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犬が伏せる意味と「伏せ」の教え方|祈りのポーズ・できない原因
公開日:2026年8月7日(金) 更新日:2026年10月21日(水) 犬の育て方
この記事の要点
- 犬が自分から伏せるのは、休んでいる・遊びに誘っている・こわがっている・お腹が痛い、のどれかで、前足とお尻としっぽの位置で見分けます。
- 前足を伸ばして腰を上げたままじっと動かない「祈りのポーズ」は腹痛のサインのことがあり、その日のうちに受診です。
- 合図の「伏せ」は休ませるための姿勢で、服従の姿勢ではありません。
- 教え方は、おやつを鼻先から前足の間へ下ろして床に沿って前へ引く「L字」の誘導が基本で、ご褒美は伏せたままの姿勢で渡し、押さえつけて伏せさせることはしません。
- できないときは、伏せたがらない子ほど膝と腰を先に疑います。
「伏せの教え方が分からない」「うちの子が急に床に伏せるようになった。どういう意味?」「伏せをさせようとすると、お尻だけ浮いてしまう」。「伏せ」についてのご相談には、2つの違う中身が混ざっています。合図としての「伏せ」の教え方と、犬が自分から伏せる行動の意味です。この記事では、その両方に答えます。
先に結論を書きます。犬が自分から伏せるのは、休んでいる・遊びに誘っている・こわがっている・お腹が痛い、のどれかで、姿勢と前後の様子で見分けられます。とくに「前足を伸ばして腰だけ上げたまま、じっと動かない」姿勢は、腹痛のサインのことがあるので、遊びのお辞儀と分けて見てください。合図としての「伏せ」は、犬を落ち着かせて休ませるための姿勢で、服従の姿勢ではありません。教え方は、おやつを鼻先から前足の間へ下ろし、床に沿って前へ引く「L字」の誘導が基本で、押さえつけて伏せさせることは絶対にしません。この記事では、自分から伏せる意味の見分け方、合図の伏せを教える意味、教える前に決めること、教え方の3通り、できないときの原因別の直し方、暮らしでの使い方を、順に書きます。
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子犬を見る犬が自分から伏せる意味|休む・遊びに誘う・こわい・お腹が痛い、で見分けます
「犬 伏せ 意味」「犬が床に伏せる」で調べて来られる方が、この記事にはいちばん多くいらっしゃいます。合図で教えた伏せではなく、犬が自分からする「伏せ」のことです。犬にとって伏せは、立つ・座るより体が安定する休みの姿勢なので、たいていは「くつろいでいる」です。ただし、同じように見える姿勢の中に、まったく意味の違うものが混ざっています。見るのは、前足・お尻・しっぽの位置と、その前後に何があったかです。この表は、犬の団体の解説と、アニコム損害保険の獣医師監修の解説をもとにまとめました。
| 姿勢と様子 | 意味 | やること |
|---|---|---|
| 前足も胸もお腹も床につけて、頭を上げたり前足に乗せたりしている。呼びかけると顔を上げる | 休んでいる。落ち着いている | 何もしない。そっとしておく。休める場所として覚えている場所なら、そこを犬の居場所にする |
| 夏に、フローリングや玄関のタイルにお腹をぴったりつけて伏せる。場所を選んでいる | 体温を逃がしている。犬は人のように全身から汗をかけない | 部屋の温度を見る。激しいパンティング・多量のよだれ・ふらつきがあれば熱中症の初期のサインで、冷やして動物病院へ |
| 胸を床につけてお尻を高く上げ、しっぽを振って、こちらや他の犬を見ながら体が弾む | 遊びの誘い(プレイバウ)。犬が他の犬や人と遊びを始めるときの姿勢 | 遊びに応じてよい。おもちゃで遊ぶ。子どもに向けているときは大人が間に入る |
