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犬と在宅避難|避難所に入れないときの備えと注意点
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) その他
この記事の要点
「災害のとき、避難所が犬を受け入れてくれなかったら」。環境省が示している原則は「ペットとともに避難する」で、置いていく前提ではありません。そして「入れない」と言われたときの多くは「同じ部屋では過ごせない」という意味です。環境省は同行避難について「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」としています。家が安全なら、在宅避難がいちばん負担の少ない選択になります。ただし選べるのは、建物・火災・浸水・土砂・自分の体のすべてが大丈夫なときだけ。備えは、フードと水を少なくとも5日分(できれば7日分以上)、ケージの固定、窓の飛散防止。犬は靴をはけないので、割れたガラスは人より危険です。
「災害のとき、避難所が犬を受け入れてくれなかったらどうするのか」。ここを調べに来られる方に、先にはっきり書きます。環境省が示している原則は「ペットとともに避難する」です。置いていく前提で考えないでください。そのうえで、自宅が安全なら、そこにとどまる「在宅避難」がいちばん現実的な選択肢になります。
この記事は、在宅避難を選べる条件、選んだときに困ること、そして今日から用意しておくものを書きます。前提として、言葉の区別から始めます。
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子犬を見る「避難所に入れない」の意味を分けて考える
「ペットは避難所に入れない」と聞いて不安になりますが、この言葉は2つの違うことを指しています。環境省の説明にそって分けます。
| 言葉 | 環境省の説明 | つまり |
|---|---|---|
| 同行避難 | 「災害の発生時に、飼い主が飼養しているペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難すること」 | 一緒に避難所まで行くこと。これは原則としてできます |
| 同伴避難 | 避難所でペットを飼養管理する状態のこと | どこでどう過ごすかは避難所ごとに違います |
大事なのは、環境省が同行避難についてはっきりこう書いていることです。「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」。同伴避難についても「指定避難所等で飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではなく、ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意が必要」としています。
つまり、「入れない」と言われたときの多くは「同じ部屋では過ごせない」という意味です。屋外のテント、駐車場の車、別棟、といった形で受け入れる避難所もあります。まず自治体のサイトで、近くの避難所のペットの扱いを調べておいてください。災害が起きてから調べるのでは間に合いません。
そして、環境省が一般の飼い主向けに示している3点のうち3つめは、「災害時にはペットを落ち着かせるとともに、逸走やケガなどに注意して、ペットとともに避難する」です。置いていくことが標準の選択肢として書かれてはいません。
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在宅避難を選べる条件|先に家を見る
在宅避難は、家が安全なときにだけ選べます。まず確かめるのは犬のことではなく、建物と地域の状況です。
| 確かめること | ここが欠けたら在宅避難は選べません |
|---|---|
| 建物 | 倒壊や傾きが無いか。専門家や自治体の判定が出ているなら、それに従う |
| 火災 | 近くで火が出ていないか |
| 水害・土砂 | 浸水や土砂の危険がある地域なら、家が無事でも避難してください |
| ガス・電気 | ガスのにおい、配線の損傷があれば使わない |
| 自分の体 | けがや持病があるなら、無理をしない。人の安全が先です |
環境省の資料が飼い主に求めている1つめが、まさにここです。「飼い主が自らの安全を確保することが、災害時にもペットを適切に飼養することにつながる」。人が倒れたら、犬の世話をする人がいなくなります。
在宅避難の良いところと、つらいところ
| 良いところ | つらいところ |
|---|---|
| 犬にとって場所が変わらない。ストレスが小さい | 電気・ガス・水道が止まった状態を、自分たちだけで越える |
| ほかの避難者に気をつかわなくてよい(吠え・におい・抜け毛) | 情報が入りにくい。給水や物資の配布を自分で取りに行く必要がある |
| ふだんの食器・寝床・トイレをそのまま使える | 安否確認が届きにくい。近所や自治体に「ここにいる」と伝える必要がある |
| 薬や療法食を切らさずに済む(家にあるなら) | 暑さ寒さを機械に頼れない。夏と冬は命に関わります |
いちばん軽く見られがちなのが情報と安否確認です。在宅避難は「避難していない」ように見えます。自治体によっては、在宅避難の届け出をしておくと物資や情報が届きやすくなります。ここも、平時に調べておくところです。
用意しておくもの|5日分、できれば7日分以上
環境省の一般飼い主向けの資料は、「大規模な災害では、行政機関などの公的機関による支援がはじまるまでの間、自助や共助により乗り越えなければなりません」としたうえで、備蓄の優先順位を示しています。在宅避難では、この備蓄がそのまま生活になります。
| 優先順位 | 中身 |
|---|---|
