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犬の歯磨きをしたことがない|しないとどうなる?今日から始める方法
公開日:2024年9月5日(木) 更新日:2026年10月19日(月) ケア・お手入れ
この記事の要点
犬の歯磨きは、何歳からでも今日から始められます。しないままだと歯垢が2〜3日で歯石になり、3歳以上ではおよそ8割が歯周病です。前歯が白く見えても、歯石が付くのは奥歯で、歯茎の中の炎症は外から分かりません。歯周病がある犬は翌年の心臓病が1.7倍、腎臓病が3.5倍という分析があります。成犬・シニアは先に口の中を診てもらい、歯石があれば病院で取ってから、口を触ることからゼロで慣らします。頻度は毎日が理想で最低3日に1回。道具は歯ブラシが本体、人用の歯磨き粉は使いません。
「お迎えしてから一度も歯磨きをしたことがない」「しないとどうなるのか、正直よく分かっていない」「歯は白いし、口も臭わないから大丈夫だと思っている」。歯磨きについてのご相談は、お迎えして数か月たった頃と、動物病院で「歯石が付いていますね」と言われた直後に集中します。
先に結論を書きます。犬の歯磨きは、何歳からでも今日から始められます。そして、しないままでいると歯周病は必ず進みます。犬は歯垢が数日で歯石に変わり、3歳以上ではおよそ8割が歯周病だと言われている動物です。この記事では、歯磨きをしたことがない犬にいま何が起きているか、「してないのに綺麗」の本当のところ、寿命との関係で言えること・言えないこと、成犬・シニアが今から始める順番、頻度、道具、やり方、子犬はいつから、やってはいけないことを、獣医師の解説にそって順に書きます。歯磨きを嫌がって暴れる子への慣らし方は歯磨きを嫌がる犬の記事に分けています。ここは「したことがない」から始める方のための記事です。
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子犬を見る歯磨きをしたことがない犬に、いま何が起きているか
歯磨きをしていない口の中では、次のことが毎日進んでいます。獣医師が監修した解説では、犬は3歳以上ではおよそ8割が歯周病だといわれ、犬では数日で歯垢から歯石ができるという報告もあります。別の獣医師の解説には、歯垢が取り除かれずに2、3日経過すると唾液中のカルシウムが沈着して石のように固くなり歯石になること、人の口の中が弱酸性なのに対して犬の口の中はアルカリ性なので歯垢が歯石に変わりやすいこと、そして犬は2歳までに80%で歯周病の兆候が見られるというデータがあり、小型犬ではさらに割合が増えると書かれています。
うちで紹介しているトイプードル、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、シーズーは、どれも「小型犬」です。トイ・プードルは、ほかの犬種に比べて歯周病・歯肉炎になりやすい犬種でもあります。「歯磨きをしたことがない」は、この犬種たちでは、ただの手入れ不足ではなく、病気が進んでいる状態そのものです。歯周病は、次の順に進みます。
| 段階 | 口の中で起きていること | 飼い主が気づけるサイン |
|---|---|---|
| 歯垢 | 食べかすと細菌が歯の表面に付く。歯磨きで落ちる | 見た目はほぼ変わらない |
| 歯石 | 2〜3日で歯垢が石灰化して固まる。歯磨きでは落ちない。表面が凸凹になり、新しい歯垢が付きやすくなる | 歯の根元が黄色〜茶色。口臭が出始める |
| 歯肉炎 | 歯垢の細菌で歯茎が炎症を起こす。歯周病の最初の段階 | 歯茎が赤い。おもちゃに血が付く |
| 歯周炎(歯槽膿漏) | 歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)が深くなり、歯を支える力が落ちる。膿が出る | 口臭が強い。よだれ。硬いものを避ける |
| 歯根膿瘍・歯が抜ける | 歯を支える骨が溶け、歯がぐらついて抜ける。上顎の奥歯なら膿が頬から出ることも | 頬の下が腫れる。片側でしか噛まない。食べるとき鳴く |
| 下顎の骨折 | 骨がもろくなり、小型犬では歯周病が原因で下顎が折れることがある | 口が開きにくい。顎が左右非対称 |
