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犬を飼うと旅行に行けない?|連れて行くか預けるかの判断と準備
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) あそび
この記事の要点
犬を飼うと旅行に行けなくなる、は正しくありません。ただし犬だけを家に残して泊まりがけで出かけることはできないので(成犬でも留守番の上限は6〜8時間)、旅行のたびに「連れて行く」か「預ける」かを選びます。連れて行けるかは犬種ではなく、その子が車に酔わないか・知らない場所で休めるか・体に不安が無いかで決まります。出発の条件は、混合ワクチンと狂犬病の予防注射が済み、鑑札と注射済票を着け、クレートに慣れていること。車ではクレートをシートベルトで固定して車内に残さず、電車では全身がケースに入った状態で所定の手回り品料金を払い、飛行機は会社ごとの条件を確かめます(短頭種は断られることがあります)。旅先ではいつものフード・寝床・においのある毛布を持ち込み、あくび・鼻を舐める・食欲の低下が続いたら予定を縮めます。
「犬を飼うと旅行に行けなくなるのか」「うちの犬を旅行に連れて行っても、かわいそうではないか」「犬との旅行は、いつから、何に気をつければいいのか」。この記事に来られる方のいちばん多い検索語は「犬を飼う 旅行に行けない」です。つまり、まだ犬を迎えていない方が、迎える前に知っておきたいことでもあります。この記事では、犬を飼っている家庭が旅行のときに取れる選択肢、連れて行けるかどうかの判断、いつから行けるか、犬のストレスの見分け方、車・電車・飛行機ごとの決まりと注意、宿での過ごし方、持ち物、旅先と帰宅後の体調、そして連れて行かない選択までを、法律、鉄道会社の規則、獣医師の解説、全国の飼育調査にそって書きます。
先に結論を書きます。犬を飼うと旅行に行けなくなる、は正しくありません。ただし「犬だけを家に残して泊まりがけで出かける」ことはできないので、旅行のたびに「連れて行く」か「預ける」かのどちらかを選ぶことになります。連れて行けるかは犬種ではなく、その子が車に酔わないか、知らない場所で休めるか、体に不安が無いかで決まります。連れて行くなら、クレートに慣れていること、ワクチンと狂犬病の予防注射が済んでいること、鑑札と注射済票を着けていることが出発の条件で、移動中は犬をクレートに入れてシートベルトで固定し、車内に残さず、電車では全身がケースに入った状態で所定の手回り品料金を払います。旅先では、いつものフード・寝床・においのある毛布で「家の一部」を持って行き、あくび・鼻を舐める・食欲の低下といったストレスサインが続けば予定を縮めます。
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子犬を見る犬を飼うと旅行に行けない?|「連れて行く」か「預ける」の2択
まず、この心配がどれだけ多いのかを数字で書いておきます。一般社団法人ペットフード協会の「2025年 全国犬猫飼育実態調査」で、犬を飼っていないが飼いたい気持ちのある人(692人)に「現在飼っていない理由」を複数回答で聞いたところ、「旅行など長期の外出がしづらくなるから」を挙げた人は23.8%で、「世話をするのにお金がかかるから」(27.0%)、「別れがつらいから」(26.4%)、「集合住宅に住んでいて禁止されているから」(26.0%)に次ぐ4番目でした。この項目を「いちばん大きな理由」に選んだ人は6.9%です。同じ調査で「日中ペットだけで留守番をさせるのはかわいそうだから」を挙げた人は14.9%でした。旅行と留守番は、犬を迎えるかどうかを決める場面で、それだけ大きな理由になっているということです。
では、犬を飼うと本当に旅行に行けなくなるのか。答えは「行き方が変わる」です。犬を家に残して泊まりがけで出かけることは、できません。アメリカの犬の団体(アメリカンケネルクラブ)の解説で、動物の行動を専門に診る獣医師は、犬がトイレに行く機会のないまま一人で過ごせるのは最大でも6〜8時間までで、それより長く空けるなら日中に誰かが入るか預け先を使うように、としています。1泊は24時間です。だから、犬を飼っている家の旅行は、毎回「連れて行く」か「預ける」かのどちらかになります。どちらも、犬を迎える前から準備できることです。
