家族の中でもワンちゃんが噛む人と噛まない人を分けていることはありませんか?
実は「噛み」に関しての相談件数の中でも「子供にだけ噛むんです」「お母さんにだけ噛みます」といった内容は多数のお問い合わせがあるケースです。今回は家族内でも噛む人と噛まない人をどうして分けてしまうようになったのか、どうしたら改善できるのかを詳しく解説していきます。是非参考にしてください。
家族内で噛まれる人と噛まれない人がいるのはなぜ?
実際にワンちゃんは噛んでいい人と悪い人を見分けています。攻撃的で誰にでも噛みにいってしまう場合は別の問題となりますので今回は攻撃的な例を除き解説したいと思いますが、分けてしまうようになった理由をまずはご紹介していきます。
また、合わせて相談件数も多い「お母さんだけ」「こどもだけ」についても解説していきます。
噛んでいい人悪い人を分けている
まず初めに、ワンちゃんは噛んでいい人と悪い人を見分けていることを理解しましょう。
その理由とは「嫌いだから」「下に見ているから」というネガティブなイメージではなく、噛んだ際の反応が良くて【良いイメージ】を持っていることが多いです。その他の例も含め3つ主なケースをご紹介します。
1、噛んだことで【報酬】があった経験がある
この場合の報酬とは飼い主さまを噛んだ際に「いたい!」と声をあげたり、お子様が「噛んでくるー!」と大きな声で走って逃げるなど、悪いことではなく遊んでくれてるのか!噛むとこんなに反応してくれるのか!と嬉しくなることを指します。
この場合は「痛い」といっても遊びの合図だと勘違いしていることがあるので、噛んだらしっかりと叱り構ってあげないなどきちんとダメなことはダメだということを学ばせる必要があるでしょう。
2、日常的に噛むことを許している
ワンちゃんが遊びの際に噛んでしまった時に叱る日もあれば、叱らない日もある場合は要注意です。その理由は二つあり噛んだらダメということを認識していない場合と噛んでストレス発散している子に関しては噛んでいい時のいい方を選んでしまうため「たまに叱られるけど噛んでも良いんだ」と誤認識していることがあります。
この場合の対策としてはご家族内での噛んだ際には叱ることを徹底しましょう。
3、コミュニケーション不足
最後に考えられるケースはコミュニケーション不足によるものです。
ワンちゃんの性格にも差はありますが、飼い主さまとのコミュニケーションを必要として寂しく、構ってほしくて噛んでしまうこともあります。
例え叱られても、悪いと分かっていても噛むことで飼い主さまが反応してくれる、触ってもらえると噛んで気を引こうとします。
この場合は寂しい思いをさせないように日常的にコミュニケーションをとり、ダメなことはダメ、良いことは沢山褒めてあげましょう。
お母さんだけ噛まれる
このケースで一番多い原因はお母さんが叱る専門の人になっている場合です。
噛むようになった原因や時期によって変わりますが、自己防衛で噛んでみた結果お母さんが叱らなくなった=成功体験となり噛むようになるケースです。
しかし、お父さんが叱る担当だというご家庭では、お父さんは身体も大きく声も低く圧があり勝てないと分かるとお父さんは噛んだら叱られるから噛まない、でも他の人は怖くないから噛んじゃおうと思ってしまうケースもあるため断言はできません。
基本的には、ワンちゃんはデメリットの大きいコト・ヒトには無理はしません。
子供だけ噛まれる
小さなお子様に多いケースですが、大人に比べるとリアクションも大きく動きも細かく早いため、狩猟本能が刺激される場合やお子様から叱られることがないため遊び相手となってしまい噛んでしまうことがあります。
また、大人は噛んだらダメだと理解していてもなぜか子供だけは噛んでしまうケースでお子様の手をおもちゃと勘違いしている例もあります。
正確にいうと【手】と認識出来ずに一緒におもちゃで遊んでいる時に手遊びに夢中になり「おもちゃより細かな動きをするこれはなんだ?」と口の中に入れて確認している可能性もあります。
補足ですが、
一緒に遊んで構む場合は【興奮】
近寄って噛む場合は【警戒】
の場合が多いので是非参考にしてみてください。
