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犬がトイレを外すのはわざと?覚えたのに失敗する理由と直し方
公開日:2024年9月5日(木) 更新日:2026年10月6日(火) 犬の育て方
この記事の要点
犬は当てつけでトイレを外しません。覚えたのに外すようになったら、先に体・置き場所や暮らしの変化・年齢の3つを確かめます。はみ出すならトレーの大きさと形を見直し、外したときは無言で片づけ、成功したその場で褒めます。
「トイレはもう覚えたはずなのに、最近また外す」「目の前でわざとしているように見える」。トイレを覚えた犬が、あとから外すようになるご相談は多いです。
先に結論を書きます。犬は当てつけで外しません。外すようになったときに起きているのは、体の変化か、置き場所や暮らしの変化か、年齢のどれかです。この記事では、その見分け方と、それぞれの直し方を書きます。
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子犬を見る「わざと外している」のではありません
目の前で外されると、当てつけに見えます。叱ったあとにしょんぼりした顔をするので、なおさら「分かっていてやった」と思えます。
ここに研究があります。コロンビア大学バーナード校のホロウィッツが2009年に発表した実験では、犬14頭に「食べてはいけない」と言い置いたおやつを使い、実際に食べた犬と食べていない犬の両方を、飼い主が叱る場合と叱らない場合で比べました。結果、しょんぼりした顔が出るかどうかは、実際に食べたかどうかとは関係がなく、飼い主が叱ったかどうかで決まりました。しかも、叱られたときにその顔を強く出したのは、言いつけを守って食べていなかった犬のほうでした。
つまり、あの顔は「悪いことをした自覚」ではなく、飼い主の叱る態度への反応です。トイレも同じで、外したあとの顔から「わざとだった」とは読めません。
「見ている前で外す」が起きる本当の理由
ひとつだけ、人の側が作ってしまう形があります。外したときに大きく反応すると、その反応が犬にとっての「良いこと」になる場合です。留守番のあとで構ってもらえない、成功しても何も起きない、外すと飼い主が飛んでくる。この並びだと、犬は「外す」を選ぶようになります。当てつけではなく、こちらの反応の順番の問題です。
ですから直し方は「叱る」ではありません。米国獣医行動学会(AVSAB)は2021年の見解で、力や不快に頼る方法はしつけにも問題行動の治療にも使うべきではなく、罰を使った方法は不安に関わる行動と関連が見られ、効果の面でも劣るとしています。外したときは無言で片づけ、成功したときにだけ大きく反応する。順番を入れ替えるだけです。
なお、目の前ではなく、ソファの裏やカーテンの陰など見えないところでするようになった場合は、叱られた経験が原因のことが多く、直し方が違います。隠れてトイレをする理由と対策に分けて書いています。
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覚えたのに外すようになったら、先に確かめる3つ
「以前はできていた」が出発点なら、しつけのやり直しは最後です。先に次の3つを見てください。
| 確かめること | そう思う手がかり | まずやること |
|---|---|---|
| 体 | 回数が急に増えた/少量ずつ何度も行く/血が混じる/痛そうにする/水をよく飲む | しつけより先に動物病院へ。出ていないなら急いで |
| 置き場所・暮らし | 引っ越し、模様替え、家族の増減、トレーの買い替え、留守番時間の変化のあとから | 変えたものを一度戻す。戻せないなら、トイレの位置だけ元の条件に近づける |
| 年齢 | 8〜10歳以降で、動きが遅い・寝起きに間に合わない・トイレの前で迷う | 寝床の近くにトイレを足す。この記事の後半へ |
1つめが当てはまるなら、その先は読まずに受診を優先してください。アニコム損害保険の解説では、膀胱炎の症状として「血尿が見られたり、頻尿(少量しか尿がでないが、トイレに頻繁に行く症状)」が、尿石症では「頻尿、血尿、排尿時の痛みなどの膀胱炎のような症状」が挙げられています。少量ずつ何度も行くようになると、飼い主さまからは「外す回数が増えた」と見えます。おしっこがポタポタとしか出ない、まったく出ないときは急いで動物病院へ(詳しくはおしっこだけ失敗するときの記事の冒頭に書いています)。
トイレからはみ出す・外す原因と対策
「トイレを外す」には2つの意味があります。トイレ以外の場所ですることと、トイレには乗っているのに端からはみ出ることです。後者は、しつけではなく置き方と道具でほとんど直ります。よくある4つを順に見ます。

1. トレーのサイズが体に合っていない
いちばん多いのがこれです。子犬のころのトレーをそのまま使っていると、体が伸びたぶん、前足はシートに乗っているのにお尻が外に出ます。犬は排泄の前にくるくる回って位置を決めるので、回れる余裕が無いと端に寄ります。
目安はシートの上で、余裕をもって一周できる広さです。小型犬でも、体格によってはワイド以上が要ります。「小型犬だからレギュラー」で決めないでください。成長に合わせて1回は見直すものです。
2. トイレの置き場所や周りが変わった
犬は「場所」でトイレを覚えます。位置を動かす、近くに人の出入りが増える、テレビの音が大きくなる。それだけで落ち着けなくなり、我慢したり、慌てて外したりします。トイレまでの距離が伸びたり、段差が増えたりしても、間に合わなくなります。