| 選択肢 | 向いている旅行・犬 | 先に済ませておくこと |
|---|---|---|
| 連れて行く | 車で行ける距離。犬が入れる宿を取れる旅程。車に酔わない、知らない場所でも休める、体に不安が無い子 | クレートに慣らす(この記事の後半)。混合ワクチン・狂犬病予防注射・鑑札と注射済票。宿と施設の「犬可」の条件を確かめる |
| 預ける(ペットホテル・ペットシッター・家族) | 飛行機や海外、犬が入れない宿や施設が中心の旅程。車に酔う、こわがり、シニアで通院中、夏の短頭種、ワクチンの途中の子犬 | 預け先を旅行の前に1度使って、その子の様子を見ておく。いつものフードと寝床を持ち込めるかを確かめる(最後の章) |
| 犬だけで留守番 | 日帰りで6〜8時間まで。泊まりがけは不可 | 日帰りの範囲の組み方は留守番は何時間までの記事、8時間を超える日は留守番が長時間になる日の記事へ |
「連れて行けば全部解決」ではないことも、先に書いておきます。旅行を楽しまない犬もいて、犬によっては家でペットシッターと過ごすほうを好みます。飼い主が緊張していると、犬も不安になります。連れて行くかどうかは、犬種ではなく「その子」で決めます。次の表の右の列に当てはまる子は、その旅行は預けるほうが、犬にも家族にも楽です。
| 見るところ | 連れて行ける | 今回は預けたほうがよい |
|---|---|---|
| 車 | 30分以上乗っても、よだれ・落ち着きのなさ・嘔吐が出ない | 短い距離でもよだれ、鼻や口を舐める、鳴いてうろうろする、吐く(車酔い=後の章で慣らしてから) |
| 知らない場所 | 初めての家や店でも、しばらくすると伏せて休める | 知らない場所では固まる、隠れる、食べない、夜に鳴く |
| 知らない人・犬 | 自分から近づくか、気にしない | 吠え続ける、後ずさる、震える(社会化の途中) |
| 体 | 健康で、暑さ寒さの対策ができる | 通院中、シニアで排泄の間隔が短い、短頭種の夏(熱中症の危険がはるかに高い)、ワクチンの途中の子犬 |
| クレート | 自分から入って、扉を閉めても休める | クレートに入れると鳴き続ける、扉をかく(宿でも移動でも使うので、慣らしてから) |
新しく載った子犬
犬との旅行はいつから|ワクチン・狂犬病の注射・クレートが済んでから
「犬 旅行 いつから」で調べて来られる方へ。月齢で決まる線は1つだけで、あとは準備が済んだかどうかです。順に書きます。この表は、法律と、ペット保険会社(アニコム損害保険)、アメリカの犬の団体、アメリカの動物病院グループ(VCA)、アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)、環境省の資料をもとにまとめました。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 狂犬病の予防注射と登録が済んでいる | 生後91日以上の犬は、狂犬病の予防注射を受けさせ、市区町村に登録して、鑑札と注射済票を犬に着けておくことが法律の義務。旅行中も着けておく(狂犬病予防法第4条・第5条、同施行規則第11条) |
| 混合ワクチンが終わっている | 最初のワクチンは6〜8週齢で始め、16週齢以上になるまで2〜4週ごとに接種することが世界的に推奨されている。ペットホテルやトリミングは接種証明の提出を求めるところがほとんどで、犬と泊まれる宿やドッグランにも同じ条件が多い |
| クレートに慣れている | クレートに慣れることは、動物病院・預け先・災害時の避難でも要る「一生使う技術」。旅行では移動中の安全と、宿での寝床の両方になる |
| 知らない場所・人に慣れている | 生後3週〜16週の、いろいろなことに慣れやすい時期(社会化期)に、抱っこで外の世界を見せておく。旅行は「知らない場所・人・音」が一度に来るので、社会化の途中の子犬には負担が大きい |
| 車に酔わない | 車酔いは若い犬に多く、体のバランスをとる耳の奥(内耳)が育っている途中のためと考えられていて、1歳ごろまでに治まる子犬が多い。子犬のうちは短い距離から慣らす |
