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犬との防災訓練として車中泊避難を実際にしてみよう!【車中泊編】
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) その他
この記事の要点
犬との車中泊避難で守るのは3つです。①エンジンが止まった車内は犬が危険になる(JAFの実測で、外気35度・4時間で、窓を3センチ開けても車内は45度。エアコンを止めて15分で熱中症指数が危険レベル)②飼い主さま自身のエコノミークラス症候群を防ぐ(狭い座席で足を動かさず水分を取らないと血栓ができ、肺に詰まることがある)③フードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上を積む(環境省<一般飼い主編>)。環境省のガイドラインは、車の中での飼養について「飼い主はエコノミークラス症候群や熱中症に注意が必要である。ペットも熱中症になるため、ペットだけを車中に残さない」と書いています。車内では犬の居場所をクレートに決め、ドアを開けるときは必ずリードを持つ。夜は飼い主さまが足を伸ばして横になり、2〜3時間おきに犬と一緒に車から降りて歩いてください。
「避難所は犬を連れて行けないかもしれない。だったら車で寝ればいいのでは」。そう考えて調べ始めた方へ。車中泊避難は、条件がそろえば有力な選択肢です。ただし、車の中は、犬にとっても飼い主さまにとっても、過去の災害で実際に健康の被害が起きている場所でもあります。この記事は、車中泊避難を「やめておけ」とも「おすすめ」とも言わずに、実際に起きたことと、公的な資料が何と書いているかを並べ、そのうえで1泊の予行演習で確かめる手順までを書きます。
先に結論を書きます。車中泊避難で守るのは3つだけです。①エンジンが止まった車内は、犬が数十分で危険になる(JAFの実測で、外気35度・窓を3センチ開けても車内は45度)②飼い主さま自身のエコノミークラス症候群を防ぐ(狭い座席で足を動かさず、水分を取らないと血栓ができ、肺に詰まることがある)③フードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上を積んでおく。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、車の中での飼養について「飼い主はエコノミークラス症候群や熱中症に注意が必要である。ペットも熱中症になるため、ペットだけを車中に残さない」と書いています。この記事では、車中泊を選ぶ場面、車内の2つの危険、積むもの、車内の作り方、1日の回し方、やってはいけないこと、1泊の予行演習を順に書きます。備えの全体は災害から愛犬を守る準備の記事に、自宅にとどまる場合は在宅避難の記事に分けているので、ここは車の中だけに絞ります。
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子犬を見る車中泊避難を選ぶのはどんなときか|3つの避難先の比べ方
まず、車中泊は「避難所に入れなかったときの逃げ場」ではありません。環境省のガイドラインは、避難所での飼養について「避難所の管理者等は、避難所運営規定に則り、ペットの飼養方法を決定し、ペットの同行避難者に対し説明する。ペットとの同居または住み分けなどについては、各避難所のルールに従い、ペットの世話は飼い主が自ら行う」としています。つまり、ペットを連れて避難所へ行くこと自体は想定されていて、飼い方のルールが場所ごとに違う、というのが実際のところです。行ってみないと分からない、ではなく、住んでいる自治体に事前に確認しておくことが先です。
言葉も分けておきます。「同行避難」は、飼い主がペットを連れて指定緊急避難場所等まで避難する行動のことで、避難所で同じ部屋にいられることを意味しません。避難所でペットを飼養管理する状態のほうは「同伴避難」と呼ばれ、こちらも同室とは限りません。この2つを混ぜて読むと、「同行避難できます」という自治体の案内を「一緒の部屋で過ごせる」と受け取ってしまいます。
| 避難先 | 向いている場面 | いちばんの弱点 |
|---|---|---|
| 指定避難所 | 自宅が危険で、支援物資と情報がいちばん早く届く場所に居たいとき | 飼養の場所とルールが避難所ごとに違う。動物が苦手な方・アレルギーの方への配慮が要る |
| 在宅避難 | 建物の安全が確認でき、余震や浸水の危険が去っているとき | 支援物資と情報は自分で取りに行く。二次災害の危険があるときは選べない |
| 車中泊避難 | 建物の安全が確認できず、避難所の飼養環境が犬に合わないとき。犬が人や他の犬を苦手とするとき | エンジンが止まると温度を保てない。燃料が尽きる。飼い主さまの血栓の危険 |