| 体を低くして縮こまる。しっぽを巻き込む。目をそらす、白目が見える。来客・掃除機・雷のあとに多い | こわさ・ストレス。体を低くして小さく見せるのは「害はありません」の合図 | こわがっているものから距離を取る。呼び寄せない、抱き上げない。慣らし方は社会化不足の記事へ |
| 前足を前に伸ばし、上半身だけ伏せて、腰を上げたままじっと動かない。しっぽは振らない。抱くと鳴く、吐く、食べない | 「祈りのポーズ」。強い腹痛のサインのことがある | すぐ動物病院へ。様子を見ない(次の段落) |
| 伏せたまま体が硬く、あくび・鼻を舐める・身震いが混じる。家具の奥や人目につかない場所で伏せる | ストレス。体の硬直・あくび・鼻や口を舐める・人目につきづらい場所で過ごす、はストレスサイン | その週に変わったこと(来客・引っ越し・留守番の時間)を先に見る。続くなら受診 |
この表でいちばん急ぐのが「祈りのポーズ」です。膵炎(すいえん)の症状には、連続する嘔吐、強い食欲不振、腹痛があり、腹痛のときには「祈りのポーズ」と呼ばれる特徴的な姿勢を見せることがあり、上半身を伏せて腕を伸ばしながら腰を上げる姿勢でじっとしているときは、強い腹痛があるかもしれません。膵炎を起こしている場合は1日様子を見ているうちに状態が悪化し、長期の入院が必要になったり命にかかわることもあります。遊びのお辞儀と形は似ていますが、遊びの犬はしっぽを振って体が弾み、すぐ動きます。じっとして動かず、抱くと鳴く、吐いている、食べない、が重なるなら、伏せの話ではなく、その日のうちに動物病院です。
もう一つ、飼い主さまが誤解しやすいのが「仰向け」です。伏せから転がってお腹を見せる姿勢は、リラックスした犬ではお腹をなでてほしい合図であることが多い一方で、かなり強いストレスや不安のサインであることもあります。しっぽを振ってこちらを見上げているなら前者、体が硬く目をそらしているなら後者です。犬の体の合図の読み方は、犬同士の仲が悪いサインの記事の見分け方と同じです。
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合図の「伏せ」を教える意味|休ませるための姿勢で、服従の姿勢ではありません
ここからは、合図で教える「伏せ」の話です。「伏せ 意味」で調べる方の中には、「教える意味はあるのか」を知りたい方もいます。あります。アメリカンケネルクラブ(AKC)は、伏せを「もっとも基本的で役に立つ行動の一つ」としていて、子犬をトラブルから遠ざけ、落ち着かせるのに役立ちます。伏せは、犬が自分で「休む」ときに取る姿勢そのものなので、合図で伏せられる犬は、合図で落ち着ける犬です。
- 長い「待て」の土台……おすわりは体を起こしている姿勢なので、長く待たせると疲れます。来客・診察・カフェで数分以上じっとしていてほしい場面は、伏せで待たせます。待ての教え方は「待て」の教え方の記事へ
- 来客・宅配……玄関から離れたマットで伏せていられると、飛びつきも吠えも起きにくくなります
- 動物病院・カフェ・電車……足元で伏せて休める犬は、どこへでも連れて行けます
- 興奮の切り替え……遊びで興奮が上がってきたときに、いったん伏せさせて数秒待つと、体の姿勢から落ち着きに入れます
- 芸の土台……ゴロン・バーン・クロールは、すべて伏せから始まります。芸の一覧は犬の芸一覧の記事へ
一つ、はっきり書いておきます。伏せは「服従の姿勢」ではありません。「伏せをさせて飼い主が上だと教える」「伏せができるのは主従関係ができた証拠」という説明を見かけますが、米国獣医行動学会(AVSAB)は、行動を専門とする獣医師の標準的な考え方として、支配理論を行動修正の一般的な指針として使うべきではないという見解を示しています。仰向けに押さえつけるような対決型の方法は、犬が脅かされたと感じれば防御的な攻撃を引き出すこともあります。伏せは、犬が「この姿勢を取ると良いことが起きる」と覚えて、自分から取る行動です。上下の話にすると、押さえつける方向に行きます。
