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犬の叱り方|その場で短く1語。あとからは伝わりません【2026】
公開日:2024年9月5日(木) 更新日:2026年10月6日(火) しつけトレーニング
この記事の要点
犬に伝わるのは「やっているその瞬間」だけです。低い声で短く一言、やめたら代わりにしてほしいことをさせて褒めます。あとから叱っても伝わりません。しょんぼりした顔は反省ではなく、叱る態度そのものへの反応だと分かっています。
いたずらを見つけたとき、粗相を見つけたとき——どう叱ればいいのか、そもそも叱っていいのか。ここがはっきりしないまま、つい大きな声が出てしまう方は多いと思います。
この記事では、何が伝わって何が伝わらないのかを、研究で確かめられていることに沿って整理します。「叱り方がうまくなる」より先に、叱らずに済む場面がぐっと減るはずです。
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子犬を見る犬の叱り方の結論:その場で、短く、1語だけ
伝わるのは「やっているその瞬間」だけです。低い声で「ダメ」と一言。それ以上は要りません。やめたらすぐに、代わりにしてほしいことをさせて褒めます。ここまでが1セットです。
| 伝わる | 伝わらない | |
|---|---|---|
| タイミング | やっている最中 | 帰宅してから/少し経ってから |
| 言葉 | 「ダメ」など短い1語に固定 | 「何度言ったら分かるの」など長い文 |
| 声 | 低く、静かに | 大きな声・高い声(かえって興奮します) |
| そのあと | 代わりの行動をさせて褒める | 叱って終わり |
| 回数 | 家族全員が同じ言葉で | 人によって言い方が違う |
「ダメ」でも「イケナイ」でも構いませんが、家の中で1つに決めてください。犬が覚えるのは言葉の意味ではなく音なので、人によって違う音を使うと、そのたびに別の合図になります。
叱っても、その行動が減らないなら効いていません
判断の仕方は簡単です。1〜2週間続けて、その行動の回数が減っていなければ、その叱り方は効いていません。強くするのではなく、やり方を変えてください。強くするほうへ進むと、あとで出てくる困りごとが増えます。
新しく載った子犬
「怒っていること」は犬に伝わりません
よく検索されている問いなので、はっきり書きます。あとから叱って「怒っている」と伝えることはできません。しょんぼりした顔を見ると伝わった気がしますが、あれは反省ではありません。
14頭の犬で確かめた研究があります。飼い主が部屋を出ているあいだに、おやつを食べた犬と食べなかった犬をつくり、そのうえで飼い主に叱らせたり叱らせなかったりしました。結果は次のとおりです。
- 実際に食べたかどうかでは、しょんぼりした様子に差は出なかった
- 差が出たのは「飼い主が叱ったかどうか」のほう
- しかもその様子は、食べていない(言いつけを守った)犬のほうが強く出た
つまり、しょんぼりした顔は悪いことをした自覚ではなく、こちらの声と態度への反応だということです(アレクサンドラ・ホロウィッツ『Behavioural Processes』2009年)。
ここから言えることは2つあります。しょんぼりしても伝わったとは限りません。そして言いつけを守っていた子を、間違って叱ってしまう可能性があるということです。
帰ったら荒れていた、というときは
黙って片づけてください。叱る相手がもういないのと同じです。そのうえで、次に同じことが起きない形に部屋を変えます。届く場所に置かない、留守番の場所を区切る——叱るより、置き方を変えるほうが確実です。
叱るより早いのは「代わりに何をするか」を教えること
米国獣医行動学会(AVSAB)は2021年の見解で、しつけは「望ましくない行動を罰する」より「何をしてほしいかを教える」ほうが効果が高いとしています。飛びつき、吠え、トイレといったよくある困りごとは、環境を整えて、してほしい行動をほめることで扱えるとも書かれています。
| 困っている場面 | 叱る代わりに教えること |
|---|---|
| 玄関で飛びつく | 「おすわり」ができたらドアを開ける |
| ごはんのときに吠える | 器の前で座れたら置く。吠えているあいだは置かない |
| 手を甘噛みする | 噛んでいいおもちゃに持ち替える。持ち替えたら褒める |
| 散歩で引っ張る | 引っ張ったら止まる。ゆるんだら歩き出す |
