「何度言っても言うことを聞いてくれない…」「他の子はできているのに、なぜうちの子は?」
そんな風に感じる“しつけがうまくいかない時”は、飼い主さまにとってとてもつらい時間かもしれません。でも実は、そう感じているのはあなただけではありません。多くの飼い主さまが同じような壁にぶつかり、悩みながら進んでいます。
うまくいかないときこそ焦ってしまいがちですが、そこで立ち止まって振り返ることこそが、次のステップへの第一歩です。この記事では、「犬のしつけがうまくいかない」と感じたときに、見直したいポイントや具体的な対処法、気持ちの整え方をご紹介します。焦らず、愛犬と一緒に少しずつ前に進んでいくためのヒントになれば幸いです。
犬のしつけがうまくいかない原因
しつけがうまくいかない背景には、いくつかの共通する原因があります。思い通りに進まないからといって飼い主さまが間違っているわけではなく、多くの場合、少しの見直しや工夫で状況が改善します。まずは、うまくいかない“理由”を冷静に見つめ直すところから始めてみましょう。
ワンちゃんの個性や性格に合っていない方法
しつけは「こうすれば必ず成功する」という万能な方法があるわけではありません。おっとりしている子、活発で集中力が続かない子、怖がりな子など、ワンちゃんの性格に合ったアプローチを取ることが重要です。同じ犬種であっても、個性の違いによってトレーニングの進め方が大きく変わることもあります。
タイミングが合っていない
褒める・叱る・指示するタイミングがズレてしまうと、ワンちゃんに指示の意図が正しく伝わりません。反応した直後に行動を肯定・否定することで、伝わり方が大きく変わります。たとえば、吠えている最中に声をかけると「吠える=振り向いてもらえた」と学習してしまう場合もあります。
ワンちゃんのしつけトレーニングのカギは【タイミング】が最も重要といえるでしょう。
飼い主さまがイライラしている
飼い主さまの感情はワンちゃんに伝わります。イライラしながら叱ってしまうと、恐怖や不安だけが残り、自信を無くしてしまいしつけの効果が下がる可能性があります。思うようにいかないときこそ、気持ちを整えて落ち着いたトーンで接することが効果的です。また、一歩下がって初歩的な基礎トレーニングを見直すなど叱るより褒める回数が多い順番で行っていきましょう。
家族でしつけ方がバラバラ
同じ指示でも、声のトーンや対応が家族で違うと、ワンちゃんが混乱してしまいます。家庭内で「合図」や「褒め方・叱り方」を統一することも大切です。家族でしつけの方針を話し合い、共有するだけでも効果が変わってきます。

うまくいかない時に見直したいポイント
うまくいかない時こそ、「やり方」だけでなく「環境」や「気持ち」にも目を向けてみましょう。細かな見直しが大きな変化につながることもあります。
環境を整える
トイレの失敗が多いなら、場所を変えてみる。落ち着かないなら、ケージやクレートで安心できる空間を作る。室内の音や明るさ、他のペットの存在なども影響することがあります。落ち着いて学べる空間を整えるだけでも、ワンちゃんの行動が安定するケースも多いです。
ご褒美や動機づけを変えてみる
おやつ、遊び、撫でられること…ワンちゃんによって「嬉しい」と感じることは違います。やる気が続かないなら、ご褒美の種類やタイミングを変えてみると効果的です。「成功したらすぐにご褒美がもらえる」仕組みを意識しましょう。
できていることに目を向ける
「できないこと」ばかりが目につくと、気持ちが落ち込みやすくなります。少しでもできたこと、小さな進歩を見逃さず、褒めてあげることで信頼関係が深まります。「今日はいつもより落ち着いていた」「吠えるのが減った」など、良い変化を見つける視点を大切にしましょう。
一度立ち止まってリセットする
あえてしつけをお休みして、一緒にリラックスした時間を過ごすのも効果的です。お互いの気持ちを整えることで、次のステップに前向きに進めるきっかけになります。しつけと関係のない「楽しい時間」を共有することも、絆を深める大事な要素です。

しつけがうまくいかない時の乗り越え方
しつけに行き詰まったとき、最も大切なのは「ひとりで抱え込まないこと」です。自分だけが悩んでいるように感じてしまいがちですが、実際には多くの飼い主さまが似たような壁にぶつかっています。
プロに相談してみる
信頼できるトレーナーとの出会いが、しつけに行き詰まった気持ちを救ってくれることもあります。マンツーマン指導だけでなく、グループレッスンやオンライン相談など、自分に合ったスタイルを選べます。
SNSや他の飼い主さまと比較しすぎない
SNSには成功例だけが切り取られていることが多く、現実とは異なるケースもあります。他のワンちゃんと比べるのではなく、自分たちのペースを大切にしましょう。成長には時間がかかるもの。比較ではなく「昨日の自分たち」と比べてみると、気持ちが軽くなるかもしれません。
気持ちをリセットする時間をつくる
ときにはしつけから少し距離を置いて、リラックスして一緒に過ごす時間を増やすのも有効です。「しつけなきゃ」と思いすぎると、関係自体がぎこちなくなってしまうことも。散歩や遊びの時間を通じて、笑顔を取り戻すことが次のしつけへの活力に繋がるでしょう。
まとめ
犬のしつけがうまくいかない時、それは「うまくいかせたい」と本気で思っているからこそ悩むものです。だからこそ、自分を責めすぎず、まずは原因を整理して「できること」から見直していくことが大切です。
しつけは失敗の連続。その中で学び、関係が深まり、少しずつ絆が育っていくものです。失敗するたびに成長のヒントが隠れています。すぐに結果が出なくても、「今できること」「今伝えられること」をひとつひとつ重ねていけば、きっと前に進めます。
焦らなくて大丈夫。あなたとワンちゃんの歩幅で、楽しみながら進んでいきましょう。そしていつか、「あの時、悩んだけれど諦めなくてよかった」と思える日がきっとやってきます。