「おすわりと伏せ、どちらが先か」と迷ったら、おすわりが先のほうが楽です。おすわりの状態から鼻先のおやつを下ろして伏せに誘導する方法で、おすわりが入っていれば伏せまでの距離が短くて済みます。おすわりがまだの子でも、立った状態から前足の間へおやつを真下に下ろして伏せに誘導することはできますが、動く距離が長いぶん、段階を細かく分けるシェイピング(後の章)のほうが楽なことがあります。おすわりの教え方はお座りの教え方の記事に、しつけ全体の順番はコマンド一覧と教える順番の記事に分けています。
教える前に決めておく4つ|合図・言葉・解除・床
手順に入る前に、ご家族で4つだけ決めておいてください。伏せは「体が床についた瞬間」をほめる練習なので、この4つが決まっていないと、犬にはどの瞬間が正解だったのか伝わりません。
| 決めること | 例 | なぜ |
|---|---|---|
| 「できた」の合図(マーカー) | 「いいこ」「イエス」のような短い言葉か、クリッカー。使う前に、合図→すぐおやつを10〜20回繰り返して結びつける | マーカーはふだんの会話で使わない、はっきり区別できる音なら何でもよく、正しい瞬間を切り取り、鳴らしたら必ずご褒美を渡すのが約束です。伏せは、肘と胸が床についた「その瞬間」を切り取る必要があります |
| 言葉と手の合図 | 言葉は「フセ」「ダウン」など1つ。手の合図は、手のひらを下に向けて床へ下ろす動き | 言葉は後から付けます(次の章)。ご家族で1つに決め、全員が同じ言い方・同じ手の動きで |
| 解除の言葉 | 「よし」「オッケー」「フリー」など1つ | 解除の言葉が無いと、犬は「いつ起きていいか」を自分で決めます。伏せ→待て、と伸ばしていくときに必ず要ります |
| 練習する床 | 滑らないラグかマットの上。冷たく硬いフローリングやタイルの上ではやらない | フローリングは滑るので、滑り止めのマットを使います。滑る床では伏せの途中で足が開き、犬は伏せたがらなくなります。冷たい床も同じです |
もう一つ、練習する時間帯です。エネルギーが有り余っている子犬が進んで伏せることは期待できないので、散歩や遊びのあと、疲れているときに練習します。伏せは休む姿勢なので、休みたい状態の犬のほうが、ずっと早く覚えます。朝いちばんの元気な時間より、散歩から帰って落ち着いたあとの数分です。
伏せの教え方|「L字」の誘導・段階に分ける・自分から伏せた瞬間をとらえる
伏せの教え方は3通りに分けられます。誘導(ルアー)、シェイピング(段階に分ける)、キャプチャ(自分から伏せた瞬間をとらえる)です。この3つを、子に合わせて使い分けます。基本は誘導で、誘導で伏せまで行かない子はシェイピング、練習の時間が取りにくい家庭はキャプチャ、という選び方です。
| 教え方 | やること | 向く子 |
|---|---|---|
| ① 誘導(ルアー) | おすわり→握ったおやつを鼻先に→前足の間へまっすぐ下ろす(頭が下がる)→そのまま床に沿って犬から離す方向へ引く。「L」の字を描く→肘と胸が床についた瞬間に合図、ほめて、そのおやつを渡す | おすわりができる子。ほとんどの子はここから |
| ② シェイピング(段階に分ける) | 「床を見る」→「頭を床まで下げる」→「肘を曲げる」→「伏せる」と、小さな段階に分けて、1段階ずつ合図とおやつ。1つができてから次へ。おやつを消す・言葉を付けるのは最後の形ができてから | 誘導だとお尻が浮く子、頭は下がるが肘が曲がらない子、体が大きめの子。「簡単すぎるくらい」がちょうどいいです |
