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【生後57日から密着】ポメラニアン岳くん|最初の2週間の記録
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) 犬の育て方
この記事の要点
生後57日で迎えたポメラニアンの岳くんに、ドッグトレーナーが12日間密着した記録です。初日の2時間の鳴き、夜中3時間おきのトイレ、7日目の車酔い、帰省先で逆戻りした要求吠え。日ごとに、何が起きて何をしたかを残しました。
ドッグトレーナーが、生後57日のポメラニアンを迎えて生活を共にし、その日にあったことと、そのときにどうしたかを書き残した記録です。名前は岳(がく)くん。この記事は、迎えた日から12日目までを扱います。
しつけの記事は、どうしても「問題が起きてからどうするか」になりがちです。けれど、いちばん知りたいのは「起きる前に何をしておけばよかったのか」のほうだと思います。だから、うまくいった日も、失敗した日も、そのまま並べました。
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ポメラニアンの子犬を見る岳くんのこと|生後57日、ポメラニアンの男の子
| 名前 | 岳(がく) |
|---|---|
| 犬種 | ポメラニアン |
| 性別 | 男の子 |
| 生年月日 | 2024年2月29日 |
| 迎えた日 | 生後57日 |
| 暮らす家 | ドッグトレーナーの家。先住の大型犬2頭と猫1頭がいる |
| 想定した環境 | 日中も家に面倒を見られる人がいる家庭 |
生後57日という日数には意味があります。動物愛護管理法の第22条の5は、出生後56日を経過しない犬や猫の引渡しと展示を禁じています。つまり57日目は、法律の上でようやく新しい家へ行ける最初の時期です。多くの子犬にとって、家が変わるのはこのころになります。
そしてこの時期は、発達の上でも特別です。米国獣医行動学会は、「子犬の社会化のいちばん重要な時期は生後3か月まで」とし、この時期は社交性が恐怖を上回るので、新しい人・動物・経験に適応する主要な窓だとしています。生後57日で迎えたということは、その窓の残りが1か月ほどしかない状態で、新しい家での生活が始まるということでもあります。
もうひとつ、重なるものがあります。アメリカンケネルクラブは、子犬には正常な発達として「怖がる時期」が2回あり、1回目は生後8〜11週だとしています。ちょうど、お迎えの時期です。この時期に強いストレスや嫌な経験が重なると、あとの行動の問題につながりうるといわれています。
最初の2週間にやることが多いのは、飼い主が忙しいからではありません。子犬の側の時計が、いちばん速く進んでいる時期だからです。
ポメラニアンの子犬(121頭)
1日目〜4日目|2時間鳴いた夜と、3時間おきのトイレ
| 日 | その日にあったこと | やったこと |
|---|---|---|
| 1日目 | 迎えた当日、サークルの中で2時間鳴き続けた。先住の犬と猫には近づけていない | 排泄の時間を記録し始めた。鳴いているあいだは反応せず、鳴き止んで落ち着いたところで静かに声をかけて触った |
| 2日目 | 15分吠えて休み、また15分吠えて休む、を1時間くり返した | 夜は3時間おきに起きてトイレへ促した。排泄のときだけサークルに仕切りを立てた |
| 3日目 | 失敗しなくなった。吠えは単発になり、鳴き続けることはなくなった | 夜に起きるのを1回に減らし、間隔を4時間へ広げた。日中は仕切りを使い、夜はやめた |
| 4日目 | トイレの失敗がなくなり、夜中に起きる必要がなくなった。要求吠えも出なくなった | 人が寝る時間と起きる時間を短めに寄せて、夜に空く時間そのものを縮めた |
いちばん効いたのは、しつけではなく記録でした
1日目に始めたのは、たった3つを書くことだけです。時間・成功か失敗か・おしっこかうんちか。これを2日続けたら、岳くんの排泄の間隔がおよそ3時間だと分かりました。だから夜はそれに合わせて起きました。
目安の数字もあります。子犬が我慢できる時間は「おおよそ月齢と同じ時間数(9か月〜1歳ごろまで)」といわれています。岳くんは生後2か月ですから、目安は2時間です。けれど実際は3時間でした。目安は出発点で、その子の間隔は記録でしか分かりません。
連れて行くタイミングにも決まった型があります。朝起きてすぐ/夜寝る前/昼寝のあと/囲いで過ごしたあと/食事のあと/水を飲んだあと/おもちゃを噛んだあと/室内で遊んだあと、に連れて行きます。失敗してから叱るのではなく、失敗しそうな時間の前に連れて行くという考え方です。