| ごみ箱をあさる | 蓋つきに替える。届かない場所へ移す |
右の列に共通しているのは、犬にとって「やったほうが得」な形にしていることです。叱って止めるのは、その瞬間は止まりますが、代わりに何をすればいいかは何も伝わっていません。
合わせて読みたい参考記事↓
犬の褒め方|届く褒めの順位表とタイミング・喜ばない理由と注意点
体を押さえる叱り方はしません
鼻や口をつかむ(マズルコントロール)、仰向けに押さえる、叩く、大きな音で驚かせる——飼い主さまがご自分で行う方法としては、どれもおすすめしません。
先ほどの米国獣医行動学会の見解では、力・痛み・精神的または身体的な不快に頼る方法は、しつけにも問題行動の治療にも使うべきではないとされています。さらにそうした方法が必要だという証拠は無いとも書かれています。理由として挙げられているのは次の点です。
| 分かっていること | 中身 |
|---|---|
| 行動との関連 | 人や他の犬への攻撃的な行動、逃げる・興奮しやすいといった不安に関わる行動との関連が見られる |
| 効果 | ごほうび中心で育てた犬がいちばん指示に従い、罰だけで育てた犬がいちばん従わなかった。両方混ぜたやり方はその中間だった |
| 学習 | 罰を使うと、新しいことを覚える力が落ちる |
| 合図そのもの | 罰で教えた合図は、その合図を出すだけで緊張の様子が出るようになる |
1つだけ補足します。この根拠の多くは飼い主さまへのアンケート調査で、「罰が原因だ」と因果を断定できるものではありません。学会自身もそう断っています。ただし罰が効くのであれば問題行動は減るはずで、実際は逆の傾向が出ている——だから少なくとも、問題行動をなくす役には立っていない、という論の立て方です。
気になることがあるときは、力で押さえる方向へ進む前に、専門のトレーナーにご相談ください。
場面別:噛む・唸る・吠える
この3つは「叱る」でひとまとめにされがちですが、中身がまったく違います。同じ叱り方をしても、うまくいくのは1つだけです。
| 何が起きているか | どうするか | |
|---|---|---|
| 噛む(遊びの延長) | 楽しくて興奮している | その場で遊びを終える。数分してから再開する |
| 唸る | 「これ以上は嫌だ」という知らせ | いったん離れる。何が嫌だったかを特定する |
| 吠える(要求) | 吠えると応えてもらえた経験がある | 吠えているあいだは応えない。静かになったら応える |
| 吠える(警戒) | 怖い・気になるものがある | 音やにおいから少しずつ慣らす。叱っても怖さは減りません |
唸りは叱らないでください
ここだけは特に気をつけてください。唸りは「もう嫌だ」と先に知らせてくれている合図です。叱って唸らないようにさせても、嫌だという気持ちのほうは何も変わりません。変わるのは「知らせてくれるかどうか」だけです。
やることは、唸りを消すことではなく唸る理由をなくすことです。おもちゃを取ろうとすると唸るなら、取り上げずに交換する形にします。体を触ると唸るなら、痛いところが無いかを先に確かめます。
分からない場合はこちらの記事を参考にしてください↓
子犬はいつから吠える?吠え方の種類と見分け方【2026】
怒鳴ってしまった日のこと
「つい怒鳴ってしまった」と検索して、ここを読んでいる方へ。一度の大声で関係が壊れることはありません。そのあと普段どおりに接してください。謝る必要も、埋め合わせにおやつを増やす必要もありません。
気にかけたほうがよいのは、同じ場面で毎回怒鳴っているときです。それは犬の問題ではなく、その場面の作り方が犬にとって難しすぎるという合図です。留守番が長すぎる、来客が多すぎる、散歩の時間が足りない——先に環境のほうを見直してください。
叱る回数が増えているときは、飼い主さまのほうが疲れていることもあります。ひとりで抱えないでください。
家族でそろえる(ここがいちばん崩れます)
どんなに正しい叱り方でも、人によって言うことが違えば伝わりません。次の3つだけ、紙に書いて貼っておいてください。
- 止めるときの言葉……家じゅうで1つ(例「ダメ」)
- やらせないことの一覧……ソファに乗る、人の食事中に足元へ来る、など具体的に
- してほしい行動……その代わりに何をさせるか(マットで待つ、など)
とくに崩れやすいのが「ひとりだけ許してしまう人がいる」場合です。10回のうち1回でも通ってしまうと、犬は「やってみる価値がある」と覚えます。決めるのは、いちばん長く一緒にいる人で構いません。
よくある質問
犬に「怒っている」と伝えることはできますか?