車を選ぶ判断は、犬の側の事情だけで決めないでください。決め手になるのは「その車を止めておく場所が安全か」です。斜面の下、川や海のそば、ブロック塀や自動販売機、街路樹や電柱のそば、地下や立体の駐車場は避けます。理想は自宅の駐車場か避難所の駐車場ですが、避難所に駐車場が無いことも珍しくありません。車中泊避難ができそうな場所を、いまのうちに複数挙げて、そこまでの経路も2通り以上見ておいてください。環境省のガイドラインは、平常時にやることの中に「ペットとの同行避難も含めた避難訓練」を挙げています。
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車内の危険は2つ|犬の熱中症と、人のエコノミークラス症候群
車中泊避難について書かれたものの多くは「快適に過ごす工夫」から始まりますが、順番が逆です。過去の災害で実際に問題になったのは、この2つでした。環境省のガイドラインは、一般飼い主向けの冊子で、2004年の新潟県中越地震について「車中避難によるエコノミークラス症候群が問題となった」、2016年の熊本地震について「家屋倒壊の不安から車中やテントへの避難者が多く、エコノミークラス症候群や熱中症対策が問題となる」と書いています。同じガイドラインの本編には、東日本大震災・仙台市の事例として「犬と車中泊による避難」の欄があり、「車内のように狭い空間で長時間じっとしていると、人が『エコノミークラス症候群』になる危険性があるとともに、夏の場合は、人もペットも『熱中症』になるおそれがあるため、十分に注意が必要である」と書かれています。
犬の熱中症|窓を3センチ開けても45度になります
数字で見てください。JAFが真夏(外気35度)に4時間かけて実測した結果です。
| 車内の状態 | 最高温度 |
|---|---|
| 対策なし(黒い車) | 57度 |
| 対策なし(白い車) | 52度 |
| サンシェードを付けた | 50度 |
| 窓を3センチ開けた | 45度 |
| エアコンを作動させた | 27度 |
ダッシュボードは最高79度でした。そしてJAFは、エアコンを止めてからわずか15分で、熱中症指数が危険なレベルに達したとしたうえで、「サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない」と書いています。つまり、夏にエンジンが止まった車は、窓を開けても犬を置ける場所ではありません。「少しだけ」も「日陰だから」も通用しません。獣医師監修の資料では、熱中症の初期症状は激しいパンティング(口を開けた浅く速い呼吸)・多量のよだれ・足元のふらつきで、進むと嘔吐や下痢、舌が真っ青になるチアノーゼ、けいれん、意識の喪失に至ります。短頭種(シーズー、ペキニーズ、パグ、ブルドッグ)と肥満気味の犬は、とくに起こりやすいとされています。
飼い主さまのエコノミークラス症候群|足を動かさないと血栓ができます
こちらは人の話です。厚生労働省の解説は、「食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります」と書いています。予防としてすすめられているのは6つです。①ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う②十分にこまめに水分を取る③アルコールを控える。できれば禁煙する④ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない⑤かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする⑥眠るときは足をあげる。
犬と一緒だと、この6つが全部やりにくくなります。犬を抱えて座ったまま眠る、犬を起こしたくないので足を動かさない、トイレに行く回数を減らしたいので水を控える。犬を守ろうとして、飼い主さまが倒れるのがいちばん避けたい形です。車中泊をする夜は、水のボトルを必ず自分の手の届く場所に置き、2〜3時間おきに一度は車から降りて、犬と一緒に歩いてください。それが犬のトイレの時間にもなります。
積んでおくもの|フードと水は少なくとも5日分
環境省の一般飼い主向けのガイドラインは、備えるものを優先順位で並べています。優先順位1は「動物の健康や命に係わるもの」で、ペットフードと水は「少なくとも5日分[できれば7日分以上]」と書かれています。3日分ではありません。理由は同じ冊子に書かれていて、「大規模な災害では、行政機関などの公的機関による支援がはじまるまでの間、自助や共助により乗り越えなければなりません」。
| 優先順位 | 中身 | 車中泊で足すもの |