つまり、お迎えの日から数えると、混合ワクチンが終わり、狂犬病の予防注射と登録が済み、家でクレートに入って休めるようになってから、が出発の目安です。最初の旅行は、近場に1泊が向きます。子犬は車に酔いやすく、知らない場所で寝られないことがあるので、家から1〜2時間で戻れる距離なら、うまくいかなかった日に帰るという選択が残ります。生後半年までの子犬は1日3回の食事が要り、空腹が続くと低血糖になりやすいので、旅程に食事の時間を先に入れておいてください。社会化の進め方は社会化トレーニングの記事に、クレートの慣らし方はクレートトレーニングの記事に分けています。
犬の旅行のストレス|「かわいそう」かどうかは、サインで決めます
「犬 旅行 ストレス」「犬 旅行 かわいそう」で調べて来られる方へ。旅行は、犬にとってストレスの原因が一度に来る場面です。犬のストレスの原因には、慣れない場所や大きな音といった不安や恐怖、天候の変化、気温・湿度・音・においといった体で感じるストレス、合わない食事・トイレの環境・睡眠不足といった体の中のストレスがあります。旅行には、この全部が入っています。だから「旅行はかわいそうか」の答えは、犬によって、そして旅程によって違います。見るのはサインです。
| 場面 | 楽しめているサイン | 負担になっているサイン(ストレスのサイン) |
|---|---|---|
| 移動中 | クレートの中で伏せて休む。到着して降りると、においを嗅いで歩き回る | よだれ、鼻や口をしきりに舐める、鳴いてうろうろする、身震い、吐く(車酔いのサインと重なる) |
| 宿の部屋 | ひととおり嗅いだら、寝床に入って寝る。いつもの量を食べる | 体の硬直、家具の奥や人目につかない場所にこもる、あくびが続く、食欲が急に落ちる、夜に鳴く |
| 観光地・店 | 飼い主さまのそばで座っていられる。抱っこで落ち着く | しっぽを巻き込む、後ずさる、パンティングが続く(暑くないのに)、吠え続ける |
| 帰宅後 | その日のうちにいつもどおり食べて寝る | 下痢・嘔吐、食欲が戻らない、足先を舐め続ける、隠れる |
右の列のサインが出たら、その場でやることは「予定を縮める」です。観光をひとつ減らして宿で休ませる、店に入るのをやめて散歩に変える、翌日の予定を短くする。楽しめている子は、家の中と同じ動き(嗅ぐ・食べる・寝る)が旅先でも出ます。それが出ない子に「せっかく来たから」で予定を続けると、旅行そのものが「知らない場所=嫌なこと」の経験として残ります。アメリカの獣医師の学会の見解にあるとおり、こわがっているものにいきなり浴びせる方法は避け、学ぶ側が練習から降りられるようにしておくことが、慣らしの土台です。
負担を減らす工夫は、次のとおりです。飼い主のにおいのついたシャツや毛布をクレートに入れること、旅行のときだけ使う特別なおもちゃを渡すこと、クレートを「安全な場所」にしておくこと。そして、いつものフードを持って行くこと、飲み水はふだんと同じものにすること、飼い主が落ち着いていることです。旅先で「家の一部」を持って歩く、と考えてください。ストレスサインの読み方の全体は犬のボディランゲージの記事に書いています。
移動手段ごとの決まりと注意|車・電車・飛行機・フェリー
移動手段は、法律や鉄道会社・航空会社の規則で「できること」が決まっています。ここは資料の言葉で書きます。
| 手段 | 決まり | 犬の側で気をつけること |
|---|---|---|
| 車 | 運転者の視野やハンドルなどの操作を妨げる乗せ方・積み方で運転してはならない(道路交通法第55条第2項)。膝の上・足元の犬はこれに当たり得る。クレートやキャリーに入れ、走行中はシートベルトで必ず固定する。乗せる場所は運転席の後ろの席がおすすめで、様子の見えないラゲッジは避ける | 車内に残さない(次の段落)。こまめに止まって排泄と水。出発直前に食べさせない。クレートの中は熱がこもりやすいので温度と風の通り |
| 電車(JR) | 小犬・猫などの小動物は、全身が入る専用のケースに入れ、顔を出さない状態で、手回り品として持ち込める。ケースの大きさと、ケースと動物を合わせた重さに上限がある。乗車する駅の改札口でケースを見せて、所定の手回り品料金を払って手回り品きっぷを買う。抱っこ・リードだけ・スリングやカートから顔が出た状態では持ち込めない | ケースの中で長く静かにしていられる練習を家で。混む時間帯を避ける。吠える子は、まだ電車には向かない。私鉄・地下鉄・バスは会社ごとに規則が違うので、乗る前に各社の案内を確かめる |