| ③ キャプチャ(自分から伏せた瞬間) | おやつをポケットに入れておき、犬が自分から伏せた瞬間に合図、伏せたままおやつ。何度か重ねると、犬はおやつ目当てに目の前で伏せるようになる。そうなったら、伏せる直前に言葉と手の合図を付ける | 練習の時間が取れない家庭。おやつを追わない子。誘導に体を押さえられる感じを嫌がる子 |
①の誘導で、おやつをどう動かすかが全部です。下ろすだけだと頭が下がるだけで、お尻が浮きます。前へ引くだけだと立ち上がります。まっすぐ下ろして、それから床に沿って前へ。この「L」の2画目で、犬の肘が曲がります。手を動かす速さは、犬の鼻が付いてこられる速さです。速いと犬は追うのをやめ、遅すぎると途中で座り直します。
誘導で伏せない子には、もう一つの方法があります。床に座って両脚で「橋」を作り、おやつを犬の鼻先から床へ下ろして、脚の下をくぐらせるように引く方法です。犬はおやつを取るために体を低くするしかないので、自然に伏せの形になります。伏せた瞬間に合図とおやつ。小型犬なら床に座った脚の下で十分で、これはうちで紹介しているトイプードル、チワワ、マルチーズ、ポメラニアンのサイズにちょうど合います。
おやつを手から消して、言葉を付けるまで
「おやつなしで伏せができるようにしたい」という検索でここへ来られる方がいます。順番があります。おやつを消す3段階です。
- 誘導したおやつを、そのまま渡す……伏せた瞬間に合図、手の中のおやつを渡す。数回から十数回。「この形になると出てくる」を作ります
- 誘導した手のおやつは渡さず、反対の手から渡す……誘導の手にはおやつを握ったまま動かし、伏せたら反対の手からおやつ。「動いている手からは出てこない」を作ります
- 空の手で誘導して、反対の手から渡す……誘導の手には何も持たず、同じ「L」の動きだけ。伏せたら反対の手から。この空の手の動きが、そのまま手の合図になります
- 手の合図を小さくする……床まで下ろしていた手を、膝の高さ、腰の高さ、と少しずつ上げて小さくします。最後は手のひらを下に向けて少し下ろすだけで通じます
- 言葉を付ける……手の合図だけで確実に伏せるようになったら、「フセ」と言って一呼吸置いてから手の合図。言葉は手の合図の1秒前に言います。言葉のあとに手が来ることを繰り返すうちに、言葉だけで伏せるようになります
2と3でつまずく子は多いです。空の手についてこない子には、誘導する手の指ににおいの強いおやつをこすりつけておく方法があります。手からにおいがするので、犬は持っていると思ってついてきます。1回の練習は2〜3分、うまくいったところで終えます。段階を上げるのは日単位で、1日で全部を駆け上がらないでください。
ここで、いちばん大事なことを1つ。ご褒美は、伏せたままの姿勢で渡します。犬が起き上がってからおやつを渡していると「伏せ」ではなく「起き上がること」をほめていることになり、一瞬伏せてすぐ起きる「腕立て伏せ」のような形になります。おやつは先に手に持っておき、伏せた瞬間に、その姿勢のまま口元へ。起き上がるのは「よし」のあとです。
伏せができないときの直し方|犬の動き方で原因を分けます
「伏せができない」は1つの症状ではありません。犬がどう動くかで原因が分かれ、直し方も違います。当てはまる行を探してください。
| 犬の動き方 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 頭は下がるが、お尻が浮いて立ってしまう | おやつを下ろす前に前へ引いている。または手が速い | まず前足の間へまっすぐ下ろす。頭が下がって肘が曲がりかけてから、床に沿って前へ。それでも浮くなら、脚の下をくぐらせる方法か、シェイピングで「肘を曲げる」までを1段階に |