位置はできるだけ固定し、静かで奥まった側に置いてください。動かした直後は外しやすいので、移すときはトイレの向きや周りの配置をそのままにして、ケージやサークルごと動かすと覚え直しが少なくて済みます。
3. 足を上げてするようになった(オス)
成長したオスに多いのが、足を上げて排尿するようになり、シートの外や壁にかかる形です。子犬のころは問題なく使えていたトイレでも、姿勢が変わるとはみ出します。これは成長の一部で、しつけの失敗ではありません。
対策は道具です。L字型や三方を囲ったトイレに替える、壁側にシートを立てる。どちら向きに上げる子かを見て、そちら側を覆ってください。壁や家具にかける形が続くなら、マーキングとの区別もつけておくと直し方が変わります。
4. 体に問題が出ている
上の表のとおりです。急に増えた、少量ずつ何度も行く、血が混じる、痛そうにする。ひとつでも当てはまれば、置き方を直す前に受診してください。アニコム損害保険の尿石症の解説には、予防として「膀胱内に尿を長時間とどめないために、トイレを我慢させすぎないようにしましょう」とあります。外すから、と叱って我慢させる方向は、体にも逆効果です。
なお、おしっこだけ外す、うんちだけ外すというように片方だけの場合は、トイレが「片方をする場所」として覚えられていることが多いです。おしっこだけ失敗する場合の記事に、その形の直し方を書いています。
老犬が外すようになる原因と対策
環境省のペットフードのガイドラインでは、年をとった時期(中高齢期)はおおよそ8〜10歳以降です(年のとり方には一頭ずつ差があります)。この年齢を過ぎてから外すようになった場合、原因はだいたい次の4つに収まります。どれも叱って直るものではなく、環境を整えるものです。

体力が落ちて、間に合わない
筋力が落ちると、トイレまで歩くだけで時間がかかります。寝起きや寒い時期は体がこわばり、動き出しが遅れます。寝床のすぐ近くにトイレを足し、家の中に2〜3か所置くのがいちばん効きます。夜間や留守番のあいだは、マナーパンツ(おむつ)を使うと、失敗で叱ることも、片づけで消耗することも減ります。
トイレの場所を忘れる
アニコム損害保険の認知症の解説では、11歳以上の犬では約3割、15歳以上では6割以上で何らかの症状がみられるという報告が紹介されています。症状には、夜鳴き、昼夜逆転、同じところをぐるぐる歩く徘徊、失禁、呼びかけに反応しない、などがあります。トイレの場所そのものが分からなくなり、その場でしてしまう形です。
この場合はトイレの数を増やし、生活の動線上、目に入る場所に置きます。位置を変えず、排泄しそうな様子が見えたら静かに誘導します。同じ解説には、行動の変化が別の病気から来ていることもあるため検査が大事、ともあります。「歳だから」で済ませず、一度診てもらってください。
排泄の姿勢が保てない
後ろ足の筋力低下や関節の痛みがあると、しゃがむ姿勢が安定せず、体勢を崩してトイレの外にしてしまいます。お腹の下にタオルや介助用のベルトを通して軽く支えると、姿勢が保てます。持ち上げるのではなく、補助する程度です。床が滑ると転ぶので、トイレの周りに滑り止めマットを敷き、段差の無いトレーにしてください。
排泄そのものを調節できなくなる
膀胱や腸の働きが落ちると、タイミングを自分で調節できず、間に合わなかったり、気づかないうちに漏れたりします。進むと介助が要るようになります。おむつとシートをこまめに替えて清潔を保ち、同じ姿勢が続かないように体の向きを変えてあげてください。排尿がうまくいかない場合は、獣医師に相談を。
トイレトレーニングをやり直す方法
体・環境・年齢を確かめても外し続けるなら、やり直しです。子犬のときと同じ手順ですが、成犬は一度ついた癖があるぶん時間がかかります。順番に。

1. 出る時間を記録する
起きた直後、ごはんのあと、水を飲んだあと、遊んだあと。何時に出たかを3日ほどメモすると、その子のリズムが見えます。感覚ではなく記録で動くほうが、誘導のタイミングを外しません。
2. 出そうなときにトイレへ誘導する
そわそわして床のにおいを嗅ぎ始めたら、おやつやおもちゃで自分の足で歩いてトイレに入ってもらいます。抱いて運ぶより場所と結びつきます。入ったら毎回同じ言葉をかけると、その言葉が合図になります。
3. 成功したその場で褒める、失敗は無言で片づける
おやつは先に手に持っておき、済んだ瞬間に渡します。数秒ずれると何を褒められたのか伝わりません。外したときは声を出さず、目も合わせず、淡々と拭く。ここで大きく反応すると、最初の章で書いたとおり「外すと構ってもらえる」を教えることになります。においが残ると同じ場所でくり返すので、ペット用の消臭剤で拭き取ってください。褒め方は犬の褒め方の記事にまとめています。
4. 落ち着いてできる場所にする
人が行き来する場所や大きな音のそばでは集中できません。静かで奥まった側に置き、汚れたシートは早めに替えます。一度使ったシートの上ではしたがらない子もいるので、留守番が長い日はシートを広くするか枚数を増やしてください。
5. 週の単位で見る
成犬のやり直しは、日の単位では変わりません。「今週は何回成功したか」で見てください。失敗が続くと叱りたくなりますが、叱ると我慢する方向に行き、体にもよくありません。うまくいかない週が続いたら、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスでは、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。トレーナーダイヤルから「まずは相談だけ」でも大丈夫です。
よくある質問
犬はわざと(当てつけで)トイレを外すことがありますか?
