです。「おいで」で呼んでリードを付けて帰る、「ちょうだい」で取り上げて終わり、「待て」で長く待たせて何も渡さない。この形が続くと、犬は合図のあとに損をすると学びます。呼んだら遊びに戻す、出したら返す、待てたら解除しておやつ。それで3つとも入ります。芸(お手・おかわり・ハイタッチ)は、この3つのあとで、遊びとして教えてください。芸の順番は犬の芸一覧の記事に書いています。
段階4(半年〜1年)|場所を広げる・伏せ・思春期を越える
生後6か月を過ぎると、家の中でできることを、外へ、人がいる場所へ、と広げていく時期です。1歳までに「おすわり・伏せ・待て(気を散らすものがあっても)」「呼ばれたら来る」「リードをたるませて歩く」「出せ・放っておけ」が使えることが目安です。ただし、犬もその環境も一つずつ違うので、節目は犬によって変わります。
| やること | 具体的に | できたかチェック |
|---|---|---|
| 場所を広げる | 家の静かな部屋→家族が動いている部屋→玄関→家の前→散歩道→公園、と1段ずつ。新しい場所では、家の中の簡単な段階からやり直す | 散歩道でも「おすわり」「おいで」が通る。犬は合図を言葉だけでなく姿勢・距離・場所とまとめて覚えている(合図を出す人が離れたり背中を向けたりすると成績が下がった研究)ので、場所が変わると別の合図になる |
| 「伏せ」 | おすわりが言葉だけで確実になってから。座った犬の鼻先からおやつを床へ下ろす | 伏せた姿勢で数分休める。長い待てはおすわりより伏せのほうが犬に楽。伏せの教え方の記事へ |
| 思春期(生後6〜8か月ごろ) | 急にできなくなったら、合図を減らさず、家の中の簡単な段階に戻して、できたことをほめる回数を稼ぐ。叱らない | 生後5か月と8か月の犬93頭を調べた2020年の研究では、8か月では飼い主の「おすわり」に従う割合が下がった一方、知らない人にはむしろ良くなっていた。飼い主にだけ従いにくくなる時期があるということで、教え方の失敗ではない。犬の反抗期の記事へ |
| 2回目の怖がる時期 | 今まで平気だった物を急に怖がったら、無理に近づけない。怖がったものは書き出して、少しずつ | 怖がる時期は生後8〜11週と生後6〜14か月の2回あり(小型犬は早め)、無理に近づけて「怖くない」と教えようとすると、もっと大きく長く続くこわさを作りかねない |
| 段階1〜3を続ける | 触られる練習、一人の時間、ごはんの前のおすわり、名前で振り向く、を毎日の暮らしの中で続ける | 「もうできるから」でやめない。成犬になっても続いているものだけが、その犬の行動として残る |
「1歳までに全部」ではありません。表の右の列に達していない項目があっても、順番が合っていれば追いつきます。成犬から迎えた場合も、順番は同じです。社会化期を過ぎても、ゆっくりと時間をかければさまざまなことに慣らすことは可能です。子犬の時期を過ぎても手遅れではなく、ほめて教える方法なら、どの年齢の犬も、礼儀正しくふるまうのが楽しいと分かります。違うのは、段階1〜2の「慣らす」にかかる時間が長くなることで、合図の練習は成犬のほうが集中が続くぶん早く入ることもあります。何か月かかるかの考え方はしつけはいつからの記事に、社会化期を過ぎた子の慣らし方は社会化不足の記事に分けています。
順番を飛ばして起きる失敗5つ|芸が先・叱る・引く・社会化の後回し
「犬 しつけ方」で調べて、いろいろ試したのにうまくいかない、というときは、たいてい順番が飛んでいます。初めて犬を迎えた方がやりがちな5つを、何が飛んでいるかと一緒に書きます。
| やりがちなこと | 飛ばしている段階 | 戻り方 |
|---|---|---|
| お手・おかわり・ハイタッチを先に教える | 段階1〜3。芸は入りやすく、教えた実感があるが、トイレ・ハウス・触られる・おいで・待てが後回しになる | 芸は遊びとして続けてよい。練習の時間は、名前で振り向く・ごはんの前のおすわり・「おいで」に戻す |
| 失敗を叱る、鼻先を押さえる、仰向けにする | 「叱らない」の決まり。力や不快に頼る方法はしつけに使うべきでなく、罰は不安に関わる行動と結びつき、覚える力も落とす(2021年の見解)。合図そのものが嫌なものになる | 失敗は片づける、できたらほめる、に戻す。叱ったあとに萎縮した子の立て直し方は叱って自信を無くした犬の記事、叱り方の考え方は犬の叱り方の記事へ |
