- 子犬販売ならブリーダー直販のフローエンス
- わんちゃんコラム
- 吠え
- 犬がインターホンに吠えるのはなぜ|直し方の手順と近所対応【2026】
犬がインターホンに吠えるのはなぜ|直し方の手順と近所対応【2026】
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) 吠え
この記事の要点
犬がインターホンに吠えるのは生まれつきではなく、「音のあとに人が来る」「吠えたら人が去った」「吠えたら飼い主も声を上げた」を家で覚えた学習で、子犬はインターホンの音に反応しません。直し方は、録音した音を耳が動く程度の小さな音量で鳴らしておやつと結びつける「音を怖くなくする」段階と、音が鳴ったら玄関から離れたマットへ行く「置き換え」の2段です。叱る・本物の音を大きく鳴らして慣らす・吠えている最中に構う・吠えに反応する首輪、は吠えと不安を増やします。留守番中の宅配は「吠えたら去った」の成功体験になるので、玄関から遠い部屋・音量設定・置き配で回数を減らします。集合住宅では先に近所へ伝え、日常の音全般をこわがる・来客に唸る・高齢で吠えが増えた、なら動物病院や専門家へ。
「ピンポン」と鳴った瞬間に走り出して吠える。宅配のたび、来客のたびに家じゅうが騒がしくなり、叱っても止まらない。犬がインターホンに吠えるのは、生まれつきの性格ではなく、「あの音のあとに人が来る」「吠えたら人が去った」を家で覚えた学習です。学習で身についたものなので、学習で上書きできます。
先に結論を書きます。直し方は「音を怖くなくする」→「音が鳴ったらマットへ行く」の置き換えの2段で、叱る・大きな音で慣らす・吠えている最中に構う、は全部逆効果です。この記事では、なぜインターホンに吠えるようになるのか、警戒・興奮・要求のどれで吠えているかの見分け、録音した音から始める慣らし方の手順、来客の日の段取り、留守番中の宅配への備え、マンションでの近所への対応、動物病院や専門家に相談する目安までを、獣医行動学の専門医が書いた資料と獣医師監修の解説にそって書きます。吠え方の種類全般は吠え方の種類の記事に、帰宅時に吠える話は帰宅時に吠える理由の記事に、来客への飛びつきは子犬を落ち着かせる記事に分けています。
いま子犬1066頭がご家族を募集中です
子犬を見る犬がインターホンに吠えるのはなぜ|子犬は反応しません。家で覚えた学習です
ペット保険のアニコムの、獣医師が監修した解説は、インターホンに吠える主な理由を「知らない人がテリトリーに入ってきたから(警戒・恐怖・威嚇)」と「好きな人が来たから(興奮)」の2つに分け、気持ちは正反対でも共通するのは「人が来た」ということに反応した学習によるものだ、と書いています。同じ解説には「学習の進んでいない子犬には、インターホンの音を聞かせても、特に吠えるといった反応は示さない」とあります。つまり、犬はインターホンの音そのものに吠えているのではなく、「あの音のあとに何が起きるか」を覚えたから吠えています。だから、車の止まる音やエレベーターの音のような、人には気づきにくい音にも先回りして吠えるようになります。
そこにもう一つの学習が重なります。同じ会社の警戒吠えの解説は、窓の外を通る人に吠えたとき、相手はこちらが吠えたかどうかに関わらず去っていくのに、犬は「遠ざけることができた」と学習し、これが繰り返されると「吠えたこと」による成功体験が積み上がる、と書いています。インターホンはこの構造そのものです。郵便や宅配の人は毎回必ず去るので、犬の側から見れば吠えは毎回「成功」しています。留守番中に鳴ったインターホンも同じで、誰も出なくても人は去ります。放っておくと強くなる吠えである理由はここにあります。
