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子犬の散歩デビュー|いつから・抱っこ散歩・当日の手順・歩かない
公開日:2024年9月5日(木) 更新日:2026年10月6日(火) 犬の育て方
この記事の要点
子犬の散歩デビュー(地面を歩く散歩)は、最後の混合ワクチンから2週間ほど後が理想で、遅くとも生後13週ごろまでに行います。ワクチンが16週まで続く子は、この2つを「抱っこ散歩」でつなぎます。アメリカの獣医師の学会は、人や物への興味がこわさを上回る生後3か月までに、ワクチン完了前でも安全な形で社会化することを標準のケアとしています。手順は、①家の中でハーネス・リード・名前で目が合う練習 → ②抱っこかキャリーで外を見せる(地面に下ろさない・知らない犬に触れさせない)→ ③デビュー当日は静かな時間に家の前を数分、歩かなければ待つか抱いて帰る → ④2週間で距離・場所・出会う人と犬を1段ずつ広げる。狂犬病の予防注射は生後91日以上で法律の義務、登録は30日以内。夏は路面の熱、初めての散歩は伸びないリードで。
「子犬の散歩デビューはいつから?」「ワクチンが終わる前に外に出していいの?」「初めての散歩で、その場から動かなくなった」。子犬を迎えてすぐに調べることの一つが、散歩デビューです。この記事は、デビューまでの準備(家の中)→ 抱っこ散歩(ワクチンが終わるまで)→ 地面に下ろすデビュー当日 → その後2週間の広げ方を、手順の順番に書いた記事です。散歩の回数や時間の目安は散歩の頻度と時間の記事に、社会化そのものの一覧は社会化トレーニングの記事に分けているので、この記事は「デビューをどう進めるか」に絞ります。
先に結論を書きます。地面を歩く散歩は、混合ワクチンが終わって2週間ほどしてから。ただし、外の世界を見せるのはお迎えの日から、抱っこで始めます。この2つを分けて考えると、「ワクチンが終わるまで家に閉じ込めておく」でも「ワクチン前から地面を歩かせる」でもない、いちばん安全で、いちばん社会化に効く進め方になります。根拠は、獣医師による資料と、アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の子犬の社会化についての見解、アメリカの犬の団体(アメリカンケネルクラブ)の解説、そして狂犬病予防法の条文です。
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子犬を見る子犬の散歩デビューはいつから|「ワクチン完了の2週間後」と「13週齢まで」
「子犬 散歩 いつから」の答えを、ペット保険会社のアニコム損害保険の散歩についての説明にそって書きます。子犬の散歩は、一般的には最後のワクチンを打ってから2週間ほど経った頃が理想的で、遅くとも、生後13週ごろまでには初めての散歩へ、としています。全てのワクチン接種が終わる前はまだ免疫力に心配があるので地面を歩かせての散歩は控え、正式な散歩デビューの前に、キャリーバッグに入れたり、抱っこで散歩をして外の刺激に慣れさせておくことを勧めています。
ここで、多くの方が引っかかるところがあります。同じ会社の混合ワクチンの説明では、母犬からもらった免疫がワクチンの効果を抑えるため、最初のワクチンは6〜8週齢で始め、16週齢以上になるまで2〜4週ごとに接種することが世界的に推奨されている、とあります。つまり最後のワクチンは生後16週前後になることが多く、その2週間後は生後18週ごろです。一方で、社会化の要はそれより前に来ます。アメリカの獣医師の学会の、子犬の社会化についての見解では、人や物への興味がこわさを上回るのは生後3か月までで、この時期が新しい人・動物・経験に慣れる主要な窓であり、ワクチン接種が完了する前に社会化を受けることが子犬の標準的なケアであるべき、と説明しています。環境省の飼い主向けの資料も、いろいろなことに慣れやすい時期(社会化期)を生後3週から16週までとしています。
「ワクチンが終わるまで待つと社会化期が終わってしまう」と「ワクチンが終わるまで地面は歩かせない」の両方を守る答えが、抱っこ散歩です。地面に下ろさず、抱っこかキャリーで外の世界を見せる。これなら感染の危険を抑えたまま、生後3か月までの窓を使えます。時期ごとにやることを、表にします。
