フローエンスメディアライター 大久保 祐太

しつけやトレーニングに関する記事を弊社ドッグトレーナーを通し、分かりやすく実践しやすい記事を発信します。
また、私自身がしつけに大きく悩んだ経験があるため、飼い主様にできる限り寄り添える記事を目指します!

犬歴

  • ゴールデンレトリーバー
  • ミニチュアダックスフンド
  • オーストラリアンキャトルドッグ

資格

  • ペット災害危機管理士2級 講師
  • 家庭動物管理士
  • ペット防災生活アドバイザー
  • ペット・トラベルアドバイザー

猫がいる家で犬を迎える準備について安心して暮らすためのポイントを解説

初めて飼う 犬の育て方
犬と猫の多頭飼育方法について

すでにネコちゃんを飼っているけれど、「ワンちゃんも迎えたい!」と考えている飼い主さまも多いのではないでしょうか。しかし、「うまく生活できるのかな?」「ケンカしないかな?」といった不安を抱えてしまうかと思います。

ネコちゃんとワンちゃんが一緒に快適に暮らすためには、事前の準備が不可欠です。本記事では、既にネコちゃんを飼っているご家庭で新たにワンちゃんを迎えたいと思っている方に向けて迎え入れる際のポイントを、具体的な方法とともに解説します。
検討している方は是非参考にしてください。

猫と犬の基本的な違いを理解する

犬と猫が仲良く遊んでいる姿

まずは、ネコちゃんとワンちゃんは、それぞれ異なる生活習慣やコミュニケーションの方法を持っているため、それを理解することが共生を成功させるカギとなります。

例えば、ワンちゃんは群れで行動し、飼い主さまとの関係を深めることを重視します。
一方、ネコちゃんは単独行動を好み、自分の縄張りを大切にします。そのため、ネコちゃんにとってワンちゃんが急に近づいたり、しつこく追いかけられることはストレスの原因になります。

逆に、ワンちゃんは社会的な交流を求めるため、ネコちゃんがあまりにも距離を取ると寂しさを感じることがあります。これらの特性を理解し、それぞれのペースを尊重しながら環境を整えることが重要です。

こちらも参考にお読みください↓
犬と猫を一緒に飼うことは可能?既に猫がいる家庭に犬を迎えるためには

ワンちゃんの特徴
群れで生活する動物であり、飼い主さまとのコミュニケーションを重視する。
・運動量が多く、お散歩や遊びを通じてエネルギーを発散する必要がある。
・環境の変化に比較的順応しやすく、新しい状況に対して前向きな反応を示すことが多い。
・しつけを受け入れやすく、トレーニングによって行動を改善できる。

ネコちゃんの特徴
縄張り意識が強く、環境の変化に敏感。
・一人で過ごすことを好み、自分のペースを崩されることにストレスを感じやすい。
・しつけが難しく、指示よりも自身の気分で行動を決める傾向がある。
・高い場所に登るのを好み、安全な避難場所を確保することが重要。

これらの違いを理解し、ワンちゃんとネコちゃんがそれぞれ快適に過ごせるような環境を整えましょう。

犬を迎える前に整えるべき環境

ワンちゃんを迎える前に、ネコちゃんが落ち着いて過ごせる環境を整えることが大切です。ネコちゃんは変化に敏感な動物なので、新たに家族に加わるワンちゃんが来ることでストレスを感じやすくなります。

そのため、ネコちゃんが安心して過ごせる専用のスペースを確保し、高い場所や隠れられる場所を用意するなどの配慮が重要です。また、ワンちゃんとネコちゃんの生活エリアを初めは分け、徐々に慣れさせることでスムーズに共生しやすくなるでしょう。

下記にて整えるポイントを詳しく解説します。

猫の安全なスペースを確保する

ワンちゃんが新しく家に来た際に、ネコちゃんが安心して過ごせるスペースを用意しておくことが必要です。

・キャットタワーや棚を設置する
→ ワンちゃんが届かない高い場所を確保し、ネコちゃんが安心できるようにする。
・ネコちゃん専用の部屋や隠れ家を作る
→ ワンちゃんが近づけない静かな空間を確保する。
・ネコちゃんのトイレをワンちゃんが近づかない場所に配置する
→ ワンちゃんがネコちゃんのトイレを覗き込まないよう配慮する。

相性の良い犬を選ぶ

ネコちゃんと相性の良いワンちゃんを選ぶこともおすすめです。
ただし、あくまでも一般的な性格を考慮した結果となるため、断言するものではありません。ワンちゃんの性格やネコちゃんの性格により、相性の良い組み合わせは異なりますし、ワンちゃんをしっかりとトレーニング出来る方であれば犬種は問われません。

本記事でお伝えする「相性の良い犬」とは主に見分け方などの参考程度に捉えて頂ければと思います。

相性が良いワンちゃんを選ぶ際には、ワンちゃんの性格やエネルギーレベル、社会性を考慮することが重要です。例えば、ネコちゃんと同居するワンちゃんは落ち着きがあり、過度に興奮しないタイプの子が適しています。また、子犬のうちからネコちゃんと慣れさせることで、よりスムーズに共生できる可能性が高くなります。そのため、犬種だけでなく、個々の性格や受け入れるタイミングなども、ブリーダーやトレーナーに相談しながら選ぶと良いでしょう。