そして三つ目の学習が「叱る」です。アメリカの犬の団体(アメリカンケネルクラブ)の解説は、インターホンが鳴って犬が吠え、飼い主が怒鳴り、それでも止まらずむしろ吠えが増える、という多くの家で起きている場面を挙げ、犬は言葉の中身を理解せず、「自分が吠えたら飼い主も吠えた。みんなで吠えている」という楽しい遊びとして強化されている、と説明しています。犬は飼い主を困らせるために吠えているのではなく、その行動が繰り返され、報われてきたから吠え続けています。アメリカの動物病院グループ(VCA)の、獣医行動学の専門医が書いた解説も、吠えは犬にとって自然なもので、群れへの警告の信号、目新しい音への反応、迷い・不安・欲求不満のときにも出る、そして高齢の犬では体の病気が関わることもある、と書いています。
新しく載った子犬
吠えの種類の見分け|警戒・興奮・要求。同じ「ピンポン」でも中身が違います
直し方は共通の骨組みで進めますが、「音が鳴った瞬間に犬がどこを向いて、何を求めているか」で当て方が変わります。犬の吠えは、要求吠え・警戒吠え・興奮吠えの3つに分けられ、インターホンには警戒(威嚇・恐怖)と興奮の両方があります(下の表は、獣医師が監修した解説をもとにまとめました)。声の高さや向きだけで決めつけず、しっぽ・耳・体の硬さを一緒に見てください。部位ごとの読み方は犬のボディランゲージの記事に一覧があります。
| 種類 | 音が鳴った瞬間の様子 | 犬が言っていること | 直し方の軸 |
|---|---|---|---|
| 警戒吠え | 玄関や窓に向かって低めに連続して吠える。体が硬い、しっぽが上がって細かく震える、毛が立つ。人が入ってくると後ずさりや唸りが混じる | 「入ってくるな」「家と家族を守る」。こわさが混じっていることが多い | 音を怖くなくする慣らし+玄関から離れた「持ち場」を作る。叱らない。刺激そのものを減らす |
| 興奮吠え | 高めの声で跳ねる、しっぽを大きく振る、玄関と飼い主のあいだを行ったり来たり。人が入ると飛びつく | 「来た来た!」「遊んで!」。うれしくて高ぶっている | 音が鳴ったらマットへ行く置き換え。落ち着くまで目を合わせない・触らない・話しかけない |
| 要求吠え | 飼い主のほうを向いて吠える。飼い主が玄関へ行こうとすると強くなる | 「置いていかないで」「構って」 | 吠えているあいだは応えない。離れる練習(分離の不安が強ければ分離不安の記事へ) |
| 音そのものがこわい | インターホンだけでなく、掃除機・ドライヤー・雷・花火にも震える、隠れる、パンティングする | 「あの音が怖い」 | 音の慣らし(脱感作)を中心に。ほかの不安が隠れていないか動物病院で相談 |
最後の行について。2013年に英国で行われた飼い主調査(Blackwell ら)では、飼い主383人への聞き取りで約半数が「音にさらされたときに恐怖のしぐさを1つ以上示す」と答えた一方、郵送調査3,897人で自分の犬を「怖がり」と答えたのは4分の1にとどまり、交通音やテレビのような日常の音への反応は、より広い不安のしるしと相関していました。インターホン以外の日常の音にも強く反応する犬は、「吠え癖」ではなく「音がこわい犬」として扱ったほうが直ります。この記事の慣らし方はそのまま使えますが、進みが悪ければ最後の章の相談の目安を見てください。
直し方の全体像|「音を怖くなくする」→「音が鳴ったらマットへ行く」の2段
ドッグトレーナーが書いた解説は、インターホンに吠える犬への手順を「音への反応を作り直す(脱感作)」→「決めた場所へ行くことを教える」→「インターホンの音そのものが『マットへ行って待つ』の合図になる」の順に組んでいます。獣医行動学の専門医の解説は、その土台になる原則を「反応が最小になるほど弱い刺激から始めて、段階的に強める」「嫌な刺激と、おいしいおやつのような良いものを対にする」と書いています。この2つを、家でできる順番に並べます。
| 段階 | やること | 次へ進む目安 |
|---|---|---|
| 1 音を用意する | インターホンの音をスマートフォンで録音する(家族に外から押してもらってもよい)。舐めるのに時間がかかるおやつ(ペースト状のものを舐めるマットや知育トイに塗る)を用意する | 犬が落ち着いている時間に始められる |
| 2 小さい音+おやつ | 犬がおやつを舐めているあいだに、録音を耳がぴくりと動く程度の小さな音量で1回鳴らす。舐め続けていたら褒める。数回くり返す | 音が鳴っても舐め続ける(顔を上げない) |