| 時期 | やること | まだやらないこと |
|---|---|---|
| お迎えの日から(生後8週〜) | 家の中で首輪・ハーネス・リードに慣らす。名前を呼んだら目が合う練習。玄関先や庭で外の空気に触れる | 地面を歩かせて外を回る |
| 混合ワクチンの途中(生後8〜16週ごろ) | 抱っこかキャリーで外へ。人・車・音・場所を「怖くないもの」として見せる。1回は短く | 地面に下ろす。知らない犬に近づける。ドッグランやワクチン状況の分からない犬が多く通る場所 |
| 最後のワクチンから2週間後 | 散歩デビュー。家の前の静かな道を数分から。抱っこで行って途中で下ろす形でよい | 長い距離。にぎやかな場所。他の犬とのあいさつ |
| デビュー後2週間 | 距離・時間・場所・出会うものを1段ずつ広げる。においを嗅ぐ散歩の日を作る | 一気に広げる。歩かない子を引っ張る |
ワクチンを何回打つかは、その子の月齢と獣医師の判断で決まります。「3回」と決めつけずに、お迎えのときに受け取った接種の記録を動物病院に見せて、最後のワクチンの日と散歩デビューの日を獣医師と決めてください。混合ワクチンのほかに、散歩が始まる前に済ませておくものは、狂犬病ワクチン・混合ワクチン・フィラリア予防・ノミ・ダニ予防の4つで、このうち法律の義務があるのは狂犬病ワクチンだけです。フィラリアは蚊の季節に月1回、ノミ・ダニは通年で月1回程度が目安なので、デビューの前に動物病院で始めておきます。
狂犬病の予防注射と登録は法律で決まっています(生後91日以上・30日以内)
混合ワクチンは獣医師と決めるものですが、狂犬病のほうは法律です。狂犬病予防法第4条では、犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合は生後90日を経過した日)から30日以内に市町村に登録を申請し、交付された鑑札を犬に着けておかなければなりません。第5条では、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせ、注射済票を犬に着けておかなければならない、とあります。予防注射の時期は同法の施行規則第11条にあり、生後91日以上の犬が対象で、毎年4月1日から6月30日の間に1回、その期間の外で迎えた子で注射を受けていない場合は、迎えた日から30日以内に受けさせる、と決まっています。生後8週で迎えた子なら、生後91日(13週)を過ぎたら登録と狂犬病の注射、が目安です。混合ワクチンと同じ日に打てるかは獣医師の判断になるので、予定を先に相談しておいてください。散歩中に犬に着けておく鑑札と注射済票は、この法律で決まっているものです。
新しく載った子犬
ステップ1|家の中の準備。ハーネス・リード・名前で目が合う
散歩デビューでつまずく子の多くは、外が怖いのではなく、首に付いたものとリードが初めてです。リードの練習は、ワクチンが終わっていなくても、まだ散歩に出ていなくても、家に来た日から始められます。まずハーネスを着けることに慣らし、次にリードを付けることに慣らします。首輪もリードも家の中で着けて少しずつ慣らし、嫌がる場合は着ける時間を短くして、着けた状態でほめてください。準備するものと、家の中でやることを表にします(アメリカの犬の団体とペット保険会社の解説をもとにまとめました)。
| 準備するもの | 選び方 | 家の中でやること |
|---|---|---|
| ハーネス(胴輪) | 体に合ったサイズで、抜けず、歩きを妨げないもの。引いても首に圧がかからないので、子犬には一般にハーネスがよい。小型犬に多い気管虚脱(のどの空気の通り道がつぶれる病気)では、首輪を避けてハーネスを | 着けてすぐおやつ、を1日に何度も。最初は数分で外す。着けている間にごはん |
| リード | 伸縮しない、軽くて持ちやすいもの。伸びるリードは避けて、軽い約1.8メートルのリードを。初めての散歩には伸縮しないタイプが向いている | ハーネスに付けて、家の中で引きずらせる→持ってついて歩く。リードを噛んだら、おやつで注意を引いて「出せ」 |