この表で見ておいてほしいのは、歯石になった時点で、家の歯磨きでは取れなくなることです。歯磨きは「歯石を落とすため」ではなく、「歯垢のうちに落として、歯石にしないため」にやります。だから毎日の話になります(頻度は後の章で書きます)。
「歯磨きしてないのに綺麗」は本当か
「歯磨きをしていないのに歯が綺麗」で調べて来られる方が、この記事には少なくありません。正直に書くと、前歯が白く見えることと、口の中が健康であることは別です。理由は3つあります。
- 歯石が付きやすいのは奥歯です。物を切り裂く犬歯と、かみ砕くときに使う奥歯(上は前臼歯、下は後臼歯)に、歯石が付きやすいです。飼い主さまがふだん目にするのは前歯で、奥歯は唇をめくらないと見えません
- 見た目と歯周ポケットは一致しません。同じ解説には、歯石は少量でも重度の歯周病になっていることがあり、口の状態は見かけだけでは判断できない、とあります。歯茎の中で進んでいる炎症は、外からは分かりません
- 若いうちは進行が見えにくいだけです。1歳でも発症するとされ、年齢が上がるほど歯周病の割合は増えます。「今は綺麗」は「まだ歯石になっていない」であって、「歯磨きが要らない」ではありません
「綺麗」に見える子でも、奥歯をめくって見ると上顎の一番大きい歯の根元に薄い黄色の線が付き始めていることがあります。確かめ方は簡単で、上唇の端を指でそっと持ち上げて、上の奥歯の根元と歯茎の境目を見るだけです。白ければ、今日から歯磨きを始めれば歯石にしないで済みます。黄色〜茶色なら、次の章の「今から始める順番」に進んでください。
新しく載った子犬
歯磨きをしないと寿命は縮む?|言えること・言えないこと
「犬 歯磨き しない 寿命」で調べる方もいます。ここは、言えることと言えないことを分けて書きます。「歯磨きをしないと寿命が何年縮む」と、年数で言うことはできません。でも、体の病気とのつながりは、はっきり分かっています。
言えるのは、次のことです。ペット保険会社のアニコム損害保険が0〜18歳の犬116,786頭を分析したところ、歯周病などお口のトラブルを持っている犬は、健康な犬に比べて翌年に何らかの病気にかかる率が1.4倍、心臓病は1.7倍、腎臓病は3.5倍でした。保険契約者のデータなので日本の犬全体とは母集団が違いますが、規模としては十分に大きい数字です。歯の根には血管があるため、歯周病の細菌が血液にのって体のあちこちに感染を起こし、心臓の内側の炎症(感染性心内膜炎)・肝炎・腎炎・骨関節炎などが起こり、重いときは命を落とすこともあります。
つまり、歯磨きは「歯のため」だけではなく、心臓と腎臓のためでもあります。マルプーの寿命の記事でも、長生きのためにできることの2番目に歯磨きを置いたのは、この数字が理由です。もう一つ、口臭は歯周病だけでなく腎臓や肝臓の病気、口の中の腫瘍でも強くなるので、「口が臭い」を年のせいにせず、一度は診てもらってください。
何歳からでも始められます|成犬・シニアが今から始める順番
「したことがない」成犬やシニア犬でも、歯磨きは始められます。成犬になってからでも歯ブラシはできますが、若いときほど慣れるのが早いです。ただし、子犬と違って順番が1つ増えます。先に口の中を診てもらうことです。
理由ははっきりしています。歯ブラシを嫌がるのは、歯肉炎や歯周炎でブラシが当たると痛みや違和感があるからかもしれません。成犬の場合は、歯ブラシの練習を始める前に、動物病院で口の中をチェックしてもらってください。痛い口を磨けば、犬は「歯磨き=痛い」と覚えます。歯石が付いているなら、家で取ろうとしないでください。自宅で無理に歯石取りを行うと、犬が嫌な思いをしてその後口を触らせなくなる可能性があるので、自宅での歯石取りはやめましょう、というのが獣医師の言葉です。
| 口の状態 | 今からやること | 歯磨きを始めるタイミング |
|---|---|---|
| 奥歯の根元まで白い。歯茎はピンク。口臭は無い | そのまま今日から慣らしを始める(後の章の手順1から) | 今日から |
| 奥歯の根元に黄色〜茶色の付着。口臭がある | 動物病院で口の中を評価してもらう。歯石が付いているなら歯石除去の相談 | 処置が終わって歯茎の炎症が落ち着いてから、ゼロから慣らす |