| 3 音→おやつの順にする | 先に小さく音を鳴らし、鳴った直後におやつと褒め言葉。「音=良いことが起きる合図」に作り替える | 音が鳴ると飼い主の手元を見る |
| 4 音量を少しずつ上げる | 2〜3回続けてうまくいったら、次回ほんの少しだけ音量を上げる。実際のインターホンの音量まで | 本物と同じ音量で顔を上げても吠えない |
| 5 マットへ行く | 音が鳴ったら、おやつで犬の注意を引き、明るい声で褒めながら玄関から離れたマットやクレートへ誘導し、着いたらおやつ。数日に分けてくり返し、安定したら「マット」の一言を添える。慣れたら手の誘導を減らし、言葉だけで行けたらおやつ | 音が鳴ると自分からマットへ向かう |
| 6 本物の来客で試す | 家族や友人に外から押してもらい、犬がマットにいるあいだに玄関を開けて短く話す。マットに残っていたらそこへ戻っておやつ | 飼い主が玄関で応対しているあいだマットで待てる |
手順1〜4 音に慣らす|録音を小さく鳴らして、おやつと結びつける
練習の音は、家族に外から押してもらうか、スマートフォンから録音を流せば十分です。おやつは匂いが強く粘りがあって、食べるのに少し時間のかかるものを選びます。犬が舐めているあいだに音を鳴らし、舐め続けているあいだ褒める。これを何度もくり返し、音が鳴っても食べ続けるようになったら、音を先に鳴らしてからおやつを出す順番に変えます。獣医師が監修した警戒吠えの解説も同じ手順で、「あらかじめ録音しておいたインターホンの音を鳴らし、耳をぴくりとさせて今にも吠えそうという状態のときに、落ち着いた声で『オスワリ』など他の行動を指示し、従えたらすぐ褒める。はじめは音量を小さくして練習するのがポイント」としています。
進み方の目安です。おやつをすぐ食べなくなった、合図で落ち着けなくなった、なら進めすぎです。怖がっている最中に続けると次回の反応がかえって大きくなる(感作)ので、その回はすぐ終えて、次回はもっと小さい音から始めます。1回の練習は5〜45分、週2回以上、毎日ならなお良く、必ず良い形で終える。2〜3回うまくいったら次回ほんの少しだけ強める。かかる期間は、数時間から数か月まで幅があります。当犬舎で紹介しているトイプードル、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、シーズーのような小型犬でも進め方は同じで、迷ったら「小さすぎるかな」と思う音量から始めてください。
手順5〜6 「インターホン=マットへ行く」を教える|吠えと両立しない行動に置き換える
音に慣れたら、「音が鳴ったらベッドやクレートへ行く」を教えます。吠える・玄関を引っかく、と両立しない行動を犬に与えると、犬は「何をすればいいか」が分かり、成功できます。音が鳴ったらおやつで注意を引き、明るい声で褒めながらマットへ誘導し、着いたらおやつ。これを数日に分けてくり返し、安定して付いてくるようになったら「マット」「ハウス」のような一言を添え、慣れてきたら手の誘導を減らして言葉だけで行けたらおやつ、と進めます。この練習のゴールは「インターホンの音そのものが、マットへ行って待つ合図になること」で、そうなれば荷物を受け取ることも来客を迎え入れることも犬が邪魔にならずにでき、犬にとっても人にとっても玄関が安全で落ち着いた場所になります。慣れてきたら玄関の近くにおやつの瓶を置いておくと、不意の来客でもすぐ報酬が出せます。
マットの置き場所は、玄関から離れた、犬が普段からくつろいでいる場所にします。クレートが安心できる場所になっていない犬は、先にクレートトレーニングの記事の手順で「入ると良いことがある場所」にしてからにしてください。
「静か」の合図を作る|吠え始めてしまったときの止め方