|---|---|---|
| 1(命に係わる) | 療法食・薬/フードと水(5日分・できれば7日分以上)/キャリーバッグやケージ/予備の首輪とリード(伸びないもの)/ペットシーツ/排泄物の処理用具/トイレ用品/食器 | 停電でも使える電源、保冷剤とクーラーボックス、水を入れる折りたたみの器 |
| 2(情報) | 飼い主の連絡先とペットの情報/ペットの写真(飼い主と一緒に写っているもの)/ワクチンの接種状況・持病・かかりつけの動物病院 | 紙で1部(スマートフォンの電池が切れても読める形で) |
| 3(あると助かる) | タオル、ブラシ、ウェットティッシュ、ビニール袋、洗濯ネット、いつものおもちゃや敷物 | 窓を隠す布かシェード、網戸かネット(虫よけ)、車内で使える小さな扇風機 |
所有者明示は、災害のときに最も効きます。環境省のガイドラインは「迷子札やマイクロチップなどの所有者明示が不十分だと、行方不明になったペットが保護されても、飼い主の元に戻れる確率がかなり低くなる」と書いています。マイクロチップは入っているだけでは足りず、登録されている連絡先が今の番号かどうかが本体です。引っ越しや電話番号の変更があったなら、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」で登録事項の変更をしておいてください。狂犬病予防注射済票と犬鑑札は、首輪に付けておくのがいちばん確実です。
電源は、車中泊避難でいちばん差が出るところです。エンジンをかけ続けられない前提で、夏なら扇風機、冬なら毛布と湯たんぽ、そして携帯電話の充電を、車のバッテリーに頼らず用意しておくと、判断に余裕が生まれます。
冷やす手立ても、犬にとっては命に関わります。保冷剤と、それを溶けたままにしない入れ物があるかどうかで、夏の車内の持ち時間が変わります。
車内の作り方|犬の居場所・脱走の防ぎ方・換気
車中泊で最初に決めるのは、犬の居場所を「そこ」と決めてしまうことです。自由に動ける状態にすると、ドアが開いた瞬間に飛び出します。災害のときの脱走は、そのまま行方不明につながります。
- クレートかキャリーを1つ置く……環境省のガイドラインは、災害に備えたしつけとして「ケージ等の中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」ことを挙げています。車の中でも、そこが犬の部屋になります
- クレートを固定する……走行中だけでなく、停車中も。余震で滑ると、中の犬が転がります
- ドアを開けるときは必ずリードを持つ……環境省の避難用品の例にも「首輪とリード(小型犬などはリードを付けた上でキャリーバックに入れる)」とあります。二重にしておくのが災害時の形です
- 窓を隠す……外から見えないだけで、犬は落ち着きます。人の出入りに反応して吠える回数も減ります
- 換気の道を2か所つくる……対角の窓を少し開け、網戸かネットを掛けます。1か所だけでは空気が動きません
- 水は倒れない器で……走行中と就寝中はしまい、決めた時間に出す形が現実的です
寝床は、犬と人で分けてください。同じ場所で寝ると、寝返りのたびに犬が起き、人も足を伸ばせなくなります。足を伸ばせないことは、そのままエコノミークラス症候群の危険です。後部座席をフラットにできる車なら人が伸びて寝られる側を確保し、犬はクレートで足元か助手席側に。軽自動車でも、人が1人だけ伸びて寝られる形を先に決めてしまえば、交代で休めます。
1日の回し方|トイレ・水・ごみ・夜の温度
車中泊避難は「寝る」ことよりも、同じことを毎日くり返せるかどうかで決まります。1日の形を先に決めておくと、犬も落ち着きます。
| 時間 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 朝 | 車から降りて歩く。排泄。水とフード。車内の温度を確認 | 朝のうちに済ませる。日が上がってからでは暑い |
| 日中 | 犬を乗せたまま車を離れない。用事があるときは犬も連れて降りる | 環境省:ペットだけを車中に残さない。長時間離れるときは別の安全な場所へ移す |
| 夕方 | 2回目の散歩と排泄。水の入れ替え。ごみをまとめる | 気温が下がってから。アスファルトの熱は肉球をやけどさせます |
| 夜 | 寝る前に排泄。窓を対角に少し開ける。飼い主さまは足を伸ばして横になる | 夜中に起こす回数を減らす。血栓を防ぐのは「足を伸ばして寝る」ことです |
| 夜中 | 2〜3時間おきに一度は車から降りて歩く(犬も一緒に) | 厚労省:軽い体操、かかとの上げ下ろし、こまめな水分 |
