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犬のアイコンタクトの教え方|できない・散歩中は見ない原因と6段階
公開日:2024年9月6日(金) 更新日:2026年10月6日(火) しつけトレーニング
この記事の要点
犬のアイコンタクトは、名前を呼んだら犬がこちらの顔を見ることで、おすわり・待て・おいでなど、あとから教える合図の全部の土台です。犬はもともと人の顔を見る動物で、飼い主と見つめ合うと犬にも人にもオキシトシンが増えることが研究で分かっています。ただし、飼い主とのアイコンタクトと、知らない犬をにらむ凝視は別物で、犬を押さえて目をのぞき込むのは脅しの形です。教え方は、名前で振り向く→おやつで目の間へ誘導→言葉の合図→おやつを横に伸ばして「顔を見ると出る」を教える→時間を延ばす→場所を広げる、の6段階。できないのは、こわがっているか、興奮しているか、場所が変わったか、進み方が速すぎるかで、目をそらすのは無視ではなく「落ち着いて」の合図です。叱らず、犬が自分から見上げるのを待ちます。
「名前を呼んでも、こちらを見てくれない」「散歩中はまったくアイコンタクトを取ってくれない」「子犬のうちからアイコンタクトを教えたほうがいいと聞いたけれど、何をすればいいのか」。犬のアイコンタクトについて調べて来られる方の多くは、「できない」で困っています。この記事は、そこから書きます。
先に結論を書きます。犬のアイコンタクトとは、名前を呼んだら犬がこちらの顔を見る、ということで、あとから教えるすべての合図の土台です。犬は人を見て情報を取る動物で、飼い主さまと見つめ合うと犬にも人にもオキシトシンが増えることが研究で分かっています。教え方は、名前を呼ぶ→目が合った瞬間に「いいこ」の合図→おやつ、の繰り返しで、家の静かな部屋から、気を散らすものを1つずつ足して、最後に散歩道で。できないのは、こわがっているか、興奮しているか、進み方が速すぎるかのどれかで、目をそらすのは無視ではなく「落ち着いて」の合図です。この記事では、アイコンタクトとは何か、なぜ効くのか、「見つめる」と「にらむ」の違い、教え方の6段階、できないときの原因、暮らしでの使い方を、アメリカの犬の団体(アメリカンケネルクラブ)の解説、獣医行動学の資料、犬の研究にそって書きます。
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子犬を見る犬のアイコンタクトとは|名前を呼んだら目が合う。すべての合図の土台です
しつけで言う「アイコンタクト」は、飼い主さまが名前を呼んだり合図を出したりしたときに、犬がこちらの顔を見ることです。じっと見つめ続けることではありません。「見ている犬」は、次に何が起きるかを待っている犬で、「見ていない犬」には、おすわりも待てもおいでも届きません。アメリカの犬の団体の「見て」の合図の解説は、犬がどこを見ているかをこちらで決められることが練習の成否を分け、見ていない犬は飼い主が何をしているかそもそも見えず、見ている犬は次に何を求められるかを待っている、と書いています。だから、しつけの順番としては、おすわりより前にここを作ります。
もう一つ、アイコンタクトは犬の側からの伝え方でもあります。犬が人を見る理由は、大きく3つに分けられます。情報を取るため(リードを持ったら散歩、器を持ったらごはん、と人の動きから次を読む)、何かを伝えるため(ドアの前で座ってこちらを見る=トイレに行きたい、食べているそばで見る=分けてほしい)、そして気持ちを表すため(好きな相手を見る)。ほめて教える方法で育った犬ほど、練習の合図を待って飼い主をよく見るようになります。つまり、名前を呼んだら見る犬は、飼い主さまを「良いことが始まる相手」として見ている犬です。当犬舎で紹介しているトイプードル、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、シーズーのような小型犬は、いつも飼い主さまを見上げる位置にいるので、この練習は毎日の暮らしの中に置きやすい犬たちです。