| 1(動物の健康や命に係わるもの) | 療法食・薬/ペットフードと水 少なくとも5日分(できれば7日分以上)/キャリーバッグやケージ/予備の首輪、リード(伸びないもの)/ペットシーツ/排泄物の処理用具/トイレ用品/食器 |
| 2(情報) | 飼い主の連絡先とペットの情報 |
| 所有者明示 | 鑑札・迷子札・マイクロチップ |
在宅避難ならではの足し方も書いておきます。水は犬のぶんも別に数えること。ペットシーツは多めに(水が止まると洗えないので、汚れたら捨てる形になります)。そして療法食と薬は、なくなる前に補充する習慣にしておいてください。災害のあとは、いつもの店で買えるとは限りません。
備蓄のしかたは、使いながら買い足す形が続きます。新しく買ったものを後ろに入れ、古いものから使う。これなら期限切れが出ません。
家の中の備え|ケージの置き場所から
在宅避難で暮らすということは、その部屋で数日過ごすということです。環境省は住まいの防災対策として「家具や飼育ケージの固定、転倒防止、落下防止」と「ケージ、クレートなどペットの避難場所(隠れ場所)の確保」を挙げています。
| やること | 中身 |
|---|---|
| ケージの置き場所 | 「固定した家具のそばに配置したり、重量のある物がサークル内に落ちてこないような配慮をする」 |
| 家具の固定 | 倒れてくるものを減らす。ケージの上に物を置かない |
| ガラスの飛散 | 窓に飛散防止のフィルム。犬は靴をはけません。割れたガラスの上は歩かせられない |
| 逃げ場所 | ケージやクレートを、落ち着ける場所として用意しておく |
| 暑さ寒さ | 電気が止まった前提で、日よけ・毛布・保冷剤の置き場所を決めておく |
ガラスは、犬にとって人より危険です。人はスリッパや靴をはけますが、犬は裸足で歩きます。飛散防止のフィルムは、犬のためにも効きます。地震のあとは、まず足元を片づけてから犬をケージから出してください。
在宅避難でも、練習は要ります
「家にいるなら、しつけは関係ないのでは」と思われるかもしれません。在宅避難でも、次のことは起きます。
| 起きること | 要る練習 |
|---|---|
| 片づけや修理の人が出入りする | ケージで落ち着けること。人に慣れていること |
| 物資を取りに行くあいだ、家に置く | 留守番。ケージで待てること |
| 余震のたびに騒ぐ | 音への慣らし。落ち着ける場所があること |
| 散歩に出られない日が続く | 家の中でシーツに排泄できること |
| やはり避難所へ移ることになった | クレートに入れること。むやみに吠えないこと |
環境省が挙げている、避難所でのペットの飼養に必要な3つは、そのまま在宅避難でも効きます。「人や他の動物を怖がったり、むやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバックに慣れていること、決められた場所で排泄ができること」。練習の順番は犬の避難訓練の記事にまとめました。
それでも家にいられないとき
家が危ない、水が引かない、暑さや寒さがしのげない。在宅避難を切り上げる判断も、先に決めておいてください。行き先の候補を複数持っておくのが備えです。
| 行き先 | 確かめておくこと |
|---|---|
| 避難所(ペットの受け入れがある場所) | 自治体のサイトで、どの避難所がどう受け入れるかを平時に調べる |
| 車での避難 | 夏の車内は命に関わります。エコノミークラス症候群にも注意が要ります |
| 親戚・知人の家 | 犬を連れて行けるか、平時に話しておく |
| ペットホテル・動物病院 | 災害時に預かってもらえるか。ワクチンの証明が要ることが多い |
車での避難については、過去の災害でも問題になっています。環境省の資料には、2004年の新潟県中越地震で「車中避難によるエコノミークラス症候群が問題となった」、2016年の熊本地震で「家屋倒壊の不安から車中やテントへの避難者が多く、エコノミークラス症候群や熱中症対策が問題となる」と書かれています。車は選択肢のひとつですが、そこに長くいる前提で考えないでください。実際にやってみた記録は車中泊避難の記事にあります。
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よくある質問
災害時、避難所に犬を連れて行けないと言われたらどうすればいいですか?
まず言葉の意味を分けてください。環境省は「同行避難」を「災害の発生時に、飼い主が飼養しているペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難すること」と定義したうえで、「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」としています。つまり「入れない」と言われたときの多くは、「同じ部屋では過ごせない」という意味です。屋外のテント、駐車場、別棟という形で受け入れる避難所もあります。そして環境省が飼い主に求めている3つめは「災害時にはペットを落ち着かせるとともに、逸走やケガなどに注意して、ペットとともに避難する」です。置いていくことが標準の選択肢として書かれてはいません。近くの避難所がどう受け入れるかは、自治体のサイトで平時に調べておいてください。
在宅避難は、どんなときに選べますか?
家が安全なときだけです。確かめるのは犬のことではなく、まず建物と地域の状況です。倒壊や傾きが無いか。近くで火が出ていないか。浸水や土砂の危険がある地域ではないか。ガスのにおいや配線の損傷が無いか。そして自分の体。環境省の資料は、飼い主に求めることの1つめとして「飼い主が自らの安全を確保することが、災害時にもペットを適切に飼養することにつながる」を挙げています。人が倒れたら、犬の世話をする人がいなくなります。ひとつでも欠けるなら、在宅避難は選ばないでください。
在宅避難のデメリットは何ですか?