ネコちゃんと相性の良い犬種

・トイプードル(賢く適応能力が高い)
・ゴールデン・レトリーバー(友好的でフレンドリー)
シーズー(穏やかで猫に対して攻撃的になりにくい)
一方で、ジャックラッセルテリアやシベリアンハスキーなど狩猟本能が強い犬種は、ネコちゃんを追いかけてしまう可能性があるため注意が必要です。

猫と犬を仲良くさせるための工夫

犬と猫が仲良くくつろぐ姿

先住猫とワンちゃんが仲良くなるためには、時間をかけてお互いに慣れさせることが重要です。急に同じ空間に放してしまうと、ワンちゃんが興奮してネコちゃんを追いかけたり、ネコちゃんが恐怖を感じて攻撃的になったりする可能性があります。

以下の工夫を取り入れることで、よりスムーズに共生ができるようになるでしょう。

最初の対面は慎重に

先住猫とワンちゃんを初めて対面させるときは、お互いが安心できる環境を整えましょう。

・最初はクレート又はサークル→リード着用での対面
→まずはネコちゃんが自らから近づきワンちゃんの確認させる
(初めからリードだと何かあったときの対応が遅れ、嫌な印象を与えてしまう可能性があるため)
→ネコちゃん自ら近づき何もなかったらリード着用で対面(接触はまだ)
注意点:無理矢理近づけるのではなく、ネコちゃん自ら近づくまで見守ること!

・ネコちゃんに自由に動けるスペースを作る
→ 逃げ場を確保することでストレスを軽減。
・短時間の対面を何度か繰り返す
→ 無理に接触させず、少しずつ慣れさせる。
・匂いを交換する
→ 事前にタオルやブランケットを交換して、互いの匂いを覚えさせる。

食事のスペースを分ける

先住猫とワンちゃんが仲良くなるには、食事環境の配慮も大切です。ワンちゃんがネコちゃんのご飯を食べてしまったり、猫ちゃんが静かに食べたいのに対してワンちゃんの存在が気になりゆっくり食事が出来なくストレスを感じてしまうことがあるためです。

・ネコちゃんの食事スペースを高い場所に設置する
→ ワンちゃんがネコちゃんの食事に干渉しないようにする。
・ワンちゃんとネコちゃんの食事時間をずらす
→ お互いに落ち着いて食べられる環境を作る。
・ワンちゃんがネコちゃんのご飯を食べないようにする
→ 栄養バランスが異なるため、ワンちゃんがキャットフードを食べてしまわないように注意する。

遊び方を工夫する

ネコちゃんとワンちゃんでは遊びの仕方が異なるため、それぞれの好みに合った遊びを提供しましょう。下記ではネコちゃんとワンちゃんの性質を考えた一例を挙げています。

より詳しく遊び方について解説しているので参考にしてください↓
犬と猫の遊び方の違いとは?お互いが楽しめる遊び方も紹介!

・ネコちゃんには猫じゃらしやボールなどの一人遊び用おもちゃを
→ 狩猟本能を刺激しつつ、ストレス解消になる。
・ワンちゃんにはロープ遊びやボール投げなどの”運動を含む”遊びを
→ 十分に運動させることで、ネコちゃんに対する過度な興味を抑える。
・共通の遊び道具を利用し、無理のない範囲で一緒に遊ばせる機会を作る
→ 徐々にお互いの存在に慣れさせる。

それぞれのテリトリーを確保する

ネコちゃんとワンちゃんが快適に暮らせるように、それぞれのパーソナルスペースを確保しましょう。下記を参考に迎える前の準備をしておくことが理想です。

・ネコちゃん用の隠れ家やキャットタワーを設置する
→ 高い場所を確保することで、ワンちゃんから距離を取れるため
→ネコちゃんは高いところが好きなため
・ワンちゃん用のベッドやケージを用意する
→ワンちゃんが落ち着いて過ごせる専用のスペースを確保
犬が安心できる空間を作るクレートトレーニングのやり方について解説
・無理に同じ空間で過ごさせない
→ お互いのペースを尊重し、ストレスを最小限に抑えることも重要

このような工夫を取り入れることで、ネコちゃんとワンちゃんがストレスなく暮らせる環境を作ることができます。早く一緒に暮らすことを望んでしまわず、お互いのペースで焦らずゆっくりと慣れさせることが大切です。

よくあるトラブルと対策

犬が怖いネコ

ネコちゃんとワンちゃんが一緒に暮らす際には、さまざまなトラブルが発生することがあります。しかし、適切な対応を取ることで、トラブルを最小限に抑え、より良い関係を築くことができます。以下に、よくある問題とその解決策を詳しく紹介します。

