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クレートトレーニングのやり方|いつから・鳴くとき・夜・成犬も
公開日:2024年9月5日(木) 更新日:2026年10月6日(火) しつけトレーニング
この記事の要点
クレートトレーニングは、犬が自分から入り、扉を閉めても休めるようになるまでを、段階を飛ばさずに作る練習です。お迎えの日から始められ、成犬でも順番は同じです。大きさは立って向きを変えて楽に伏せられる広さ。手順は、置く→自分から入る→扉を閉めて数秒→中で休む→部屋を出る→留守番・夜、の順で、入れるときは食べ物を詰めたおもちゃと一緒に。鳴いたら、入って数分なら段階を戻し、しばらくしてからならトイレ。罰に使わず、子犬は月齢の数、成犬でも6〜8時間を超えて入れません。
「クレートに入れると鳴き続ける」「お迎え初日から使っていいのか分からない」「成犬になってからでも慣れるのか」。クレートトレーニングについてのご相談は、お迎えの直前と、留守番や車での移動が始まった時期に集中します。クレートは、しつけの道具である前に、犬が休む場所・逃げ場・移動の箱・災害時の避難場所を兼ねる、犬の暮らしの土台です。
先に結論を書きます。クレートトレーニングは、犬が自分から入り、扉を閉めても休めるようになるまでを、段階を飛ばさずに作る練習です。お迎えの日から始められ、成犬でも順番は同じです。閉じ込める道具として使った瞬間に、クレートは「嫌な場所」になります。この記事では、クレートとケージ・サークルの違い、何のためにするか、いつから始めるか、大きさと置き場所、手順、鳴くときの対応、嫌がる犬の慣らし方、車・動物病院・災害での使い方、やってはいけないことを、獣医師の解説と公的なガイドラインを踏まえて順に書きます。
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子犬を見るクレートトレーニングとは|ケージ・サークルとの違いと、何のためにするか
言葉を先に整理します。クレートは、扉の付いた箱型のハウスで、持ち運びができ、中は薄暗く囲われています。ケージ・サークルは柵で囲った区画で、中にトイレと寝床を置いて「動ける範囲」を区切るものです。「ケージトレーニング」で調べて来られた方の多くも、知りたいのは「囲いの中で落ち着いて過ごせるようにする方法」なので、この記事の手順はそのまま使えます。役割が違うだけで、サークルの中にクレートを置いて両方を使う形にできます。
クレートが犬の寝床に向くのは、犬の習性から来ています。犬はもともと巣穴で暮らしていたので、広い部屋よりも狭く薄暗い場所のほうが安心できます。クレートのように全体的に囲われたハウスは、光が入りにくく、巣穴のような安心感が得られる点でいちばん向いています(ペット保険会社のアニコムの解説より)。閉じ込めるための箱ではなく、犬が自分で入って休むための「部屋」だと考えてください。
そして、クレートに慣れていることは、暮らしの中で何度も効いてきます。クレートで落ち着いていられることは、大事な生活の技術です(アメリカの犬の団体・アメリカンケネルクラブの解説より)。動物病院、ペットシッター、預け先、災害の避難のどこかで、犬はまずクレートに入ることになります。場面ごとに、慣れている犬とそうでない犬で何が違うかを表にします。
| 場面 | クレートに慣れていると | 慣れていないと |
|---|---|---|
| 毎日の休息・夜 | 自分から入って寝る。人が動いていても休める | 人の動きのたびに起きる。夜に落ち着かない |
| 来客・子ども | 逃げ場になる。クレートを「犬だけの場所」にして、子どもは立ち入り禁止に | 逃げ場が無く、追い詰められて吠える・噛む |
| 留守番 | 目の届かない時間、いたずらと失敗を防げる | 家具をかじる、家じゅうで排泄する |
| 車・公共交通 | クレートをシートベルトで固定して安全に移動できる | 膝の上や車内を動き回り、急ブレーキで飛ばされる |