| 飛行機 | 条件は航空会社ごとに違う。例としてANAの国内線では、預かったペットは温度と湿度を管理した貨物室に乗せる(客室とは環境が異なる場合がある、飛行中は暗室になる、と案内している)。毎年5月1日〜10月31日は、高温に弱く熱中症や呼吸困難を起こす恐れのある短頭犬種(シーズー、ペキニーズ、パグ、フレンチ・ブルドッグなど13犬種)の預かりを中止している。犬の健康と飛べる状態かどうかは飼い主の責任。出発地と到着地の気温が犬に危険でないかも確かめる | クレートで長時間ひとりで過ごせる子だけ。出発前に獣医師に相談。当犬舎で紹介している小型犬でも、鼻の短いシーズーとペキニーズは飛行機を前提にしない |
| フェリー | 犬が入れる客室があるか、車内に残す形か、ペットルームかは航路と会社で違う | 車内に残す形は、夏は熱中症の危険があるので避ける。乗船時間の長さで判断する |
車で気をつける3つ|車内に残さない・固定する・車酔い
車で旅行する家庭がいちばん多いので、3つだけ詳しく書きます。1つ目は、車内に残さないことです。日本自動車連盟(JAF)が真夏に実測した試験(2012年・外気35℃)では、エアコンを止めた車内は4時間で最高57℃になり、窓を3センチ開けても45℃、サンシェードでも50℃で、JAF自身が「窓開けやサンシェードの対策をしていても、人や動物が耐えられない温度になる」と書いています。エアコンを止めてからわずか15分で熱中症の危険レベルに達しました。犬は汗で体温を下げられず、口を開けた速い呼吸で熱を逃がしているので、閉め切った車内では自分で逃げられません。「ちょっとコンビニに」でも、犬を車に残さない。家族の誰かが残るか、犬を連れて降りるか、です。
2つ目は、固定です。クレートやキャリーに入れて満足せず、走行中はシートベルトで必ず固定してください。急ブレーキや追突で、犬が前に飛ばされる危険があります。助手席や膝の上に乗せて運転するのは、道路交通法第55条第2項が禁じている「運転者の視野やハンドルなどの操作を妨げる乗車」に当たり得るので、犬にとっても人にとっても、後部座席のクレートが答えです。クレートを家で安全な場所にしておく手順と、車での使い方は犬と車でお出かけする記事に詳しく書いています。
3つ目は、車酔いです。車酔いは若い犬に多く、耳の奥(内耳)が育っている途中のためで、1歳ごろまでに治まる子犬が多いです。成犬では「車=動物病院」のように嫌な経験と結びついて、不安から吐く子がいます。サインは、鳴く・うろうろする・よだれ・鼻や口を舐める・元気が無い・嘔吐・排便です。慣らし方は、エンジンをかけて動かずに数分座る→家の前を出て戻る→近所を1周、と短い乗車を重ね、20〜30分乗っていられるところまで少しずつ延ばします。目的地を「犬が好きな場所(公園)」にして、車のあとに良いことが起きる形を作るのもよい方法です。出発直前に食べさせず、食事は出発の少なくとも1時間前に済ませ、負担でなければ数時間前までに終えておきます。薬が要る子は獣医師に相談してください。長距離の前に、短い旅を1度しておくと、道具と犬の様子の両方を確かめられます。
宿の選び方と、宿でのマナー|証明書・クレート・部屋の安全
犬と泊まれる宿は増えていますが、「犬可」の中身は宿ごとに違います。予約の前に確かめるのは、次の6つです。
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 大きさ・頭数・犬種の条件 | 小型犬のみ、2頭まで、といった条件が多い。当犬舎で紹介している小型犬は入れる宿が多いが、上限の体重は宿で違う |
| ワクチン証明と狂犬病の注射済票 | ペットホテルやトリミングでは接種証明の提出を求めるところがほとんど。宿も同じ条件のことが多い。1年以内の混合ワクチンの証明書と、今年度の狂犬病予防注射の証明を持って行く |
| 部屋のどこまで入れるか | ベッドやソファは不可、食事処は不可、といった決まりが多い。クレートや寝床を持ち込めるか |
| 部屋で犬だけにできるか | できない宿が多い。宿では犬をできるだけ静かにさせ、犬だけを残さない。食事や入浴のあいだどうするかを先に決める |