仕切りは「排泄のときだけ」立てました
サークルの中に仕切りを立てた理由は2つです。失敗させないためと、シートの上で寝るのを覚えさせないため。だから使うのは排泄のときだけで、済んだら外します。3日目からは日中だけにして、夜はやめました。
囲いの広さにも目安があります。「立って向きを変えて楽に伏せられる広さ。ただし、片隅で排泄して別の隅で休めるほど広くしない」のがよい広さです。広すぎると、犬は中を「寝る場所」と「する場所」に自分で分けてしまいます。ベッドや毛布を入れるのは失敗しなくなってからにします。子犬は柔らかい面で排泄しやすいからです。
鳴きに反応しない、の境目
岳くんの1日目は2時間でした。鳴いているあいだは反応せず、鳴き止んで、さらに落ち着いてから声をかけて触りました。鳴き止んだ瞬間ではありません。体がこわばったままなら、まだです。褒める瞬間がずれると、褒めたつもりのない行動のほうが強くなります。
ただし、これは要求で鳴いているときの話です。入れて数分のうちから鳴くのはストレスや不安のサインで、ひとりでいることを教わっていない子犬に多いです。うろうろする、震える、扉をかじる、よだれが出る、長い遠吠えのような声が続く——こうしたサインが出ているときは、慣れるのを待つのではなく段階を戻します。扉を開けたまま中でおやつを食べるところからやり直してください。「無理に中へ入れないこと。泣かせきりにしないこと」がはっきり言われています。
逆に、入って落ち着いたあとしばらくしてからの鳴きは、退屈・空腹・トイレのことが多いです。同じ「鳴く」でも、出るタイミングで意味が違います。
なお、夜中に起こす日が数日で終わったのには理由があります。子犬は1日に18〜20時間眠るといわれていて、睡眠は脳や免疫、筋肉の発達に欠かせません。人が起きる回数を減らせるかどうかは、根性ではなく、間隔が延びたかどうかで決めます。
5日目〜7日目|手からおやつ、お座り、そして初めての車
| 日 | その日にあったこと | やったこと |
|---|---|---|
| 5日目 | 夜に排泄しなくなり、朝いちばんと、人が起きている時間だけで済むようになった | 寝る前に必ずトイレを確認した。手からおやつを食べる練習を始めた |
| 6日目 | 自分からトイレへ行くようになった | お座りの練習を開始。まだ言葉の合図は付けない |
| 7日目 | 帰省に伴い、初めての車。移動2時間半で2回吐いた | クレートの中で酔ったため、途中から安全を確保したうえでクレートの外に出し、1時間に1回は休憩を入れた |
手から食べられるようにしておく
5日目にやったのは、練習らしい練習ではありません。人の手からおやつを食べる、それだけです。地味ですが、ここができていないと、このあとの練習のほとんどが成り立ちません。
同じころに始めておきたいのが、体を触られる練習です。動物病院グループVCAの獣医師による説明では、これは「触られたり扱われたりするときに、子犬が力を抜いて協力できるようにする練習」のことで、「短く、楽しく。回数を決めて、子犬が喜んで、それでいて落ち着いておやつを食べている状態で終える」のがよいとされます。身をよじる、白目が見える、鳴く、口を当ててくる、体を離す、おやつを乱暴に取る、おやつを食べなくなる——これが「もう嫌だ」のサインです。
お座りは、動きが先。言葉はあと
6日目のお座りは、おやつを持った手を頭の上へ動かしただけです。鼻がそれを追うと、自然に腰が落ちます。この段階では言葉を付けません。座る動きが安定して出るようになってから、言葉を乗せます。
順番を逆にすると、まだできない動きに言葉だけが結びついて、「言っても座らない合図」ができあがります。合図は、出せば動く状態になってから名前を付けるものです。
7日目の車は、順番が逆でした
正直に書きます。初めての車が2時間半、というのは長すぎました。2回吐いたのは、その結果です。
車酔いは成犬より若い犬に多く、バランスに関わる内耳の部分がまだ十分に育っていないためと考えられ、多くは1歳ごろまでに卒業するといわれています。つまり生後2か月の子犬は、いちばん酔いやすい時期にいます。
そして慣らし方は、長さではなく段階です。すすめられている順番はこうです。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1 | 車に入れてエンジンをかけ、動かさずに数分過ごす |
| 2 | 翌日は、家の前を出て戻るだけ |
| 3 | 近所を1周する |
