犬が吠えてしまい近所迷惑になっていないか心配、夜中にずっと吠えるから寝れない、など様々な支障が出てくる「吠え」について解説したいと思います。今回はしつけを始める前に、まずは飼い主が「吠え」の種類やタイプを見極める必要があるため参考にしてください。
犬の吠えをやめさせることは簡単じゃない
犬の「吠え」とは感情表現やコミュニケーションの一つであり、人間にとって「会話」の役割をしています。そのため、完全に吠えるのを無くしてしまっては自由を奪うことになるため、「吠え」をコントロールできるようにしてあげましょう。また「吠え」の種類は大きく分けて「要求吠え」と「警戒吠え」の2つです。しかし、○○吠えというワードがいくつかあるので合わせて紹介します。
無駄吠え
無駄吠えというワードをよく耳にすることがあると思いますが、犬にとって無駄な吠えはありません。よって、「無駄吠え」というワードは人間が作り出した言葉といえます。犬が吠える理由には必ず意味があることを理解しましょう。
要求吠え
自分の要求を訴えるために吠える「要求吠え」
遊んでほしい、かまってほしい、ごはんが食べたい、散歩にいきたい、など自分の気持ちを伝えようとする際の吠えになります。また、飼い主が悩む「吠え」のほとんどが「要求吠え」といえるでしょう。
犬が意思を伝えようとする手段として吠えて飼い主を振り向かせる行動ですが、一度要求が通ると「吠えれば伝わる」と学習してしまい、吠え続けてしまうのが特性の一つです。
要求吠えについて詳しく知りたい方はこちら→
犬の「要求吠え」には無視が効果的だができない場合の対処法も解説
警戒吠え
人や犬または物音に対して警戒する「警戒吠え」
犬は生後3〜5ヶ月ごろから恐怖心が芽生え始めます。そのため、自分が見たことないものや聞いたことのない音に対して警戒する吠えです。また、怖い思いをした経験がある場合も危険を避けるために吠えてしまいます。
「警戒吠え」も飼い主が悩む「吠え」で多く相談を受ける問題です。
興奮吠え
興奮吠えのほとんどが「要求吠え」と考えていいでしょう。飼い主が帰ってきてうれしくなり触ってほしいと訴えて吠える、他の犬と遊んで楽しくてもっと遊ぼうと訴えて吠えるなど、テンションが上がって吠える場合は要求吠えに含まれます。
しかし、怖い思い出がある場合は興奮しているように見えて実はその場から逃げたくて動き回っている可能性もあります。その場合は警戒吠えに含まれるため見極めが重要です。
「吠え」のタイプ
次に、実際によくあるケースを例に出して「吠え」のタイプを分けてみました。愛犬がどのタイプで吠えているのか分からない場合は当てはめてみてください。また、犬の性格によって「吠え」の種類が異なるため、性格別に解説します。
通行人に吠える
・要求吠え
人がとにかく好きで、遊んでほしい、触ってほしいという気持ちが前面に出てしまい吠えてしまうケースです。しかし、犬に悪気がなくても犬が苦手な方もいるので注意が必要です。
・警戒吠え
過去に人間に対して嫌な思い出がある場合や特定の人間に似た体系の方に吠えてしまうケースです。また、飼い主以外の人間と関わったことがないと安心できる人か判断できずに拒んでしまっていることもあるので、社会化トレーニングを進めましょう。
夜中に吠える
・要求吠え
寝室を分けている場合やハウスに入れて就寝する場合に、犬がまだ遊びたい、ハウスから出してと要求するケースです。
・警戒吠え
夜中に近所を通る車やバイクの音に警戒している場合や見えない存在で不安を抱いているケースです。
しかし、夜中に飼い主がトイレなどで起きた際の足音などに反応する場合は遊んでくれる、起きる時間だ、と勘違いして吠えるため「要求吠え」に振り分けられます。
飼い主に吠える
・要求吠え
飼い主に吠える理由の多くは遊んでほしい、散歩にいきたい、ごはん食べたい、など意思を伝えようとしていると考えていいでしょう。しかし、すべての要求に吠えてから応えてしまうと吠えを直すことは難しくなるため注意が必要です。
・警戒吠え
飼い主、あるいは家族でも特定の人限定で吠える場合は犬が悪い印象を持っていることが考えられます。吠え狂っていたり、毛が逆立っているなど敵意むき出しで吠える場合は速やかにドッグトレーナーに相談しましょう。
他の犬に吠える
・要求吠え
他の犬が大好きで一緒に遊ぼうよと散歩や公園で他の犬を見かけて吠えてしまうケース。他の犬を驚かせてしまったり、怖がらせてしまうことも多いためやめさせたい「吠え」です。
・警戒吠え
犬社会でのルールを学ばずに育ってしまうと、自分が一番だ!お前は誰だ!とにかく吠えてしまうケースです。犬同士のコミュニケーション不足からくる問題なので社会化トレーニングを進めましょう。
インターホンに吠える
・要求吠え
人が好きな場合はお客さんがきた!遊んでほしい!と吠えてしまうケースです。
・警戒吠え
インターホンの”音”に反応して驚いてしまう場合と音の先にある”もの”に対して吠えてしまうケースです。この音がなったらこの人が来ると紐づけて認識している犬もいるため、音だけでなくその先のものに安心感を与えられるかがポイントとなります。
バイクや車のエンジン音に吠える
・要求吠え
犬を車に乗せてお出かけすることが多い場合は、エンジン音で「遊びにいける」とスイッチが入るケースです。
・警戒吠え
