フローエンスメディアライター 大久保 祐太

しつけやトレーニングに関する記事を弊社ドッグトレーナーを通し、分かりやすく実践しやすい記事を発信します。
また、私自身がしつけに大きく悩んだ経験があるため、飼い主様にできる限り寄り添える記事を目指します!

犬歴

  • ゴールデンレトリーバー
  • ミニチュアダックスフンド
  • オーストラリアンキャトルドッグ

資格

  • ペット災害危機管理士2級 講師
  • 家庭動物管理士
  • ペット防災生活アドバイザー
  • ペット・トラベルアドバイザー

犬が飼い主の言うことを聞かない理由と執着してしまう理由とは

犬の育て方

ワンちゃんが人やモノに意識が集中し、飼い主さまの指示(コマンド)を聞かない経験はありますか?好きな人に会うと飼い主さまを無視し、その人に構ってもらうまで何一つ指示を聞かないなど、聞かないケースは様々です。今回はワンちゃんによって好き嫌いは異なりますが、飼い主さまの指示が聞こえない程に執着してしまう理由と指示を聞かない理由について解説します。

犬が全く言うことを聞いてくれない理由

飼い主さまの指示を聞かない理由として3つ挙げられます。

1、褒めが足りていない(分かっていない)
沢山褒めているつもりでも、ワンちゃんが「褒められている」と理解していなければ、それは褒めになっていません。その結果、言うことを聞いても「得しない」「意味がない」と思い、自我を突き通すことになってしまいます。

褒め方についてはこちらの記事も参考にしてください↓
犬の褒め方は一つじゃない?信頼関係の構築にも効果的な褒めについて解説

2、飼い主をなめている
少し表現がきつくなってしまいますが、一番分かりやすくいうとなめている可能性が高いです。例えば、指示は聞こえていて指示通り動くことができる場合などでは「指示を聞かなくても怒られないしいいや」「どうせ聞かなくてもそっち(飼い主さま)から来るんでしょ」など、ワンちゃんの気分次第になっているケースです。

この場合は、一貫して指示を聞くまで貫き通してみましょう。

指示はちゃんと聞くものとして学ばせるため、妥協はせずに心を鬼にして対峙することをおすすめします。

3、ワンちゃんがダメな行為と認識していない
このケースは人に対し、飛びつきや吠えといった行為が当てはまります。
例えば、ワンちゃんが嬉しい気持ちの表現として飛びついてしまう場合、飛びついたことで喜んでくれている、遊んでくれている、と勘違いしてしまい飛びつきを繰り返してしまいます。
このような場合、いくら飼い主さまが「ダメ」と指示を出しても【ダメなこと】だと理解していない、怒られている実感がないため【繰り返す=言うことを聞かない】となってしまうでしょう。

下記では、より具体的に問題行動にフォーカスを当てた内容をお伝えします。

何度言っても吠えるのをやめない


一方的に対象物に対し、飼い主さまの声が届かない程に吠えてしまうケースでは、以下のようなことが考えられます。

1、ワンちゃんが今一番やりたい行動になっている
例えば、縄張り意識が強い子であれば、まずは「追い出す」ことに集中するため、飼い主さまの指示は二の次になっている可能性が高いです。
とはいえ、ワンちゃんが一番やりたい行動であっても許してはいけません。自分の欲をコントロールできるように飼い主さまに意識を向かせる必要があるでしょう。

2、社会化不足が原因の場合
対象物に対して吠えてしまう原因は社会化不足によるものが多く、警戒心から吠えてしまうため、社会化トレーニングの見直しややり直しが必要になります。
例えば、お散歩中に人とすれ違う際に吠えてしまうのは【警戒吠え】に該当することが多いです。
ご家族以外の人を受け入れる余裕がないため、ワンちゃんにとっては怖い存在から自分を守るために吠えてしまうので警戒する対象ではないことを学ばしてあげましょう。

警戒吠えがあるということは、お散歩中は常に警戒している状態のため、リラックス状態でお散歩が出来ていないことを意味するため、そのストレスを改善できるようにしてあげることがおすすめです。

何度言っても噛むのをやめない

次に、何度言っても噛んでくる場合ですが、以下のことが考えられます。

1、成功体験となっている
ワンちゃんにとって、噛まれた時の【ヒト】の反応が面白く、噛むと喜んでる、遊んでくれている、と間違った成功体験をしたことで、遊びのひとつになっている可能性があります。

上記でもお伝えしましたが、ダメなことという認識がなく、楽しい体験となっていれば同じ行動は繰り返します。叱る時は叱る、褒める時は褒める、などメリハリのある行動が理想です。