練習の途中で吠えてしまう日はあります。「静か」の合図は、こう教えます。インターホンに吠えているときにとてもおいしいおやつを鼻先に持っていき、同時に「静か」と言う。犬は嗅ぐのと吠えるのを同時にはできないので、吠えが止まる。止まった瞬間に褒めておやつ。報酬が出るのは「静かになった瞬間」で、吠えに対してではありません。大声で「静かに」と言っても、沈黙が続かなければ犬には伝わらず、怒鳴り声はむしろ騒ぎと不安と対立を増やして吠えを強めます。合図は「静か」でも「おすわり」「マット」でもよく、家族で1つに決めます。うれしくて興奮して吠えている犬は、おやつで余計に高ぶることがあるので、その場合は鼻先のおやつよりマットへの誘導を優先します。吠える前に指示を出せるならそのほうがよく、吠え始めると興奮して収拾がつかなくなりやすいので、耳が動いた段階で「オスワリ」「フセ」「マテ」を指示して、吠えずにやり過ごせたら褒めます。
来客の日の段取り|家族の統一・リード・玄関から離す
練習が途中でも来客はあります。当日にやることを決めておきます。
- 来客の時間が分かっているなら、その前に犬を玄関から離れた部屋やクレートに入れ、長く遊べるおもちゃや詰め物のおやつを渡しておく。クレートに大きめのバスタオルをかけて刺激を減らすのもよい
- 玄関へ飛び出す癖がある犬は、来客の予定があるときはリードを付けておくか、ゲートで玄関に近づけないようにする
- インターホンが鳴っても、飼い主さまは慌てて走らない。飼い主が慌てて対応する様子は犬に伝わって不安にさせることがあるので、ゆっくりした動作で堂々と振る舞う
- 興奮して吠える犬は、落ち着くまで目を合わせない・触らない・話しかけない。落ち着いてから出してなでる。このときおやつを出すと余計に興奮したり、おやつ欲しさで吠えたりするので出さない
- 家族全員が同じ対応をする。一度覚えた吠えをやめさせるのは簡単ではないので、人によって対応が違わないようにルールをそろえる。一人が構い、一人が叱り、一人が無視、では犬は何が正解か分からない
- 先住犬がインターホンに吠える家に子犬を迎えたら、練習中は2頭を分けて1頭ずつ教える。一緒にすると子犬が先住犬の反応を覚えてしまう
留守番中のインターホン・宅配|吠えても人は去るので、毎回「成功」になります
留守中に鳴るインターホンは、練習ができないうえに、吠えれば人が去るという成功体験だけが積み上がる時間です。練習が仕上がるまでは、留守中に音を聞かせない・聞こえにくくする工夫で、成功体験を増やさないようにします。吠えのきっかけになる音や目に入るものから犬を遠ざける工夫としては、玄関や窓から離れた部屋やクレートで過ごさせる、窓を覆う、覆いをかけたクレートや音楽・テレビ・ホワイトノイズで音をまぎらす、があります。インターホンや電話のように吠えの合図になってしまった音は、音を変えて別のものにするとよいでしょう。音を変えられる機種なら、練習も新しい音で始めると、古い学習を引きずりません。
- 留守中の居場所を、玄関から一番遠い部屋にする。過ごす場所を外の物音が聞こえにくい場所に変える・カーテンをしっかり閉める・ケージを大きな布で覆う、も効く
- インターホンの音を鳴らさない設定(留守中だけ音量を下げる・別の音に変える)ができる機種なら使う
- 宅配は置き配や配達時間の指定で、留守中に鳴る回数そのものを減らす
- 吠えると反応する首輪や機械で留守中に止めようとしない。吠えの原因が不安なら、吠えに反応する機器はふつう効かず、首輪は着けているときしか効かない。アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の2021年の見解も、力・痛み・不快に頼る方法をしつけにも問題行動の対応にも使うべきでない、としている
やってはいけないこと|叱る・大きな音で慣らす・吠えている最中に構う
アメリカの獣医師の学会の2021年の見解は、力・痛み・心や体の不快に頼る方法は、犬のしつけにも問題行動の治療にも使うべきではなく、罰を使った方法は攻撃的な行動や不安に関わる行動と関連が見られ、効果の面でも劣る、としています。獣医行動学の専門医の解説もはっきり書いています。罰は、吠えの問題を抑えたり直したりするのにはほとんど効きません。罰は不安を増やして多くの吠えをさらに悪くし、軽い罰は注目を与えることで、吠えにかえってご褒美を出すことになります。不安や縄張りの反応で吠えている犬に怒鳴る・罰するのは、吠えと不安を増やすだけです。下の表は、獣医行動学の専門医と犬の団体の解説をもとにまとめました。