| 歯茎が赤い・血が付く・よだれ・片側でしか噛まない・硬いものを避ける | すぐ受診。歯周炎まで進んでいる可能性。歯周ポケットの処置や抜歯になることも | 治療のあと。磨いてよい歯と力加減を獣医師に確かめてから |
歯石除去について、知っておいてほしいことが2つあります。1つは、無麻酔の歯石取りでは足りないこと。無麻酔では一部の歯石しか取れず、見た目はきれいになっても口臭が残り、歯周ポケット(歯と歯茎のすき間)では細菌感染が続きます。歯周病の治療が目的なら、犬は原則として全身麻酔下で、レントゲンで歯茎の下を確かめ、歯周ポケットの歯石まで取り、表面を磨き上げる処置になります。もう1つは費用で、全身麻酔での処置は3万円から7万円ほどです。麻酔への不安はかかりつけの獣医師に相談してください。高齢になってから何本も抜くために麻酔をかけるより、若いうちに一度きれいにして、そこから毎日の歯磨きで保つほうが、麻酔の回数も歯の本数も守れます。
処置のあと、歯磨きは「歯を磨く」ではなく「口を触られることに慣れる」から、子犬と同じ手順で始めます。成犬で口を触られるのを嫌がる子は、歯磨きの前に、体を触られること全般の慣らしが要ることもあります。犬の撫で方の記事に、嫌がる場所から慣らす順番を書いています。
歯磨きの頻度|毎日が理想、最低でも3日に1回
「犬 歯磨き 頻度」「毎日必要か」への答えは、数字で出ています。獣医師の目安は、理想は人間と同じように毎食後、1日1回行えたらよく、最低でも3日に1回することで歯垢を取り除くことはできる、というものです。アメリカの動物病院グループ(VCA)の目安も、犬は人と同じで1日2回が理想で、歯垢を取り歯石を防ぐための最低ラインは週3回です。2つの資料の下限がそろって「3日に1回」なのは、歯垢が2〜3日で歯石になるからです。
「週末にまとめて念入りに」は、この仕組みの上では意味がありません。月曜に付いた歯垢は木曜には歯石になっていて、土曜の念入りな歯磨きでは落ちないからです。念入りな1回より、短くても毎日です。1回の長さは、慣れた子なら数十秒から1分で奥歯の外側まで届きます。全部の歯を毎回磨けなくてもかまいません。嫌がる場合は無理やり磨かず、前歯・左側・右側など、場所と回数を分けて磨いてください。今日は左の奥歯、明日は右の奥歯、で3日に1回の下限は守れます。
時間帯は、犬が落ち着いている夕食後か寝る前が続けやすいです。「散歩から帰る→ごはん→歯磨き→おやつ」のように毎日の流れの中に置くと、犬も飼い主さまも忘れません。
道具|歯ブラシが本体、シート・ガム・おもちゃは補助
道具はたくさん売られていますが、役割ははっきり分かれています。歯の間や歯周ポケットは細いブラシの先でないときれいにできず、歯磨きシートや歯磨きガムは歯の表面の汚れは取れても歯の間や歯と歯茎の間の食べかすは取れない、歯ブラシの補助なのです。人が歯磨きをせずガムやリンスだけで済ませることが少ないのと同じで、犬も歯ブラシが本体です。
| 道具 | できること | できないこと・注意 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 犬用の歯ブラシ(小児用の小さなものでも可) | 歯の間・歯と歯茎の隙間の歯垢をかき出せる。唯一、歯周ポケットの入り口に届く | 慣らしの段階が要る。力を入れすぎると歯茎を傷つける | 毎日の本体 |
| 歯磨きシート・ガーゼ | 指に巻いて歯の表面をなでる。犬の安心感が高く、歯ブラシの前段階に使える | 歯の間と歯周ポケットの汚れは取れない | 慣らしの初期。旅行先や忙しい日の代わり |
| 指サック型のブラシ | 指で扱えるので位置が分かりやすい | 慣れていない子は指を噛む。小型犬は口が小さく奥歯に指が届かないことがある | 前歯と犬歯の練習 |
| 綿棒 | 歯ブラシより小さく受け入れやすい。歯と歯茎の境目をなでて歯垢を取る | 噛みちぎって飲み込まないよう見ている | 歯ブラシを嫌がる子の入口 |
| 犬用の歯磨きガム | おやつとして与えられる。歯垢が付くのを抑えるものもある | 歯の表面だけ。片側の歯でしか噛まない子は反対側が磨けない。丸飲みしない大きさを、見ている前で | 歯ブラシの補助。磨けなかった日の足し |