こちらの記事も参考としてお読みください↓
犬のしつけで正しい叱り方とは?「怒る」ではなく「叱る」を意識しよう

2、ワンちゃんに構う時間が足りていない
例えば、噛まれた時にだけ大きなリアクションをとるとします。
そうすると、ワンちゃんは噛むことで構ってもらえると勘違いしてしまい、構ってほしい時や遊んでほしい時に噛んで知らせようとします。
人間の言葉は理解できないので「噛まれたー!」「痛いー!」と騒ぐことで遊びになってしまうため、こちらも一つの遊びとして認識してしまうでしょう。

好きな人に会うと飼い主を無視する場合

お散歩中や来客時などに多くみられるこちらの問題ですが、下記のようなことが考えられます。

1、一番構ってくれる存在であるため
飼い主さまとの信頼関係が構築できていないわけではありませんが、ワンちゃんにとって自分に全く害がなく、構ってくれて楽しい大好きなヒトと認識してしまうことで、飼い主さまの声を無視してでもその人へ向かってしまいます。

指示を聞くことよりも、魅力的な報酬がそのヒトだったというわけです。

2、飼い主との生活に慣れて喜びが薄れてしまう
1の続きになりますが、構築できていないわけではありません。
しかし、飼い主さまとのコミュニケーションに慣れてしまい喜びが薄れてしまっている可能性が高く、普段は飼い主さまの指示を聞くけど、好きな人がきたらテンションが上がってしまうケースも考えられます。

日常生活でのコミュニケーションをルーティン化させない工夫をして、飽きさせないようにしましょう。

3、たまに会うからこそ喜ぶ
これは本当に純粋に報酬ではなくて会えたことの喜びが大きくなり興奮してしまうケースです。人間でいうと、久しぶりに友人に会うとテンションが上がってしまうことと同じです。そのため、指示を聞き興奮をコントロールできるようにトレーニングしましょう。

意識の向かせ方としては、ワンちゃんにとってメリット(報酬)となることを明確にしてあげることもおすすめです。それが、撫でることなのか、おやつのことなのかは個体差がありますが、飼い主さまの指示を聞くことでいいことがあるというイメージを持たせてあげることで、意識を向かせることができます。

飼い主の指示が聞こえない程に執着してしまう理由

なぜ、飼い主さまの指示が聞こえない程に執着してしまうか考えられる理由は二つあります。これらを加味したうえで、どのように接してトレーニングしていけば良いのかも合わせてご説明します。

対象物が飼い主より魅力的だから

執着してしまう対象物が飼い主さまより魅力的だとその対象物をロックオンしてしまいます。決して飼い主さまのことが嫌いなわけではないのですが、上記でお伝えした通り「慣れ」が原因でつい、その対象物に意識が行ってしまっている状態です。

この場合は、日常生活の中で褒めのレベルを変えたり、飼い主さまの指示を聞くともっと楽しいことがあるよと教えていくことが効果的です。

対象物に良い思い出があるから

もう一つは、その対象物に対して「良い思い出」があるからです。

例えば、お散歩中に会ったワンちゃんがお友達の場合、早く一緒に遊びたいと思ったり、その飼い主さまがおやつをくれる人だった場合などが当てはまります。また、たくさん触ってくれたり、わんちゃんにとって嬉しい対象物であると指示を聞かずに向かっていってしまうでしょう。

このような場合は、基本トレーニングである「マテ」の強化をするか、上記の飼い主さまの方が魅力的になる方法がおすすめです。

魅力的になるというのは、わんちゃんにとっての魅力になるため、愛犬のことをよく観察して何が喜ぶのかを知る必要もあります。観察と並行してマテの練習も行いましょう。

最初は刺激の少ないところから始め、徐々に刺激のあるところでも出来るようにしていけると理想です。いきなり完璧にできることはないので、焦らずゆっくりと行い待てたら沢山褒めてあげてください。指示を聞くことで飼い主さまに褒められるといった良いイメージを持ってもらうことも重要です。

「ダメ」のコマンドを作る

最後にダメなことのルールを人間が作り、徹底することが大切です。

魅力的であっても、良いことがあるからといっても、飼い主さまの指示が一番になるようにすることが一番の解決策だと思います。そのためには、ダメなことはダメと学習させる必要があり、それに伴うコマンドも決めて行いましょう。

ダメやNoのように、短い単語で徹底します。そして、ダメと教えたことは許可なしではやらせないように徹底し、直ちにその場から離すようにしてください。繰り返すうちに覚えていくので、飼い主さまだけでなく、ご家族なども含めワンちゃんを混乱させないように、ルールの統一と徹底は守りましょう。

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