| やりがちなこと | 犬に何が起きるか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 吠えたら怒鳴る、名前を強く呼ぶ | 「みんなで吠える遊び」として強化される。怒鳴り声は騒ぎと不安を増やす | 黙って犬をマットへ誘導し、静かになった瞬間に報酬 |
| 本物の音を何度も大きく鳴らして慣れさせる | 獣医師の学会が避けるべき方法に挙げる「いきなり浴びせる」やり方。怖がっている最中に続けると次回の反応が大きくなる | 録音を耳が動く程度の小さな音から。学ぶ側が常に安全だと感じられ、練習から降りられる形で進める |
| 吠えている最中に抱き上げる、なでる、話しかける、静かにさせようとおやつを与える | 吠えには、どんな形でも注目という報酬を与えない。たまにでもだめ。静かにさせようと構うこと自体が報酬になる(「静か」の合図の練習は、渡すのが静かになった瞬間なので別) | 静かになった瞬間・マットに乗った瞬間に報酬。落ち着くまで目を合わせない |
| 吠えると音や水や電気が出る首輪・機械 | 不快に頼る方法。原因が不安なら効かず、着けているときしか効かない | 環境の工夫(音を変える・部屋を変える)と、上の手順1〜6 |
| 家族で対応がばらばら | 犬は何が正解か分からず、いちばん報われた行動(吠え)を続ける | 合図を1つに決め、全員が同じ手順で。来客の段取りを紙に書いて貼る |
| 吠えなくなったからと練習をやめる | 宅配のたびに「吠えたら去った」が積み上がり、元に戻る | 不意の来客でもマットへ行けたら毎回報酬。玄関近くのおやつの瓶を続ける |
「無視すれば直る」とだけ覚えている飼い主さまも多いのですが、無視は「吠えに報酬を与えない」ための手段で、それだけでは犬に「代わりに何をすればいいか」が伝わりません。要求吠えを無視し始めると、一時的に吠えが増える「消去バースト」が起きます。そのあいだに一度でも応えると「もっと吠えればよい」と学んで、以降さらに直しにくくなります。無視は「吠えている最中に構わない」の意味で使い、その裏で必ず「マットへ行く」「静か」の練習を進めてください。叱り方そのものは犬の叱り方の記事に書いています。
マンション・集合住宅での近所への対応|先に伝える・回数を減らす・記録する
吠えの問題の多くは改善の見込みが高い一方で、住まいによっては完全に直すのが難しく、集合住宅では少しの吠えでも近所に迷惑がかかります。動物愛護管理法第7条は、飼い主の責務として、動物が「人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と定めています。吠えは飼い主さまの責任の範囲にある、という前提で、近所にはこう向き合います。
- 苦情が来る前に、隣と上下の部屋に「インターホンに吠える癖を直す練習をしている」と一言伝えておく。伝えてあるのと、いきなり聞こえるのとでは受け取り方が違う
- 管理規約やペット飼育細則に吠えについての取り決めがあれば確認する(時間帯・共用部でのルールなど)
- 練習の録音は、早朝・深夜を避け、音量を上げる段階は日中にする
- 留守中に鳴る回数を減らす(前の章)。置き配・時間指定・インターホンの音量設定
- 吠えた日時・きっかけ・続いた長さを書き留める。減っているかどうかが自分で分かり、近所や専門家に説明するときの材料になる
- 苦情が来たら、言い訳より先に「練習していること」と「留守中の対策」を具体的に伝える。改善が見えなければ、次の章の専門家へ早めに相談する
夜の吠えで近所が心配な場合は、子犬の夜泣きと近所迷惑の記事に、夜に限った対策を分けて書いています。
動物病院・専門家に相談する目安