| 4 | 少しずつ延ばし、20〜30分を落ち着いて乗れるところまで |
数日から数週間かかります。不安が見えたらその日はやめて、別の日にやり直す。叱らない。出発前の食事は、負担でなければ最大8時間ほど控えます(水はいつでも飲めるように)。酔いのサインは、くんくん鳴く/うろうろする/よだれが多い/口をぺちゃぺちゃする/ぐったりする/吐く/便が出る。吐きそうなら車を止めて歩かせます。
ここで間違えやすいのが、「酔ったからクレートをやめる」という結論です。安全対策として一般的なのはクレートやキャリーに入れることで、「入れて満足せず、走行中はクレートやキャリーをシートベルトで必ず固定しましょう」といわれています。急ブレーキや追突で犬が前方へ飛ばされるからです。岳くんの7日目は移動の途中で酔ってしまったため、安全を確保したうえでクレートから出し、休憩を増やす形をとりました。これは移動中の対処であって、次からのやり方ではありません。次からは、酔わない短さから慣らして、クレートは続けます。
8日目〜12日目|帰省先で逆戻りしたもの
| 日 | その日にあったこと | やったこと |
|---|---|---|
| 8日目 | 帰省先で要求吠えが再発した | 家族全員に、家と同じルールでそろえてもらった |
| 9日目 | おしっこの失敗が2回。必ず人がいるときに失敗する | 声をかけず、黙って片づけた。じゃれてくるときは、いったんサークルへ入れた |
| 10日目 | 吠えは単発だが残る。トイレの失敗もあった | 家でのやり方にそのまま戻した |
| 11日目 | トイレの失敗なし、要求吠えなし。初めて首輪を着けた | ごはん中や遊んでいる最中など、気がそれているときに短く着けた |
| 12日目 | 初めてのシャンプー(うんちを踏んでしまったため) | シャワーの音から慣らし、湯温を確かめて体から、短時間で流した |
変わったのは犬ではなく、まわりの対応でした
4日目に消えたはずの要求吠えが、8日目に戻りました。原因は環境の変化と、帰省先で対応がそろっていなかったことです。吠えたら誰かが見る。失敗したら誰かが声をかける。犬から見れば、どちらも「通じた」になります。
9日目に、人がいるときにだけ失敗したのが分かりやすい例です。失敗が失敗として終わらず、構ってもらえる合図になっていました。注意したつもりの「こら」「だめ」も、犬にとっては振り向いてもらえたことです。だから、失敗したときは声をかけず、黙って片づけます。「片づけるだけ」でよく、においを消す製品で同じ場所のくり返しを防げます。
叱って止めるのは、効果の面でも勧められていません。2021年の見解では、力・痛み・精神的または身体的な不快に頼る方法はしつけにも問題行動の治療にも使うべきではなく、罰を使った方法は人や他の犬への攻撃的な行動、不安に関わる行動と関連が見られ、効果の面でも劣るといわれています。
そして、家の中で1人でも例外がいると、犬はその1人に向かって吠えます。ルールをそろえるというのは、優しい人と厳しい人を作らない、という意味です。岳くんは10日目にやり方を元へ戻し、11日目には失敗も要求吠えも出なくなりました。戻すのは、思ったより早くできます。
首輪とシャンプーは「気がそれているとき」に
11日目の首輪は、ごはんを食べているときや遊んでいる最中に着けました。意識が別のところへ向いている時間に短く着けて、少しずつ延ばすやり方です。着けた瞬間に気にして固まる子ほど、これが効きます。
首輪そのものについては、知っておいたほうがよいことがあります。首輪7種類とスリップリードを、圧力センサーを入れた首の模型で試した研究では、「試したどの首輪も、リードを引いたときにけがの危険を減らせるほど低い圧にはならなかった」と結論づけられています。引っぱる癖が出てきたら、首輪だけで散歩を続けず、ハーネスも合わせて検討してください。
12日目のシャンプーは、予定して行ったものではありませんでした。うんちを踏んでしまったからです。それでも順番は守りました。シャワーの音から慣らす。湯温を確かめる。体からゆっくりかける。短く終える。初めてのお風呂で怖い思いをすると、そのあとがずっと大変になります。無理に押さえて洗いきるのは、いちばんやってはいけないやり方です。
最初の2週間でやったこと・やらなかったこと
| やったこと | なぜ |
|---|---|
| 排泄の記録(時間・成否・種類) | その子の間隔は、目安ではなく記録でしか分からないから |
| 失敗しそうな時間の前に連れて行く | 失敗してから叱るのでは、場所を覚えないから |
| 排泄のときだけ仕切りを立てる | 失敗させないため。シートの上で寝るのを覚えさせないため |
