フローエンスメディアライター 大久保 祐太

しつけやトレーニングに関する記事を弊社ドッグトレーナーを通し、分かりやすく実践しやすい記事を発信します。
また、私自身がしつけに大きく悩んだ経験があるため、飼い主様にできる限り寄り添える記事を目指します!

犬歴

  • ゴールデンレトリーバー
  • ミニチュアダックスフンド
  • オーストラリアンキャトルドッグ

資格

  • ペット災害危機管理士2級 講師
  • 家庭動物管理士
  • ペット防災生活アドバイザー
  • ペット・トラベルアドバイザー

犬との防災訓練として車中泊避難を実際にしてみよう!【車中泊編】

防災 その他
犬と車中泊避難

災害時に自宅避難ができれば飼い主さまとしては一番安心できると思いますが、困難な場合は車中泊避難も選択肢の一つとして意識しておくことをおすすめします。

避難所の多くは人命が優先であり、ペットを収容できるスペースの確保が難しい現状です。ペットと一緒に避難生活を送れる施設や少し離れた場所でも同じ建物や敷地に避難できるところも実際にあるものの圧倒的に足りておらず、ペットを飼育する飼い主さまは【災害難民】となってしまうケースが多いのが現実です。

そのため、車を所有している飼い主さまであれば車中泊避難(安全が確保されている場合)という選択肢を選ぶことができ、プライベートや他の避難者の方へ気を使わず過ごせるメリットもあるので是非一度体験してほしいと思います。

車中避難のメリット・デメリット

本記事を執筆担当している私は【ペット災害危機管理士】という資格を持っており、ペットとの災害時における避難や防災について日々勉強しているため、実際に愛犬や家族を連れて車中泊を年間で何泊もしています。

そのため、ペット災害危機管理士として、車中泊経験者としてメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。

是非参考にしてください。

メリット

1、プライベート空間の確保
車中泊での最大のメリットはプライベート空間の確保ができることです。

私は大きな災害での避難所を見てきた経験から避難所でのプライベート空間の確保は難しい現実を目の当たりにしてきました。

現在では、災害意識が高くなり避難用具なども見直されてきたものの、完全なるプライベートの確保は難しいのが現実です。

安全が確保された状態であれば車中泊では完全個室を実現できるため、睡眠や着替えなど気にせずすることができ心の休まる場所として重宝されるでしょう。

また、ワンちゃんの性格にもよりますが人や他のワンちゃんが苦手で吠えてしまう、飼い主さまと離れると不安になるといった子も少なくないと思います。

そういった方には車中泊避難がおすすめです。

2、トラブル防止対策
トラブル防止対策として重要な役目を担ってくれる車中泊避難もメリットの一つと言えるでしょう。
避難所ではペットが嫌いな方も滞在しますし、普段ペット好きな方でも避難生活のストレスにより吠えがうるさいと感じてしまうようになる方も多くいらっしゃいます。また、災害時においてペットの優先度は低く、立場も低くなります。

完璧にしつけが入っているお利口さんなワンちゃんであっても「抜け毛がすごい」「獣臭がする」「息がうるさい(パンティング)」と苦情が寄せられることも珍しくなく、どんな理由であれペットが優先されることはないと思っておきましょう。

【飼い主】としてそのような苦情を聞かされたら同じ避難者として悲しくなりますし、どうしたらいいのと心が折れてしまう可能性もあるかもしれません。

そういった場合に車中泊であれば何も気にせず過ごすことができるため、災害以外の心配をせずに過ごすことができます。

災害時では様々な精神ストレスを抱えるため、出来るだけ避けられるストレスは避けた方が賢明でしょう。

3、温度管理ができる
このケースはエンジンが掛けられる場所であることや他の方に迷惑にならない時間帯、また燃料の有無にもより絶対可能とは断言できませんが、一つとして紹介させて頂きます。

上記の問題を全てクリアした場合でお話を進めますが、冬場の災害であれば毛布や洋服で暖を取ることができ、ワンちゃんの体調が崩れるほどの心配は家族で車中泊する場合はあまり心配はいりませんが、夏場の時期ではそうはいきません。