こわさ・分離不安(離れると強い不安になること)・同じ行動をやめられない状態のために吠えている犬は、その元の問題の治療が必要で、不安が原因なら不安の元を突き止めて治療します。アメリカの獣医師の学会の見解も、攻撃・不安・恐怖のような重い問題は、環境の管理・行動修正・場合によっては薬を含む治療計画が必要だ、としています。インターホンの吠えの多くは家庭の手順で減りますが、次に当てはまるときは、家庭の練習だけで抱え込まないでください。
- インターホン以外の日常の音(掃除機・ドライヤー・車・テレビ)にも震える・隠れる・パンティングする。音全般がこわい犬は、ほかの不安が隠れていることがある(Blackwell 2013)
- 飼い主さまが出かける前後に吠えが強く、留守中に吠え続ける、破壊や粗相がある(分離不安の可能性。分離不安の記事)
- 来客に対して唸る、歯を見せる、噛みつこうとする。人への攻撃が混じる吠えは、吠えだけを消そうとしない
- 高齢になってから吠えが増えた、夜に吠える、呼んでも反応が鈍い(高齢の犬の吠えには、体の病気が関わることがある)
- 小さい音から丁寧に始めても、おやつを食べなくなる・震えるが続き、音量を上げられない
- 近所から苦情が来ていて、時間をかけて練習する余裕がない
相談するときは、「音が鳴った瞬間の犬の様子」を短い動画で撮っておくと、警戒・興奮・要求のどれかがその場で分かり、話が具体的になります。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「録音の音量をどこから始めればいいか」「マットへの誘導で犬が付いてこない」といった手順の途中のことから、ドッグトレーナーへご相談ください。相談のタイミングに迷ったら、ドッグトレーナーに相談するタイミングの記事も参考にしてください。
よくある質問
犬がインターホンに吠えるのはなぜですか?
生まれつきではなく学習です。インターホンに吠える理由は「知らない人がテリトリーに入ってきた(警戒・恐怖)」と「好きな人が来た(興奮)」の2つで、どちらも「人が来た」ことに反応した学習によるものです。学習の進んでいない子犬は、音を聞かせても吠えません。そこに「吠えたら宅配の人が去った」という成功体験と、「吠えたら飼い主も声を上げた」という強化が重なって、鳴るたびに吠える犬になります。学習で身についたものなので、録音した音を小さく鳴らしておやつと結びつけ、音が鳴ったらマットへ行く形に上書きすれば直せます。
子犬はいつからインターホンに吠えるようになりますか?
月齢では決まりません。学習の進んでいない子犬は、インターホンの音を聞かせても特に吠えません。吠えるようになるのは、音のあとに知らない人が来る・好きな人が来る・吠えたら人が去った、を家で経験してからです。だから子犬のうちは、インターホンが鳴ったらおやつ、鳴ったらマット、を先に教えておくのがいちばん楽な予防です。先住犬がインターホンに吠える家では、練習中は2頭を分けて1頭ずつ教えないと、子犬が先住犬の反応を覚えてしまいます。
インターホンに吠えたら叱ってもいいですか?
叱りません。犬が吠えて飼い主が怒鳴る場面は、犬にとっては「自分が吠えたら飼い主も吠えた、みんなで吠えている」という楽しい遊びになって、吠えが強まります。罰は吠えの問題にはほとんど効かず、不安を増やして吠えを悪くし、軽い罰は注目を与えることでむしろご褒美になります。アメリカの獣医師の学会の2021年の見解も、力や不快に頼る方法をしつけにも問題行動の対応にも使うべきでない、としています。黙ってマットへ誘導し、静かになった瞬間に報酬を出してください。
無視していれば直りますか?
無視だけでは直りません。無視は「吠えている最中に注目という報酬を与えない」ための手段で、犬に「代わりに何をすればいいか」は伝わらないからです。吠えにはどんな形でも注目を与えない、たまにでもだめ、そのうえで静かで落ち着いた行動に報酬を出します。無視を始めると一時的に吠えが増える「消去バースト」が起き、そのあいだに一度でも応えると「もっと吠えればよい」と学んで、さらに直しにくくなります。無視は「構わない」の意味で使い、その裏で必ず「音が鳴ったらマットへ行く」「静か」の練習を進めてください。
インターホンの音を変えると効きますか?