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犬はなぜ人を見るのか|研究で分かっている3つのこと
「犬はアイコンタクトが必要なのか」と聞かれることがあります。答えは、犬という動物がもともと人の顔を見る動物だ、ということから始まります。獣医行動学の専門医が書いた、アメリカの動物病院グループ(VCA)の解説は、人と犬の違いをひとことで「人は聞く生き物、犬は見る生き物」と言い表しています。犬どうしの伝え合いは体の姿勢とにおいが大きな部分を占め、声の役割は人より小さい、ということです。研究は、その先を3つ教えてくれます。
- 犬はオオカミと違って、困ると人の顔を見る……2003年に発表された研究(ミクローシら・カレントバイオロジー誌)では、人に育てられたオオカミと犬に、開けられるように練習した箱を、今度は開かないようにして渡しました。犬は解けなくなると人の顔を見上げましたが、人に慣らしたオオカミはそうしませんでした。研究者は、犬とオオカミの行動のいちばん大きな違いは「人の顔を見る力」で、そこから犬と人の複雑な伝え合いが育った、と考えています
- 見つめ合うと、犬にも人にもオキシトシンが増える……2015年にサイエンス誌に発表された麻布大学の研究では、犬が飼い主を見つめると飼い主の尿中のオキシトシン(人の親子の絆に関わるホルモン)が増え、それが飼い主の犬への関わりを増やし、犬のオキシトシンも増える、という双方向の回路が見つかりました。オオカミではこの回路は見られませんでした。見つめ合いを増やすことは、犬との絆を作るよい方法です
- 犬の表情は、こちらが見ているときに出る……2017年の研究(カミンスキら)では、人が犬のほうを向いているときのほうが、背中を向けているときより犬の顔の動きがはっきり多く、目の前に食べ物があるかどうかでは変わりませんでした。犬の表情は勝手に出ているのではなく、見ている相手に向けて出している、と考えられています。飼い主さまが犬を見ていなければ、犬の側の伝え方も減る、ということです
この3つを合わせると、アイコンタクトは「教え込む芸」ではなく、犬がもともと持っている「人を見る」を、飼い主さまに向けて安定させる練習だと分かります。犬がこちらを見ているときに何を言っているかを、場面で分けておきます(アメリカの犬の団体と、動物病院グループの解説をもとにまとめました)。
| 犬がこちらを見ている場面 | 言っていること | 飼い主さまがすること |
|---|---|---|
| リードや器を持ったとき。出かける支度をしているとき | 情報を取っている。「次に何が起きる?」 | そのまま。合図を出す前に目が合っているなら、いちばん通りやすいとき |
| ドアの前で座って見る。食べているそばで見る | 伝えている。トイレに行きたい・分けてほしい | 「見つめられたから渡す」を繰り返すと、見つめて要求する犬になる(そう育てているのは飼い主の側)。代わりの行動(ベルを鳴らす・寝床で待つ)をほめる |
| 膝の上や足元で、力を抜いてこちらを見上げる。まぶたがゆるんでいる | 気持ちを表している。愛情。やわらかい目は落ち着きのしるし | 見返して、静かに声をかける。オキシトシンの回路はここで回る |
| 体が硬く、まばたきをせず、じっと見る。骨やおもちゃのそばで | 警告。硬い凝視は脅しで、物を守る行動に伴うことが多い | 目を合わせ続けず、下がる。次の章と犬が怒る理由とサインの記事へ |
