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クリッカーとは|犬への使い方・結びつけ方とデメリット
公開日:2024年10月1日(火) 更新日:2026年10月21日(水) しつけトレーニング
この記事の要点
クリッカーとは、カチッという音を出す小さな道具で、犬に「いまの行動が正解」と伝えるために使います。褒め言葉の代わりに音を使う、と考えてください。音そのものに意味はなく、「この音のあとには必ずよいことがある」と犬が覚えたときに初めて働きます。そして、クリッカーでなければいけない理由はありません。アメリカンケネルクラブの説明は「その音に魔法のような力があるわけではない」とし、ふだんのやりとりと区別がつくものなら、指を鳴らす・笛・舌を鳴らす・「イエス」のような言葉でもよいとしています。守る決まりは2つだけです。正しい瞬間に鳴らすこと、そして鳴らしたら必ずごほうびを出すこと。
「クリッカーとは何か」。まずその1問に、短く答えます。クリッカーとは、カチッという音を出す小さな道具で、犬に「いまの行動が正解」と伝えるために使います。褒め言葉の代わりに音を使う、と考えてください。音そのものに意味はなく、「この音のあとには必ずよいことがある」と犬が覚えたときに、初めて道具として働きます。
そして、もうひとつ先に書いておきます。クリッカーでなければいけない理由はありません。同じ説明は「その音に魔法のような力があるわけではない。ふだん犬のまわりで出さない音だ、というだけ」とし、「ふだんのやりとりと区別がつくものなら、何を合図にしてもよい」としています。指を鳴らす、笛、舌を鳴らす、「イエス」「グッド」のような言葉でもかまいません。この記事は、その前提のうえで、使い方・つまずくところ・選び方を書きます。
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子犬を見るクリッカーとは|正解の瞬間に印をつける道具
クリッカーは、指で押すとカチッと鳴る小さな道具です。犬のしつけでは、「マーカー(印)」と呼ばれる役割を持ちます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| マーカー | 「いま、それが正解」と印をつける合図。クリッカーの音、笛、「イエス」などの言葉 |
| ごほうび(強化子) | おやつ、引っぱりっこ、ボール。犬が価値を感じるものなら何でも |
| クリッカートレーニング | ほめて教えるやり方に、マーカーを足したもの。別のしつけ方ではありません |
同じ説明は、この道具の値打ちをこう書いています。「クリッカーの値打ちは、どの行動に対してごほうびを出しているのかを、犬に正確に伝えられることにある」。たとえばお座りを教えるなら、おしりが床についた瞬間に鳴らす。犬は、何をしたから良かったのかを、推測しなくて済みます。
ここで大事な決まりが2つあります。同じ説明の言葉です。「その音は正しい瞬間に印をつけなければならず、鳴らしたからには必ずごほうびが続かなければならない。」タイミングと、鳴らしたら必ず出すこと。この2つが守れていれば、道具の値段や形はほとんど関係ありません。
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なぜ「えらいね」より正確に伝わるのか
「褒め言葉ではだめなのか」。だめではありません。ただ、同じ説明はこう続けています。「褒め言葉でもできる。ただ、それほど明確ではない。あなたは普段から褒め言葉で犬とやりとりしている」。かわいがるときにも「えらいね」と言うので、犬から見ると、いまの言葉が印なのか、ただの声かけなのかが区別しにくいのです。
もうひとつ、音でないと届かない場面があります。
| 場面 | マーカーが無いと何が起きるか |
|---|---|
| 伏せを教える | おやつを出すころには犬が立ち上がっていて、「立ったこと」をほめたことになる |
| 離れた場所での動き | ごほうびを渡すまでに時間がかかり、どの瞬間が正解だったか伝わらない |
| ごほうびがボールや引っぱりっこ | その場で渡せないので、印が無いと行動と結びつかない |
| 戻るのが速い子 | 床についた瞬間に跳ね起きてしまい、おやつが間に合わない |
同じ説明は、これを「クリックはごほうびを出す瞬間に印をつけ、実際にごほうびが届くまでの時間の隔たりを橋渡しする」と書いています。音は先、ごほうびは後でよい。これがこの道具のいちばんの働きです。