| 動物病院・預け先 | 初めての場所でも、クレートの中は「いつもの場所」 | 知らない場所と知らない箱で二重に緊張する |
| 災害・避難所 | 避難所ではケージに慣れていることが前提(環境省)。クレートが避難場所(隠れ場所)になる | 避難そのものが遅れる。避難所で体調を崩す |
災害については、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」に具体的に書かれています。住まいの防災対策として「ケージ、クレートなどペットの避難場所(隠れ場所)の確保」が挙げられ、避難所でペットを飼養するには「人や他の動物を怖がったり、むやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバッグに慣れていること、決められた場所で排泄ができることなどが必要になる」とあります。犬の飼い主が平常時にしておく備えの一覧には「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」が入っています。クレートトレーニングは、災害の備えでもあります。備え全体は災害から愛犬を守る準備の記事に書いています。
新しく載った子犬
いつから始めるか|お迎えの日から。成犬でも手順は同じです
「クレートトレーニングはいつから」への答えは、お迎えの日からです。どの年齢・どの犬種でもクレートを好きになるよう教えられますが、子犬のうちは「クレートがある暮らし」をそのまま当たり前として覚えるので、いちばん早く入ります。お迎え初日は、家に着いたらまずトイレ、それからクレートを置いたサークルの中で静かに過ごさせる、という流れにすると、初日からクレートが「休む場所」になります。初日の細かい流れは犬を迎えた初日の記事に書いています。
成犬から始める場合も、順番は変わりません。違うのは、その子がクレートについて何を覚えているかです。「閉じ込められた」「入れられたまま長時間放っておかれた」記憶がある子は、まずその記憶を上書きするところから始めるので、段階1と2に時間がかかります。入りたがらない理由には、扉の閉まる音や、扉が勝手に閉まって体に当たった経験もあります。その場合は、扉の形が違うクレートに替えます。成犬で「入らない」子は、後半の「嫌がる犬の慣らし方」から読んでください。
もう一つ、始める前に確かめてほしいことがあります。練習は、犬が落ち着いているか眠いときに、排泄と運動を済ませてからです。体力の余った子犬を元気なまま入れると、「閉じ込められた」側の記憶になります。散歩やひと遊びのあと、ごはんのあと、が練習の時間です。
用意するもの|大きさ・種類・置き場所・中に入れるもの
クレートは「大きいほど快適」ではありません。大きさは「子犬が立って、向きを変えて、楽に伏せられるちょうどの広さ」で、広すぎると片側で排泄して反対側で寝るようになります。体勢を変えられないほどでは狭すぎるので、犬がクレートの中で1周回れるくらいの広さは必要で、成長に合わせて買い替えます。当犬舎で紹介しているトイプードル、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、シーズーは成犬になっても小型なので、成犬サイズのクレートを買い、子犬のうちは仕切りや箱で奥を狭くして使う方法が無駄がありません。下の表は、アメリカの犬の団体とペット保険会社の解説をもとにまとめました。
| 決めること | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 大きさ | 立って、向きを変えて、楽に伏せられる。中で1周回れる。それ以上は広くしない | 広いと片側で排泄する。狭すぎると体勢を変えられない |
| 種類 | 周りが見えるワイヤー型か、覆いのある薄暗い箱型か。その子の好みで。扉が静かに閉まるもの | 見えるほうが落ち着く犬と、巣穴のように暗いほうが落ち着く犬がいる。扉の音や当たった経験で嫌がる子がいる |