| 歯磨きおもちゃ | 噛んで遊びながら歯の表面の歯垢を落とす | おもちゃが触れない部分の歯垢は残る。細菌が増えないようこまめに洗う | 補助。留守番のおもちゃと兼ねる |
| 犬用の歯磨きペースト・ジェル | 飲み込む前提で作られている。味で歯ブラシを好きにさせられる | 人用は使わない(次の段落) | 歯ブラシと一緒に |
歯磨き粉について、はっきり書きます。人用の歯磨き粉は使わないでください。人用の歯磨き粉は飲み込む前提で作られておらず、ナトリウムが多いものや、犬に有毒なキシリトール(人工甘味料)を含むものがあり、重曹はアルカリ性が強く胃腸の酸のバランスを崩します。キシリトールは、犬に絶対に与えてはいけない食材です。低血糖になって意識の低下やけいれん、肝障害を起こす可能性があり、最悪の場合は死に至ることもあります。犬は歯磨き粉をすすいで吐き出せません。使うなら犬用のもので、ペーストが無くても水だけで磨いて構いません。
ガムやおもちゃ、ペーストを選ぶときの目安として、米国獣医口腔保健協議会(VOHC)の認定シールがあります。歯垢・歯石の抑制について第三者の審査を通った製品に付くもので、犬向けにはガム、水に入れるもの、ペースト、歯ブラシとシートなどの区分があります。商品名でなく、この印で選ぶと外しにくいです。逆に、ひづめ、骨、硬いナイロンのおもちゃ、氷は、犬の歯が折れたり欠けたりすることがあるので、歯のためと思って与えないでください。
歯磨きのやり方|42本の歯を、外側の奥歯から
犬の永久歯は42本です。犬の歯は片側ずつ、上に切歯(前歯)3本・犬歯1本・前臼歯4本・後臼歯2本、下に切歯3本・犬歯1本・前臼歯4本・後臼歯3本です。歯石が付きやすいのは、犬歯と、かみ砕くときに使う上の前臼歯・下の後臼歯です。つまり重点的に磨くのは、上顎の一番大きい奥歯の外側です。前歯を丁寧に磨いて満足している飼い主さまが多いのですが、順番は逆です。
「したことがない」子は、いきなり歯ブラシを口に入れません。慣らし方の3ステップ(口を触られることに慣れる→歯を触られることに慣れる→歯ブラシに慣れる)を細かく分けると、次の順になります。段階を上げるのは日単位で、1回は1〜2分。できたら毎回ほめて、おやつです。
- 口の周りを触る……なでるついでに、マズルの横、口の端、あごの下に手を当てる。触ったらおやつ。嫌がらない範囲で、時間と場所を少しずつ広げる
- 唇をめくる……上唇の端を指で1〜2秒持ち上げて、歯を見る。引っぱらない、長く続けない。めくったらおやつ
- 指で歯に触る……まず犬歯の表面に指先を当てて1秒。次に、指にガーゼやシートを巻いて、歯と歯茎の表面を前歯から奥歯へ軽くなでる。奥歯まで無理なく触らせてくれたら次へ
- 歯ブラシを当てるだけ……犬用のペーストを指から舐めさせてから、同じ味を付けた歯ブラシを犬歯に当てて、すぐ離しておやつ。「歯ブラシは安全なもの」と覚えるまで、磨かない
- 外側の奥歯を磨く……唇をめくり、上顎の一番大きい歯の外側に、歯ブラシを45度の角度で当てて、毛先を小刻みに動かす。持ち方は鉛筆持ち、力は「歯ブラシで桃の皮を傷つけない程度」。歯と歯茎の境目に毛先を入れて、汚れをかき出すように
- 前歯、反対側へ……片側の奥歯ができたら前歯、次に反対側の奥歯。1日で全部やらなくてよい。今日は右、明日は左、で回す
- 内側は最後に……内側(舌側)は軽く口を開けさせて磨く。噛まれる危険がいちばんある場所なので、外側が全部できてから。最初は歯の外側だけにとどめて、噛まれるのを避ける
- 終わりは必ず良いことで……短く終えて、ほめて、おやつ。「歯磨きのあとは良いことが起きる」を毎回作る
力の入れすぎがいちばん多い失敗です。歯茎から血が出たら強すぎます。もう1つは「一度に全部」で、最初の数回は数本の歯だけにとどめてください。段階3や4で固まる、口を閉じて動かない、唸る、という子は、押さえて続けないでください。押さえて磨いた1回は、次の10回を難しくします。嫌がる子の慣らし方と、暴れる・噛むときの対応は歯磨きを嫌がる犬の記事に分けて書いています。
子犬の歯磨きはいつから|乳歯28本のうちに慣らす