| 散歩と排泄の場所 | 到着したら宿の人に散歩の場所を聞き、必ず片づける。ふんは持ち帰る |
| 近くの動物病院 | 夜間に診てもらえる病院の連絡先を、出発前に調べて携帯に入れておく。かかりつけの連絡先と、その子の薬・持病のメモも一緒に |
部屋に入ったら、犬を自由にする前に、床と家具の下を見てください。電気のコードが届かない位置にあるか、前の宿泊者が床や家具の下に落としたものが無いかを確かめてから、犬に部屋を探検させます。そして、犬の宿泊で1度でも嫌な思いをした宿は、その後すべての犬を断るようになることがあります。部屋と敷地を来たときの状態で返すことは、次に泊まる犬のためでもあります。宿で使うクレートは、犬が立って向きを変えて横になれる大きさで、通気が両側にあるものを。慣れた犬にとってクレートは「宿の中の自分の家」になり、初めての部屋で休めない子でも、クレートの中なら寝られることがあります。
犬との旅行の持ち物|家の一部を持って行くリスト
持ち物は「いつもの暮らしを旅先で再現する」ための道具です。アメリカの犬の団体の解説と、獣医師が監修した資料にあるものを、用途ごとに表にします。
| 用途 | 持ち物 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 証明・身元 | 混合ワクチンの証明書、狂犬病予防注射の証明。鑑札と注射済票を犬に着ける。迷子札(犬の名前・飼い主さまの名前・電話番号)。マイクロチップの登録が今の住所と電話番号か。最近の写真 | 鑑札と注射済票は法律で犬に着けておくもの。迷子札・マイクロチップ・最近の写真は、いなくなったときのため |
| 食事 | いつものフードを1回分ずつ小分けに(予備1日分)。いつもの水か市販の水。折りたたみの器。生後半年までの子犬は1日3回分 | 旅先で急にフードを変えるとお腹をこわす。いつものフードと水を持って行く。小分けにしておくと宿やシッターに渡しやすい |
| 移動・寝床 | クレート(車ではシートベルトで固定)。飼い主さまのにおいのついた毛布かシャツ。旅行のときだけ使うおもちゃ | においのあるものと特別なおもちゃで、クレートと旅行を良いものと結びつける |
| 散歩 | ハーネスとリード(予備をもう1組)。首輪には迷子札。うんち袋、水、おしっこを流す水 | リードと首輪は濡れたり絡んだりするので予備を車に。旅先の散歩は知らない道なので、抜けないハーネスで |
| 排泄 | トイレシート(部屋用)、マナーパンツ(乗り物や店で。家で慣らしてから)、拭くもの、消臭剤 | マナーパンツは初めて着けると固まる子が多いので、マナーパンツの記事の手順で家で慣らす |
| 体調 | 飲んでいる薬、かかりつけと旅先の動物病院の連絡先、タオル、保冷剤(夏)、服(冬・部屋の抜け毛対策) | 薬と、病歴・薬のメモを。熱中症の応急処置は濡れタオルと、首・内股・脇の保冷剤 |
旅先での体調と、帰ってから見ること|暑さ・食べない・下痢・災害
旅先で起きやすい体調の変化は、暑さ、食べない、下痢の3つです。夏の旅行でいちばん危ないのは熱中症です。初期症状は、口を開けたハァハァという激しい呼吸・多量のよだれ・足元のふらつき・ぐったりで、重症になると死に至ることもあります。危ないのは、エアコンのない部屋や車での留守番、屋外で長時間の直射日光、照り返しの強い舗装道路での散歩です。旅先の観光地は、この全部がそろう場所です。短頭種はとくに危険が高いので、シーズーやペキニーズを連れて行くなら、夏の日中の屋外は歩かせず、抱っこか室内に。応急処置は、体に水をかけるか濡れタオルで覆い、タオルを巻いた保冷剤を首・内股・脇に当て、飲めるなら水を飲ませて、すぐ動物病院へ。
食べない・下痢は、環境の変化のストレスと、フードや水の変化の両方で起きます。犬が急に食べなくなる原因は、体の不調・おなかがすいていない・食事に興味が薄い・フードが好きでない、のどれかです。目に見える症状が無くても、丸1日以上食べないことが続くなら受診してください。旅先では、いつものフードを、いつもの器で、いつもの時間に。1食抜いても水を飲んで元気なら、翌朝までは様子を見てかまいませんが、下痢と嘔吐が重なる、水を飲まない、ぐったりしている、なら旅先の動物病院へ行ってください。そのために、宿の近くの病院を出発前に調べておきます。