| 置き場所 | 飼い主さまの気配が分かる部屋の、人の出入りが少ない壁ぎわ。玄関・窓・テレビの近く・エアコンの風の直下は避ける | 廊下や扉付近、テレビの近く、風が直接当たる場所は避け、気配を感じられる部屋の刺激の少ない場所へ。静かな場所でないと休めない |
| サークルとの組み合わせ | サークルの中の片側にクレート、離れた側にトイレ。ケージ型で光が入るなら、中にクレートを入れるかタオルで覆う | トイレと寝床は別々に。ケージ型は光が入りやすいので覆う |
| 中に入れるもの | 最初は何も入れなくてよい。毛布やベッドは、失敗しなくなってから。かじるおもちゃ(食べ物を詰めたもの)と水 | 子犬は柔らかい面で排泄しやすいので、毛布は失敗が無くなってから。入れるときは食べ物を詰めたおもちゃを一緒に |
| 首輪 | 中では外す | 安全のため、クレートの中では首輪を外す |
「ベッドや毛布を入れれば喜ぶ」と思って最初から入れるご家庭が多いのですが、順番が逆です。柔らかい布は子犬にとって排泄の場所に見えるうえ、かじって飲み込む事故もあります。トイレの成功が安定して、布をかじらなくなってから足してください。サークルの中の配置で落ち着かないときの直し方はケージの中のレイアウトの記事に、トイレとの位置関係はトイレのしつけの記事に分けています。
手順は6段階|置く→自分から入る→扉を閉める→延ばす→留守番・夜
ここがこの記事の本体です。考え方は一つで、「クレートに近づく・入る・いる」と良いことが起きる、を積み重ねることです。トレーナーのやり方は、クレートの横に座って、犬が近づくたびに中へおやつを投げ入れ、中にいるあいだは5〜10秒ごとにおやつを渡す、自分から入ることが大事なので扉は開けたままにする、というものです。子犬に入れる順に、段階を分けて書きます。段階を上げるのは日単位で、1回は数分。できたら毎回ほめて、おやつです。時間の数字は現場の目安で、その子の様子で前後します。
| 段階 | やること | 次へ進む目安 | 1つ戻す目安 |
|---|---|---|---|
| 1. クレートがある | 扉を開けたまま(外せる型なら外して)部屋に置く。犬が近づいたら中におやつを投げ入れる。犬が見ていないときに中の手前におやつを置いておき、自分で見つけさせる | クレートを出すと自分から寄ってくる。中に頭を入れる | クレートを避けて通る、見て固まる |
| 2. 自分から入る | おやつを奥に置いて、犬が体ごと入ったら中にいるあいだ5〜10秒ごとにおやつ。ごはんを中で食べさせる。出たければ出してよい | 合図なしで入って、中でおやつを食べられる | 前足だけで止まる、入ってすぐ飛び出す |
| 3. 扉を閉める・数秒 | 犬が中にいるときに扉を静かに閉め、格子の隙間からおやつを渡して、すぐ開ける。数秒から始めて、閉めている時間を少しずつ延ばす | 扉が閉まっても体が硬くならず、おやつを食べる | 閉めた瞬間に鳴く、扉をかく、おやつを食べない |
| 4. 中で休む | 食べ物を詰めたかじるおもちゃを入れて扉を閉め、飼い主さまは同じ部屋で座っている。数分から始めて、犬が休めたら開ける。眠そうな時間帯に | おもちゃを終えたあと、中で伏せて休む | 鳴き続ける、立ったまま動き回る |
| 5. 部屋を出る | 4の状態で、飼い主さまが部屋を出て短時間で戻る。1分、5分、と延ばす。戻っても騒がず、落ち着いていたら開ける | 飼い主さまが見えなくても休んでいる | 出た瞬間に鳴き始める(1人でいる練習が先) |
| 6. 留守番・夜 | 実際の外出と夜の就寝で使う。時間は子犬の月齢の数と、成犬でも6〜8時間までを上限に。夜は寝室か気配のある場所に | 朝まで、または帰宅まで休んでいる。出したあと落ち着いている | 帰宅時によだれ・脱走の跡・扉の噛み跡(次の章と「嫌がる犬」の章へ) |