近年の夏の気温は危険過ぎるほどに暑く湿気もあり体調を崩しやすいです。

特にワンちゃんは毛があり体温調整が人間ほど簡単にはできないため、夏バテや脱水症状に陥ってしまう危険性も高くなります。

ワンちゃんの避難所でエアコンの効いた部屋を用意してあれば幸運ですが、そうでなければケージやクレートでの避難はワンちゃんにとって、とても過酷な空間となります。

そのため、エアコンが使える車であれば熱中症や脱水症状といった危険なリスクを回避することができるのでおすすめです。

デメリット

1、空間の限界がある
所有している車によって差が生じてしまうのが車中泊でのデメリットとなります。

大きな車であればワンちゃんとご家族で過ごしてもそれほどストレスにならない空間が確保されると思いますが、軽自動車やセダンタイプの車であれば車中泊のイメージは言うまでもありません。

しかし、ワンちゃんとご家族の誰か一人での使用やワンちゃんだけ車(熱中症対策はマスト)で過ごすなどすれば、車のサイズ感による差は解消できます。

災害時に向けて車を替えるのは、負担が大きすぎるため現状をどう最大限に活かせるかがデメリット解消のキーポイントとなるでしょう。

2、快適性は事前準備が必要
1、に関係することですが、大きな車であってもそれだけでは快適性は見込めません。

仮眠程度で横になるにはストレスを感じないと思いますが、1週間単位で過ごすとなるとフラットにならないリクライニングシートでは疲れも取れませんし、余計に疲れてしまう可能性も十分に考えられます。

反対に軽自動車であっても、車中泊仕様のアイテムを揃えていれば快適性は申し分なく睡眠時間もしっかりと確保できるでしょう。

このように、乗っている車の差もありますが実はアイテムを揃えるなどの【事前準備】が最も重要なのです。

例えば、リクライニングシートの段差が気になる場合はクッションなどを用意しておく、車内の中が外から見られるのは嫌だという場合は窓にフィルムを貼ったりカーテンなどの準備しておくといった日常生活であっても困らないモノを揃えておくだけで快適性は向上します。

うちは大きな車だから心配ない、うちは軽だから車中泊はできない、といった過信や諦めは後悔への一歩となるため、前向きに快適性を向上させる方法を試してみましょう。

3、燃料が尽きる
車中泊でのデメリットの中でも、どうすることもできない問題が燃料の有無です。

エンジンをかけることが出来れば温度調整や携帯の充電など助かる機能がある反面、エンジンがつかなければ機能面での期待はできません。

また、冬場であれば洋服や毛布などでカバーできるためプライベート空間として利用できますが、夏場であれば大変危険な空間となります。

ポータブル電源を所有しておくなど対策はできますが、災害時の燃料の確保は難しいと思っておきましょう。

その理由として、復旧車両や発電機などに優先的に配給されるだけでなくガソリンスタンドの倒壊や通行不可などの可能性も十分に考えられます。

事前準備が大事

犬の防災

車中泊避難の快適性を高めるには事前準備が大事だとお伝えしましたが、もっと必要な事前準備があります。下記ではそれらをまとめていますので、是非参考にしてください。

また、これらの事前準備をした上で、快適性を高める事前準備をするとより効果的に向上させることができるため、少し細かくご紹介していきます。

車中泊の限界を知る

1、寝心地
まずは、車中泊を実際に行うことで得られる経験としては、寝心地です。

リクライニングシートを倒しただけでどこまで寝れるのか、翌朝の身体に不調はないか、家族全員寝ることができるのか、ワンちゃんの居場所はちゃんと確保されているかなどを実際に体験して確認してみましょう。

もし連泊が可能な場合は、オートキャンプ場などでテント泊と車中泊を同時に体験するプランはおすすめです。

2、エンジン無し
時期にもよりますが、エンジンをかけないで過ごしてみましょう。
※無理はしないように注意しましょう。

エンジンをかけずに過ごすと「窓やドアを開けて換気するには虫が入ってくるから網戸やネットが必要かな」「充電できないからバッテリーが必要かな」「ワンちゃんにとっての快適温度になってるかな?」などエンジンがかからないことを想定して過ごすと、また違った視点で車中泊避難のイメージが湧くと思います。

ワンちゃんの体温は人間より高いため、過ごしやすい気温でも案外車内は暑くなることもあるので体験してみないと分からないことは沢山あるはずです。

3、ワンちゃんの体調面や安全性・居住性の確認
ワンちゃんとの避難を目的としているため、この事前準備が最も重要となります。
車の中であっても避難しているため、持ち物には限りがあり精神的にも辛いはずです。
その中でも家族であるワンちゃんを守れるようにするには、経験が大切だと思います。