災害についても一言だけ。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、災害のときは飼い主がペットを連れて避難する「同行避難」を基本としていますが、避難所で飼い主とペットが同じ部屋で過ごせるという意味ではなく、ペットの飼養環境は避難所によって異なること、避難所で必要になるのは、人や他の動物を怖がったりむやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバッグに慣れていること、決められた場所で排泄ができること、と書いています。旅先で被災したときも同じです。クレートに慣れていること、リードを付けたうえでキャリーに入れられること、が犬を守ります。宿に着いたら、避難経路と、その地域の避難所を1度確かめておいてください。車で避難する形は車中泊避難の記事に書いています。
帰宅後は、その日と翌日に3つを見ます。歩き方(足を引きずる、肉球を舐め続ける=旅先の路面や草でのけが)、食欲と便(旅先の疲れは帰ってから出る)、そして寝る時間です。犬は1日の半分ほどを眠るので、帰った翌日によく寝るのは正常です。下痢・嘔吐が続く、食べない、元気が戻らない、なら受診してください。旅行のあとにだけ体調を崩す子は、次の旅行を短くするか、預ける形に切り替える判断の材料になります。
連れて行かない選択|ペットホテル・ペットシッター・家族に預ける
飛行機や海外、犬が入れない施設が中心の旅行、車酔いやこわがりが強い子、通院中の子、夏の短頭種。こうした場合は、連れて行かないほうが犬に楽です。前にも書いたとおり、旅行を楽しまない犬もいて、家でシッターと過ごすほうを好む犬もいます。預け先は3つで、選ぶときに確かめることを表にします。
| 預け先 | 向く犬 | 確かめること |
|---|---|---|
| ペットホテル | クレートに慣れていて、他の犬の声や気配があっても休める子 | 第一種動物取扱業(保管)の登録番号と動物取扱責任者の掲示。ワクチン証明が要る。いつものフードと寝床を持ち込めるか。1日に何回散歩・排泄に出すか。急な体調不良のときの提携病院。選び方はペットホテルの選び方の記事へ |
| ペットシッター(自宅に来てもらう) | 知らない場所より家が落ち着く子。他の犬が苦手な子。シニア | ペットシッターも第一種動物取扱業(保管)の登録が要り、飼養施設が無くても規制の対象(環境省)。登録番号を聞く。初回は在宅時に来てもらい、犬の反応を見る。1日の訪問回数と、留守番の間隔が6〜8時間を超えないか |
| 家族・友人の家 | その人と家に慣れている子 | フードと量、薬、トイレの場所、散歩の道具を書いて渡す。かかりつけの連絡先。相手の家の犬や猫との相性を先に確かめる |
環境省の説明では、業として動物の「保管」を営利目的で行う場合は、営業を始める前に第一種動物取扱業の登録が要り、該当する例としてペットホテル業者、動物を預かる美容業者、ペットのシッターが挙げられています。登録を受けた業者には標識や識別票の掲示と動物取扱責任者の配置が義務なので、頼む前に登録番号を確かめてください。そして、旅行の直前に初めて預けるのではなく、1度、短い時間で預けて、その子がどう過ごしたかを見ておくことが、いちばんの準備です。留守番そのものの考え方は留守番は何時間までの記事に、分離不安が心配な子は分離不安の記事に分けています。
「犬を飼うと旅行に行けない」で迎えるのをためらっている方へ。行けなくなるのではなく、行き方が変わります。連れて行くなら、クレートとワクチンと車の慣らしを迎えた最初の数か月で済ませておけば、その子と行ける旅行はいくらでもあります。預けるなら、信頼できる預け先を1つ持っておけば、飛行機の旅行も海外も、これまでどおりです。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「車で吐く」「クレートで鳴く」「知らない場所で食べない」といった、旅行の前につまずくところは、その子の様子に合わせてドッグトレーナーにご相談ください。迎える前の準備の全体は犬の飼い方の記事にまとめています。
よくある質問
犬を飼うと、旅行に行けなくなりますか?