子犬は、乳歯のうちから始めます。犬の乳歯は28本で、生後2〜3か月ですべて生えそろい、4〜6か月くらいで永久歯に生えかわり始め、7か月から1歳くらいで永久歯がそろいます。歯磨きは、乳歯が生え始めた頃から始めてください。乳歯は抜けてしまいますが、子犬のうちの歯磨きの一番の目的は、歯磨きに慣れることだからです。日本では動物愛護管理法で生後56日を過ぎるまで子犬は販売できないので、お迎えのときには乳歯がそろっています。お迎えの日から、上の手順1と2を、なでるついでにやっておいてください。
小型犬で気をつけてほしいのが、乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」です。残りやすいのは上の犬歯、次に下の犬歯、前歯(切歯)で、小型犬と鼻の短い犬(短頭種)に多く、家系による傾向もあります。永久歯と乳歯が二重に生えたまま放っておくと、歯並びがずれ、乳歯が残っていると歯石も付きやすくなります。残った乳歯に気づいたら、できるだけ早く動物病院を予約してください。ふつうは早めに抜きます。生後6〜7か月を過ぎて犬歯が2本並んでいたら、次のワクチンや健診のときに見てもらってください。
生え変わりの時期は、何でも噛みたがります。ここで硬いおもちゃ、ひづめ、骨、氷を与えると、歯が欠けることがあります。噛みたい子には、噛んでも欠けない硬さのものを。噛み癖そのものの向き合い方は子犬が噛む理由の記事に書いています。
やってはいけないこと
- 自宅で歯石を取ろうとする……スケーラーのような道具で家で削ると、犬が嫌な思いをして口を触らせなくなり、毎日のケアができなくなります。歯石は動物病院で
- 人用の歯磨き粉を使う……飲み込む前提で作られていません。キシリトール入りは命に関わります
- 押さえつけて磨く・嫌がったから叱る……アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の2021年の見解は、力や不快に頼る方法はしつけに使うべきでなく、罰を使った方法は不安や回避と関連が見られる、としています。歯磨きの場面で叱れば、歯ブラシが「嫌なことの合図」になります
- ガムやおもちゃだけで済ませる……歯の表面の汚れは取れても、歯の間と歯周ポケットには届きません。補助です
- ひづめ・骨・硬いおもちゃ・氷を「歯のため」に与える……歯が折れたり欠けたりすることがあります
- 週末にまとめて磨く……歯垢は2〜3日で歯石になります。短くても毎日、最低でも3日に1回
- 口臭を「年のせい」にする……歯周病のほか、腎臓や肝臓の病気、口の腫瘍でも口臭は強くなります。一度は診てもらう
- 痛い口を磨く……歯茎が赤い、血が出る、片側でしか噛まない子は、先に受診。治療のあとに慣らし直す
歯磨きは、始めるまでがいちばん大変で、始めてしまえば毎日1分の習慣です。「したことがない」ところから始めて段階が進まない、口を触ろうとすると唸る、という場合は、ひとりで抱え込まずにドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「どの段階で、犬がどう嫌がるか」が分かっていると、相談がその場で具体的になります。
よくある質問
犬の歯磨きをしたことがありません。今からでも間に合いますか?
間に合います。成犬になってからでも歯ブラシはできますが、若いときほど慣れるのが早いです。ただし成犬・シニアは順番が1つ増えます。歯ブラシを嫌がるのは歯肉炎や歯周炎で痛いからかもしれないので、練習を始める前に動物病院で口の中を診てもらうこと、歯石が付いていれば家で取ろうとせず病院で処置してもらうことです。処置のあと、口の周りを触る→唇をめくる→指で歯に触る→歯ブラシを当てるだけ、と子犬と同じ手順でゼロから慣らします。
犬は歯磨きをしないとどうなりますか?
歯垢が2〜3日で歯石になり、歯石は家の歯磨きでは取れません。歯石の細菌で歯茎が炎症を起こし(歯肉炎)、歯と歯茎の隙間が深くなって膿が出(歯周炎)、歯を支える骨が溶けて歯が抜けます。小型犬では、歯周病が原因で下あごの骨が折れることもあり、上の奥歯なら膿が頬から出ることもあります。3歳以上ではおよそ8割が歯周病で、1歳でも発症します。歯磨きは歯石を落とすためではなく、歯垢のうちに落として歯石にしないためにやります。
歯磨きをしていないのに歯が綺麗に見えます。それでも必要ですか?