| 目をそらす、顔をそむける、白目が見える | 「落ち着いて」「近づかないで」のなだめの合図。無視ではない | 近づくのをやめ、声を落とす。できないときの章へ |
「目を合わせる」と「にらむ」は違います|知らない犬を見つめない
ここで、はっきり分けておきたいことがあります。飼い主さまとのアイコンタクトと、犬を見つめること(凝視)は、犬にとって別のものです。犬の祖先であるオオカミにとって、見つめることは脅しであり無礼で、その感覚を残している犬もいます。だから知らない犬をにらまない、犬を押さえて目をのぞき込まないでください。まばたきをせず体を硬くしてじっと見てくる犬がいたら、下がって目を合わせないことです。獣医行動学の専門医の解説も、目を大きく開いた直視を「攻撃の側でいちばん控えめなサイン」とし、犬どうしではこれだけで済むことが多い、としています。
人の側の近づき方も、同じ理由で犬には脅しに見えることがあります。犬の行動研究で「脅かす近づき方」として使われる手順(チマレッリら・2016年)は、見知らぬ人が5メートル離れた位置から、約4秒に1歩というとても遅い足取りで、上体を少し前に倒し、犬の目をじっと見続けながら近づく、というものです。家庭犬(ボーダー・コリー220頭)にこれをしたところ、なだめる反応が47%、後ずさりが24.7%、唸る・歯をむく・噛みつこうとするが14.6%で、友好的に近づいてきたのは6.5%だけでした。「犬が苦手だから、目を見ながらそっと近づく」が、犬にはいちばんの脅しに見える、ということです。
では、飼い主さまとのアイコンタクトはなぜ脅しにならないのか。目を合わせることが苦手な犬もいますが、目を見ることを「教える」と、見つめ合いのストレスが減ります。教えたアイコンタクトは、「見たら良いことが起きる」の結びつきが先にあるので、犬にとって見つめ合いが安心な行動になります。逆に、教えていない犬の目を、しつけのつもりで押さえてのぞき込むのは、脅しの形そのものです。アメリカの獣医師の学会(米国獣医行動学会)の見解にあるとおり、犬が脅かされたと感じる対決型の方法は防御的な攻撃を引き出し得るので、アイコンタクトは「させる」ものではなく「見たくなる」ように作るものです。目・耳・口・体のサインの読み方の全体は犬のボディランゲージの記事に書いています。
アイコンタクトの教え方|名前→目が合う→合図→気を散らすもの→外、の6段階
「犬 アイコンタクト 練習」「子犬 しつけ アイコンタクト」で調べて来られる方へ。手順は、アメリカの犬の団体の「見て」の合図の解説にそって6段階です。先に決めておくことが3つあります。「できた」の合図(マーカー)は「いいこ」「イエス」のような短い言葉かクリッカーで、ふだんの会話と区別できる音なら何でもよく、正しい瞬間を切り取り、鳴らしたら必ずご褒美を渡すのが約束です。言葉の合図は「見て」「ミテ」「ルック」など1つに決め、家族で同じにします。名前そのものを合図にしてもかまいません。1回の長さは、とても短くして、1日に何回も行います。子犬なら2〜3分、うまくいったところで終えます。おやつは小指の爪ほどに小さくちぎります。
| 段階 | やること | 次へ進む目安 |
|---|---|---|
| 1 名前で振り向く | 犬が別のものを見ているときに、明るい声で名前を1回。振り向いた瞬間にマーカー、ほめておやつ。家の静かな部屋で(呼び戻しの練習の「名前ゲーム」と同じ) | 名前を呼ぶと、10回中8回はこちらを向く |
| 2 目が合う(誘導) | おやつを犬の鼻先に持ち、ゆっくり自分の目の間まで上げる。犬がこちらの額を見たらマーカー、おやつ。次は反対の手からおやつを渡す。次は空の手で同じ動きをして、目が合ったらおやつ | 空の手を目の間に上げると、犬がこちらの顔を見る |