| 名前と「できた」の合図 | 家族で1つ。「いいこ」「イエス」のような短い言葉 | 名前を呼んで目が合ったら合図とおやつ。リードを付けた状態で目が合うたびにほめることが、外でも飼い主を見る土台になる |
| 歩き出しの合図 | 「いくよ」「ゴー」のような言葉を1つ | 言ってから歩き出し、数歩ごとに合図とおやつ。向きを変えるときは名前を呼んでから |
| 持ち物 | 水(飲む用・おしっこを流す用)、うんち袋、小さくちぎったおやつ、迷子札 | 最低限の持ち物。外でうんちをしない子でも袋は必ず持つ |
「首輪とハーネス、どちらがいいか」は資料によって答えが分かれます。リードの指示が伝わりやすいので最初は首輪を、という解説もあれば、首に圧がかからないハーネスを、という解説もあります。当犬舎で紹介しているトイプードル、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズーのような小型犬については、気管を守る側に倒して、ハーネスを勧めます。気管虚脱は小型犬に多く、ふだんの注意として、首輪を避けてハーネスを使うことが勧められています。首輪は、鑑札と迷子札を着けておくものとして使い、リードはハーネスに付けます。ハーネスに替えただけで引っぱりが直るわけではないので、引っぱりの直し方は散歩で引っ張る犬の記事と横につかせて歩く教え方の記事に分けています。
家の中で確かめておくことが、もう一つあります。呼んだら来る・目が合うです。リードの端まで行ってしまったときに名前を呼び、振り返ったらほめて、戻ってきたらおやつ、を繰り返すと、リードが張ったときに自分から飼い主を見るようになります。これが外でできると、デビュー当日に「引っ張らない・引っ張られない」で済みます。名前で振り向く練習は呼び戻しの記事に書いています。
ステップ2|抱っこ散歩。ワクチンが終わるまでに外の世界を見せる
「犬 抱っこ散歩」で調べて来られる方へ。抱っこ散歩は「散歩の代わり」ではなく、生後3か月までの社会化の窓を、地面に下ろさずに使うための方法です。時間があれば子犬を抱いて外に出て、落ち着いているようならフードを与え、外の刺激と良いことを結びつけます。正式なデビューの前にキャリーバッグや抱っこで外の刺激に慣れさせておくと、恐怖心や警戒心が強く現れる前に外の世界に慣れて、デビューがスムーズになります。やり方は3つだけです。
- 地面に下ろさない……抱っこか、キャリーバッグ、スリング。歩かせないなら、ワクチンの途中でも外に出られます。他の犬に触れさせない、知らない犬が多く通る場所(ドッグラン、犬の集まる公園)は避ける、がアメリカの獣医師の学会の見解にある条件です
- 見えている間だけおやつ……車が通る、自転車が横を抜ける、子どもの声がする、傘をさした人が来る。そのたびに小さなおやつ。「外で起きることは良いことの合図」を作ります。落ち着いていられたら渡す、が環境省の資料の書き方です
- 短く、1日に何回でも……子犬は歩かなくても、目と耳から入る情報で疲れます。最初は玄関先で5分、慣れたら家の前の道、次は少し先の角、と1段ずつ。一度にやりすぎず、家族数人から始めて、知らない人を1人ずつ足していきます
見せるものは、宝探しのつもりで1つずつ増やしていきます。たとえば、カーペット・フローリング・タイルのような床、若い人と高齢の人、車いすや杖を使う人、ひげのある人、サングラスやフードをかぶった人、傘。外に出るとこれが一度に来るので、抱っこ散歩ではそれを1つずつにします。アメリカの動物病院グループ(VCA)の解説にある目安は「週に2回以上は新しい場所へ」で、家族と家に慣れてから始めること、怖がらせそうなものからは常に楽な距離で始めて、落ち着いていれば近づき、心配そうなら離すこと、です。人・犬・物・音の一覧と月齢ごとの進め方は社会化トレーニングの記事にまとめています。
抱っこ散歩で気をつけるのは、落とさないことと、抱かれたまま固まらせないことです。子犬は生後8〜11週に最初の「怖がる時期」が来て、ちょうどお迎えと重なるので、こわがらせすぎないこと、無理に触れ合わせないことが大事です。抱かれて震えている、しっぽを巻き込んでいる、おやつを食べないなら、その日は家に戻ります。抱っこの正しい抱き方(小型犬は落下で骨折します)と、抱かれるのを嫌がる子への対応は犬の抱っこの記事に書いています。両手を空けたいときは、スリングのような抱っこ紐が使えます。
