フローエンスメディアライター 大久保 祐太

しつけやトレーニングに関する記事を弊社ドッグトレーナーを通し、分かりやすく実践しやすい記事を発信します。
また、私自身がしつけに大きく悩んだ経験があるため、飼い主様にできる限り寄り添える記事を目指します!

犬歴

  • ゴールデンレトリーバー
  • ミニチュアダックスフンド
  • オーストラリアンキャトルドッグ

資格

  • ペット災害危機管理士2級 講師
  • 家庭動物管理士
  • ペット防災生活アドバイザー
  • ペット・トラベルアドバイザー

犬の社会化に”遅い”はない!社会化の理解とトレーニングについて

社会化 犬の育て方

ワンちゃんを飼っている方であれば誰もが知っている【社会化トレーニング】
これから飼おうか悩んでいる方であれば社会化トレーニングの重要性も本記事ではご理解頂ける内容となっております。

すでに飼っている方はおさらいとして、飼おうか検討中の方は勉強として参考にして頂ければ幸いです。

社会化トレーニングとは

ワンちゃんの社会化トレーニングは今後、人間社会で生きていく上でとても重要になるトレーニングです。ワンちゃん同士のコミュニケーションももちろんですが、車やインターホンなど、ワンちゃんにとっては理解できない恐ろしいモノとなります。そのモノ・コトに対し「怖がる必要はないんだ」と学習させることで人間社会での共存や、しつけトレーニングでの集中力も向上するのです。

社会化期

一般的には生後3週間~13週が【社会化適齢期】といわれています。
この期間で多くのモノ・コトに触れることで人間社会での生活や犬社会でのマナーやルールに柔軟に対応できる能力を育み、ワンちゃんの性格を形成する大切な時期です。

現在、動物愛護法により出生後56日を経過しない子の販売は禁じられているため一般的に「社会化は4ヶ月まで」といわれる期間を考慮すると迎え入れてからの約1ヶ月がとても重要になってきます。

しかし、13週が過ぎたからもうダメという話ではありませんのでご安心ください!
あくまでも、理想的な期間の目安としてのお話なので社会化トレーニングは何歳からでも行うことが可能です。

子犬の場合

子犬の時期は全てのモノ・コトに対して柔軟に吸収しやすい時期です。
そのため、ワクチンを打つ前であれば抱っこでのお散歩にて車の音や風の音、大きな建物や電車のスピード、人間の声や仕草など多くの情報をストレスにならない程度に慣らしていくことが理想です。
また、お散歩デビューを果たしたら、水に触れる、植物に触れる、シャンプーの経験や飼い主様以外の方に触れてもらう、他のワンちゃんとコミュニケーションをとらせるなど、様々な経験を積ませることが望ましいでしょう。

社会化は子犬のうちに終わらせた方がいいと言われるのは、ワンちゃんの性格や自立心が確立する前の柔軟な時期であれば受け入れやすいためです。
若いうちに多くの経験をさせることが理想とさせる原因はそれらの背景があるためであり、手遅れという問題ではないことをご理解頂ければと思います。

成犬の場合

それでは、反対に成犬になってからの社会化についてのお話をいたします。

成犬になるということは、性格や自立心が形成され自我を持ち始める、または持っている時期です。そのため、ワンちゃんは電車は「敵だから吠えて威嚇しよう」インターホンは「この音の後に知らない人がくるから自分の縄張りに入れないために追い払おう」といった経験不足により警戒や恐怖心から問題行動に発展してしまいます。

このことから、成犬になってからの社会化は難しいと言われてしまう原因となってしまったのです。しかし、成犬になってからも時間をかけて慣らしていくことで頑固な子であっても「あれ?これ怖がる必要ないよね?」と学習するため、子犬に比べたら時間はかかりますが諦めずにワンちゃんのペースでトレーニングしていきましょう。

合わせて読みたい参考記事↓
犬の社会化不足による問題行動の治し方と難しいと言われる理由とは

ワンちゃんも人間と同じであるように子供と大人では柔軟性に大きな差があることを理解することが出来れば成犬であっても心配する必要はありません。

社会化トレーニングのやり方

社会化トレーニングを受けるために飼い主の話を聞く犬

それでは、実際にどのように社会化トレーニングをしていけば良いかご説明いたします。
トレーニング方法には正解はなく、性格や生活環境等により個体差があるかと思いますが、
ベースとなる部分は大きく変わりはないため、参考にして頂ければと思います。

【音】のトレーニング

【音】一部抜粋
エンジン音
サイレン音
インターホン
家電
姿の見えない人の声

上記で挙げた【音】に関する例を基にお話致します。

これらを慣らしていくためには、日々の暮らしにトレーニング要素を含めたコミュニケーションが重要となります。

例えば、サイレン音に反応して意識が【飼い主さま<サイレン音】になっている場合、音に対して警戒してしまいます。そのため、サイレン音が聞こえたらワンちゃんの意識が向く前におやつなどを用いて飼い主さまの方へ意識を向けさせます。

ここでの注意点としては、意識が向かないからといって大声で呼びかけたり強引に向けさせてしまうとトラウマになってしまい、余計に音に敏感になってしまいます。

音が去り、ワンちゃんが落ち着いていたらおやつを与え沢山褒めてあげてください。

【人】のトレーニング

【人】一部抜粋
家族以外の人(ご近所さんなど)
トリマー
動物病院の先生

上記で挙げた【人】に関する例を基にお話致します。

人に対しての社会化不足になると飼い主さま以外の人に吠えてしまう問題行動が目立つようになってしまいます。
そのため、有効的な方法として、幼い頃から沢山の人に触れることで【人】が怖い対象で無くすことができます。
ご家族以外の方におやつを与えてもらったり、撫でてもらう経験が多ければ多いほど【人】に対し警戒することは少なくなり、小さなお子様にも慣れてくれるでしょう。