段階の上げ方で守ってほしいことが2つあります。一つは、出たがったら出すこと。「閉めたら最後、鳴いても開けない」ではなく、段階3〜4では犬が「出たい」と分かっている時間より短く閉めて、犬が落ち着いているうちに開けます。「閉まっても、すぐ開く」を積んだ犬は、閉まることを怖がらなくなります。もう一つは、入れるときは必ず良いものと一緒に。クレートに入れるときは毎回、食べ物を詰めたかじるおもちゃ(凍らせると長持ちする)を渡し、水も入れておきます。おもちゃに集中しているうちに扉が閉まり、終わるころには眠くなる。この流れが「クレートの中=良いことが起きて休む場所」を作ります。
つまずくときは、段階1〜2を飛ばして3から始めていることが多いものです。「入れて閉めれば慣れる」は、慣れるのではなく、諦めているだけのことがあります。逆に、段階1と2で「クレートは良いことが起きる場所」が入ってしまえば、3以降はほぼ自動で進みます。留守番の時間の延ばし方と上限は犬の留守番の記事に、1日の中でクレートで休む時間をどう置くかは犬の生活リズムの記事に分けています。
クレートで鳴く・泣くときの対応|「いつ鳴くか」で出すか出さないかが決まります
「クレートに入れると泣く」で調べて来られる方がいちばん多いので、ここははっきり書きます。鳴いたら全部無視、でも、鳴いたら全部出す、でもありません。いつ鳴き始めたかで意味が違います。入って数分のうちに鳴き始めるのはストレスや不安のことが多く、とくに一人でいることをまだ教わっていない子犬に多い、その場合はもっと段階的に慣らして良い経験を足す必要があります。一方で、いったん落ち着いてしばらくしてから鳴くのは、退屈・空腹・トイレに行きたい、のことが多いです。
| 鳴き方 | 考えられること | やること |
|---|---|---|
| 入れて数分以内に鳴き始める。扉をかく、動き回る | 段階が早すぎる。まだ「閉まる=良いこと」になっていない | 落ち着いた瞬間に開けて、その日は終わり。次回は1つ前の段階(扉を閉める時間を短く、または開けたまま)に戻る |
| しばらく休んでいたのに、急に鳴き出す。時間が月齢の数を超えている | トイレの可能性が高い(子犬は月齢の数がおよその我慢できる時間) | 静かに出してトイレへ。遊ばず、声もかけず、済んだら戻す。「鳴いたら遊べる」にしない |
| 鳴いたり止んだり。人が見えると強くなる | 要求(出して・構って) | 反応しない。鳴き止んだ数秒の隙に静かに開ける。鳴いている最中に開けると「鳴けば開く」を覚える |
| よだれ、震え、口を開けたハァハァという呼吸、扉を噛む、長く吠え続ける | パニックの側。「クレートに入れてはいけない状態」のサイン | すぐ出す。クレートの練習をいったん止め、後の「嫌がる犬」の章と、分離不安の可能性を見る |
2行目と3行目の見分けが、飼い主さまにはいちばん難しいところです。目安は「時間」です。生後3か月を過ぎた子犬が我慢できるのは、月齢の数がおよその時間数(4か月なら4時間、6か月で6時間、それ以上は成犬と同じ最大6〜8時間)で、それより前の子犬は膀胱を自分で止められません。入れてからその時間を超えて鳴いたなら、トイレとして扱ってください。時間の前で、しかも人が見えると強くなるなら、要求です。要求の鳴きに開けてしまうと、次からは長く鳴きます。ただし、「泣き止むまで放っておく」ことも、無理に入れることもしないでください。無視で済ませるのではなく、次回の段階を戻す。それが答えです。
夜については、置き場所が半分を決めます。寝床は、飼い主さまの気配を感じられる部屋の、刺激の少ない場所にします。お迎えの最初の数週間は、クレートを寝室か、飼い主さまの気配がある場所に置き、夜中に鳴いたら上の表のとおり「時間」で見分けてください。来客やインターホンで興奮する子には、大きめのバスタオルなどでクレートを覆って刺激を減らす方法があります。ただし覆うときは、クレートの中は熱がこもりやすいので、夏や暖房の効いた部屋では風の通りと温度を必ず確かめてください。夜泣きの見分け方と近所への配慮は子犬の夜泣きの記事に書いています。