| 散歩でリードを引いて歩かせる | 段階1の「名前で振り向く」と段階3の「おいで」。リードで歩く練習は、犬がこちらを見た瞬間に合図とおやつ、歩き出しに合図、数歩ごとにおやつ、向きを変えるときは名前を呼んで注意を引く、という順で、引いて歩かせる手順は無い | 家の中でハーネスとリードを付けて「こちらを見たらおやつ」からやり直す。引っぱりの直し方は散歩で引っ張る犬の記事へ |
| ワクチンが終わるまで家から出さない | 段階2の社会化。生後3か月の窓を使わないことになる | 抱っこかキャリーで外を見せる。地面に下ろさず、知らない犬に触れさせない。どこまで出すかは獣医師と相談 |
| 小さいから、と飛びつきを許す | 段階3の「飛びつきの代わり」。飛びつきは、顔を近づけてあいさつする自然な行動で、注目がもらえるので繰り返される。叱る・前足をつかむ・押しのけるも注目になる | 四つ足が床にあるとき・座っているときだけ触る、を家族全員と来客で同じにする。小型犬でも来客のズボンを汚し、高齢の方の足元にまとわりつき、玄関から飛び出す |
5つに共通しているのは、「早く結果が見たい」から順番を飛ばしていることです。しつけの順番は、飛ばしても先へ進めるように見えて、あとで必ず戻ることになります。1日ですべて教えきろうと思わず、毎日少しずつ教えましょう。段階が何週間も進まない、家族で合図がそろわない、生後半年を過ぎて崩れたまま戻らない、怖がる相手や物が決まっていて散歩や来客が回らない。そういうときは、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「今どの段階で、何ができていて、何ができていないか」が言えると、相談はその場で具体的になります。1日の流れの組み方は犬の生活リズムの記事に書いています。
よくある質問
犬のしつけは、何から始めればいいですか?
「おすわり」からではなく、家とトイレとハウスに慣れること、体を触られること、名前を呼んだら目が合うこと、そして社会化からです。新しい飼い主はたいてい「おすわり」「伏せ」のような合図から始めますが、迎えた最初の数週間には、先に教えたいものがあります。トイレ、クレート、一人でいる時間、かじってよいものを覚えること、社会化、噛む力の加減です。理由は期限で、社会化期は生後3〜16週、アメリカの獣医師の学会の見解では生後3か月までがいちばん重要です。おすわりは1歳からでも教えられますが、この数週間は戻ってきません。
おすわり・待て・伏せ・おいでは、どの順番で教えますか?
暮らしの中で使う順です。まず名前を呼んだら目が合うこと、次にごはんの前の「おすわり」(欲しいものの前で座る習慣)、そのあとに「おいで」「待て」「ちょうだい(出せ)」の3つを、お迎えから2〜3か月目に教えます。この3つは犬の安全に直結する合図で、生後6か月までの目安にも、「出せ」・呼び戻し・欲しいものの前で座る我慢が入っています。「伏せ」は、おすわりが言葉だけで確実になってからで、1歳までに「おすわり・伏せ・待て(気を散らすものがあっても)」「呼ばれたら来る」「リードをたるませて歩く」「出せ」が使えることが目安です。お手やハイタッチのような芸は、この3つのあとで遊びとして教えてください。合図の言い方は犬のコマンド一覧の記事に分けています。
トイプードルやポメラニアンのしつけの順番は、ほかの犬種と違いますか?
違いません。犬の行動を大規模に調べた2022年の研究では、犬種で説明できるのは個体ごとの行動の違いのうち約9%で、同じ犬種の中の差のほうが大きいと報告されています。トイプードルもポメラニアンも、チワワ・ミニチュアダックスフンド・マルチーズ・シーズーのような小型犬も、暮らしの順番は同じです。犬種で変わるのは体のほうです。滑りやすいフローリングや足裏の毛が長い子は後ろ足が滑るので、骨格が形成途中の子犬や関節の弱い犬種は滑りにくいマットの上で練習しましょう。小型犬は抱き上げられる場面が多いので、「触られる練習」を最初の週から入れてください。
子犬を迎える前に、決めておくことはありますか?