窓やドアを開けた瞬間の脱走のリスク、寝る場所が確保出来ずにずっとクレートの中、普段慣れていない車での泊まりで体調を崩さないか、など挙げたら沢山問題は出てくるはずでしょう。

車中泊出来る避難先をリストアップしておく

初めて車中泊避難の予行練習をする際は行ってみたかった場所や気になるところでも構いませんが、慣れてきたり車中泊避難のイメージができた際は近場の【車中泊避難が出来る場所】をリストアップしておくことをおすすめします。

災害時に避難所として使用していいのか、その場所まで災害時でも向かえるルートの複数パターンの確保、その場所は避難先として次なる被害は起きないか、ワンちゃんは大丈夫なのか、など事前に調べておいて損はないでしょう。

理想は自宅の駐車場や避難所の駐車場などですが、自宅は難しく近所の避難所は駐車場はないケースも想定すると少しでも可能性を広げるためにリストアップしておくともしもの際に救われる可能性も高くなります。

どれくらいの物資が必要か知る

事前準備では実際に体験して、何が必要か何が不要か、何が少なくて何が多かったか、持って行けるモノも限られてしまうため、精査する必要があります。

車であれば、歩いて避難することに比べれば多少多くても問題はありませんがちゃんと考えて用意しておいた方がいいでしょう。

また、ワンちゃん用のご飯や水をあげるお皿なども洗えない環境だった場合、衛生面で不安になることもあるかと思います。その場合はお皿にサランラップを敷いてご飯をあげるなど方法は沢山あると思いますが、飼い主さまが一番やりやすい方法を選択しましょう。

例えば小分けにした際の袋のままあげるのもいいと思います。

車中避難の注意点

車中泊避難はおすすめとお伝えしていますが、本当に注意しておかないといけないポイントがあります。人間は言葉を話せるため、具合が悪かったり辛かった時は誰かに助けを求めることもできるでしょう。

しかし、ワンちゃんは言葉で伝えることもできず、側にいるのは飼い主さまだけになります。そのため、小さな変化を見逃さないことやリスクは避ける、手厚いフォローなどが必要となるでしょう。

下記の2つのポイントは特に注意しておきましょう。

熱中症

エンジンをかけていない時の車内は数分で意識が飛んでしまうほど暑くなります。
ワンちゃんは自らカギを開けることができないため、車内では人間の子供と同じくらい気にかけておく必要があります。

また、車の中だけでなく自宅以外の場所で過ごす場所、日陰であっても気温は高く身体を冷やせる場所がないなど、夏場であれば一歩外へ出たら危険は潜んでいると思っておきましょう。

ワンちゃんのトイレ

ワンちゃんのトイレ問題は必ず考えておく必要があります。

ちゃんとトイレに行く時間を作ってあげることや、スペースを確保してあげることも重要ですが、捨てる場所の確保も必要となります。

災害時はゴミ回収車が来れない可能性も高く、ゴミ問題は必ず発生するのでワンちゃんの排泄物をどう処理するかも考えておきましょう。

避難所でもゴミ捨て場の設置はありますが、一定期間はワンちゃんの排泄物は各自で管理しないといけません。その際、車の中で保管していたら臭いは発生しますし、外に置いていては周りの方にも迷惑をかけてしまうので一時保管場所のことも考えておきましょう。

例えば、臭い漏れを防ぐうんち袋を使う、密封できる袋を使う、密封率の高い箱を用意しておくなどがおすすめです。

車中避難を少しでも良くするアイテム

1、うんち袋
・防臭力が高く中身も見えない
・災害時ではワンちゃん以外にも使える

2、ゴミ箱(排泄物をまとておく用)
・ゴミ箱と使用する前はワンちゃんのトイレ一式はこの中で保管しておくのがおすすめ
・車の外で置いておいても臭いが漏れることはほとんどない(防臭袋使用時)

3、ポータブル電源
・エンジンをかけてシガーソケットで充電ができる
・ソーラーパネルがあれば安心

※実際に私が使用しているものですが、容量などは各自で最適なサイズがあると思います。
大きければいいというわけではありませんが組み合わせをどうするかを決めてから検討しましょう。

4、ポータブル冷蔵庫
・ポータブル電源との組み合わせで最適
・夏場でもしっかりと冷える
※こちらも私が実際に使用しているものですが、シガーソケットで使用することもできポータブル電源からも使用できます。冷やせることで人間も体調管理できるだけでなくワンちゃんにも冷たいモノをあげることができます。

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