効くことがあります。インターホンや電話のように吠えの合図になってしまった音は、音を変えて別のものにすると、合図ではなくなります。古い音には「そのあとに人が来る」「吠えたら去った」の学習が付いているので、新しい音で最初から「鳴ったらおやつ」「鳴ったらマット」を教えると、古い学習を引きずりません。音を変えられない機種でも、留守中だけ音量を下げる、玄関から一番遠い部屋で過ごさせる、置き配や時間指定で留守中に鳴る回数を減らす、で「吠えたら去った」の成功体験を増やさないようにできます。
留守番中に宅配のインターホンで吠えて、近所から苦情が来ました。どうすればいいですか?
まず留守中に鳴る回数を減らします。置き配・配達時間の指定・留守中の音量設定・玄関から一番遠い部屋で過ごさせる・クレートに布をかける・音楽やテレビで音をまぎらす、です。吠えの原因が不安なら、吠えに反応する機器はふつう効かず、首輪は着けているときしか効かないので、留守中を機械で止めようとしないでください。近所には「練習していること」と「留守中の対策」を具体的に伝え、吠えた日時と続いた長さを記録して減っているかを見ます。日中に在宅できる時間に、録音を小さく鳴らしておやつと結びつける練習と、音が鳴ったらマットへ行く練習を進め、改善が見えなければ早めにドッグトレーナーや動物病院へ相談してください。
「静か」の合図はどう教えますか?
やり方は、犬がインターホンに吠えているときに、とてもおいしいおやつを鼻先に持っていき、同時に「静か」と言う、というものです。犬は嗅ぐのと吠えるのを同時にはできないので吠えが止まり、止まった瞬間に「いい子」と褒めておやつを渡します。報酬は静かになった瞬間に対して出すもので、吠えに対してではありません。何度もくり返すと「静か」の言葉と沈黙が結びつきます。大声で「静かに」と言っても、沈黙が続かなければ犬には伝わらず、怒鳴り声は吠えを増やします。合図は「静か」「おすわり」「マット」のどれでもよく、家族で1つに決めて全員が同じ言葉を使ってください。
あわせて読みたい記事
まとめ
犬がインターホンに吠えるのは生まれつきではなく、「音のあとに人が来る」「吠えたら人が去った」「吠えたら飼い主も声を上げた」を家で覚えた学習で、子犬はインターホンの音に反応しません。警戒・興奮・要求のどれで吠えているかを、音が鳴った瞬間の向きと体の硬さで見分けます。直し方は、録音した音を耳が動く程度の小さな音量で鳴らして舐めるおやつと結びつけ、2〜3回うまくいったら少しずつ音量を上げる「音を怖くなくする」段階と、音が鳴ったら玄関から離れたマットへ行く「置き換え」の2段で、ゴールはインターホンの音そのものがマットへ行く合図になることです。おやつを食べなくなったら進めすぎなので、その回は終えて次回は小さい音から。叱る・本物の音を大きく鳴らして慣らす・吠えている最中に抱く・なでる・話しかける・吠えに反応する首輪、は吠えと不安を増やします。来客の日は、玄関から離れた部屋やクレートに先に入れ、飼い主は慌てず、家族全員が同じ対応をします。留守番中の宅配は「吠えたら去った」の成功体験になるので、玄関から遠い部屋・音量設定や音の変更・置き配で回数を減らします。集合住宅では苦情が来る前に近所へ伝え、吠えた記録を取り、インターホン以外の日常の音もこわがる・来客に唸る・高齢で吠えが増えた・練習が進まない、なら家庭だけで抱えず動物病院や専門家へ相談してください。
「吠えにくい子」に育つかは、社会化期がカギ!
ブリーダーの元で親兄弟と一緒に過ごし、心の土台(社会性)がしっかり育っている子犬は、無駄吠えしにくい穏やかな性格に育ちやすいと言われています。
穏やかで社会性の身についた子犬を探す