| 3 言葉の合図を付ける | 手の動きだけで確実に目が合うようになったら、手を動かす前に「見て」と言う。言葉→手の合図→目が合う→マーカー→おやつ | 「見て」と言うだけで目が合う |
| 4 気を散らすものを1つ足す | おやつを犬の鼻先に見せてから、腕をまっすぐ横に伸ばす。犬はおやつを見るか、こちらの顔を見るかを選ぶ。待つ。犬がこちらの顔を見た瞬間にマーカー、おやつ | おやつではなく、こちらの目を見ることを犬が選ぶ |
| 5 時間を延ばす | 目が合ってから、1秒、2秒、3秒と待ってからマーカー。途中でそらしたら、そらす前の長さに戻す | 3〜5秒、目が合ったまま待てる |
| 6 場所を広げる | 家族が動いている部屋→玄関→家の前→静かな道→いつもの散歩道、と1段ずつ。できなければ1段戻す(見ないなら、進みすぎ) | 散歩中に名前を呼ぶと、こちらを見る |
段階4が、この練習でいちばん大事なところです。ここで犬に「おやつを見つめていても出てこない。飼い主を見ると出てくる」と気づかせます。腕を横に伸ばしたおやつを見つめている犬を、じっと待ってください。いずれ「どうしたの?」とこちらを見ます。その瞬間です。最初は顔のほうを向いただけでほめ、慣れてきたら、目が合うまで待ってからほめます。食べ物に興味の薄い子は、おもちゃで同じことをして、ご褒美を引っぱりっこにしてかまいません。
段階6の「場所を広げる」は、犬が合図を言葉だけで覚えていないから要ります。「おすわり」「おいで」を訓練した犬に、合図を出す人が2.5メートルほど離れて半分隠れた状態で合図を出すと成績が下がり、背中を向けて「おすわり」を出しても下がった研究があります(福澤ら、2005年)。犬は合図を、飼い主さまの姿勢・目・距離・見え方とまとめて覚えています。家の中で向かい合って出した「見て」と、散歩道で横に並んで出した「見て」は、犬には別の合図です。だから、場所が変わるたびに段階2に近いところからやり直します。しつけ全体の順番と、月齢ごとに何を教えるかは犬のしつけはいつからの記事に、名前で振り向く先にある呼び戻しは呼び戻しの教え方の記事に分けています。
アイコンタクトができないとき|こわい・興奮・目をそらす、で原因を分けます
「犬 アイコンタクト できない」「子犬 アイコンタクト できない」「散歩中はアイコンタクトしない」が、この記事にいちばん多く来ている検索語です。できない理由は、犬の様子で分かれます。先に知っておいてほしいのは、目を合わせることが苦手な犬は、ほかの犬より時間がかかるということと、犬がわざと目をそらしているなら、それは無視ではなく「落ち着いて」という犬の言葉なので、いったん休んで、こちらが落ち着いて明るくいられるときにやり直す、ということです。当てはまる行を探してください(アメリカの犬の団体と、動物病院グループの解説をもとにまとめました)。
| 犬の様子 | 考えられること | 直し方 |
|---|---|---|
| 目をそらす、顔をそむける。あくび、鼻を舐める。体が低い | こわさ・緊張。目をそらすのは、なだめのいちばん控えめなサインで、あくびと鼻舐めは緊張のサイン | 近づくのをやめ、声を落とし、体を横に向けてしゃがむ。目を合わせることを求めず、犬が自分からこちらを見た瞬間だけほめる。段階1に戻る。人を怖がる子は社会化不足の記事と男性を怖がる犬の記事へ |
| 子犬で、まったく目を見ない。逃げる | まだ人に慣れていない。お迎え直後は環境に慣れることが先。生後8〜11週は最初の「怖がる時期」で、お迎えの時期と重なる | 数日は練習せず、そばで静かに過ごす。名前を呼んでおやつ、から。無理に顔をのぞき込まない |
| 興奮して、飛びつく・走り回る・きょろきょろする。おやつを追うだけ | 高ぶりすぎ。散歩の前・来客・遊びの最中は目に入るものが多すぎる | 落ち着いた時間(散歩や遊びのあと、ごはんの少し前)に、静かな部屋で。段階4で「おやつを見ても出てこない」を積む。興奮の下げ方は子犬を落ち着かせる方法の記事へ |