抱っこ散歩の際はスリングの使用をおすすめします。
万が一、ワンちゃんが驚いたり手を滑らしてしまった際に脱走してしまう可能性があります。
スリングを使うときも、中で立ち上がれないように底を安定させ、飛び出し防止のフックをハーネスに付けてください。抱っこ散歩は、地面に下ろす日が来たら終わりではなく、その後も「怖いものに出会ったら抱き上げて距離を取る」の形で続きます。
ステップ3|散歩デビュー当日の手順。家の前を数分、抱っこで帰る
最後のワクチンから2週間たち、獣医師に地面に下ろしてよいと言われたら、デビューです。ここで「今日から散歩」と思って30分歩かせると、たいてい失敗します。最初は短い時間・距離から。コースは交通量や騒音が少ない場所を選び、一日の中でも落ち着いた時間帯に出ます。子犬は成長中なので、1回の長い散歩より、1日に数回の短い散歩や遊びのほうが体に安全です。どのくらい動かしてよいかは、獣医師やブリーダーに相談してください。当日の流れを表にします。
| 順 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 時間を選ぶ | ごはんの少しあと・排泄が済んだあと・眠くない時間。夏は早朝か夜の涼しい時間、冬は日が出ている時間 | 空腹・眠気・暑さがあると、外の刺激に耐える余裕が無い |
| 2 家でハーネスとリードを付ける | 玄関で付けない。家の中で付けて、目が合ったらおやつ、を1回やってから出る | 玄関で初めて付けると、付ける=興奮の合図になる |
| 3 抱っこで出て、静かな場所で下ろす | 家の前か、いつも抱っこで通っていた静かな道。人と犬の少ない時間 | 抱っこで見慣れた景色なら、下ろしても「知っている場所」になる |
| 4 その場で立ち止まって待つ | 下ろしたら歩かせようとしない。においを嗅ぐ、座る、見回す、を好きなだけ。こちらを見たらおやつ | 初めての地面は、においと足裏の感触だけで情報が多い |
| 5 自分から歩き出したらついて行く | リードはたるませたまま。歩き出しの合図を言って、数歩ごとにおやつ。方向は犬に任せてよい | 横にいる・こちらを見るをほめるのが土台。引かない |
| 6 数分で切り上げる | まだ歩けそうでも、初日は数分。抱き上げて帰る | 「楽しかった」で終える。疲れて座り込むまでやらない |
| 7 帰ったら足を拭いて、水を飲ませて、寝かせる | 足裏と肉球を見る。散歩のあとに急に肉球をなめるなら受診 | 子犬は外に出たあと、寝て情報を整理する |
初めての散歩で歩かないのは、ふつうです
「子犬 初めての散歩 歩かない」で調べて来られる方が多くいます。下ろした場所から動かない、座り込む、家の方向にだけ歩く。どれも初日にはふつうのことです。足の裏の感触も、においも、音も、初めてだからです。やってはいけないのは、リードを引いて歩かせることと、おやつで無理に誘い出すことです。怖がる時期の手順は、怖いものから離れるのを許す、怖いものを見たらほめておやつ、どこまで近づくかは犬が決めて押したり釣ったりしない、短く楽しく終える、その日に克服しなくてよい、の5つです。立ち止まったら、リードをたるませて横にしゃがみ、犬が動くまで待ちます。動かないまま数分たったら、抱き上げて帰ってかまいません。それも散歩デビューの1回目です。
ただし、歩かない理由が体にあることもあります。首輪や胴輪、洋服が体に合っていない、病気やケガで体調が悪い、も歩かない原因になるので、先に取り除きます。ハーネスがきつい、足の裏に何か刺さっている、下痢をしている。何日か続けて歩かない、家の中でも元気が無い、なら受診です。成犬の「急に歩かなくなった」は別の話なので、散歩中に座り込む犬の記事に分けています。
デビュー後2週間の広げ方|距離・時間・場所・出会うもの
初日が数分で終わったら、そこから2週間かけて、4つのものを1段ずつ広げます。距離と時間、場所、出会う人と犬、そしてにおいを嗅ぐ時間です。同時に2つを上げないのがコツで、「新しい場所に行く日は、時間は短く」「時間を延ばす日は、いつもの道」です。