4つあります。1つめは、電気・ガス・水道が止まった状態を自分たちだけで越えること。2つめは、情報が入りにくいこと。給水や物資の配布は自分で取りに行く必要があります。3つめは、安否確認が届きにくいこと。在宅避難は外から見ると「避難していない」ように見えます。自治体によっては在宅避難の届け出をしておくと物資や情報が届きやすくなるので、平時に調べておいてください。4つめは、暑さ寒さを機械に頼れないこと。夏と冬は命に関わります。日よけ・毛布・保冷剤の置き場所を、電気が止まった前提で決めておいてください。
備蓄はどれくらい必要ですか?
環境省の一般飼い主向けの資料は、優先順位1(動物の健康や命に係わるもの)として、療法食・薬、ペットフードと水を少なくとも5日分(できれば7日分以上)、キャリーバッグやケージ、予備の首輪とリード(伸びないもの)、ペットシーツ、排泄物の処理用具、トイレ用品、食器を挙げています。優先順位2は情報(飼い主の連絡先とペットの情報)。あわせて鑑札・迷子札・マイクロチップでの所有者明示。在宅避難では、水は犬のぶんも別に数え、ペットシーツは多めに用意してください(水が止まると洗えないので、汚れたら捨てる形になります)。療法食と薬は、なくなる前に補充する習慣にしてください。
家の中で、犬のために備えておくことはありますか?
ケージの置き場所から見直してください。環境省は住まいの防災対策として「家具や飼育ケージの固定、転倒防止、落下防止」「ケージ、クレートなどペットの避難場所(隠れ場所)の確保」を挙げ、置き場所について「固定した家具のそばに配置したり、重量のある物がサークル内に落ちてこないような配慮をする」としています。もうひとつ、窓ガラスの飛散防止フィルムを勧めます。人はスリッパや靴をはけますが、犬は裸足で歩きます。割れたガラスは、人より犬に危険です。地震のあとは、まず足元を片づけてから犬をケージから出してください。
在宅避難なら、しつけは関係ありませんか?
関係します。在宅避難でも、片づけや修理の人が出入りします。物資を取りに行くあいだ、家に置いていくことになります。余震のたびに騒ぐこともあります。散歩に出られない日が続きます。そしてやはり避難所へ移ることになるかもしれません。環境省が避難所でのペットの飼養に必要なこととして挙げている3つ——「人や他の動物を怖がったり、むやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバックに慣れていること、決められた場所で排泄ができること」——は、そのまま在宅避難でも効きます。とくに、家の中でペットシーツに排泄できることは、散歩に出られない日の助けになります。
車で避難するのはどうですか?
選択肢のひとつですが、そこに長くいる前提で考えないでください。環境省の資料には、2004年の新潟県中越地震について「車中避難によるエコノミークラス症候群が問題となった」、2016年の熊本地震について「家屋倒壊の不安から車中やテントへの避難者が多く、エコノミークラス症候群や熱中症対策が問題となる」と書かれています。犬にとっても、夏の車内は命に関わります。エンジンを止めれば空調も止まります。どうしても車を使うなら、日陰、換気、水、そして人が交代で見ること。一度でも実際に車中泊をしてみると、何が足りないかがすぐ分かります。
在宅避難を切り上げる判断は、どうすればいいですか?
先に決めておくのがいちばんです。家が危ない、水が引かない、暑さや寒さがしのげない、薬が切れる。このどれかが来たら移る、と決めておいてください。そして行き先の候補を複数持っておきます。ペットの受け入れがある避難所(自治体のサイトで平時に調べる)、親戚や知人の家(犬を連れて行けるか、平時に話しておく)、ペットホテルや動物病院(災害時に預かってもらえるか、ワクチンの証明が要ることが多い)。判断を災害の最中に初めて考えると、動けなくなります。
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まとめ
「災害のとき、避難所が犬を受け入れてくれなかったら」。環境省が示している原則は「ペットとともに避難する」で、置いていく前提ではありません。そして「入れない」と言われたときの多くは「同じ部屋では過ごせない」という意味です。環境省は同行避難について「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」としています。屋外や別棟という形で受け入れる避難所もあるので、近くの避難所の扱いを平時に調べておいてください。家が安全なら、在宅避難がいちばん負担の少ない選択です。ただし選べるのは、建物・火災・浸水や土砂・ガスや電気・自分の体のすべてが大丈夫なときだけ。人の安全が先です。良いところは、場所が変わらないこと、ほかの避難者に気をつかわなくてよいこと、ふだんの物をそのまま使えること。つらいところは、電気やガスや水道の停止を自分たちだけで越えること、情報と安否確認が届きにくいこと、暑さ寒さを機械に頼れないことです。備蓄はフードと水を少なくとも5日分、できれば7日分以上。療法食と薬、キャリーバッグ、伸びないリード、ペットシーツ、所有者明示まで。家の中では、ケージを固定した家具のそばに置き、上に物を置かない。窓には飛散防止のフィルムを。犬は靴をはけないので、割れたガラスは人より危険です。そして在宅避難でも練習は要ります。人の出入り、留守番、余震の音、散歩に出られない日。どれもふだんのしつけがそのまま出ます。
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