クレートを嫌がる・入らない犬の慣らし方|「閉じ込められた」記憶を上書きします
すでに「クレート=嫌な場所」になっている子には、上の手順の前にやることがあります。入りたがらない犬は、クレートの使用をいったん止めて基本に戻ります。扉を閉めずにおやつを投げ入れるところから始めて、扉を閉めて喜んでいられる時間を少しずつ積み上げ直します。扉の音や、扉が当たった経験が原因なら、扉の形が違う型に替えます。当犬舎では、外せる型なら扉を外し、クレートの上面も外せる型なら上面を外して「ただの箱」にして、そこからやり直すことが多いです。
考え方は、こわいものへの慣らし方と同じです。アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の2021年の見解では、少しずつ慣らすやり方(系統的脱感作)、つまり「犬がずっと安全だと感じられる形で、とても少しずつ刺激に近づける」こと、そして怖がっているものに「良いことが起きる」結びつきを作ることが恐怖と不安をやわらげるうえで欠かせないとされ、いきなり浴びせる方法(ここでは、入れて閉めて泣き止むまで放置する方法)は避けるべき方法に挙げられています。同じ見解は「学ぶ側は常に安全だと感じられ、練習から降りられるようにしておく」とも書いています。出たがったら出す、が慣らし直しの土台です。
- 扉を外す・上面を外す……「閉まる」要素を無くして、箱の中でおやつを食べる・ごはんを食べる、から。ここで何日かけても構いません
- 入るところを見ない……犬が入る瞬間に見つめると、それだけで出てきます。おやつを置いて離れ、犬が自分で入って食べるのを横目で見ます
- 扉は「触れる」から……外していた扉を戻し、閉めずに揺らすだけ、次に閉めてすぐ開ける。閉めている時間より、閉めて開く回数を増やします
- 閉めるたびに良いこと……閉めた瞬間に格子の隙間からおやつ。「扉が閉まる=おやつが来る」に変えます
- 過去の使い方を変える……叱ったときに入れていた、出かけるときだけ入れていた、なら、それをやめます。何もない時間に入れて数分で出す、を毎日繰り返し、「入れられる=置いていかれる」を崩します
一つ、慣らしても直らない場合を書いておきます。分離不安(離れると強い不安になること)の犬は、クレートの中でパニックを起こし、出ようとして自分を傷つけることがあります。こうした犬にはクレートではなく、広い安全な区画(ゲートで区切った場所やサークル)を使い、トレーナーや行動の専門家と進めてください。留守番のたびに扉を噛んで血が出る、よだれで胸が濡れている、脱走しようとした跡がある。こういう子は「クレートの練習不足」ではありません。分離不安の記事を先に読んで、獣医師に相談してください。
車・動物病院・災害でのクレートの使い方
家で「良い場所」になったクレートは、そのまま外へ持ち出せます。場面ごとに、獣医師の資料とアメリカの犬の団体の解説をもとに表にします。
| 場面 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 車 | クレートに入れて、走行中はシートベルトで固定する。置く場所は運転席の後ろの席が勧められている(車室と分断されたラゲッジは様子が見えないので避ける)。乗る前にトイレ、中にトイレシーツ。クレートの中は熱がこもりやすいので温度と風の流れを確かめ、直射日光は遮る | 安全に乗せるためと、車内の温度に気をつけるため。まずは家で、おやつやおもちゃを使ってクレートに慣らしておく |
| 動物病院・預け先 | 家で使っているクレートごと連れて行く。待合室では扉を閉めたまま床に置き、開けない | 初めての場所でも中は「いつもの場所」。動物病院・預け先・避難ではクレートに入ることになるので、先に慣らしておく |
| 災害・避難 | 扉の付いたクレートを避難用品として用意し、小型犬はリードを付けたうえでキャリーに入れて避難する。避難所ではケージやキャリーに慣れていること、決められた場所で排泄できることが求められる | 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」 |