| 家ではできるのに、散歩中はまったく見ない | 場所が変わって別の合図になっている。外はにおい・音・犬・人で、飼い主さまより面白いものだらけ | 段階6を飛ばしている。家の前→静かな道、と戻す。散歩の途中で立ち止まり、何もない場所で名前を呼んで、見たらおやつ、を1回の散歩で何度も。散歩全体の作り方は散歩で引っ張る犬の記事へ |
| おやつを見つめたまま、いつまでもこちらを見ない | 段階4で待ちきれず、おやつを渡してしまっている。または、おやつの価値が高すぎて釘付け | 待つ。犬が視線を動かした瞬間を逃さない。それでも動かないなら、おやつをつまらないもの(フードの粒)に替えて、顔を見たときだけ良いおやつを |
| 体が硬く、まばたきせずにじっと見てくる。唸る | アイコンタクトではなく凝視(脅し)。物や場所を守っている | 目を合わせ続けず、下がる。練習をやめて、犬が怒る理由の記事の対応へ。続くなら専門家に相談 |
| 以前はできていたのに、急にしなくなった。目を細める、頭を触られるのを嫌がる | 目や耳の痛み、視力の低下のことがある。生後6〜8か月は飼い主にだけ従いにくくなる時期でもある | 目やに・充血・まぶしがるがあれば動物病院へ。思春期なら簡単な段階に戻して続ける(犬の反抗期の記事) |
この表でいちばん多いのは、1行目と4行目です。「目を合わせてくれない」子の多くは、こちらが顔を近づけて見つめすぎています。人の顔が上から近づいてくるのは、犬にとっては前の章の「脅かす近づき方」に近い形です。しゃがんで、体を横に向けて、犬が自分から見上げるのを待ってください。アイコンタクトは、人が犬の目を探しに行くものではなく、犬が人の顔を探すように作るものです。そして、できなかったことを叱らないでください。同じ学会の2021年の見解では、罰を使った方法は不安に関わる行動と関連が見られ、新しいことを覚える力も落とすとされています。叱られた犬は、飼い主さまの顔を見なくなります。
アイコンタクトの使い方|散歩・来客・信号で「見て」が効く場面
教えたアイコンタクトは、暮らしの中で「犬の注意を、環境からこちらへ戻す」ために使います。たとえば、来客のときにマットへ行かせる前、ごはんの前におすわりをさせる前、そして散歩で他の犬とすれ違うときです。先に「見て」で注意をこちらに向けてから合図を出すと、興奮するものがあっても合図が通りやすくなります。場面ごとに表にします。
| 場面 | 使い方 | そのあとの合図 |
|---|---|---|
| 散歩で他の犬・人とすれ違う | 相手が近づく前に「見て」。見たらおやつ。見ているあいだに通り過ぎる | 横について歩く。相手に向かって吠える子は吠えのしつけの記事へ |
| 信号・横断歩道 | 止まって「見て」。信号が変わるまで目が合っている | 「待て」→「よし」で渡る(「待て」の教え方の記事) |
| 来客・インターホン | 音が鳴ったら名前を呼んで「見て」。見たら、決めた場所(マット)へ | マットで伏せて待つ(インターホンに吠える犬の記事) |
| ごはん・散歩の前 | 器やリードを持ったら「見て」→目が合ったら「おすわり」 | 座ったら器を置く・リードを付ける。「見て→おすわり」が「ください」の形になる(おすわりの教え方の記事) |
| 拾い食いしそうなとき | 口を地面に近づける前に名前→「見て」。見たらおやつ | 「出せ」「放っておけ」へ。落ちているものより飼い主さまの手のほうが良い、を積む |
| 呼び戻し | 名前で振り向く(段階1)が、そのまま呼び戻しの入口 | 「おいで」(呼び戻しの教え方の記事) |
