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犬の室内マーキングをやめさせる方法|叱らずに止める6つの順番
公開日:2024年12月21日(土) 更新日:2026年10月6日(火) 犬の育て方
この記事の要点
室内マーキングをやめさせる順番は、体を先に見る、1週間記録する、酵素系でにおいを消す、行けない・届かないにする、きっかけを断つ、トイレでできたら褒める、です。叱ると隠れてするようになるだけで減りません。去勢は最後に獣医師と相談する選択肢です。
家具の脚、カーテンの裾、玄関に置いたカバン。家の中で少量のおしっこをかけて回る「室内マーキング」は、一度始まると、片づけても片づけても同じ場所で続くのが困りものです。「室内でのマーキングをやめさせたい」で調べてここへ来られた方へ、先に結論を書きます。
やめさせる手順は決まっています。体を先に見る、記録する、においを消す、行けない・届かないにする、きっかけを断つ、トイレでできたら褒める。この順番で、叱らずに進めます。去勢は最後に獣医師と相談する選択肢で、最初にやることではありません。
マーキングとトイレの失敗の見分け方や、そもそもなぜするのかはマーキングの意味と原因の記事に、まだ始まっていない子犬の育て方はマーキングをさせない育て方の記事に分けています。ここは「もう始まっている室内マーキングを止める」に絞ります。
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子犬を見るやめさせる前に、体を先に見ます
「マーキングが増えた」と思っていたものが、体の病気だったということがあります。獣医行動学の専門医が書いたVCA動物病院の解説でも、室内で排尿するようになったらまず獣医師に病気がないか診てもらうことが最初に書かれています。
とくに紛らわしいのが膀胱炎です。ペット保険会社のアニコム損害保険は、膀胱炎の症状として「血尿が見られたり、頻尿(少量しか尿がでないが、トイレに頻繁に行く症状)などがみられます」としています。少量を、何か所にも、という形は、マーキングとそっくりです。
しつけの前に動物病院へ
- それまでしなかった子が、急に何か所にもするようになった
- 色が赤い、濁っている、においが強くなった
- 水を飲む量が増えた。元気や食欲が落ちた
- 出そうとしているのに出ない、ポタポタとしか出ない、姿勢をとって鳴く……急ぎます
最後の1つは待てません。尿道閉塞は、おしっこが十分に出せなくなると、急性腎障害を引き起こし、命にかかわることもあります。オスに起こりやすい病気です。マーキングだと思って様子を見ないでください。出ていないときの目安はおしっこだけ失敗するときの記事の冒頭に書いています。
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どこで・いつ・何に、を1週間記録します
体に問題が無ければ、次は記録です。片づける前に、スマホのメモでかまいません。場所・時刻・その直前に何があったかの3つを書いておきます。
| 記録すること | 見えてくること |
|---|---|
| 場所(家具の脚、カーテン、玄関、新しく置いた物) | 「行けない・届かない」にする場所が決まる。たいてい2〜3か所に集中しています |
| 時刻(帰宅直後、来客中、散歩の前後、留守番中) | きっかけが決まる。留守番中だけなら不安の側、来客のあとだけならにおいの側 |
| 直前の出来事(荷物が届いた、人が来た、他の犬のにおいがついた) | 断てるきっかけと、断てないきっかけが分かれる |
引き金として考えられるのは室内の縦の物(植物、家具の角)、新しい犬や新しい人、生活の変化や不安です。記録が1週間分たまると、うちの子がどれに当たるかが見えてきます。「全部の場所で、いつでも」という子は、まずいません。
「あちこちでする」と感じていても、記録すると「玄関のカバンと、リビングの観葉植物の2か所」だったりします。2か所なら、対策は2か所ぶんで済みます。
においを消す|ここが8割です
マーキングは「においを残す」行動なので、前のにおいが残っている場所には、必ず戻ってきます。人が気づかないくらいに薄くなっていても、犬には分かります。ここを飛ばして叱っても、配置を変えても、続きます。
使うのはペット用の、酵素で分解するタイプの消臭剤です。アメリカの犬の団体アメリカンケネルクラブ(AKC)も、酵素系のクリーナーは「においを隠すのではなく、においの元になる成分を分解する」もので、犬のおしっこの跡にすすめています。芳香剤や、香りでかぶせるタイプでは、人には消えても犬には消えません。
掃除の順番
- 1. 水分を取る……こすらず、乾いた布やペーパーで押さえて吸い取る。こすると広がります
- 2. 酵素系の消臭剤をたっぷりかける……表面だけでなく、しみ込んだ深さまで届く量。説明書きの時間だけ置く
- 3. 押さえて乾かす……乾ききるまで、犬をその場所に近づけない
- 4. 古い跡も探す……乾いた古い跡は、紫外線のライト(尿の跡を見つける道具)で見つかります。1か所だけ消しても、隣に古い跡が残っていれば戻ります
カーテンやラグ、クッションなど洗えるものは、洗ったあとにも消臭剤を使ってください。壁の下のほうにかけている場合は、壁紙にしみ込んでいることが多く、拭いても残ります。そこは次の章の「届かない」で対処します。
行けない・届かないにする
においを消したら、その場所に行けないようにするか、そこにあった物を届かないところへ移します。決まった場所にするなら、直るまでその場所へ目の届かないときに行かせないようにします。
| やること | 具体的には |