あとからは伝わりません。伝わるのは、その行動をしている最中に出した短い合図だけです。しょんぼりした顔を見ると伝わった気がしますが、14頭の犬で調べた研究では、実際に悪さをしたかどうかでその表情に差は出ませんでした。差が出たのは飼い主が叱ったかどうかで、しかも言いつけを守っていた犬のほうが強く出ています。つまり、あの顔は自覚ではなく、こちらの声と態度への反応です。
叱ると余計に吠えます。どうすればいいですか?
叱る声が、犬にとっては「一緒に吠えてくれた」ように受け取られていることがあります。また、こちらが大きな声を出すほど場の興奮が上がります。声を出さずに、いったんその場を離れてください。静かになった一瞬で戻り、そこで褒めます。吠えているあいだは何も起きず、静かにすると良いことが起きる——この形にしないと、叱るほど回数が増えます。
マズルコントロール(鼻や口をつかむ)はやったほうがいいですか?
飼い主さまがご自分で行う方法としては、おすすめしません。米国獣医行動学会は2021年の見解で、力・痛み・精神的または身体的な不快に頼る方法はしつけにも問題行動の治療にも使うべきではなく、そうした方法が必要だという証拠も無い、としています。口のまわりを触られるのに慣れてほしい場合は、押さえるのではなく、おやつを使って短時間ずつ触る練習に置き換えてください。
子犬と成犬で、叱り方は変えたほうがいいですか?
やり方は同じです。その場で短く、代わりの行動を教えて褒める。これは月齢で変わりません。違うのは期待する水準のほうで、生後数か月の子犬は覚えたことを保てる時間がまだ短く、できた翌日にできないのがふつうです。「昨日できたのに」と思ったときは、失敗ではなく回数がまだ足りていないと考えてください。
つい怒鳴ってしまいました。関係が壊れませんか?
一度の大声で壊れることはありません。そのあとは普段どおりに接してください。謝る必要も、埋め合わせにおやつを増やす必要もありません。気にかけたほうがよいのは、同じ場面で毎回怒鳴っているときです。それは犬の問題というより、その場面が犬にとって難しすぎるという合図なので、留守番の長さや来客の頻度など、環境のほうを先に見直してください。
唸ったときは、強く叱ったほうがいいですか?
叱らないでください。唸りは「これ以上は嫌だ」と先に知らせてくれている合図です。叱って唸らないようにさせても、嫌だという気持ちのほうは変わりません。変わるのは知らせてくれるかどうかだけで、次から前ぶれなく歯が当たることにつながります。いったん離れて、何が嫌だったのかを特定するほうが安全です。
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まとめ
叱るときは、その場で、低い声で、短く1語。やめたら代わりの行動をさせて褒める。あとから叱っても伝わらず、しょんぼりした顔も反省ではありません。体を押さえる方法は使わず、困っている場面は「何をしてほしいか」に置き換えてください。1〜2週間で回数が減らないなら、強くするのではなくやり方を変える合図です。
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