| 前足だけ伸ばして、腰が上がったまま(お辞儀の形) | 床が滑って後ろ足が引けない。または後ろ足をたたむのを嫌がっている | 滑らないマットの上で。それでも腰が下りないなら、膝を疑う(下の段落) |
| 一瞬伏せて、すぐ起き上がる | 起き上がってからおやつを渡している(「腕立て伏せ」の問題) | おやつは伏せたままの姿勢で口元へ。伏せている間に2つ3つと続けて渡し、「よし」で起こす |
| 伏せるが、すぐ横に転がる・仰向けになる | おやつの手が犬の顔の横に流れている。または「転がると良いことが起きた」記憶 | おやつは犬の正面、前足の間へ。転がった瞬間は渡さず、伏せの形に戻った瞬間に渡す |
| おやつを追わない。手を見ない | おやつの価値が低い。お腹がいっぱい。眠い、または興奮しすぎ | おやつを小さく切った鶏肉やチーズに格上げ。ごはんの前、散歩のあとに練習。追わない子はキャプチャで |
| 家ではできるのに、外や来客中はできない | 場所が変わると犬には別の合図。気を散らすものが多すぎる | 新しい場所では誘導からやり直す。気を散らすものを1つずつ足す。家の中で確実になってから外へ |
| 伏せたがらない。途中で止まる。伏せた直後にすぐ立つ。以前はできていた | 床が冷たい・硬い。または腰や膝の痛み、年齢 | マットの上でやり直す。それでも嫌がるなら、しつけの前に動物病院(次の段落) |
| 生後8か月前後で、急にやらなくなった | 思春期。飼い主にだけ従いにくくなる時期 | 叱らず、誘導の段階に戻して回数を稼ぐ。時期が過ぎれば戻る。犬の反抗期の記事へ |
「伏せたがらない」子で、いちばん見落とされているのが体です。伏せは、肘を曲げて胸を落とし、後ろ足をたたんで腰を落とす姿勢で、関節と背中に曲げる力がかかります。パテラ(ひざのお皿がずれる病気)は特に小型犬では子犬のころから発症する可能性が高く、トイ・プードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリアなどに多い犬種です。飼い主が気づけるサインは、スキップのような歩き方、片足を後ろに伸ばすしぐさ、ジャンプや運動を嫌がる、です。腰のほうは椎間板ヘルニアで、ミニチュア・ダックスフンドやトイ・プードルは椎間板の変性が速く進む犬種に入り、ダックスフンドは若いうちから出ることがあります。
だから、前足だけ伸ばして腰が下りない、伏せの途中で止まる、伏せた直後にすぐ立つ、以前はできていた伏せをしなくなった、という子は、教え方を変える前に、膝と腰を診てもらってください。うちで紹介している犬種は、どれもこの2つの病気にかかりやすい犬種です。痛い姿勢を誘導で繰り返させると、「伏せ=痛い」を教えることになります。膝のサインはおすわりで後ろ足が崩れる記事に、シニア犬の場合の考え方も同じ記事に書いています。
「家ではできるのに外でできない」について、少し補足します。「おすわり」「おいで」を訓練した犬に、合図を出す人が2.5メートルほど離れて半分隠れた状態で合図を出すと成績が下がった研究があるように、犬は合図を言葉だけで聞いておらず、飼い主さまの姿勢・距離・場所をまとめて1つの合図として覚えています。家の中でしゃがんで出した「フセ」と、公園で立ったまま出した「フセ」は、犬には別の合図です。場所が変わったら、誘導からやり直すのが近道です。合図が通らないときの考え方は犬が言うことを聞かない理由の記事にまとめています。
やってはいけないことと、伏せの次に教えること
- 押さえつけて伏せさせる……犬を伏せの姿勢に押し込むと、犬は圧に抵抗してかえって立とうとし、怖がらせて伏せが嫌なものになります。力や不快に頼る方法はしつけに使うべきではなく、罰を使った方法は不安や回避と関連が見られ、覚える力そのものを落とします。首や背中を押す、前足を引いて伏せさせる、はどれも同じです