| 鳴き止んで、落ち着いてから褒める | 褒める瞬間がずれると、別の行動が強くなるから |
| 人の就寝と起床を犬に寄せる | 夜に空く時間そのものを縮めるため |
| 手からおやつを食べる練習 | これができていないと、あとの練習が成り立たないから |
| 家の中の対応をそろえる | 例外が1人いると、その1人に向かって吠えるようになるから |
| やらなかったこと | なぜ |
|---|---|
| 先住の犬・猫と会わせる(最初の12日間) | まず家に慣れることを先にしたため。ただし後述のとおり、ここは見直しの余地がある |
| 叱る・押さえつける | 攻撃的な行動や不安と関連し、効果でも劣るから |
| 鳴きを最後まで放置する | 不安のサインが出たら、待つのではなく段階を戻すから |
| 動きより先に言葉の合図を付ける | できない動きに言葉が結びつくと、効かない合図ができるから |
会わせないあいだも、社会化の時計は動いています
先住の犬や猫と会わせなかったのは、家に慣れることを先にしたからです。ただし、待っているあいだも社会化の窓は閉じていきます。社会化のいちばん重要な時期は生後3か月までで、「不完全または不適切な社会化は、あとで恐怖・回避・攻撃などの問題行動の危険を高める」といわれています。
同じ見解は、「ワクチン接種が完了する前に社会化を受けることが、子犬の標準的なケアであるべき」とも書いています。母犬からの免疫と初回のワクチン、そして場所を選ぶことを組み合わせれば感染の危険は比較的小さく、行動の問題で命を落とす危険のほうが大きい、という考え方です。いっぽうで、ワクチンの状況が分からない犬が多く通る場所は避けるともしています。
だから、外を歩けない時期でも家の中でできることを並行して進めます。床の材質を変えて歩く。掃除機やチャイムの音。抱っこ。体を触られること。車に乗ること。どれも、この2週間のうちに日課へ混ぜられるものです。
進め方には条件があります。ちょうど1回目の「怖がる時期」(生後8〜11週)に重なるので、無理に近づけて「怖くない」と教えようとすると、より大きく長く続く恐怖を作りかねないといわれています。どこまで近づくかは犬が決める。怖いものを見たらほめておやつ。短く、楽しく終える。その日に克服しなくてよい——これが手順です。
いま同じ2週間をやり直すなら|3つだけ変えます
記録を残しておくと、あとから見直せます。この12日間について、変えるところは3つです。
| 順 | 変えるところ | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 車は、短い距離から始める | 初めてが2時間半では、車を嫌いになる材料しか残らない。エンジンをかけて動かさない数分→家の前を出て戻る→近所を1周、の順で20〜30分まで延ばす |
| 2 | 猫との対面を、もっと早く・もっとゆっくり始める | 子犬4,678頭の調査では、生後12週未満で引き合わせた子犬のほうが望ましい行動を見せるオッズが2.52倍高く、1日より長くかけて段階的に引き合わせたほうが1.86倍高かった |
| 3 | 音・床・抱っこを1日目から日課に入れる | 社会化の窓は生後3か月まで。外へ出られない時期にも、家の中でできることがある |
2つめについて補足します。同じ調査は、猫と引き合わせた子犬1,211頭のうち、望ましい行動(無関心・落ち着いて関わる)だけを見せたのは7.3%で、遊ぼうとする58.9%、興奮しすぎ56.6%、追いかける48.6%だったとしています。つまり、いきなり会わせて自然に仲良くなるほうが珍しい。柵や透明の仕切りを使う、猫のごはんと水と逃げ場を犬の届かない場所に用意する、興奮する前に短く終える——といった飼い主が主導する形が勧められています。
この3つは、どれも「起きてから直す」ではなく「起きる前にやる」側にあります。記録を取っていたから、あとから比べられました。
フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。夜鳴きやトイレのように「いま、この夜をどうするか」の場面ほど、間隔や段階の決め方で変わります。記録している時間や回数を教えていただければ、次に何を変えるかをお伝えできます。専門トレーナーのトレーナーダイヤルへどうぞ。
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【生後57日から密着】ポメラニアン岳くん|3〜4週目と評価表
よくある質問
生後57日で子犬を迎えるのは早くありませんか?
