今回はワンちゃんとの旅行についてペット・トラベルアドバイザーの資格を持つ私が、この記事を読めば旅行に行けるようになるまでの内容をまとめました。私自身が国内外の様々な場所へ旅に出たり、もちろんワンちゃんを連れての旅行も何度もしています。ですので、この記事を参考にしていただき、ワンちゃんと旅行へ行き沢山の思い出を作って頂ければ嬉しいです!
ペットツーリズムについて
ペットツーリズムとは、言葉の通り飼い主様とワンちゃんやネコちゃんを含むペットと共に旅行することを指します。また、勘違いしやすいのですが、宿泊を伴う旅行に限らず、日帰りの場合でも同じ言葉を用います。
非日常的な圏域や環境で飼い主様とペットが楽しめるように、宿泊施設の環境整備や飼い主様のマナーやしつけの向上、観光資源を円滑にする目的で【ペット・ツーリズム】という言葉が生まれました。
ペットツーリズムの魅力
ペットツーリズムにはどのようなものが含まれて、どんな魅力があるのかをご紹介します。
1、ペットといつもと違うところで遊ぶ
2、ペットと食事を楽しむ
3、ペットと泊まる
以上が含まれる内容ですが、その中にいくつかの魅力が隠されています。
1、思い出作り(ペットとの限られた時間を共有できる)
2、ストレスの解消(お互いにリフレッシュ)
3、旅先でのマナーを心配することで日々の教育の質が上がる
4、飼い主様同士の交流(兄妹犬の飼い主様と繋がれる可能性もある)
大きく分けると4つの魅力があるのです。
【ペットを飼う=旅行に行けない】の真実
ペットとの旅行を楽しみたいと考える飼い主様がいる一方、ペットがいると旅行に行けなくなると考える方もいます。
あるデータでは、旅行やお出かけに行けないからペットは飼わないと答えた方が23%いることも事実です。また、実際にペットを飼っている多くの方もペット連れでの旅行やお出かけは控えていると答えたそうです。
その背景には、見知らぬ人やワンちゃんに吠える、トイレを失敗する、お留守番ができない、ドックランで他のワンちゃんとの遊び方が分からず怖がってしまった、などの理由が挙げられていました。
しかし、これら全てはトレーニングすることで解消されますし、ペットホテルを利用するという選択肢もあるので【ペットを飼う=旅行に行けない】は全くの嘘だと考えています。
また、ネコの場合は性質的に環境の変化に敏感であり、連れ歩かれることをストレスに感じやすいため控えている方は多くいますが、トイレや給餌の環境を整えられていれば1泊2日程度はお留守番出来るそうです。
そもそもいつから旅行に行けるの?
旅行に一緒に行けるようになるのはいつか、という質問に対し明確な答えはありません。なぜかというと、出発できる準備が何歳までに終えられるかがカギとなるからです。
ですが、最低限の目安はワクチンと狂犬病の接種後となります。
忘れてはいけない犬へのストレス
次章からは実際にワンちゃんと旅行に行くための解説になります。
まず初めに、ワンちゃんとの旅行は人間同士の感覚で行ってはいけません。
必ずワンちゃんのことを思いやり行動するように心掛けてください。そうすることでトイレの失敗や体調不良のリスクも軽減します。
ワンちゃんは言葉が話せない上に我慢ができる生き物です。そのため、思いがけないところでストレスを感じたり、トラウマになってしまう可能性もあるので下記にまとめた内容を参考にしてください。
旅程表を組む
日帰りであれば、次に紹介する休憩を入れて頂ければ心配は最小限で済みますが、宿泊を伴う長距離、長時間での旅行である場合は、旅程表を作っておきましょう。
この旅程表には家族内でのタイムスケジュールが共有できる他に、ワンちゃんのトイレ休憩やリフレッシュ運動、またペットホテルで預けている場合などは施設に渡しておくこともできるのでオススメです。
旅に慣れていない方は旅程表を書くことで、ごはんが何回あるか、トイレ休憩は少なくないかなどの確認もできますし、今は無料で旅程のテンプレートが多くあるので気分を上げるアイテムとしても是非作ってみてください!