注意点としては、無理矢理触らせることのないようにしてください。
ワンちゃんによってはベタベタ触られるのを嫌がる子もいるため、あくまでもワンちゃんが歩み寄った際に受け入れてあげる姿勢で、ストレスを感じない程度に触れ合ってもらいましょう。

【ケア】のトレーニング

【ケア】一部抜粋
シャンプー
トリミング
歯磨き
ブラッシング
足拭き

上記で挙げた【ケア】に関する例を基にお話致します。

ケアに対する経験は、ワンちゃんの健康維持のためにとても重要となります。

慣れさせるポイントは【怖い思いをさせないこと】です。これらの多くはワンちゃん自身で行える行動ではないため、全てが不安に思うでしょう。その不安の中で怖い思いや痛い思いをしてしまうと拒否反応で暴れてしまう可能性があります。

そういったことを想定し、シャンプーをする前にドライヤーの音や風に慣れさせておくことで怖い思いをさせるリスクも軽減できるでしょう。

【犬同士】のトレーニング

【犬同士】一部抜粋
ドッグラン
お散歩コース
ドッグカフェ

上記で挙げた【犬同士】に関する例を基にお話致します。

犬社会でのマナーやルールは犬同士でしか学び合うことができません。

そのため、飼い主さまが出来ることは「キッカケ作り」を可能な限り行ってください。ワンちゃんが集まる公園などで挨拶をさせてあげたり、慣れてきたら他のワンちゃんと遊ばせてあげるなどのキッカケを作ることで、その場が「学びの場」となるため、最も効果的な方法です。

集まる場では、愛犬がしつこくしたら怒られることも、喧嘩することも、様々な経験を積むことができる反面、相手のワンちゃんを怪我させてしまったりする可能性も十分にあります。喧嘩しそうになったら離す、興奮しやすい子だったらドッグランでもノーリードにしないなどの飼い主さまの監視も重要です。

犬社会は人間社会の中にあることを忘れないようにしましょう。

【モノ】のトレーニング

【モノ】一部抜粋
バイク
車(トラック含む)
ゴミ収集車
工事現場作業車
電車
自転車

上記で挙げた【モノ】に関する例を基にお話致します。

お散歩中に上記の【モノ】に対し、吠えてしまったり、追いかけてしまうことがあります。
ワンちゃんによっては自分より大きい車に対しても果敢に向かってしまい脱走や事故の元になり兼ねないため重要なトレーニングと言えるでしょう。

また、お出かけや旅行でワンちゃんを乗車させる際に、車に慣れていない子は酔ってしまったり、後続車などに対し吠えてしまうことも十分にあります。そのため【モノ】に対しての経験を通し学ばせることがおすすめです。

社会化トレーニングを失敗させないためには

社会化トレーニングを失敗させないためには、一番吸収し柔軟に対応出来る子犬の時期に多くの体験を経験させることが理想的です。しかし、成犬になってからでも遅くはなく、時間がかかってしまってもワンちゃんのペースに合わせゆっくりと慣れさせていきましょう。

子犬であっても、成犬であっても、注意する点は共通しています。

1.無理矢理慣れさせようとしない
→逆にトラウマになってしまう可能性があるため

2.大きな声で怒鳴ったり、叩いたりしない
→【モノ・コトなど】に対しネガティブなイメージがついてしまうため

3.飼い主さまのペースではなく、ワンちゃんのペースで行うこと
→個体差によって慣れる早やさも異なるためワンちゃんのペースで行うのが最短

これら上記の共通点は社会化トレーニングにおいて基本となるルールとなるため、心掛けて励みましょう。

犬の幼稚園

犬の幼稚園での写真

共働きで時間が作れない方や、トレーニングに不安がある方の場合は、必ずしも飼い主さま一人で行う必要はありません。しかし、時間が作れなくても、トレーニングの勉強しても、ワンちゃんも同じく時間が進み成長してしまい子犬期を逃してしまっては本末転倒です。

そういった方は、犬の幼稚園のご活用を検討してみましょう。

犬の幼稚園では、ワンちゃん同士のコミュニケーションや飼い主さま以外の人とのコミュニケーション、車などの生活音、クレートトレーニングからトイレトレーニングなど、様々な成長を見込める【日帰りトレーニング】です。

飼い主さまの限られた時間や限られた人でのトレーニングに比べ、多くの経験ができるだけでなく、トレーニングのプロであるドッグトレーナーがお預かりするため犬同士のトラブル回避や問題行動のアドバイスなど飼い主さまにとってもメリットは沢山あります。

現在、フローエンスでは対象ご家族様を【フローエンスで迎え入れたご家族のみ】と限定しておりますが、犬の幼稚園ってどんな場所なの?と気になる方は是非参考にして頂ければと思います。

犬の社会化は犬のペースで行おう

ここまで読んで頂いた方であれば社会化トレーニングについて”最重要”であるポイントはご理解頂けたかと思います。

ワンちゃんも人間と同じで、個性があり性格もバラバラです。また人間でもいくら頑張っても酔いやすい方や一人が好きな方がいるように、ワンちゃんによってはどれか一つ全く慣れない子も必ずいるでしょう。そういった場合には理解してあげることでワンちゃんにとっても過ごしやすい生活を手に入れることができるため、ワンちゃんのペースで慣れさせてあげましょう。

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