ありません。叱ったあとにしょんぼりした顔をするので「分かっていてやった」と見えますが、2009年の実験(犬14頭)では、その顔が出るかどうかは実際に悪いことをしたかどうかとは関係がなく、飼い主が叱ったかどうかで決まりました。言いつけを守っていた犬のほうが強く出たという結果です。目の前で外すのは当てつけではなく、外したときの大きな反応が犬にとって「良いこと」になっている場合がほとんどです。
トイレを覚えたのに、急に外すようになりました。なぜですか?
「以前はできていた」が出発点なら、しつけのやり直しは最後です。先に、体(回数が急に増えた・少量ずつ何度も行く・血が混じる・痛そう)、置き場所や暮らしの変化(引っ越し・模様替え・家族の増減・トレーの買い替え)、年齢(8〜10歳以降)の3つを確かめてください。体に当てはまるものがあれば、置き方を直す前に動物病院へ。おしっこが出ていないときは急いで受診してください。
トイレには乗っているのに、おしっこがはみ出します。
いちばん多いのは、トレーが体の大きさに合っていないことです。目安はシートの上で余裕をもって一周できる広さで、小型犬でも体格によってはワイド以上が要ります。成長したオスが足を上げてするようになった場合は、L字型や三方を囲ったトイレに替え、上げる側の壁にシートを立ててください。どちらも、しつけではなく道具で直ります。
トイレを外したとき、叱ったほうがいいですか?
叱らないでください。米国獣医行動学会は2021年の見解で、力や不快に頼る方法はしつけにも問題行動の治療にも使うべきではなく、罰を使った方法は不安に関わる行動と関連が見られ、効果の面でも劣るとしています。叱ると我慢する方向に行き、体にもよくありません。外したときは声を出さず目も合わせずに片づけ、成功したときにだけ大きく反応してください。
老犬がトイレを外すようになりました。どうすればいいですか?
叱って直るものではなく、環境を整えるものです。寝床のすぐ近くにトイレを足し、家の中に2〜3か所置いてください。認知症の解説では、11歳以上の犬では約3割、15歳以上では6割以上で何らかの症状がみられるという報告があり、トイレの場所が分からなくなることもあります。行動の変化が別の病気から来ていることもあるので、一度動物病院で診てもらってください。夜間や留守番のあいだはマナーパンツを使うと、失敗で消耗することが減ります。
トイレトレーニングをやり直すのに、どのくらいかかりますか?
成犬は一度ついた癖があるぶん、子犬より時間がかかります。日の単位では変わらないので、「今週は何回成功したか」で見てください。出る時間を3日ほど記録し、出そうなときに自分の足でトイレへ入ってもらい、成功したその場でおやつを渡す、を毎日くり返します。うまくいかない週が続いたら、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。
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まとめ
犬は当てつけでトイレを外しません。叱ったあとのしょんぼりした顔は、悪いことをした自覚ではなく、叱る態度への反応だと実験で示されています。覚えたのに外すようになったら、先に体・置き場所や暮らしの変化・年齢の3つを確かめ、体に当てはまるものがあれば置き方を直す前に受診してください。はみ出すならトレーの大きさと形を見直します。外したときは無言で片づけ、成功したその場で褒める。この順番を守るだけで、「見ている前で外す」は減っていきます。老犬は叱らず、寝床の近くにトイレを足して環境で支えてください。
トイレトレーニングは「環境」で決まることも!
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