噛まれるタイミングとシチュエーション
続いては噛んでくるタイミングやシチュエーションについて解説していきたいと思います。
主に興奮してしまうことで噛んでしまうケースが多いのですが、その他の理由も考えられるため該当する方は参考にして頂けると嬉しいです。
動くと噛む
一緒にソファーでテレビを見ていたのに立ち上がったら急に噛んできた、など飼い主さまが動くと噛んでくる場合はワンちゃんの支配力による手段の一つとして噛む場合があります。
「動かないで」「離れないで」といった甘えの限度を超えた表現の一つですが、危険のためダメなことはダメだと覚えてもらいましょう。
特定の人が動いたり近づいてきた時に噛んでくる場合はその人に対して悪いイメージを持っている可能性が高いです。過去に嫌なことをされた場合は吠えたり噛んだりして自己防衛を働かすことがあります。
殴ってしまい痛い思いさせたなど、大きなイメージを想像してしまうかもしれませんが、その人がいきなり掃除機をかけて怖い思いをした、急に大きな声を出したことがトラウマになっている、大きなくしゃみをして驚いたなど小さな出来事で悪意がないことであっても、ワンちゃんにとって怖い思い出であれば警戒してしまう対象となってしまうでしょう。
ケージから出すと噛む
このケースで多いのが、日中お留守番をしており飼い主さまが帰宅後にケージから出してあげた際に噛まれてしまうケースです。
飼い主さまに会えたことや出れたことの喜びが大きくなり、感情がコントロール出来ず目の前のもの口についたものをとりあえず噛んでしまいます。この場合は、手ではなく足元や裾などが多い傾向にあります。
出れた際の喜びの手段の一つとなり、吠えや飛びつき、噛みなど様々ですが、
それと同時に遊びのスタートの合図になっている可能性もあります。
例えば、ケージから出てすぐ飼い主さまが「ただいまー!」と抱っこしてあげたりワンちゃんにとって嬉しいことがある場合はワンちゃんが落ち着いてから触れ合うようにしましょう。
興奮すると噛む
全てのケースに共通するのが【興奮】です。
嬉しい楽しいが勝ることで感情のコントロールが上手く出来ずに【噛み】という手段を使って表現しているため、まずは興奮させないことが重要です。
また、興奮してしまっても「座れ」などのコマンドを使い飼い主さまの指示を聞けるように感情のコントロールができるようにトレーニングすることも効果的です。
噛む部位によって意味がある?
ワンちゃんが噛んでくる部位によって意味があるのかを解説したいと思います。
相談の中でも「手だけ噛んでくる」「毎回足元を噛んでくる」といったようにワンちゃんによって噛む部位が決まっているケースも少なくありません。今回は相談件数で最も多い3つの部位を解説します。
1、手
→手ばかりを噛んでしまう子は手を狙っているのではなく、遊びの延長になっていることが多いです。例えば、手を素早く動かして身体を触ったり、引っ張り合うおもちゃなどで遊んでいる場合、手もおもちゃの一つになっている可能性があります。
おもちゃは噛んで良いものと認識しているので、遊びに夢中になり手とおもちゃの区別がつかない、もしくは故意的でなく勢い余って手まで噛んでしまったというケースが多いでしょう。
また、手は人間が一番使う部位であり撫でる際も必ず手を使うと思いますが、その時に噛んでしまった際、飼い主さまの反応が良かったため、わざと噛んでいることもあります。
ワンちゃんにとって人間の「痛い!」という反応は「良いリアクションだ!遊んでくれてるのかな?」という間違った認識をしてしまうことがあるので、ダメなことはダメときちんと叱ることが重要です。
2、足
→足元を噛んでしまう子の場合も手と同様に飼い主さまの反応が良く習慣ついてしまっている可能性が高いです。また、スカートや裾が広がっている洋服などはヒラヒラして気になって噛んでいることもあります。
また、足を狙っているわけではなく、単純に飼い主さまとの身長差で目の前に足があるから(足しか届くところがない)噛んでしまっている可能性が十分に考えられるでしょう。