動物愛護管理法の第22条の5は、出生後56日を経過しない犬や猫の引渡しと展示を禁じています。生後57日は、その日数を過ぎた最初の時期です。発達の面から見ても、このころに新しい家へ行くことには理由があります。子犬の社会化のいちばん重要な時期は生後3か月までで、この時期は社交性が恐怖を上回るので、新しい人・動物・経験に適応する主要な窓です。つまり迎えた時点で、その窓は残り1か月ほどです。だから最初の2週間にやることが多いのは、飼い主が忙しいからではなく、子犬の側の時計がいちばん速く進んでいる時期だからです。
迎えた初日に2時間鳴き続けました。放っておいていいですか?
要求で鳴いているのか、不安で鳴いているのかで変わります。囲いに入れて数分のうちから鳴くのはストレスや不安のサインで、ひとりでいることを教わっていない子犬に多いです。うろうろする、震える、扉をかじる、よだれが出る、長い遠吠えのような声が続く。これが出ているときは、慣れるのを待つのではなく段階を戻してください。「無理に中へ入れないこと。泣かせきりにしないこと」が大切です。いっぽう、落ち着いてしばらくしてからの鳴きは退屈・空腹・トイレのことが多いです。岳くんの場合は人が見える場所にサークルを置き、鳴いているあいだは反応せず、鳴き止んで、さらに落ち着いてから静かに声をかけて触りました。鳴き止んだ瞬間ではありません。体がこわばったままなら、まだです。
夜中に何回もトイレに起こすのは、いつまで続けますか?
その子が失敗しなくなったら、間隔を延ばして減らします。岳くんは2日目が3時間おき、3日目に失敗がなくなったので4時間へ広げ、4日目には夜中に起きる必要がなくなりました。目安として、子犬が我慢できる時間は「おおよそ月齢と同じ時間数(9か月〜1歳ごろまで)」といわれています。生後2か月なら2時間ですが、岳くんは3時間でした。目安は出発点で、その子の間隔は記録でしか分かりません。時間・成功か失敗か・おしっこかうんちか、の3つを2日書くだけで見えてきます。なお、「数日で安定した習慣ができる子犬もいれば、数か月かかる子犬もいる」ともいわれています。
サークルの中に仕切りを立てるのは、なぜですか?
理由は2つです。失敗させないためと、シートの上で寝るのを覚えさせないためです。だから使うのは排泄のときだけで、済んだら外します。岳くんは3日目から日中だけにして、夜はやめました。囲いの広さにも目安があります。「立って向きを変えて楽に伏せられる広さ。ただし、片隅で排泄して別の隅で休めるほど広くしない」のがよい広さです。広すぎると、犬は中を自分で「寝る場所」と「する場所」に分けてしまいます。ベッドや毛布を入れるのは失敗しなくなってからにします。子犬は柔らかい面で排泄しやすいからです。
実家や旅行先で、覚えたはずのトイレと吠えが元に戻りました。
変わったのは犬ではなく、環境とまわりの対応であることがほとんどです。岳くんも8日目の帰省先で要求吠えが再発し、9日目には人がいるときにだけおしっこを失敗しました。吠えたら誰かが見る、失敗したら誰かが声をかける。犬から見れば、どちらも「通じた」になります。注意したつもりの「こら」「だめ」も、振り向いてもらえたことです。失敗したときは声をかけず、黙って片づけてください。「片づけるだけ」でよく、においを消す製品で同じ場所のくり返しを防げます。そして、家の中で1人でも例外がいると、犬はその1人に向かって吠えます。岳くんは10日目に元のやり方へ戻し、11日目には失敗も要求吠えも出なくなりました。戻すのは、思ったより早くできます。
車で吐いてしまいました。クレートをやめたほうがいいですか?