インターホンと同様に”音”と”物”に吠えているケースです。また、車のエンジン音は大丈夫なのに、バイクの音だけに吠える場合は、散歩中に速いスピードで横を通り怖い思いをした可能性などが考えられます。
テリトリーを守るために吠える
犬は本来、自分のテリトリーを守る習性があります。そのため、音やものに敏感になりやすいのです。テリトリーを脅かす不安から吠えてしまうので、警戒する原因を改善すれば吠えることも抑えられるでしょう。しかし、習性の問題であるため縄張り意識の強い犬はドッグトレーナーに相談することをおすすめします。
見極るポイントは日々の観察
日常生活の中で起こりうる様々な場面を想定してタイプを振り分けました。自分で吠えをやめさせる場合やトレーナーに相談する場合でも、どちらのタイプかによってしつけの方法が変わってきます。そのため、愛犬がどのタイプかを見極める力が必要で、普段の性格や状態を把握することも重要となります。
しかし、あからさまな場合は別として見極めるのは容易ではありません。しつけには犬の緊張具合や力み具合を見極める必要があるため、誤ったタイプでしつけをしてしまうと成果が見えてこないでしょう。
そのため、自信がない場合や成果がでない場合はドッグトレーナーに相談しましょう。経験豊富なトレーナーに相談すれば、最適なしつけを提示してくれます。
子犬のうちに「吠え」をやめさせる3つのルール
警戒心が弱く、吠えが習慣付く前の子犬のうちにしつけを行うのが理想です。年齢に限らず迎え入れた時から以下の3つのルールを守りましょう。
1、吠えによる要求に従わない
吠えてうるさいからと要求に従ってしまうと、犬は学習するため要求が通るまで吠え続けます。そのため、吠えによる要求には必ず従わないように注意しましょう。
2、社会化トレーニング
犬社会を学ばせるのは人間では難しく、犬同士のコミュニケーションから学んでいくものとなります。また、人間社会での音や物に多く触れてもらい経験をさせましょう。警戒心が芽生える前に様々な経験をさせることで、非日常を当たり前にしてあげることで警戒に対する吠えは軽減されるはずです。
3、別の行動を与えてあげる
少し難易度は上がってしまいますが、「吠え」で伝えるのではなく「行動」で伝えることを学ばせる方法です。
例えば、散歩に行きたい=リードを咥える、ごはんを食べたい=器の前で座る、などです。行動パターンはなんでもいいのですが、吠え以外の伝える選択肢を刷り込むように教えてあげます。
飼い主が悩む理由は”吠え”によるもので、要求に応えたくないわけではないと思います。そのため、別の行動を与える方法がおすすめです。
しつけの際に気を付ける4つのポイント
つぎに、しつけをする際に気を付けるポイントを4つ紹介します。犬に混乱を与えないためにとても重要となるポイントなので、以下のポイントを守りしつけを行うようにしましょう。
1、無視を徹底する
繰り返しになりますが、「要求吠え」で一番重要なポイントは要求に決して従わないことです。そのために、無視が一番効率的で始めやすいしつけ方法とされています。しかし、心を鬼にして無視を徹底するのは、思っている以上に難しい行為です。
例えば、ご家族の一人でも吠えに反応してしまえば要求が通ったと学習してしまいます。また、吠えを叱っても犬にとっては振り向かすことに成功したと思うため徹底した無視が必要となります。
2、褒める
吠えるのをやめて静かになったら褒めてあげましょう。合わせて、ご褒美のおやつを与えてあげるのも効果的です。また、「よくできたね」というより「それでいいんだよ」と認めてあげる褒め方を意識して、犬を興奮させずに落ち着いた状態を保ちましょう。
褒める際に注意するポイントは吠えをやめて落ち着いた時を狙いましょう。吠えてはいないけどハウス内をぐるぐる回っている、足でカリカリしてるなど、興奮状態で褒めてはいけません。
3、警戒を解くのは犬のペースで
警戒心を強く持つ状態で、無理やり慣れさせるのは犬にとってはトラウマを作る原因となってしまいます。そのため、決して警戒している”もの”に無理やり近づけないことを心掛けましょう。
そしてもう一つ、警戒する”もの”を警戒する対象として離れないことがコツです。例えば電車に警戒して吠える場合は、遠くから電車を眺めて「怖がる必要はないよ」と安心させてから離れるようにしましょう。
焦らずゆっくりと犬のペースで徐々に距離を縮めていき、警戒を解いていきましょう。
4、トレーニングに終わりはない
吠えるのを直せたのにまた戻ってしまうケースは少なくありません。それは、当たり前を当たり前でなくしてしまったことが原因です。今までできたことは今まで通りに過ごすのがシンプルであり難しいポイントになります。しかし、できるだけ日々の生活やトレーニングは継続させましょう。
吠えをゼロにする必要はない
近所迷惑になってしまったり、他の犬と仲良くできず散歩に行くのが嫌になったり、と悩まされる問題ではありますが、コントロールすることで解決できる問題です。また、性格や犬種によって完全にゼロにすることは難しく、感情表現を封じ込める必要もないと考えます。
焦らずゆっくりと犬のペースで「吠え」をコントロールしてしていきましょう。
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