| 来客・工事の音 | 玄関やインターホンから離れた場所のクレートへ先に入れ、長く遊べるおもちゃやおやつを用意する。覆って刺激を減らす | 吠え癖の対策になる |
| 子どもがいる家 | クレートを犬だけの場所にして、子どもは入らない・のぞき込まない・手を入れないと決める。大人が見ていられないときは犬をクレートへ(罰ではなく静かな時間として) | 子どもと犬の事故を防ぐ |
災害のときにクレートが役に立つかどうかは、その日ではなく、ふだんの使い方で決まります。環境省のガイドラインは、避難所や動物救護施設ではペットが体調を崩し、下痢や嘔吐、食欲不振などのストレス兆候を示すことが報告されている、としています。慣れたクレートが一つあるだけで、知らない場所でも「自分の部屋」を持ち込めます。車での慣らし方と夏の車内の注意は犬と車でお出かけの記事に、来客のときの吠えの直し方はインターホンに吠える犬の記事に、子どもとの暮らしは犬が子どもを追いかけるときの記事に分けています。
やってはいけないことと、クレートに入れておける時間
- 罰として入れる……クレートを罰に使わない、長く入れすぎない、が良い結びつきを作る前提です。叱って入れた1回で、クレートは「閉じ込められる箱」に戻ります
- 時間の上限を超えて入れる……子犬は月齢の数がおよその時間数、成犬でもトイレに行けないまま6〜8時間が上限。それより長く空けるなら、昼に誰かが入る、預ける、サークルなど排泄できる区画にする
- 泣き止むまで放っておく・無理に押し込む……決して無理に入れない、泣かせたままにしない。鳴いたら、段階を戻すのが対応です
- パニックの犬を入れる……うろうろ・震え・扉をかく・噛む・長い遠吠え・よだれが出ているなら、クレートに入れてはいけない状態です
- 首輪を付けたまま入れる……格子に引っかかる事故があります。中では外します
- 夏に覆いをかけたまま・車内に残す……クレートの中は熱がこもりやすい。覆うなら風の通りを確かめ、夏の車内には残しません
- シニア犬を長時間入れる……関節の痛みで長くじっとしているのがつらいことがあります。複数の寝床を選べる広い区画のほうが向く
- 最初から毛布とベッドを入れる……排泄と誤飲のもと。失敗しなくなってから
「何日で慣れるか」の目安は置きません。数日で自分から入って寝る子もいれば、成犬で記憶の上書きに何週間もかかる子もいます。見るのは「今週、扉を閉めて休めた時間が先週より延びたか」だけです。段階が何週間も進まない、鳴きがパニックの側に見える、留守番のたびに扉に噛み跡がある、というときは、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「どの段階で、何分で、どう鳴くか」が分かっていると、相談がその場で具体的になります。
よくある質問
クレートトレーニングはいつから始めればいいですか?
お迎えの日から始められます。どの年齢・どの犬種でもクレートを好きになるよう教えられますが、子犬のうちは「クレートがある暮らし」をそのまま当たり前として覚えるので、いちばん早く入ります。初日は、家に着いたらまずトイレ、それからクレートを置いたサークルの中で静かに過ごさせる、という流れにしてください。練習は犬が落ち着いているか眠いときに、排泄と運動を済ませてから行います。
成犬でもクレートトレーニングはできますか?
できます。手順は子犬と同じで、置く→自分から入る→扉を閉めて数秒→中で休む→部屋を出る→留守番、の順です。違うのは、その子がクレートについて「閉じ込められた」記憶を持っているかどうかで、持っているなら最初の段階に時間をかけて上書きします。入りたがらない犬はクレートの使用をいったん止め、扉を閉めずにおやつを投げ入れるところから基本に戻ります。扉の音や扉が当たった経験が原因なら、扉の形が違う型に替えます。
クレートに入れると鳴きます。出すべきですか、無視すべきですか?