行けなくなるのではなく、行き方が変わります。犬だけを家に残して泊まりがけで出かけることはできません。アメリカの犬の団体の解説で、動物の行動を専門に診る獣医師は、成犬でもトイレに行けないまま一人でいられるのは6〜8時間が上限としているので、旅行のたびに「連れて行く」か「ペットホテル・ペットシッター・家族に預ける」かを選ぶことになります。ペットフード協会の2025年の調査では、犬を飼っていないが飼いたい人の23.8%が「旅行など長期の外出がしづらくなるから」を理由に挙げていて、4番目に多い理由でした。連れて行くなら、クレート・ワクチン・車の慣らしを迎えた最初の数か月で済ませておくこと、預けるなら信頼できる預け先を旅行の前に1度使っておくことで、どちらの形でも旅行はできます。
犬との旅行は、いつからできますか?
月齢で決まる線は狂犬病の予防注射(生後91日以上の犬に法律で義務)で、あとは準備が済んだかどうかです。混合ワクチンは6〜8週齢で始めて16週齢以上になるまで2〜4週ごとに打つことが推奨されていて、宿やペットホテルは接種証明を求めるところがほとんどです。それに加えて、狂犬病の予防注射と登録が済んで鑑札と注射済票を犬に着けていること、家でクレートに入って休めること、抱っこで外の世界に慣れていること、短い乗車で車に酔わないこと、がそろってからです。子犬は車酔いしやすく(1歳ごろまでに治まる子が多い)、知らない場所で寝られないことがあるので、最初の旅行は家から1〜2時間で戻れる近場に1泊が向きます。
犬にとって旅行はストレスですか?連れて行くのはかわいそうではありませんか?
犬と旅程によって違うので、サインで決めます。犬のストレスの原因は、慣れない場所や大きな音、天候の変化、気温や音、合わない食事・トイレの環境・睡眠不足で、旅行にはこの全部が入っています。旅先でも、においを嗅いで歩き回る・いつもの量を食べる・寝床で寝る、が出ていれば楽しめています。よだれ、鼻や口をしきりに舐める、あくびが続く、体の硬直、人目につかない場所にこもる、食欲が急に落ちる、が出ていたら負担なので、その場で予定を縮めます。旅行を楽しまない犬もいて、家でシッターと過ごすほうを好む犬もいます。
犬を電車や新幹線に乗せられますか?
JRでは、小犬・猫などの小動物は、全身が入る専用のケースに入れて顔を出さない状態なら、手回り品として持ち込めます。ケースの大きさと、ケースと動物を合わせた重さに上限があり、乗車する駅の改札口でケースを見せて、所定の手回り品料金を払って手回り品きっぷを買います。抱っこ、リードだけ、スリングやカートから顔が出た状態では持ち込めません。私鉄・地下鉄・バスは会社ごとに規則が違うので、乗る前に各社の案内で確かめてください。犬の側では、ケースの中で長く静かにしていられることが条件で、吠える子はまだ電車には向きません。混む時間帯は避けます。
車に乗せると吐いてしまいます。旅行は無理ですか?