必要です。前歯が白いことと口の中が健康なことは別です。歯石が付きやすいのは犬歯と、上の前臼歯・下の後臼歯(奥歯)で、飼い主がふだん見ている前歯ではありません。また、歯石は少量でも重度の歯周病になっていることがあり、口の状態は見かけでは判断できない、ともあります。上唇の端を指で持ち上げて、上の一番大きい奥歯の根元と歯茎の境目を見てください。白ければ今日から歯磨きを始めれば歯石にしないで済み、黄色〜茶色なら先に動物病院で診てもらってから始めます。
犬の歯磨きの頻度は?毎日必要ですか?
毎日が理想です。獣医師の目安では、理想は毎食後、1日1回行えたらよく、最低でも3日に1回で歯垢を取り除けます。アメリカの動物病院グループの目安も、1日2回が理想で最低ラインは週3回です。下限が3日に1回なのは、歯垢が2〜3日で歯石になるからです。週末にまとめて念入りに磨いても、平日に付いた歯垢はもう歯石になっています。1回は数十秒から1分で十分で、今日は右の奥歯、明日は左の奥歯、と場所を分けて回せば毎日続けられます。
人間の歯磨き粉を犬に使ってもいいですか?
使わないでください。人用の歯磨き粉は飲み込む前提で作られておらず、ナトリウムが多いものや犬に有毒なキシリトールを含むものがあります。キシリトールは犬に絶対に与えてはいけない食材で、低血糖になって意識の低下やけいれん、肝障害を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。犬はすすいで吐き出せないので、使うなら飲み込める前提の犬用のペーストかジェルを。無くても水だけで磨けます。
歯磨きガムや歯磨きシートだけでは足りませんか?
足りません。歯磨きシートや歯磨きガムは歯の表面の汚れは取れても、歯の間や歯と歯茎の間の食べかすは取れません。細かい汚れを取れるのは歯ブラシだけで、シートやガムは歯ブラシの補助です。人が歯磨きをせずガムやリンスだけで済ませることが少ないのと同じです。シートは歯ブラシに慣らす前段階として、ガムやおもちゃは磨けなかった日の足しとして使い、少しずつ歯ブラシへ移行してください。ひづめや骨、硬いおもちゃ、氷は歯が欠けることがあるので与えないでください。
犬の歯に歯石が付いてしまいました。自宅で取れますか?
取らないでください。自宅で無理に歯石取りをすると、犬が嫌な思いをしてその後口を触らせなくなり、毎日のケアができなくなります。歯石は歯周ポケットの中にも付き、無麻酔では見える部分しか取れず口臭が残って細菌感染が続くため、歯周病の治療が目的なら原則として全身麻酔下で、レントゲンと歯周ポケットの処置まで行います。費用は3万円から7万円ほどです。処置のあとに毎日の歯磨きで保つのがいちばん確実です。
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まとめ
犬の歯磨きは何歳からでも今日から始められ、しないままでいると歯周病は必ず進みます。歯垢は2〜3日で歯石になり、歯石になると家の歯磨きでは取れません。3歳以上ではおよそ8割が歯周病で、進むと歯が抜け、小型犬では下顎が折れることもあります。前歯が白くても、歯石が付くのは奥歯で、歯茎の中の炎症は見た目で分かりません。寿命が何年縮むという統計はありませんが、歯周病がある犬は翌年の心臓病が1.7倍、腎臓病が3.5倍という分析があります。成犬・シニアは、先に口の中を診てもらい、歯石があれば病院で取ってから、口を触る→唇をめくる→指で歯に触る→歯ブラシを当てるだけ、の順でゼロから慣らします。頻度は毎日が理想で最低3日に1回。道具は歯ブラシが本体で、シート・ガム・おもちゃは補助、人用の歯磨き粉は使いません。磨くのは上顎の一番大きい奥歯の外側から、45度で小刻みに、桃の皮を傷つけない力で。子犬は乳歯のうちから慣らし、残った乳歯は早めに獣医師へ。自宅での歯石取り、押さえつけて磨く、ひづめや骨、週末にまとめて、はやめてください。
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