牧羊犬などは足元を噛んで羊や牛の向きを変えたり進行させることがありますが、そういった訓練をしている【噛む】行動のため、足を噛まれたからワンちゃんが飼い主さまを支配しようとしているということにはならないので心配は不要です。
3、顔
→遊んでいる時やテレビを一緒に見ている時などに「顔に向かって噛んできた」といった相談もあります。この場合の多くは愛情表現の一つで顔をペロペロと舐めてくる行為の延長です。
嬉しいや飼い主さまが好きすぎるあまり、力加減が分からずぶつかってしまったことで噛んできたと思われてしまうケースも多いです。
しかし、飼い主さまが不快な思いをしたのであればそれは愛情表現ではなくダメな行為になるのでしっかりとダメなことはダメとワンちゃんに教えてあげましょう。
また、別のケースでは顔に当たったことで飼い主さまが良いリアクションをしたという成功体験になった場合は顔を狙ってくることもあります。
噛まれるのが怖くて触れない
ここまで、なぜ噛んでしまうのか、どんなシチュエーションで噛んでくるのかを解説していましたが、噛まれたことの恐怖で触れるのが怖いという飼い主さまも少なくないと思います。
小型犬であっても噛まれたら痛いですし、ワンちゃんが本気で噛んでいなくても噛み所が悪かったら怪我を負ってしまう可能性も十分にあるでしょう。
これから紹介するのは噛むのやめさせるトレーニング方法ですが、ワンちゃんの噛みの具合によって自分でやるかプロにお願いするかを判断して頂ければと思います。
トレーニング方法
まず初めに、どんなことで噛んでいるのかを把握しましょう。
上記でお伝えした通り、ほとんどの場合が【興奮】によるものとご説明しましたが、ワンちゃんとの関係性や性格によって原因は様々なので飼い主さまの判断で見極めてみてください。
1、要求で噛んでいる場合
要求の場合はまずは無視をしてください。
無視とは無関心になるのではなく、要求に応えない噛まない時の褒めの強化を指します。
そのため、噛んできても騒がずダメなことはダメと伝え、要求には絶対に応えないようにしましょう。
噛まずに遊べたり、噛まずに要求できたときは沢山褒めてあげましょう。
2、警戒、防衛の噛みの場合
この場合は触ろうとした際などにワンちゃんから噛んでくるケースを意味しますが、要求とは異なり警戒や防衛のため【無視】は意味がありません。
警戒心が強いため触られることに対して良いイメージを持っていないことが噛みに繋がってしまうので、慣れさせることが有効的です。
まずは、触れる前に近くに人がいることを許容できるようにし、おやつを与えるなどワンちゃんに対して害はないことを理解させてあげましょう。
慣れてきたらおやつをあげている際に身体に触れ、触れることに対する良いイメージの強化をすることで徐々に慣れていきます。
ここでの注意はいきなり頭を触らないことです。詳しくはこちらを参考にしてください。
犬の正しい撫で方と初対面での触れ合い方について詳しく解説
プロに相談
怪我のリスクが高くなったり、自分でトレーニングをする自信が持てない場合はドッグトレーナーに相談してみましょう。相談することで「しつけのできない飼い主だと思われるかな」という心配を持たれる方が一定数いますが、それは間違いです。
飼い主さまのお悩みを聞き、ワンちゃんとそのご家族が仲良く笑顔で生活を送れるようにサポートするのがドッグトレーナーの仕事です。
ドッグトレーナーに相談する際は、今後どういった暮らしをしたいか、今後どういうトレーニングをしたらいいかなどを素直な気持ちを話して頂いて問題ございません。記事では一番オーソドックスなトレーニング方法しかお伝えできず、全員に当てはまる内容ではありません。
それは、ワンちゃんの性格、飼育環境、飼い主さまとの信頼関係、飼い主さまの飼育歴など各ご家族毎に原因は異なるため方法もその数だけ存在します。
プロに相談することでアドバイスがもらえるだけなく、ワンちゃんに対しての嫌悪感を抱くこともなくトレーニングに励めると思いますのでお気軽にご相談ください。
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