休憩を必ず入れる
上記でご説明した旅程表に休憩時間を設けても、渋滞やアクシデントで時間がズレてしまうことは少なくありません。その際に時間を気にするあまり、トイレ休憩を飛ばしてしまわぬように注意しましょう。
最低でも2時間に一回は休憩を取ることをオススメします。
食事は持参する
ペットと食事をすることもペットツーリズムの醍醐味ではありますが、食が合わず下痢をしてしまったり、ご飯を一口も食べなかったりすることもあるため、いつも食べているご飯を持参しましょう。
また、ペットカフェやワンちゃんと一緒に泊まれるホテルなどを利用する際は事前にご飯の持ち込みが可能かどうか確認することもおすすめです。
ペットホテルに預けるという選択肢
必ずしもワンちゃんを同行させないといけない訳ではありません。ワンちゃんがいることで旅行の目的が果たせない場合や、ペットが泊まれないホテルを利用する場合など理由は沢山あるかと思います。
そういった場合は、ペットホテルにワンちゃんを預けるという方法もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
移動手段は主に3つ
続いては、移動手段についてご説明します。今回は一つ一つを掘り下げるわけではなく移動手段の種類とメリット・デメリットをまとめてみました。今後、ワンちゃんと旅行に行く際の参考にして頂ければと思います。
車
最もポピュラーな移動手段が車になります。
その中でも下記のように使用用途によって旅の選択肢も変わってきます。
1、自家用車
メリット:
・時間や場所を気にせず移動できる
・プライベート空間を確保できる
・抜け毛やトイレの失敗も自分でカバーできる
デメリット:
・自分で運転をする
・行ける距離が限られる
2、レンタカー(キャンピングカーなどを含む)
メリット:
・寝泊りができる
・疲れた時に無理せず休める
・宿泊を兼ねているため行きたい所に行ける
デメリット:
・ペット可のレンタカーは少し割高になっていることが多い
・車酔いしやすいワンちゃんやご家族には不向き
・時間制限がある(返却時間)
・トイレの失敗が心配
3、バス(ツアーなど)
メリット:
・自分で運転しないでいい
・旅程を組んでくれる
・他の参加者と交流が出来る
デメリット:
・自分たちのペースで遊べない
・他のワンちゃん達もいるためしつけが必要
・抜け毛の予防でペットウェアの着用など気を使う
※2、3を利用する際にワンちゃんがヒート中は利用できないということもあるので要確認です!
合わせて読みたい参考記事↓
【旅好き】犬と快適に車で移動するには?ストレスを感じさせない秘訣
電車
続いては電車です。ただ、電車の一番のデメリットは【小型犬のみ】と限られてしまっていることです。
それを踏まえてメリット・デメリットをまとめました。
メリット:
・遠い距離でも短時間で行ける
・時間通りに到着することが多い
・飼い主様が電車旅が好きな場合、いろんな駅に行ける
デメリット:
・体がすっぽりと収まるケージに入れて、顔も出してはいけない
・ペットとケージの合計で10キロ以下(一部鉄道を除き)
・一般のお客様もいるため、吠えなどの抑制が必要不可欠
新幹線を含め、一般の利用客もいるため最大の配慮が必要となり少しハードルが高いイメージです。中には、ワンちゃんが苦手な人もいるため旅行中にお互い気持ちよく過ごすにはトレーニングが必須になるでしょう。
飛行機
国内外での旅行で、最短で行ける飛行機の利用は案外多い移動手段となっております。ですが、トレーニングをしていないワンちゃんにとってはとてもストレスになってしまうこともあります。
ワンちゃんは客室に乗ることはできず、温度や湿度を管理された貨物室に乗車するのですが、大きなエンジン音や気圧の変化、気候状況によっては大きく揺れるため、ストレスになりやすいのです。
ただ、全く動じない子やクレートを安心出来る場所だと認識している子は難なく飛行機での旅行を楽しんでいるので、ペットを飼うと旅行に行けないという概念を打ち消してくれる移動手段となります!
フェリー(補足)
自宅から徒歩でフェリーに乗ることは少ないと思うので、補足としてご紹介します。
メリット:
・車や電車で行けない土地に行ける
・ペット同室での宿泊ができる
・移動時間はかかるが、ゆっくり過ごすことができる
デメリット:
・必ずしもペットと泊まれる部屋があるわけではない
・短距離航海の場合は車の中でワンちゃんは過ごすしかない
・長距離航海の場合、天候によって散歩コースが使えない場合がある
・乗下船時には体が収まるクレートやケージが必要となる
犬連れ旅行での持ち物
旅行の際に用意する持ち物をまとめました。下記の持ち物は最低限の持ち物として準備しましょう。また、遊ぶ場所や季節によって増えることもあるのでシーンに合った持ち物をリストアップすることが重要です!