ワンちゃんを怖がる場合

ネコちゃんは環境の変化に敏感であり、ワンちゃんの存在に慣れるまでに時間がかかることがあります。そのため、焦らずに少しずつ関係を築くことが重要です。

解決策一例は以下の通りです。

・ネコちゃん専用の隠れ場所を用意する
→ キャットタワーや棚を設置し、ワンちゃんと距離を取れるようにする
・ワンちゃんを落ち着かせる
→ ワンちゃんが興奮しすぎないようにトレーニングし、「待て」や「伏せ」のコマンドを強化する。もしくはドッグトレーナーに相談する。
・距離を保ちながら慣れさせる
→ 最初のうちは別の部屋で過ごさせ、匂いを交換するなどして徐々に慣れさせる。

ネコちゃんを追いかけてしまう場合

ワンちゃんの狩猟本能によって、ネコちゃんを追いかける行動が見られることがあります。この行動を制御するには、以下の方法を試してみましょう。

・「待て」「おすわり」のトレーニングを徹底する
→ 追いかけようとした際に、指示で制御できるようにする
→ドッグトレーナーに相談する
参考記事
参考記事
犬に「待て」を教える方法!成功するための全ステップを徹底解説
愛犬に「お座り」を教えるメリットと具体的な方法について解説
コマンドトレーニングのコツは”行動”ではなく”合図”を理解すること
・ワンちゃんの運動量を増やす
→ 十分なお散歩や遊びの時間を確保し、エネルギーを発散させる
→体力が余っていると余計な問題行動が出てしまうことがあるため

・ネコちゃんが安全に逃げられる環境を作る
→ ネコちゃんが高い場所に移動できるような家具の配置を考える
→キャットタワーや三段ケージなどを設置する

食事のトラブル

ネコちゃんとワンちゃんが同じ空間で食事をすると、ネコちゃんのごはんを食べてしまうことがよくあります。また、ネコちゃんは静かな環境で食事をすることを好むため、工夫が必要です。

・ネコちゃんの食事場所を高い位置に設定する
→ ワンちゃんが届かない棚やキャットタワーの上で食事させる
・食事の時間をずらす
→ お互いの食事時間を調整し、お互いに干渉しないようにする
・ネコちゃんのフードに近づかないようにトレーニングする
→ 「ダメ」や「待て」のコマンドを教え、ネコちゃんのご飯に手を出さないようにする
参考記事(内容は異なりますが近づかない目的は一緒ですので是非参考にしてください)
犬にキッチンや寝室など入ってはいけない場所を教える方法のコツ

トイレの問題

ワンちゃんがネコちゃんのトイレを覗いたり、砂を掘ったりすることがあります。ネコちゃんは清潔な環境を好むため、トイレの管理が重要です。また、ワンちゃんがネコちゃんのトイレで排泄してしまうこともあるため、お互いのトイレスペースの確保は必須です。

こちらの記事も合わせてお読みください↓
猫と犬のトイレ問題はどうすればいい?一緒に暮らすためのポイント解説

・ネコちゃんのトイレに近づけない場所に設置する
→ 別室に設置し、ワンちゃんが干渉しないようにする
・トイレに近づかないようトレーニングする
→ トイレ周辺に入らないよう、指示を教える。
犬にキッチンや寝室など入ってはいけない場所を教える方法のコツ
・ワンちゃんのトイレトレーニングをする
ワンちゃんには自分の場所で必ず排泄するようにする
犬のトイレトレーニングにはコツがある!成功のポイントを伝授

睡眠スペースの確保

ネコちゃんとワンちゃんがリラックスできる環境を整えるために、それぞれの睡眠スペースを分けておくことが重要です。また、ワンちゃんがネコちゃんのベッドで寝てしまうこともあるので設置場所は考慮しましょう。

・ネコちゃんのベッドは高い場所に設置する
→ ワンちゃんと距離を取れるようにし、安心できる空間を作る
・ワンちゃんのベッドは静かな場所に配置する
→ ワンちゃんがぐっすり眠れるよう、落ち着いた環境を作る
→テレビや出入りが多い場所を避けて、巣穴を連想するような落ち着いた空間を演出する
犬が安心できる空間を作るクレートトレーニングのやり方について解説
・お互いのスペースを尊重する
→ 無理に同じ場所で寝かせるのではなく、それぞれが快適に過ごせるよう配慮する。

これらの対策を講じることで、ネコちゃんとワンちゃんがより快適に暮らせる環境を作ることができます。時間をかけて慣れさせることが”共生”のポイントです。

まとめ

習性が異なる生き物同士を同じ屋根の下で暮らすには、多少の問題や工夫が必要です。お互いのペースに合わせて焦らず時間をかけて、心地よく過ごせる関係を築いていけるようにサポートしてあげましょう。適切な準備をすれば、素敵な多頭飼いライフを送ることができるはずです!最後に、もし不安が拭えない場合はドッグトレーナーに相談してみましょう。
ドッグトレーナーは”犬のプロ”として各ご家庭の現状を考慮して最適なアドバイスをしてくれます。迎え入れる前の準備はこういった相談も重要な準備の一つです。

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