- できないからと叱る……伏せの場面で叱れば、伏せの合図そのものが嫌なものになります。できないときは、犬ではなく手の動かし方・床・おやつ・体のどれが外れているかを見直します
- 起き上がってからおやつを渡す……「起きること」をほめています。おやつは伏せたまま
- 「フセ、フセ、フセ」と連呼する……言葉は1回。言葉を付けるのは手の合図で確実にできてからで、それまでは黙って誘導します
- 硬く冷たい床・滑る床で練習する……伏せたがらない理由を自分で作っています。マットの上で
- 元気いっぱいの時間に練習する……休む姿勢は、休みたいときに入ります。散歩や遊びのあとに
- 「伏せさせて上下関係を教える」……支配理論は行動修正の指針に使わない、が獣医行動学の標準です。伏せは休むための姿勢です
伏せが入ったら、次に伸ばす方向は2つです。1つは「待て」。伏せたまま数秒→10秒→30秒と延ばし、解除の言葉で起こします。長い待ては、おすわりより伏せのほうが犬に楽です。もう1つは芸で、ゴロン・バーン・クロールはどれも伏せから始まります。どちらも、伏せが「家の中で、手の合図だけで、確実に」できてからです。子犬なら、伏せは「お迎えの週」からでも始められます。誘導の1段階目は、鼻先のおやつを追って頭を下げるだけなので、月齢に関係なくできます。
かかる期間は犬によって違い、「何日で」という目安は置きません。見るのは「今週、どの段階まで、どこで、何がある中でできたか」です。伏せが早い子は「賢い子」ではなく、疲れた時間に、マットの上で、おやつを伏せたまま渡してもらえた子です。うまくいかない週が続いたら、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「どの動きで止まるか」を話していただければ、上の表のどれに当たるかがその場で見えることが多いです。
よくある質問
犬が自分から伏せるのは、どういう意味ですか?
たいていは休んでいます。前足も胸もお腹も床につけて頭を上げているなら、落ち着いている姿勢です。ただし、胸を床につけてお尻を高く上げしっぽを振るのは遊びの誘い(プレイバウ)、体を低くして縮こまりしっぽを巻き込むのはこわさ、夏に冷たい床にお腹をつけるのは体温を逃がしている、伏せたまま体が硬くあくびや鼻を舐めるのが混じるのはストレス、と意味が変わります。前足を伸ばして腰を上げたままじっと動かない「祈りのポーズ」は、強い腹痛のサインのことがあるので、抱くと鳴く・吐く・食べないが重なるならその日のうちに動物病院へ。
犬の「祈りのポーズ」とは何ですか?伏せとは違いますか?
上半身を伏せて前足を伸ばし、腰を上げたままじっとしている姿勢です。膵炎の腹痛のときに見せることがある特徴的な姿勢で、膵炎は1日様子を見ているうちに状態が悪化し、命にかかわることもあります。遊びのお辞儀(プレイバウ)と形は似ていますが、遊びの犬はしっぽを振って体が弾みすぐ動きます。じっと動かず、吐く・食べない・抱くと鳴くが重なるなら、様子を見ずに受診してください。合図の伏せは前足も胸もお腹も床につける姿勢で、腰は上がりません。
犬の伏せの教え方を教えてください。
基本はおやつの誘導です。おすわりの状態で握ったおやつを鼻先に見せ、前足の間へまっすぐ下ろし、そのまま床に沿って前へ引きます。「L」の字を描く動きで、肘と胸が床についた瞬間に「いいこ」と言って、伏せたままの姿勢でおやつを渡します。数回できたら反対の手からおやつを渡し、次に空の手で同じ動きだけをして反対の手から渡す、と段階を上げると、空の手の動きが手の合図になります。言葉の「フセ」は、手の合図だけで確実にできるようになってから、手の合図の1秒前に言います。練習は散歩や遊びのあとの疲れた時間に、滑らないマットの上で、1回2〜3分です。
おすわりと伏せは、どちらを先に教えますか?