6つあります。家族で1つずつにそろえる合図の言葉(「いいこ」「おすわり」「まて」「おいで」「ハウス」「ちょうだい」「よし」)、叱らないという家の決まり、寝床(クレート)の場所、トイレの場所と数、入ってよい部屋と乗ってよい場所、そして子犬の目の高さで部屋を見て靴・コード・小物を片づけることです。しつけの前に、子犬が飼い主のそばで安全だと感じられる環境を作ってください。しつけは、関係作りと生活の枠組み作りの2つでできています。枠組みは迎えてから決めると家族でばらつくので、来る前に紙に書いて貼っておいてください。
最初の1週間は、何をすればいいですか?
教えることより、慣らすことです。同じ順番の日課(ごはん・排泄・遊び・昼寝)を回して家に慣らし、起きてすぐ・食べたあと・遊んだあと・昼寝のあとにトイレへ連れて行き、扉を開けたクレートの中におやつを投げて自分から入る経験を作り、落ち着いているときに1か所を1秒触っておやつ、名前を呼んで振り向いた瞬間にほめておやつ、かじってよいおもちゃを常に置く、の6つです。決まった日課があると、犬は安心し、何を求められているかが分かります。「おすわり」はごはんの前の習慣として自然に入れればよく、練習の時間をそこに使うのは2週目以降です。
しつけの順番を間違えると、どうなりますか?
あとで必ず前の段階に戻ることになります。よくある5つは、芸を先に教える(トイレ・ハウス・触られる・おいで・待てが後回しになる)、失敗を叱る(2021年の見解では、罰を使った方法は不安に関わる行動と結びつき、覚える力も落とす)、散歩でリードを引いて歩かせる、ワクチンが終わるまで家から出さない(生後3か月の社会化の窓を使わないことになる)、小さいからと飛びつきを許す、です。どれも「早く結果が見たい」から起きるもので、飛ばした段階に戻れば直ります。叱ったあとに萎縮した子は、叱って自信を無くした犬の記事の手順で立て直してください。
成犬から迎えた場合も、順番は同じですか?
同じです。社会化期を過ぎても、ゆっくり時間をかければさまざまなことに慣らすことは可能です。子犬の時期を過ぎても手遅れではなく、ほめて教える方法なら、どの年齢の犬も、礼儀正しくふるまうのが楽しいと分かります。寝床・トイレ・クレート・触られる練習・一人の時間の土台→怖いものを怖くない距離から慣らす→名前と合図→おすわり・おいで・待て→伏せ→場所を広げる、の順で、違うのは「慣らす」にかかる時間が長くなることです。合図の練習は集中が続くぶん早く入ることもあります。前の家で叱られた言葉は、別の言葉に変えてください。
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まとめ
犬のしつけの順番は「合図の順番」ではなく「暮らしの順番」で、最初にやるのは「おすわり」ではなく、家とトイレとハウスに慣れること、体を触られること、名前を呼んだら目が合うこと、そして生後16週までの社会化です。迎える前に、家族の合図の言葉・叱らない決まり・寝床とトイレの位置・入ってよい場所を決め、子犬の目の高さで部屋を片づけます。初日〜1週目は同じ日課で慣らし、トイレ・ハウス・触られる・名前・かじってよいものを作り、2〜4週目は抱っこでの社会化・数秒からの一人の時間・ごはんの前の「おすわり」、2〜3か月目は「おいで」「待て」「ちょうだい」と散歩デビュー、半年〜1年は場所を1段ずつ広げ、伏せを足し、生後6〜8か月ごろの思春期は簡単な段階に戻して越えます。順番は犬種で変わらず、芸を先に教える・叱る・リードで引く・社会化を後回しにする・飛びつきを許す、の5つが順番を飛ばして起きる失敗で、どれも前の段階に戻れば直ります。成犬から迎えても順番は同じで、慣らすのに時間がかかるだけです。
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