排泄物は、車中泊避難でいちばん早く行き詰まるところです。災害のあとはごみの回収が止まり、避難所のごみ置き場も一定期間は使えないことがあります。犬の排泄物は当面すべて自分で持っておく前提で用意してください。車内に置けば臭いがこもり、外に出せば周りの方の迷惑になります。防臭の袋に入れ、さらに密閉できる箱に入れて、車の外の日陰(トランクの外側や、車の下ではない場所)に置くのが現実的です。
食器が洗えないときは、器にラップを敷いてフードを出し、使ったラップだけを捨てます。水は、口をつけた分がそのまま無駄にならないよう、少量ずつ足してください。
やってはいけないこと|犬だけを残す・眠ったままのアイドリング
- 犬だけを車に残す……環境省のガイドラインの記述そのままです。「ペットだけを車中に残さない。やむを得ず残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく。また長時間車から離れる場合には、ペットを放置せずに別の安全な場所に移動する」
- 窓を開けたから大丈夫と考える……JAFの実測では、窓を3センチ開けても車内は45度でした
- エンジンをかけたまま眠る……とくに雪の季節です。JAFが雪に埋まった車で実測したところ、対策をしない車の車内は、16分で「短時間なら耐えられる上限」とされる濃度に達し、その6分後には検知器の測定上限を振り切りました。窓を5センチ開けたケースでも、約40分後に同じ上限の濃度まで上がり、その後すぐ倍近くになっています。マフラーの周りを除雪した車ではほとんど検知されませんでした。床下に溜まった排ガスが車内に吸い込まれるため、エアコンを内気循環にしても車体の隙間から入ります。燃料も減ります。眠る前にエンジンは止めてください
- 犬を抱えたまま座って眠る……足を動かせない姿勢が続くことが、血栓のいちばんの条件です
- 水分を控える……トイレの回数を減らすために水を飲まないのは、厚労省の予防の6つと正面から逆です
- 犬の様子を見ないで判断する……パンティングが止まらない、よだれが多い、足元がふらつく。1つでも出たら涼しい場所へ移し、動物病院へ
- ここでいいだろうで停める……斜面の下、川や海のそば、塀や自動販売機のそば、地下や立体の駐車場は避けます
予行演習のやり方|1泊で確かめる6つ
ここまでを読んで「うちの車でできるのか」が分からないままなら、1泊だけ試してください。環境省のガイドラインも、平常時にやることとして「ペットとの同行避難も含めた避難訓練」を挙げています。安全な場所(自宅の駐車場でも構いません)で、災害の日と同じ条件にして1泊する。それだけで、当日に迷う項目がほとんど消えます。確かめるのは6つです。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| ①犬がその場所で眠れるか | クレートに入って落ち着けるか。夜中に何回起きたか。朝、体調に変わりがないか |
| ②人が足を伸ばして眠れるか | 翌朝の腰と脚。伸ばせない形なら、座席の使い方かクッションで直す |
| ③エンジンを切って何時間もつか | その季節の車内温度。犬が暑がる・寒がるまでの時間を測る(無理はしない) |
| ④排泄とごみが回るか | どこで排泄させ、どこに保管したか。臭いは漏れなかったか |
| ⑤持ち物が足りたか・多すぎたか | 使わなかったものを外し、足りなかったものを書き足す |
| ⑥出入りで脱走しかけなかったか | ドアを開ける手順。リードを持つ順番。二重にできていたか |
1泊の前に、犬の側の準備も見ておいてください。環境省のガイドラインは、避難所でのペットの飼養に必要なこととして「人や他の動物を怖がったり、むやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバックに慣れていること、決められた場所で排泄ができること」を挙げています。この3つは車中泊でもそのまま要ります。クレートに入るのを嫌がる、外の音のたびに吠える、ペットシーツで排泄できない——どれも、いまから練習できることです。進め方は災害時に役立つトレーニングの記事に、旅行で慣らす形は防災の意識を持ったお出かけの記事にまとめています。
フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「クレートに入れない」「車に乗ると鳴き続ける」「知らない場所で排泄できない」は、災害の日に効いてくる課題です。いまどの段階かをお伝えいただければ、専門トレーナーのトレーナーダイヤルで次にやることをお伝えします。
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犬の飼い方|初心者が迎える前に知ること・手続き・最初の1週間
よくある質問
犬と車中泊で避難してもいいのですか?