| 広げるもの | 1段目 | 2段目 | 3段目 |
|---|---|---|---|
| 距離と時間 | 家の前を数分。抱っこで行って帰る | 家を出て家に帰る。10分前後。途中で座り込んだら抱く | 小型犬の成犬の目安(1回15分を1日2回)に向けて、様子で延ばす。回数を増やしてもよい |
| 場所 | 静かな住宅街の道。人も犬も少ない時間 | 少し車の通る道、公園の端。抱っこ散歩で通った道を歩く | 店の前、駅に近い道。にぎやかな場所は短く、帰りは抱っこでもよい |
| 出会う人 | 家族と、話しかけてこない通行人 | 知り合いに、しゃがんで待ってもらい、犬が自分から近づいたらその人の手からおやつ | 子ども・帽子・制服・杖の人。1人ずつ。犬が引いたら距離を戻す |
| 出会う犬 | 会わせない。遠くに見えたらおやつ | 健康でワクチン済みの、落ち着いた知り合いの犬と、リードを付けたまま数秒のあいさつ | 相手の飼い主に一声かけてから。興奮していたら会わせない。ドッグランは成犬になってから |
| においを嗅ぐ時間 | 立ち止まるたびに待つ | 週に何回か「嗅ぎたいところへ行ってよい」散歩の日を作る | 「いくよ」で歩く時間と、嗅いでよい時間を分ける |
他の犬について、はっきり書いておきます。同じ動物病院グループの説明に、健康でワクチン済みで、やさしいと信頼できる犬とだけ会わせること、けがが無くても知らない成犬に急に唸られたり噛みつかれそうになったりした経験で、敏感な子犬は一生残る傷を負い得ること、素性の分からない犬の集団(ドッグパーク)は避けること、とあります。散歩中に会う犬に「あいさつさせたい」と思っても、相手の犬の性格は分かりません。相手の飼い主に一声かけ、自分の子と相手が興奮していないときだけ、リードを付けたまま数秒。それで十分です。犬どうしの相性と遊びの見分け方は犬同士の仲の記事に、ドッグランに行く前に要るものはドッグランのマナーの記事に書いています。
「嗅ぎたいところへ行ってよい散歩」を入れるのは、引っ張りを減らしたいなら、嗅いで好きなところへ行ける機会を週に何回か作るのがよいからです。子犬にとって散歩は運動より情報です。全部を「横について歩く」にすると、外に出ること自体が我慢の時間になります。歩く時間と嗅ぐ時間を分けて、どちらもある散歩にしてください。
拾い食い・自転車・車。デビュー後に出てくる3つ
歩けるようになると、次に出てくるのが拾い食いです。犬の目線は地面に近く、とくに子犬のうちはなんにでも興味を示すので、散歩中は拾い食いに気をつけて目を離さないでください。ペット保険会社の資料では、0歳の犬の誤飲(おなかの中の異物)で保険を使った割合は、2024年で13.0%まで上がっています。デビュー後2週間は、口を地面に付けたら名前を呼んでこちらを見たらおやつ、を繰り返し、口に入れたものを出す合図を家の中で先に教えておきます。教え方は「出せ」の教え方の記事と拾い食いの記事に分けています。自転車や車を追いかける子は、通り過ぎる前に名前を呼んで「おすわり」、通り過ぎたらおやつ、を通行の少ない道から始めます。詳しくは自転車に飛びかかる犬の記事へ。どちらも「その場で叱る」ではなく「起きる前にこちらを見る」で直します。
季節と時間帯の注意|夏の路面・冬の寒さ・雨の日
散歩デビューの時期は選べません。夏に迎えた子は夏に、冬に迎えた子は冬にデビューします。季節ごとに、子犬で気をつけることを表にします(ペット保険会社とアメリカの犬の団体の解説をもとにまとめました)。
| 季節 | 気をつけること | 理由 |
|---|---|---|
| 夏 | 日中を避けて早朝か夜に。歩く前に路面に手の甲を当てて、熱ければ歩かせない。口を開けたハァハァという激しい呼吸・よだれ・ふらつきが出たら抱いて涼しい場所へ | 暑い日の散歩は日中を避ける。高温のアスファルトで肉球をやけどすることがある。犬は汗で体温を下げられず、口を開けた速い呼吸で熱を逃がしている |