いつも食べているごはんと食器
上記で軽く触れましたが、いつもと違うご飯や食器だと食べない子も多いです。食欲が旺盛で何でも食べれちゃう子の中でも体に合わず下痢をしてしまうこともあるので、旅行期間中の食事を小分けにして用意することをオススメします。
いつも寝床に敷いているもの
宿泊先などでもベットの共有は禁止されていることもあります。また、ベットシーツの上でトイレをしてしまうリスクもあるため、クレートやケージで寝かせるかと思います。
その際にいつもと違う環境で不安になり寝れない子もいるので、いつも自宅で使っているマットや毛布などがあるとワンちゃんは安心できるでしょう。
トイレシートやマナーパンツ
トイレシートで排泄することを覚えているワンちゃんであれば、移動先や部屋、小型犬の場合には車の中でもトイレをコマンドでさせることが可能です。また、マナーパンツがあれば急に催しても粗相を防ぐことができるため、日常生活でトイレシートでの排泄やマナーパンツに慣れさせるためのトレーニングをしておきましょう。
ペットウェア
ペットウェアは長毛犬や短毛犬に限らず、オススメのアイテムとなります。汚れやダニノミを防ぐこともできる他に、抜け毛の削減にもなります。
自家用車やテント泊以外は、共用の物・場所です。こういった飼い主様の気遣いがワンちゃんの為にもなることを覚えていてほしいと思います。
ケージ・クレート
旅行の際のマストアイテムのケージ・クレートは寝床の他にも移動中の安全を守る役目も担っています。そのため、日頃からサークル・クレートトレーニングをし、慣れさせておきましょう。車移動をする際に、助手席や運転席で膝の上に乗せている方を見かけることがありますが、交通法で罰せられることもありますし、万が一事故が起きた場合、ワンちゃんへの衝撃は計り知れません。ワンちゃんやご家族の安全のためにも、サークルやクレートでの移動ができるようにトレーニングをオススメします。
クレートトレーニングの詳しい記事はこちら↓
犬が安心できる空間を作るクレートトレーニングのやり方について解説
お散歩セット
旅先でのお散歩は通い慣れたルートではないため、不測の事態を想定する必要があります。万が一のことを考えて、首輪とハーネスを着用しリードも2本着けると安心でしょう。また、せっかくの旅先で存分に遊べないのは可哀想なのでワンちゃんが大好きなオモチャも忘れずに持っていくことで、楽しい思い出を作れるのではないでしょうか。
ワクチン接種証明書
宿泊先やペットホテル、ペットカフェ・ドッグランなど不特定多数のワンちゃんが集まる場所では狂犬病・混合ワクチンの接種証明の提示が義務付けされていることが多いです。そのため、必ずお出かけする際には接種証明の準備をお忘れなく!