慣らせば行ける子が多いです。車酔いは若い犬に多く、耳の奥(内耳)が育っている途中のためで、1歳ごろまでに治まる子犬が多いです。成犬では、車と嫌な経験(動物病院など)が結びついた不安から吐く子もいます。慣らし方は、エンジンをかけて動かずに数分座る、家の前を出て戻る、近所を1周、と短い乗車を重ねて、20〜30分乗れるところまで少しずつ延ばし、目的地を公園のような犬の好きな場所にします。出発直前に食べさせず、食事は出発の少なくとも1時間前までに済ませ、クレートには飼い主さまのにおいのついた毛布を入れます。よだれ・鼻を舐める・鳴いてうろうろが出たら、車を止めて歩かせます。それでも吐く子は、獣医師に薬を相談してください。
チワワのような小型犬と旅行するとき、気をつけることは何ですか?
小型犬は、抱っこと、ケースに入れた移動ができるぶん連れて行きやすい一方で、気をつけることが3つあります。1つ目は車内に残さないこと。JAFの真夏の実測では、窓を3センチ開けても車内は45℃に達し、犬は汗で体温を下げられないので自分で逃げられません。2つ目は固定で、膝の上や助手席は道路交通法第55条第2項が禁じる「運転者の視野や操作を妨げる乗車」に当たり得るので、後部座席のクレートをシートベルトで固定します。3つ目は落とさないこと。旅先は知らない道なので、抜けないハーネスと予備のリードを持ち、迷子札とマイクロチップの登録を確かめておきます。シーズーやペキニーズのような短頭種は熱中症の危険がはるかに高いので、夏の日中の屋外は歩かせず、飛行機は前提にしません。
旅行のあいだ、犬を家で留守番させてもいいですか?
日帰りで6〜8時間までなら留守番で組めますが、泊まりがけは組めません。動物の行動を専門に診る獣医師は、犬がトイレに行く機会のないまま一人でいられるのは最大でも6〜8時間までとしていて、1泊は24時間です。泊まりがけの旅行で連れて行かないなら、ペットホテル、ペットシッター、家族のどれかに預けます。ペットホテルもペットシッターも第一種動物取扱業(保管)の登録が要り、環境省の説明では飼養施設が無いシッターも規制の対象なので、登録番号と動物取扱責任者の掲示を確かめてください。旅行の直前に初めて預けるのではなく、1度短い時間で預けて、その子がどう過ごしたかを見ておくのがいちばんの準備です。
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まとめ
犬を飼うと旅行に行けなくなる、は正しくなく、行き方が変わります。犬だけを家に残して泊まりがけで出かけることはできない(成犬でも留守番の上限は6〜8時間)ので、旅行のたびに「連れて行く」か「預ける」かを選び、連れて行けるかは犬種ではなく、車に酔わないか・知らない場所で休めるか・体に不安が無いかで決めます。出発の条件は、狂犬病の予防注射と登録(鑑札と注射済票を着ける)、混合ワクチンの完了と証明書、クレートに慣れていること、抱っこで外の世界に慣れていること。最初は近場に1泊から。旅先では、慣れない場所・音・天候・食事・排泄・睡眠の変化がストレスの原因になるので、いつものフードと寝床とにおいのある毛布を持ち込み、よだれ・鼻を舐める・あくび・食欲の低下・こもるが続いたら予定を縮めます。車はクレートをシートベルトで固定して後部座席に置き(膝の上は道路交通法に触れ得る)、車内には残さず(窓を開けても45℃になる実測)、出発直前に食べさせず、こまめに止まって排泄と水。電車は全身が入るケースで顔を出さず、所定の手回り品料金を払い、飛行機は会社ごとの条件を確かめ、短頭種は前提にしません。宿では証明書を持参し、犬だけを残さず、散歩の場所を聞いて片づけ、部屋の床を確かめてから犬を下ろします。夏は熱中症、旅先では食べない・下痢に気をつけ、帰宅後は歩き方・食欲と便・寝る時間を見ます。連れて行かない旅行は、登録番号を確かめたペットホテルかシッター、または家族に預け、直前に初めて預けるのではなく1度試しておきます。
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