条件がそろえば選択肢のひとつです。ただし、避難所に入れないから車、という順番では考えないでください。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、避難所での飼養について「避難所の管理者等は、避難所運営規定に則り、ペットの飼養方法を決定し、ペットの同行避難者に対し説明する。ペットとの同居または住み分けなどについては、各避難所のルールに従い、ペットの世話は飼い主が自ら行う」としています。ペットを連れて避難すること自体は想定されていて、飼い方のルールが場所ごとに違う、というのが実際のところです。まず住んでいる自治体に確認してください。そのうえで、建物の安全が確認できない、避難所の飼養環境が犬に合わない、といったときに車を選びます。車を止める場所は、斜面の下、川や海のそば、ブロック塀や自動販売機のそば、地下や立体の駐車場を避けてください。
「同行避難」と「同伴避難」はどう違うのですか?
同行避難は、飼い主がペットを連れて指定緊急避難場所等まで避難するという「行動」を指します。環境省のガイドラインは、これが「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」と明記しています。一方、同伴避難は避難所でペットを飼養管理する「状態」のことで、こちらも同室とは限らず、「ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意が必要」とされています。つまり、自治体の案内に「同行避難できます」と書いてあっても、同じ部屋で過ごせるとは限りません。ここを取り違えたまま当日を迎えると、避難所に着いてから車に戻ることになります。事前に、自分の避難所がどの形なのかを確認しておいてください。
車の中に犬を残してもいいですか?
残さないでください。環境省のガイドラインは、車の中での飼養について「飼い主はエコノミークラス症候群や熱中症に注意が必要である。ペットも熱中症になるため、ペットだけを車中に残さない。やむを得ず残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく。また長時間車から離れる場合には、ペットを放置せずに別の安全な場所に移動する」と書いています。数字で見ると、JAFが外気35度・4時間で実測した車内の最高温度は、対策なしの黒い車で57度、白い車で52度、サンシェードを付けて50度、窓を3センチ開けて45度、エアコン作動で27度でした。ダッシュボードは79度です。JAFは、エアコンを止めてからわずか15分で熱中症指数が危険なレベルに達したとし、「サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない」としています。
車中泊で飼い主が気をつけることは何ですか?
エコノミークラス症候群です。過去の災害で実際に問題になっていて、環境省の一般飼い主向けの冊子は、2004年の新潟県中越地震について「車中避難によるエコノミークラス症候群が問題となった」、2016年の熊本地震について「家屋倒壊の不安から車中やテントへの避難者が多く、エコノミークラス症候群や熱中症対策が問題となる」と書いています。厚生労働省の解説では、食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと血行不良が起こり、できた血栓が肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。予防は6つ。①ときどき軽い体操やストレッチ②こまめに水分を取る③アルコールを控える。できれば禁煙④ゆったりした服装でベルトをきつく締めない⑤かかとの上げ下ろしやふくらはぎをもむ⑥眠るときは足をあげる。犬を抱えて座ったまま眠る、トイレを減らすために水を控える、はどれも逆です。
犬用に何を積んでおけばいいですか?
環境省の一般飼い主向けのガイドラインが、優先順位で並べています。優先順位1(動物の健康や命に係わるもの)は、療法食と薬、ペットフードと水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)、キャリーバッグやケージ、予備の首輪とリード(伸びないもの)、ペットシーツ、排泄物の処理用具、トイレ用品、食器。優先順位2は情報で、飼い主の連絡先とペットの情報、ペットの写真、ワクチンの接種状況や持病、かかりつけの動物病院。3日分ではなく5日分なのは、同じ冊子が「大規模な災害では、行政機関などの公的機関による支援がはじまるまでの間、自助や共助により乗り越えなければなりません」と書いているためです。車中泊ではこれに加えて、停電でも使える電源、保冷剤、水を入れる折りたたみの器、窓を隠す布、網戸かネットがあると回ります。
車内で犬をどこに置けばいいですか?