なお、ほめて教えるやり方そのものの根拠は、この記事の外にあります。米国獣医行動学会は2021年の見解で、力・痛み・精神的または身体的な不快に頼る方法は、しつけにも問題行動の治療にも使うべきではないとし、罰を使った方法は攻撃的な行動や不安に関わる行動と関連が見られ、効果の面でも劣るとしています。クリッカーは、その「何をしてほしいかを教える」側の道具です。ほめ方そのものは犬の褒め方の記事にまとめました。
使い方の手順|まず音とごほうびを結びつける
いきなりしつけに使っても効きません。最初にやるのは「音が鳴ったらよいことがある」を覚えてもらうことです。英語では「クリッカーを読み込ませる」と呼ばれます。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1. 結びつける | 鳴らす → すぐおやつ。犬に何かをさせる必要はありません。これだけを繰り返す | 10〜20回で、音がごほうびの予告だと分かります |
| 2. できることで試す | すでにできる「お座り」などで、おしりが床についた瞬間に鳴らす → おやつ | 新しいことを同時に教えない |
| 3. 新しいことへ | ルアー・シェイピング・キャプチャー(次の章)で使う | 1回の練習は短く |
| 4. 外していく | 覚えたら、その行動にはもう使わなくてよい | マーカーは教えるための道具です |
手順の1で大事なのは、音を鳴らしたら必ずおやつを出すことです。間違えて鳴らしてしまったときも、そのまま出してください。鳴ったのにごほうびが来ない回が増えると、音そのものの値打ちが下がります。「間違えたから出さない」は、いちばんやってはいけないことです。
ごほうびは、おやつでなくてもかまいません。同じ説明は「ごほうびとは、その犬が価値を感じるもののこと。鶏肉のかけらより引っぱりっこのほうが働きたいなら、それで遊んでやればよい」としています。何がその子にとって上位かは、犬の褒め方の記事で順位表の作り方を書きました。
何に使えるか|3つの使い道
「クリッカーは何に使うのか」。使い道は大きく3つです。
| 使い道 | どういうことか | 例 |
|---|---|---|
| ルアー(誘導) | おやつで鼻先を誘導して、してほしい形を作り、その瞬間に鳴らす | おやつを鼻先から上へ動かしてお座り。おしりが床についた瞬間に鳴らす |
| シェイピング(形づくり) | むずかしい行動を、小さな段階に分けて作る | マットに近づいた→片足が乗った→全部乗った、と段階ごとに鳴らす |
| キャプチャー(捕まえる) | 犬が自分からした良い行動を、その場で拾う | 食卓でねだらずマットで静かにしている瞬間/来客のチャイムで四本足が床についている瞬間 |
3つ目のキャプチャーは、いちばん見落とされる使い方です。しつけは「やめさせる」より「できている瞬間を拾う」ほうが早いので、飛びつきやチャイムの吠えのように「やめさせたい行動」があるときこそ、その反対側(四本足が床についている・静かにしている)を鳴らしてください。
覚えたあとは、その行動にマーカーは要りません。同じ説明も「結局のところ、これは教えるための道具にすぎない」としています。ずっと持ち歩く必要はありません。
デメリットと「難しい」と感じるところ
「クリッカートレーニングは難しい」と感じる方は多いです。つまずくところは、だいたい決まっています。
| つまずくところ | 何が起きているか | 直し方 |
|---|---|---|
| 鳴らすのが遅い | 正解の瞬間からずれた別の動作に印がついている | 先に「お座り」など1つだけで練習。人だけで素振りをしてもよい |
| 鳴らしたのにごほうびを出さない回がある | 音の値打ちが下がる。反応しなくなる | 間違えて鳴らしたときも必ず出す |
| 片手がふさがる | リード・おやつ・クリッカーで手が足りない | 屋内の短い練習から。屋外では言葉のマーカーに替えてもよい |
| 家族でやり方が違う | ある人は鳴らし、ある人は鳴らさない。犬が混乱する | 音は誰が押しても同じなので、そろえやすいのが長所。決まりだけ先に共有する |
| 音を怖がる | 大きな音が苦手な子がいる | ポケットの中で押す、布をかぶせる、または舌を鳴らす・言葉に替える |
| ずっと使い続けてしまう | 覚えた行動にも鳴らし続けている | 覚えたら外す。教えるための道具です |