おすわりが先のほうが楽です。おすわりの状態から鼻先のおやつを下ろして伏せに誘導する方法で、おすわりが入っていれば伏せまでの距離が短くて済みます。おすわりがまだの子でも、立った状態から前足の間へおやつを真下に下ろして伏せに誘導することはできますが、動く距離が長いぶん、「床を見る」「頭を下げる」「肘を曲げる」と段階を細かく分けて1つずつほめるほうが楽なことがあります。伏せが入ってから「待て」に進むと、長い待てが犬に楽になります。
伏せをさせようとすると、お尻が浮いて立ってしまいます。
おやつを下ろしきる前に前へ引いているか、手の動きが速いのが原因です。まず前足の間へまっすぐ下ろし、頭が下がって肘が曲がりかけてから、床に沿って前へ引いてください。それでも浮く子は、床に座って両脚で低い橋を作り、その下をおやつでくぐらせると、体を低くするしかないので自然に伏せの形になります。前足だけ伸ばして腰が上がったままなら、床が滑って後ろ足が引けていないことが多いので、滑らないマットの上でやり直します。それでも腰が下りない、伏せたがらない、以前はできていた、という子は、膝や腰の痛みのことがあるので、教え方を変える前に動物病院で診てもらってください。
おやつなしで伏せができるようになりますか?
なります。順番があります。①誘導したおやつをそのまま渡す→②誘導の手のおやつは渡さず反対の手から渡す→③空の手で誘導して反対の手から渡す、の3段階で、空の手の動きが手の合図になります。次に手の合図を少しずつ小さくし、最後に言葉を付けます。この順番を飛ばして最初からおやつを見せずにやると、犬には何を求められているか伝わりません。おやつを消したあとも、ときどきは伏せたままの姿勢でおやつや声のほめを渡してください。「たまに良いことが起きる」ほうが、行動は長く残ります。
「伏せ」は英語で何と言いますか?
「ダウン(Down)」です。手の合図で伏せるようになってから「Down」と言葉を付けます。日本語の「フセ」でも英語の「ダウン」でも、犬にとっては同じで、大事なのはご家族で1つに決めて全員が同じ言い方をすることです。「ダウン」を使うなら、ソファから降ろすときの「降りて」に別の言葉を使ってください。同じ言葉を2つの意味で使うと、犬はどちらの動きをすればよいか分からなくなります。
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まとめ
犬が自分から伏せるのは、休んでいる・体温を逃がしている・遊びに誘っている(プレイバウ)・こわがっている・ストレス、のどれかで、前足とお尻としっぽの位置と前後の様子で見分けます。前足を伸ばして腰を上げたままじっと動かない「祈りのポーズ」は腹痛のサインのことがあり、吐く・食べないが重なるならその日のうちに受診です。合図の伏せは、長い待て・来客・診察・カフェで犬を休ませるための姿勢で、服従の姿勢ではありません。教える前に、マーカー・言葉と手の合図・解除の言葉・滑らないマットの4つを決め、散歩や遊びのあとの疲れた時間に練習します。教え方は、おやつを鼻先から前足の間へ下ろし床に沿って前へ引く「L字」の誘導が基本で、段階に分けるシェイピング、自分から伏せた瞬間をとらえるキャプチャも使えます。ご褒美は伏せたままの姿勢で渡し、おやつを消す3段階のあとに言葉を付けます。できないときは犬の動き方で原因を分け、伏せたがらない・途中で止まる子は教え方より先に膝と腰を診てもらいます。押さえつけない、叱らない。
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