※ワクチンの接種はお出かけする直前では十分な効果が期待できないため、2週間~1ヶ月前に接種しましょう。また、次の接種時期が近い場合は効果が薄れていることがあるため、病院へ相談するのがオススメです。
不測の事態に備えるポイント
旅先では思いがけないアクシデントが付き物です。そんな時に慌てないためには事前の準備が重要となります。下記ではそんな事態を未然に防ぐためのポイントをまとめました。是非参考にして頂いて旅程に組み込んでみてください。
休憩所の確認
車移動の場合で一番多いアクシデントは渋滞です。特に高速道路で事故が発生した場合2時間以上の渋滞にハマってしまうことも少なくありません。そういった場合に次の予定があるからといって休憩時間を飛ばしてはいけません。
使用する高速道路のSAやPAでドッグランはあるか、トイレさせるところはあるのかなど事前に調べておくと柔軟に対応できるでしょう。
旅先でのマナー
ペットカフェやドッグランには多数のワンちゃんが集まっています。そこで急に喧嘩が始まり、相手のワンちゃんを怪我させてしまった、宿泊先の部屋でトイレを失敗してしまった、お散歩中に首輪が外れて逃げてしまったなど、意外と多いのが現実です。
しかし、そういったことが起きない様にトレーニングしておくことも飼い主側のマナーとなります。自分達も楽しい旅行にしたい気持ちがあるように、他の方も同じ気持ちで訪れているのに、迷惑をかけてしまってはお互いに嫌な思いをしてしまいます。
旅先でのマナーやモラルには気を付けましょう。
天気
最近の天気予報は昔に比べると的中率も格段にアップしたといえますが、それでも急な雨や予報以上の気温になることも珍しくありません。また、異常気象ともいえる短時間での豪雨や40度近い気温上昇もあり得るため、これからワンちゃんとお出かけする際は対策が必要となります。
熱中症対策や着替え、タオルなど必要な物を準備することで不測の事態にも対応できるようになるでしょう。
被災した場合の準備
災害の多い日本では、いつどこで被災するか予測ができません。また、出先で被災した時は、どこに避難していいのか分からずパニックになることでしょう。そういった事態を避けるために、自分自身で事前にできることをやっておくことで備えることができます。
・緊急連絡先を決めておく(ペットホテルに預けている場合は宿泊先の連絡先を伝えておく)
・宿泊所の避難経路を覚えておく
・行動範囲内の避難所や高台などを調べておく(ペット可なのか確認必要)
・被災した場合はどこに向かうか決めておく(突然の事態で家族が離れてしまっても目指す場所を決めておけば落ち着いて行動できる)
また、発災時にどこにいるかで行動も変わってくるはずです。
1、ホテルや宿泊施設の場合
→施設スタッフは定期的に防災訓練を行っているため、スタッフの指示に従い慌てずに行動しましょう。
2、海の近くの場合
→海のそばで一番怖いのは、津波です。
すぐに海岸から離れて、内陸の高い場所へ移動しましょう。
3、山での場合
→注意しなければいけないのが【落石・雪崩・土石流】です。
地震や大雨のあと、山の奥で雷のような音が響いたら、とにかく逃げましょう。
その際に下へ下へ逃げようとしがちですが、土石流などのスピードから逃げることは不可能なので、横へ逃げるようにしてください。
4、川での場合
→上流部で大雨が降ってしまうと、いきなり大量の水が下流へと流れてきます。これを【鉄砲水】と呼ばれているもので、川遊びで一番注意しないといけない現象です。
水の流れは思っている以上に強く、大人であっても膝の高さまで入れば身動きが取れなくなるほどです。上流での天気は変わりやすいので、天気チェックは忘れずに行いましょう。
帰宅後の確認は忘れずに
出先での内容は上記でまとめた内容をベースに、旅程を組んで頂ければと思います。しかし、これで気を緩めてしまってはいけません。帰宅後に必ず、ワンちゃんの様子を伺いましょう。特に気を付けるポイントは下記の通りです。
足を引きずってないか
まずは、歩行状態を観察してください。足を引きずっているか、手足を舐めていないかなど普段の状態と違和感がないかを注目しましょう。楽しい時間を家族と過ごすことで、痛みを我慢してたり、違和感に気が付かないこともあります。捻挫や肉球に傷がある可能性もあるため、心配の場合には病院へ受診しましょう。
体調は悪くないか
普段と違う環境で過ごす、車酔い、熱中症、疲労などで帰宅後、安心して急に体調を崩してしまうことがあります。そのため、帰宅後にワンちゃんの食欲や家での過ごし方を観察しましょう。
万が一、下痢や嘔吐が見られる場合にはストレス以外の原因がある可能性もあるため病院へ受診しましょう。
準備さえできればペット連れの旅行は怖くない!
ここまで長い記事を読んで頂いた方は、ペット連れの旅行に興味がある飼い主様だと思います。または、一度行った経験があるが、旅先で良くない思い出があり躊躇している方だと思います。上記でご説明した最低限の準備をして、各家庭の予定やワンちゃんの性格を加味して、旅程を組んで頂ければきっと楽しい思い出となることでしょう。また、一般の方への配慮やワンちゃんの最低限のマナーを守るために、日常の中にトレーニングを取り入れて素晴らしいドッグライフを送りましょう!
アンケートのご協力
記事やコンテンツについて、ご意見ご要望があればご協力お願い致します。
アンケート結果はより良い記事提供にするべく役立たせて頂きます。