|---|---|
| 動ける範囲を一段戻す | 目が届かない時間(留守番・夜)は、サークルかトイレのある一部屋に。子犬のときにやった「失敗の出ない範囲」まで戻します |
| 物を移す | 観葉植物は台の上か別の部屋へ。玄関のカバンや靴は床に置かない。届いた荷物は犬の入らない部屋へ |
| 見えなくする | 窓の外の犬や人に反応してかけるなら、その窓の下半分を目隠しする |
マナーベルトは応急処置。教える道具ではありません
オス用の腹巻き型のおむつ(マナーベルト、ベリーバンド)で家具を守る方法があります。使ってかまいませんが、役割を間違えないでください。同じ解説には、「家財を守るだけで、マーキングをしないことを犬に教える道具ではない」「安全のため短時間だけ」と書かれています。
気をつけることは2つです。ひとつは、犬はベルトをしたままでも排尿するので、濡れたベルトを外さないと深刻な皮膚の感染が起こり得ることです。頻繁に濡れていないか確かめてください。市販の犬用吸収ウェアの説明にも、汚れたら早めに交換とあります。もうひとつは、ベルトをしている間は「していても分からない」ので、上の記録が止まってしまうことです。来客中や、どうしても目を離す数時間だけ。付けっぱなしは、皮膚にも、直す進み方にもよくありません。使い方はマナーパンツの記事に書いています。
きっかけを断つ

記録で見えたきっかけごとに、やることが違います。
| きっかけ | やること |
|---|---|
| 来客のあとにする | 来客中はリードをつけて足元か、サークルに。来客の持ち物は床に置かない。帰ったら、その人が座っていた場所の床を先に拭く |
| 新しい物が来るとする | 荷物・家具・買ってきた物は、犬の入らない部屋で開ける。数日置いて家のにおいがついてから出す |
| 散歩から帰るとする | 玄関を入ってすぐにすることが多い子。帰宅したらまっすぐトイレへ誘導し、できたら褒める。それから靴やリードを片づける |
| 新しい犬・猫が来てからする | 先住犬の寝床・トイレ・ごはんの場所を先に守る。新しい子の範囲を分ける。先住犬と新しい子の記事へ |
| 留守番中だけする | 不安の側。動ける範囲を戻し、留守番前に散歩と遊びで発散させる。留守番の記事へ |
「きっかけを断つ」は、我慢させることではありません。きっかけそのものを犬の前から外すことです。来客のたびに叱るより、来客の間だけリードをつけるほうが、犬にも人にも早いです。
トイレでできたら褒める。叱らない
ここまでは「させない」でした。最後に「する場所を強くする」です。マーキングをやめさせる、ではなく、トイレでする回数を増やすと考えてください。
- 出そうなタイミングでトイレへ……帰宅直後、来客の前、新しい物を出す前、散歩から戻った直後。マーキングしそうな場面の「前」に連れて行きます
- できた瞬間におやつ……おやつは先に手に持っておき、済んだ瞬間に渡す。数秒ずれると伝わりません
- している最中を見たら、名前を呼んで動かす……声は普通の大きさで。トイレへ連れて行き、そこで出せたら褒める。途中で止められなくても、次に活かせます
- 見つけたときは無言で片づける……何分か前のことは、犬には結びつきません。上の掃除の順番で消して終わりです
叱らない理由は、気持ちの問題ではありません。同じ解説の中に、「叱ったり驚かせたりしない。罰は恐怖を引き起こし、マーキングをかえって悪化させ得る」という言葉があります。アメリカの獣医の行動学の学会(AVSAB)も2021年の見解で、力や不快に頼る方法はしつけにも問題行動の対応にも使うべきではなく、不安に関わる行動と関連が見られるとしています。鼻を跡に押しつける、大きな声で怒鳴る、これで起きるのは「人がいるときはしない=隠れてする」です。見つけにくくなるだけで、減りません。叱り方そのものは叱り方の記事に分けています。
去勢は最後の選択肢。獣医師と決めます
「去勢すれば止まる」と言われることが多いので、ここでも数字で書きます。2歳を過ぎてから去勢したオス57頭を追った調査(1997年、米国獣医師会誌)では、家の中のマーキングが半分以上減ったのは犬の6割以上、9割以上減ったのは25〜40%でした。減る子が多い一方で、残りの子はそこまで減っていません。去勢の行動面への影響をまとめた2025年のレビューも、減ることは一貫して示されている一方で「完全に消えるわけではなかった」とし、マーキングはホルモンだけでなく、過去の経験と学習にも左右されるとしています。
つまり、すでに室内で癖になっている子ほど、去勢だけでは戻りません。習慣化してしまうと、手術をしても収まらない可能性があります。上の手順を先にやって、それでも残る分に対して、健康面も含めて獣医師と相談する。それが順番です。数字の詳しい読み方はマーキングの意味と原因の記事の去勢の章に書いています。
何週間で止まりますか
「何日で直る」という決まりはありません。見る指標は、週にした回数です。記録を続けていれば、先週7回が今週4回、と数で分かります。減っていれば、やり方は合っています。同じ場所で続くなら、においが残っているか、その場所に行けてしまっているかのどちらかです。増えたなら、新しいきっかけが入っています。記録に戻ってください。
週の単位で減っていかないときは、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスでは、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「どこで・いつ・何に」の記録があると、相談がその場で具体的になります。
よくある質問
叱ってもやめません。どうすればいいですか?