アメリカの犬の団体の解説が最後に書いていることを、そのまま伝えておきます。「飼い主が良いことの出どころになれば、犬は次に何が来るかを見ようとして、自然に飼い主を見る」。骨を渡す前におすわり、散歩に出る前に伏せ、のように、良いことの前に飼い主さまを通す形にしておくと、犬は聞くと得だと分かって注意を向けるようになります。そして、犬が他の面白いものではなくこちらを見ることを自分で選んだときは、当たり前と思わずに、ほめるか、おやつか、なでるかで返してください。「見る価値のある人」だと犬が思っていれば、目はいつもこちらに向きます。
やってはいけないことも並べておきます。
- 顔を近づけて、目をのぞき込む……人が犬の目を探しに行く形は、犬には脅しに見えます。犬が自分から見上げるのを待ちます
- あごを持って顔を向ける、押さえて見つめる……上の章で「しない」と書いた形です。獣医師の学会の見解でも、対決型の方法は防御的な攻撃を引き出し得るとされています
- 名前を連呼する……「ポチ、ポチ、ポチ」と応えない犬に繰り返すと、名前が意味を失います。1回呼んで、見なければ段階を戻します
- 見なかったから叱る……叱られた犬は顔を見なくなります。罰は覚える力を落とします
- 興奮している最中に練習する……散歩の前や来客中は、目に入るものが多すぎます。落ち着いた時間に、静かな部屋から
- 知らない犬と目を合わせ続ける……飼い主さまとのアイコンタクトと、知らない犬への凝視は別です。散歩ですれ違う犬をにらまず、自分の犬に「見て」を出します
- 見つめられたら要求に応える……食卓で見つめられて渡す、を続けると、見つめて要求する犬になります。代わりの行動をほめます
相談の目安です。段階1の「名前で振り向く」が家の中で何週間も入らない、こちらが顔を向けるたびに目をそらして隠れる、目を合わせると唸る、以前はできていたのに急にしなくなって目やにや充血がある。そういうときは、ひとりで抱え込まずに、体のことは動物病院へ、しつけのことはドッグトレーナーへご相談ください。フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。「どの段階で、犬がどこを見るか」が分かっていると、相談がその場で具体的になります。お迎え直後の最初の1週間は犬を迎えた初日の記事に、社会化期に人に慣らす進め方は社会化トレーニングの記事に分けています。
よくある質問
犬のアイコンタクトとは何ですか?必要ですか?
名前を呼んだり合図を出したりしたときに、犬がこちらの顔を見ることです。じっと見つめ続けることではありません。アメリカの犬の団体の解説では、見ていない犬は飼い主が何をしているかそもそも見えず、見ている犬は次に何を求められるかを待っている、とされていて、おすわり・待て・おいでなど、あとから教える合図の全部の土台になります。犬はもともと人の顔を見る動物で(オオカミは解けない課題で人を見ないが、犬は見る)、見つめ合いで犬にも人にもオキシトシンが増えることも分かっているので、しつけのためだけでなく、関係を作るためにも要ります。
犬がアイコンタクトをしてくれません。なぜですか?
犬の様子で原因が分かれます。目をそらす・顔をそむける・あくびをするなら、こわがっているか緊張していて、獣医行動学の資料では目をそらすのは「落ち着いて」のなだめの合図で、無視ではありません。飛びついたり走り回ったりするなら興奮しすぎで、練習の時間と場所が向いていません。家ではできるのに外でできないなら、場所が変わって別の合図になっています。どの場合も、顔を近づけて目を探しに行くのをやめ、しゃがんで体を横に向け、犬が自分から見上げた瞬間だけほめてください。目を合わせることが苦手な犬は時間がかかります。犬がわざと目をそらすなら、休んでやり直してください。
子犬にアイコンタクトを教えるのは、いつからですか?