| 冬 | 日が出ている時間に。小型犬の子犬は服を着せてよい。服は家の中で先に慣らす | 子犬とシニアは成犬より寒さに弱く、小型犬・とても小さい犬は寒い中で体温を保ちにくい |
| 雨 | デビューの時期は無理に出なくてよい。出るならレインコートと、帰ってから乾かす時間 | 雨でも散歩は大きな問題ではないが、濡れるのを嫌がる子もいる。帰ったら全身を拭いて乾かす |
| どの季節も | 帰ったら足を拭く。散歩のあとに急に肉球をなめるようになったら受診 | 真夏のアスファルト・マンホール・冬の融雪剤・草の実でけがをする。指の間は炎症が起きやすい |
雨の日に行くかどうかの考え方と、帰ってからのケアは雨の日の散歩の記事に、服を嫌がる子の慣らし方は服を嫌がる犬の記事に書いています。
散歩デビューでやってはいけないことと、相談の目安
散歩デビューは、やり直しがききにくい行事です。最初の数回で「外は怖い」「散歩はつらい」を覚えた子は、そのあとの散歩がずっと重くなります。やってはいけないことを並べます。
- ワクチンが終わるまで家から出さない……生後3か月までの社会化の窓を使わないことになります。抱っこで見せてください
- ワクチンの途中で地面を歩かせる・知らない犬に触れさせる……獣医師による資料も、アメリカの獣医師の学会の見解も、ここは避けるべきだとしています
- 初日から長く歩かせる……1回の長い散歩より数回の短い散歩、が成長中の体には安全
- 歩かない子をリードで引く・おやつで釣って前に出す……怖がる時期に押すと、より大きく長く続く恐怖になり得る。待つか、抱いて帰る
- 出会う犬すべてにあいさつさせる……健康でワクチン済みの、落ち着いた犬とだけ。相手の飼い主に一声かけてから
- 首輪にリードを付けて引く……小型犬に多い気管虚脱では首輪を避けてハーネスを
- 夏の日中・熱い路面……肉球のやけどと熱中症。手の甲で路面を確かめる
- 初日に伸びるリードを使う……初めての散歩には、伸縮しないリードを使います
そして、進み方の目安です。デビューから2週間で、家を出て家に帰る散歩が10分前後できて、立ち止まっても数十秒で歩き出すなら、順調です。「2週間たっても下ろした場所から一歩も動かない」「家の中でも元気が無い」「ハーネスを見ると隠れる」なら、しつけの前に、体(動物病院)と道具(サイズ)を先に見てください。それでも変わらないときは、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「デビューから何日目で、どこまでできているか」が分かっていると、相談がその場で具体的になります。お迎えの最初の1週間の過ごし方は犬を迎えた初日の記事に、迎える前の準備全体は犬の飼い方の記事に分けています。
よくある質問
子犬の散歩デビューはいつからですか?ワクチンが終わる前に外に出してもいいですか?
地面を歩く散歩は、最後の混合ワクチンから2週間ほど後が理想です。混合ワクチンは6〜8週齢で始めて16週齢以上になるまで2〜4週ごとに打つことが推奨されているので、地面デビューは生後18週ごろになる子が多いです。一方で、社会化の要は生後3か月までなので、ワクチンが終わるまで家に閉じ込めるのは損です。アメリカの獣医師の学会は、ワクチン完了前でも安全な形で社会化することを標準のケアとしています。答えは、地面に下ろさない「抱っこ散歩」をお迎えの日から始め、地面を歩くのは最後のワクチンの2週間後から、です。最後のワクチンの日と散歩デビューの日は、接種の記録を見せて獣医師と決めてください。
抱っこ散歩はどうやればいいですか?いつまで続けますか?
抱っこかキャリーバッグ、スリングで外に出て、地面に下ろさず、他の犬に触れさせず、知らない犬が多く通る場所は避けます。車・自転車・子どもの声・傘の人などが見えている間に小さなおやつを渡し、落ち着いていられたら渡す形で、「外で起きることは良いことの合図」を作ります。最初は玄関先で5分、慣れたら家の前の道、と1段ずつ、短く1日に何回でも。生後8〜11週は最初の怖がる時期と重なるので、震える・しっぽを巻く・おやつを食べないならその日は戻ります。地面に下ろす日が来たら終わりではなく、その後も怖いものに出会ったら抱き上げて距離を取る形で続けます。
初めての散歩で歩きません。どうすればいいですか?