叱るのをやめて、順番を変えてください。叱ったり驚かせたりしないこと、罰は恐怖を引き起こしてマーキングをかえって悪化させ得ることは、はっきり分かっています。叱られた犬が学ぶのは「人が見ているときはしない」で、隠れてするようになるだけです。やることは、体に病気がないか診てもらう、した場所のにおいを酵素系の消臭剤で消す、その場所に行けないようにする、トイレでできた瞬間におやつ、の4つです。
家の中のマーキングのにおいを消す方法は?
ペット用の酵素で分解するタイプの消臭剤を使います。酵素系のクリーナーは、においを隠すのではなく、においの元になる成分を分解します。手順は、こすらずに乾いた布で水分を押さえて吸い取る、酵素系の消臭剤をしみ込んだ深さまで届く量でかけて説明書きの時間だけ置く、押さえて乾かす、の3つです。芳香剤で香りをかぶせても、人には消えて犬には消えません。乾いた古い跡は紫外線のライトで見つかるので、隣に古い跡が残っていないかも確かめてください。
マーキング防止スプレーは効きますか?
忌避スプレーの効果については、こちらで根拠を確かめられていません。順番として先にやることは、前のにおいを酵素系の消臭剤で消すことと、その場所に行けないようにすることです。前のにおいが残っている場所には犬は必ず戻るので、スプレーを足しても、においを消していなければ続きます。
マナーベルトをつけていれば直りますか?
直りません。家具を守る応急処置です。ベリーバンド(マナーベルト)は、家財を守るだけでマーキングをしないことを犬に教える道具ではありません。安全のため短時間だけ使い、犬はつけたままでも排尿するので、濡れたベルトを外さないと深刻な皮膚の感染が起こり得ます。来客中や目を離す数時間だけにして、外している時間に記録と環境づくりを進めてください。
急に室内でマーキングをするようになりました。原因は?
それまでしなかった子が急に始めたなら、しつけの前に動物病院です。膀胱炎は少量しか出ないのにトイレに頻繁に行く形で出るので、マーキングとそっくりです。出そうとしているのに出ない、ポタポタとしか出ないときは尿道閉塞の可能性があり、命にかかわることがあるので急いでください。体に問題が無ければ、その前後で何が変わったか(来客、新しい物、新しい犬や猫、引っ越し、留守番の時間)を記録から探します。
去勢すれば室内のマーキングはなくなりますか?
減る子は多いですが、消えるとは言えません。2歳を過ぎてから去勢したオス57頭を追った1997年の調査では、家の中のマーキングが半分以上減ったのは犬の6割以上、9割以上減ったのは25〜40%でした。2025年のレビューも、減ることは一貫して示されている一方で「完全に消えるわけではなかった」とし、マーキングはホルモンだけでなく過去の経験と学習にも左右されるとしています。すでに室内で癖になっている子ほど、去勢だけでは戻りません。上の手順を先にやって、残る分について獣医師と相談してください。
メス犬でも室内でマーキングをしますか?
します。オスに多い行動ですが、メスに無いわけではありません。やることは同じで、体を先に見る、記録する、においを消す、行けない・届かないにする、トイレでできたら褒める、の順番です。メスの場合、避妊手術のメリットとして挙げられているのは発情が無くなることや病気の予防で、マーキングの改善は主な項目に入っていません。環境と学習の側から見てください。
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まとめ
室内マーキングをやめさせるには、順番があります。急に始まった、少量を何度も、色やにおいが変わった、なら先に動物病院。出ないときは急ぎます。次に、どこで・いつ・何に、を1週間記録すると、きっかけは2〜3か所に絞れます。した場所は酵素系の消臭剤でにおいの元から消し、古い跡も探して消します。その場所に行けない・届かないようにし、マナーベルトは応急処置と割り切ります。来客・新しい物・散歩帰り・新入り・留守番と、きっかけごとに断ち、しそうな場面の前にトイレへ連れて行って、できた瞬間におやつ。叱ると隠れてするようになるだけです。去勢は減る子が多いものの消えるとは言えず、最後に獣医師と決めます。週の回数が減っていれば、やり方は合っています。



