家に来て環境に慣れたら、名前を呼んでおやつ、から始められます。ただし生後8〜11週は最初の「怖がる時期」でお迎えと重なるので、最初の数日は練習より、そばで静かに過ごすことが先です。無理に顔をのぞき込まず、名前を呼んで振り向いたらほめる、を1日に何回か、1回2〜3分で。おすわりより前にここを作ると、あとの合図が全部入りやすくなります。月齢ごとの順番は犬のしつけはいつからの記事に書いています。
アイコンタクトの練習方法を教えてください。
アメリカの犬の団体の「見て」の合図の手順にそって6段階です。①犬が別のものを見ているときに名前を呼び、振り向いた瞬間に「いいこ」の合図とおやつ。②おやつを鼻先から自分の目の間へゆっくり上げ、額を見たら合図とおやつ。次は反対の手から渡し、次は空の手で。③手の動きだけで確実になったら、動かす前に「見て」と言う。④おやつを鼻先に見せてから腕を横に伸ばし、犬がおやつではなくこちらの顔を見た瞬間に合図とおやつ。⑤目が合ってから待つ時間を1秒ずつ延ばす。⑥家族が動いている部屋→玄関→家の前→散歩道、と場所を1段ずつ広げ、見なければ1段戻します。
散歩中にアイコンタクトをしてくれません。
家の中でできていても、散歩道は犬にとって別の場所で、においと音と犬と人が飼い主より面白いからです。犬は合図を言葉だけでなく、飼い主の姿勢・距離・場所とまとめて覚えていることが研究で示されています。家の前→静かな道→いつもの散歩道、と1段ずつ広げ、散歩の途中で何もない場所に立ち止まって名前を呼び、見たらおやつ、を1回の散歩で何度も繰り返してください。他の犬とすれ違う前に「見て」で注意をこちらに向けると、通り過ぎやすくなります。
犬の目をじっと見つめてもいいですか?
自分の犬とのアイコンタクトと、知らない犬を見つめることは別です。犬の祖先のオオカミにとって見つめることは脅しで、その感覚を残す犬もいるので、知らない犬をにらまない、犬を押さえて目をのぞき込まない、が基本です。まばたきをせず体を硬くしてじっと見てくる犬がいたら、下がって目を合わせないでください。自分の犬とは、教えたアイコンタクトなら「見たら良いことが起きる」が先にあるので安心な行動になります。目を見ることを教えると、見つめ合いのストレスも減ります。
アイコンタクトは、しつけのどんな場面で使えますか?
犬の注意を環境からこちらへ戻す場面です。散歩で他の犬や人とすれ違う前に「見て」、信号で止まって「見て」、インターホンが鳴ったら名前を呼んで「見て」からマットへ、器やリードを持ったら「見て」からおすわり、拾い食いしそうなときに名前で「見て」。先に注意をこちらに向けてから合図を出すと、興奮するものがあっても合図が通りやすくなります。そして、犬が他の面白いものではなくこちらを見ることを自分で選んだときは、当たり前と思わずにほめてください。
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まとめ
犬のアイコンタクトは、名前を呼んだら犬がこちらの顔を見ることで、じっと見つめ続けることではなく、おすわり・待て・おいでなど、あとから教える合図の全部の土台です。犬はもともと人の顔を見る動物で、解けない課題で人を見るのは犬だけ、飼い主と見つめ合うと犬にも人にもオキシトシンが増え、犬の表情はこちらが見ているときに出る、と研究で分かっています。ただし飼い主とのアイコンタクトと、知らない犬をにらむ凝視は別で、犬を押さえて目をのぞき込むのは脅しの形です。教えたアイコンタクトは「見たら良いことが起きる」が先にあるので安心な行動になります。教え方は、名前で振り向く→おやつで目の間へ誘導→言葉の合図→おやつを横に伸ばして「顔を見ると出る」を教える→時間を延ばす→場所を1段ずつ広げる、の6段階で、1回2〜3分、見なければ1段戻します。できないのは、こわがっている(目をそらす・あくび)、子犬の怖がる時期、興奮しすぎ、場所が変わった、おやつに釘付け、凝視、体や思春期のどれかで、目をそらすのは無視ではなく「落ち着いて」の合図です。顔を近づけて目を探しに行かず、しゃがんで体を横に向け、犬が自分から見上げた瞬間をほめます。叱らない、名前を連呼しない、押さえて見つめない。使い方は、散歩のすれ違い・信号・来客・ごはんの前・拾い食い・呼び戻しで、先に「見て」で注意をこちらに向けてから合図を出すと通りやすくなります。飼い主が良いことの出どころになれば、犬は自然にこちらを見ます。
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