順番が逆です。安全対策として一般的なのはクレートやキャリーに入れることで、「入れて満足せず、走行中はクレートやキャリーをシートベルトで必ず固定しましょう」といわれています。急ブレーキや追突で犬が前方へ飛ばされるからです。やめるのはクレートではなく、長い距離のほうです。車酔いは成犬より若い犬に多く、バランスに関わる内耳の部分がまだ十分に育っていないためと考えられ、多くは1歳ごろまでに卒業します。慣らし方は、車に入れてエンジンをかけ動かさずに数分、翌日は家の前を出て戻るだけ、次に近所を1周、そして20〜30分を落ち着いて乗れるところまで。数日から数週間かかります。出発前の食事は、負担でなければ最大8時間ほど控えます。酔い止めや抗不安薬は獣医師にご相談ください。
首輪はいつから、どうやって慣らしますか?
岳くんは11日目に初めて着けました。やり方は、ごはんを食べているときや遊んでいる最中など、意識が別のところへ向いている時間に短く着けて、少しずつ延ばすというものです。着けた瞬間に気にして固まる子ほど、これが効きます。考え方は、さきほどの触られる練習と同じで、短く、楽しく、回数を決めて、子犬が落ち着いておやつを食べている状態で終えます。身をよじる、白目が見える、鳴く、口を当ててくる、おやつを食べなくなる。これが出たら、その回は終わりです。なお首輪そのものについては、7種類とスリップリードを圧力センサー入りの首の模型で試した研究が「試したどの首輪も、リードを引いたときにけがの危険を減らせるほど低い圧にはならなかった」と結論づけています。引っぱる癖が出てきたら、ハーネスも合わせて検討してください。
初めてのシャンプーで気をつけることは何ですか?
怖い思いをさせないことがすべてです。岳くんの12日目は、うんちを踏んでしまったための予定外のシャンプーでしたが、順番は守りました。シャワーの音から慣らす、湯温を確かめる、体からゆっくりかける、短く終える。無理に押さえて洗いきると、そのあとお風呂やシャワーの音を見ただけで逃げるようになり、生涯にわたって手入れが大変になります。慣れるまでは、全身を完璧に洗うことより、短い時間で終えることを優先してください。汚れた部分だけを洗う日があってもかまいません。
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まとめ
生後57日で迎えたポメラニアンの岳くんの、12日目までの記録です。いちばん効いたのはしつけではなく記録でした。時間・成功か失敗か・おしっこかうんちか、の3つを2日書いただけで、岳くんの排泄の間隔がおよそ3時間だと分かり、夜はそれに合わせて起きました。月齢と同じ時間数、という目安では2時間ですから、目安は出発点にすぎません。鳴きに反応しないのは、要求で鳴いているときの話です。入れて数分のうちからの鳴き、震え、扉をかじる、よだれは不安のサインで、待つのではなく段階を戻します。褒めるのは、鳴き止んだ瞬間ではなく、落ち着いてから。サークルの仕切りは排泄のときだけ立て、囲いは広くしすぎない。ベッドは失敗しなくなってから入れます。お座りは動きが先で、言葉はあと。手からおやつを食べる練習が、すべての土台になります。7日目の車は、いま振り返れば順番が逆でした。初めてが2時間半では長すぎます。エンジンをかけて動かさない数分から始めて、家の前を出て戻る、近所を1周、と延ばしてください。酔ったからクレートをやめる、ではありません。走行中はシートベルトで必ず固定します。帰省先で戻った吠えとトイレの失敗は、犬が変わったのではなく、まわりの対応がそろっていなかっただけでした。声をかけず黙って片づけ、家と同じルールに戻したら、3日で消えています。そして、会わせないあいだも社会化の窓は閉じていきます。社会化のいちばん重要な時期は生後3か月まで。外へ出られない時期でも、床の材質、音、抱っこ、体を触られること、車に乗ることは家の中で進められます。




