いつ鳴き始めたかで決めます。入って数分のうちに鳴くのはストレスや不安のことが多く、もっと段階的に慣らす必要があります。落ち着いてしばらくしてから鳴くのは、退屈・空腹・トイレのことが多いです。前者なら落ち着いた瞬間に開けて次回は段階を戻し、後者で時間が月齢の数を超えていれば静かにトイレへ連れて行きます。人が見えると強くなる要求の鳴きには反応せず、鳴き止んだ隙に開けます。ただし、泣き止むまで放っておくことも、無理に入れることもしないでください。よだれ・震え・扉を噛むならパニックの側なので、すぐ出して練習を止めます。
夜はクレートで寝かせたほうがいいですか?鳴いたらどうしますか?
クレートで寝る習慣は、夜の休息だけでなく、災害時や旅行先で別の場所で寝ることへの備えになります。寝床は、飼い主の気配を感じられる部屋の刺激の少ない場所に置きます。最初の数週間は寝室か気配のある場所に置いてください。夜中に鳴いたら時間で見分けます。子犬が我慢できるのは月齢の数がおよその時間数なので、それを超えていればトイレとして静かに出し、遊ばずに戻します。光が気になる子はタオルで覆えますが、クレートの中は熱がこもりやすいので、夏や暖房の効いた部屋では風の通りと温度を確かめてください。
クレートの大きさはどのくらいが正しいですか?
立って、向きを変えて、楽に伏せられるちょうどの広さです。広すぎると片側で排泄して反対側で寝るようになり、狭すぎても体勢を変えられないので、犬がクレートの中で1周回れるくらいの広さは必要です。トイプードルやチワワなど成犬になっても小型の犬種なら、成犬サイズのクレートを買い、子犬のうちは仕切りや箱で奥を狭くして使うと無駄がありません。毛布やベッドは、トイレの失敗が無くなり布をかじらなくなってから入れます。
クレートとケージ(サークル)はどう違いますか?両方必要ですか?
クレートは扉の付いた箱型のハウスで、薄暗く囲われていて持ち運びができます。ケージ・サークルは柵で囲った区画で、中にトイレと寝床を置いて動ける範囲を区切るものです。犬は巣穴のように狭く薄暗い場所のほうが安心できるので、寝床にはクレートが1番向いています。トイレと寝床は別々の場所にします。だからサークルの中の片側にクレート、離れた側にトイレ、という組み合わせがいちばん使いやすく、この記事の手順はケージトレーニングにもそのまま使えます。
クレートには何時間まで入れておけますか?留守番にも使えますか?
使えますが、上限があります。目安は、生後3か月を過ぎた子犬が我慢できるのは月齢の数がおよその時間数で、成犬でもトイレに行けないまま6〜8時間が上限です。それより長く空けるなら、昼に誰かが入る、預ける、トイレのあるサークルなど排泄できる区画にする、のどれかにしてください。犬が快適でいられる時間や、おしっこを我慢できる時間を超えて入れないこと、罰として使わないことが、クレートを好きにさせる前提です。
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まとめ
クレートは扉付きの箱型ハウスで、犬が自分で入って休む「部屋」です。寝床・逃げ場・移動・動物病院・災害の避難場所を兼ね、環境省のガイドラインでも避難所ではケージに慣れていることが前提です。始めるのはお迎えの日から、成犬でも手順は同じ。大きさは立って向きを変えて楽に伏せられる広さで、飼い主の気配が分かる静かな場所に置き、中では首輪を外します。手順は、置く→自分から入る→扉を閉めて数秒→中で休む→部屋を出る→留守番・夜、の順に日単位で上げ、入れるときは食べ物を詰めたおもちゃと一緒に、出たがったら出します。鳴いたら、入って数分なら段階を戻し、しばらくしてからで時間が月齢の数を超えていればトイレ、よだれや震えが出たらすぐ出して練習を止めます。嫌がる子は扉を外した箱からやり直し、分離不安の犬にはクレートではなく広い区画と専門家。罰に使わない、子犬は月齢の数・成犬でも6〜8時間を超えて入れない、泣き止むまで放置しない、が決まりです。
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