初日に下ろした場所から動かない、座り込む、家の方向にだけ歩く、はふつうのことです。足の裏の感触も、においも、音も初めてだからです。リードで引かず、おやつで無理に前へ出さず、リードをたるませて横にしゃがみ、犬が動くまで待ちます。数分たっても動かなければ抱いて帰ってかまいません。それも1回目の散歩です。どこまで近づくかは犬が決め、押したり釣ったりせず、その日に克服しなくてかまいません。ただし、ハーネスや服が体に合っていない、体調が悪い、が原因のこともあるので、何日も続く・家でも元気が無いなら受診してください。
散歩デビューの日は、何分くらい歩かせればいいですか?
初日は数分です。最初は短い時間・距離から、交通量や騒音が少ない場所を、一日の中でも落ち着いた時間帯に歩きます。子犬は成長中なので、1回の長い散歩より1日に数回の短い散歩や遊びのほうが体に安全です。「1か月あたり何分」のような決まった計算には頼りません。2週間かけて、家を出て家に帰る10分前後の散歩ができるところまで、様子を見ながら延ばし、小型犬の成犬の目安(1回15分を1日2回)はそのあとです。
散歩デビューの前に、狂犬病の注射や登録は必要ですか?
狂犬病予防法で、犬を取得した日(生後90日以内の子は生後90日を経過した日)から30日以内に市町村へ登録して鑑札を着けること、予防注射を毎年1回受けさせて注射済票を着けることが義務です。注射の対象は施行規則で生後91日以上の犬とされ、毎年4月1日から6月30日の間に1回、その期間の外で迎えた子で注射を受けていない場合は迎えた日から30日以内に受けさせます。生後8週で迎えた子なら、生後13週を過ぎたら登録と狂犬病の注射が目安です。混合ワクチンは法律の義務ではなく獣医師と決めるもので、同じ日に打てるかも獣医師の判断になります。
散歩デビューは首輪とハーネスのどちらがいいですか?
資料によって答えが分かれます。リードの指示が伝わりやすい首輪を先に、という解説もあれば、首に圧がかからないハーネスを、という解説もあります。小型犬については、気管を守る側に倒してハーネスを勧めます。気管虚脱は小型犬に多く、首輪を避けてハーネスを使うことが勧められているからです。首輪は鑑札と迷子札を着けるものとして使い、リードはハーネスに付けます。リードは伸縮しない軽いものを。ハーネスに替えただけで引っぱりが直るわけではないので、引っぱりは別に教えます。
散歩中に他の犬と会わせてもいいですか?
デビュー後2週間は、会わせません。遠くに犬が見えたらおやつ、から始めます。健康でワクチン済みで、やさしいと信頼できる犬とだけ会わせます。けがが無くても知らない成犬に急に唸られたり噛みつかれそうになったりした経験で、敏感な子犬は一生残る傷を負い得ますし、素性の分からない犬の集団(ドッグパーク)は避けてください。会わせるなら、相手の飼い主に一声かけ、自分の子と相手が興奮していないときだけ、リードを付けたまま数秒。ドッグランは成犬になってからです。
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まとめ
子犬の散歩デビューは、地面を歩く散歩と、外の世界を見せることを分けて考えます。地面を歩くのは、最後の混合ワクチンから2週間ほど後が理想で、混合ワクチンは16週齢以上になるまで2〜4週ごとに打つので生後18週ごろになる子が多い一方、社会化の要は生後3か月までです。その間をつなぐのが、地面に下ろさず、他の犬に触れさせず、知らない犬が多く通る場所を避ける抱っこ散歩で、アメリカの獣医師の学会もワクチン完了前の安全な社会化を標準のケアとしています。家の中では、ハーネス(小型犬は気管を守るため)と伸縮しない軽いリードに慣らし、名前を呼んで目が合ったらおやつ、を作っておきます。デビュー当日は、落ち着いた時間に家の前の静かな道へ抱っこで出て、下ろしたら歩かせようとせず待ち、自分から歩き出したらリードをたるませてついて行き、数分で抱いて帰ります。歩かないのは初日にはふつうで、引かない・釣らない・待つか抱いて帰る、が答えです。その後2週間で、距離と時間・場所・出会う人・出会う犬を1段ずつ広げ、においを嗅ぐ散歩の日を作り、拾い食いは「出せ」を家で先に教えておきます。狂犬病の予防注射は生後91日以上で毎年1回、登録は30日以内が法律の義務、夏は路面の熱、冬は日中と服、帰ったら足を拭く。最初の数回で「外は楽しい」を覚えた子は、そのあとの散歩がずっと楽になります。
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