クレートかキャリーを1つ置いて、そこを犬の場所と決めてしまってください。自由に動ける状態にすると、ドアが開いた瞬間に飛び出します。災害のときの脱走は、そのまま行方不明につながります。環境省のガイドラインは、災害に備えたしつけとして「ケージ等の中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」ことを挙げ、避難用品の例にも「首輪とリード(小型犬などはリードを付けた上でキャリーバックに入れる)」とあります。クレートは走行中だけでなく停車中も固定してください。余震で滑ると中の犬が転がります。窓は布で隠すと、外の人の出入りに反応して吠える回数が減ります。換気は対角の2か所を少し開け、網戸かネットを掛けます。1か所だけでは空気が動きません。寝床は犬と人で分け、人が足を伸ばして眠れる側を先に確保してください。
排泄物とごみはどうすればいいですか?
当面すべて自分で持っておく前提で用意してください。災害のあとはごみの回収が止まり、避難所のごみ置き場も一定期間は使えないことがあります。車内に置けば臭いがこもり、外に出せば周りの方の迷惑になります。防臭の袋に入れ、さらに密閉できる箱に入れて、車の外の日陰に置くのが現実的です。排泄そのものは、朝と夕方に車から降りて済ませる形にすると回ります。夕方以降にするのは、高温のアスファルトが肉球をやけどさせることがあるためです。食器が洗えないときは、器にラップを敷いてフードを出し、使ったラップだけを捨ててください。水は、口をつけた分が無駄にならないよう少量ずつ足します。
車中泊避難の練習は、どうやればいいですか?
安全な場所(自宅の駐車場でも構いません)で、1泊だけ、災害の日と同じ条件にして過ごしてください。環境省のガイドラインも、平常時にやることとして「ペットとの同行避難も含めた避難訓練」を挙げています。確かめるのは6つです。①犬がその場所で眠れるか(クレートで落ち着けるか、夜中に何回起きたか、朝の体調)②人が足を伸ばして眠れるか(翌朝の腰と脚)③エンジンを切って何時間もつか(その季節の車内温度。無理はしない)④排泄とごみが回るか(どこで排泄させ、どこに保管したか、臭いは漏れなかったか)⑤持ち物が足りたか・多すぎたか⑥出入りで脱走しかけなかったか(ドアを開ける手順、リードを持つ順番)。犬の側の準備も見てください。環境省は避難所での飼養に必要なこととして「人や他の動物を怖がったり、むやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバックに慣れていること、決められた場所で排泄ができること」を挙げていて、この3つは車中泊でもそのまま要ります。
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まとめ
犬との車中泊避難は、条件がそろえば選択肢のひとつです。ただし避難所に入れないから車、という順番では考えないでください。環境省のガイドラインは、ペットを連れて避難すること自体を想定していて、飼い方のルールが避難所ごとに違うとしています。まず自治体に確認してください。「同行避難」は連れて避難する行動で、同じ部屋にいられることを意味しません。避難所で飼養する状態は「同伴避難」で、こちらも同室とは限りません。車内の危険は2つ。犬の熱中症と、飼い主さまのエコノミークラス症候群です。JAFの実測では、外気35度・4時間で、窓を3センチ開けても車内は45度、エアコンを止めて15分で熱中症指数が危険なレベルに達しました。環境省は「ペットだけを車中に残さない。やむを得ず残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく」と書いています。飼い主さま側は、狭い座席で足を動かさず水分を取らないと血栓ができます。予防は、軽い体操、こまめな水分、足を伸ばして眠ること。犬を抱えて座ったまま眠らないでください。積むものは、療法食と薬、フードと水(少なくとも5日分・できれば7日分以上)、キャリーやケージ、予備の首輪とリード、ペットシーツ、排泄物の処理用具、食器、そして飼い主の連絡先と犬の情報を紙で1部。車内では犬の居場所をクレートに決めて固定し、ドアを開けるときは必ずリードを持ち、換気は対角の2か所。寝床は犬と人で分けます。排泄物は当面すべて自分で持っておく前提で、防臭の袋と密閉できる箱を用意してください。最後に、安全な場所で1泊だけ予行演習をしてください。眠れるか、足を伸ばせるか、エンジンを切って何時間もつか、排泄とごみが回るか、持ち物は足りたか、脱走しかけなかったか。この6つが分かれば、当日に迷うことはほとんど無くなります。
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