読み返すと分かりますが、つまずきのほとんどは道具の問題ではなく、タイミングと一貫性の問題です。ここはクリッカーを使わなくても同じで、褒め言葉でも起きます。むしろクリッカーは、そのずれが目に見える形で出るぶん、直しやすいとも言えます。
音を怖がる子について、ひとつ補足します。音に対して身をすくめる、離れていく、といった様子が出たら、無理に慣らそうとしないでください。音のマーカーは代わりがいくらでもあります。言葉、指を鳴らす音、耳の聞こえにくい犬なら光や肩を軽くたたく合図でもよい、と同じ説明にも書かれています。
選び方|安いものでもよいか、代わりになるもの
「どれを買えばいいか」「100円のものでもよいか」。答えから書くと、道具としての条件は多くありません。音に特別な力がない以上、選ぶときに見るのは次のところです。
| 見るところ | 理由 |
|---|---|
| 毎回、同じ音が出るか | 音が揺れると印にならない |
| 片手で押せるか | リードとおやつで手がふさがるため。指を通す輪やバンドが付いていると楽 |
| 音の大きさが合うか | 音の大きさを変えられるもの、こもった音のものもあります。怖がる子には小さめを |
| すぐ出せる場所に置けるか | 取り出すのに手間取ると、鳴らすのが遅れます |
そして、買わずに始めることもできます。同じ説明が挙げている代わりは、指を鳴らす、笛、舌を鳴らす、「イエス」「グッド」のような言葉。条件はひとつだけで、ふだん犬に向かって使っていないことです。「いい子」「よし」のようにふだん言っている言葉を選ぶと、印として働きません。
迷ったら、まず言葉のマーカーで1週間やってみて、タイミングが合わないと感じたら道具を足す、という順番でよいと思います。道具を買うことが目的ではありません。
フローエンスはブリーダー直販で、お迎えのあとも、しつけのご相談を365日お受けしています。クリッカーでつまずくのは、たいてい「鳴らしても反応しない」か「家族でやり方がそろわない」のどちらかで、どちらも結びつけの段階に戻れば直ります。どこでつまずいているかを教えていただければ、戻る場所をお伝えできます。専門トレーナーのトレーナーダイヤルへどうぞ。
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よくある質問
クリッカーとは何ですか?
カチッという音を出す小さな道具で、犬に「いまの行動が正解」と伝えるために使います。しつけの世界では「マーカー(印)」と呼ばれる役割です。同じ説明は「クリッカーの値打ちは、どの行動に対してごほうびを出しているのかを、犬に正確に伝えられることにある」としています。たとえばお座りを教えるなら、おしりが床についた瞬間に鳴らす。すると犬は、何をしたから良かったのかを推測しなくて済みます。音そのものに意味はありません。「この音のあとには必ずよいことがある」と犬が覚えてはじめて働きます。だから使う前に、鳴らす→すぐおやつ、を繰り返して結びつけるところから始めます。
クリッカーは必ず必要ですか?言葉ではだめですか?
必要ではありません。同じ説明ははっきりこう書いています。「その音に魔法のような力があるわけではない。ふだん犬のまわりで出さない音だ、というだけ」。そのうえで「ふだんのやりとりと区別がつくものなら、何を合図にしてもよい」とし、指を鳴らす、笛、舌を鳴らす、「イエス」「グッド」のような言葉を挙げています。耳の聞こえにくい犬には、光や肩を軽くたたく合図でもよいです。ただし条件がひとつあります。ふだん犬に向かって言っている言葉を選ばないこと。「いい子」「よし」のように毎日使っている言葉は、印として働きません。
クリッカーの使い方を教えてください。
順番は4つです。まず結びつけます。鳴らす→すぐおやつ、を繰り返すだけで、犬に何かをさせる必要はありません。10〜20回ほどで音がごほうびの予告だと分かります。次に、すでにできる「お座り」などで試します。おしりが床についた瞬間に鳴らして、おやつ。新しいことを同時に教えないでください。3つめに、新しいことへ使います。4つめに、覚えたらその行動には使うのをやめます。マーカーは教えるための道具なので、ずっと持ち歩く必要はありません。1回の練習は短く切り上げてください。
クリッカーは何に使うのですか?
大きく3つです。1つめはルアー(誘導)。おやつで鼻先を誘導して、してほしい形を作り、その瞬間に鳴らします。2つめはシェイピング(形づくり)。むずかしい行動を小さな段階に分けて作るやり方で、マットに近づいた→片足が乗った→全部乗った、と段階ごとに鳴らします。3つめはキャプチャー(捕まえる)。犬が自分からした良い行動を、その場で拾います。食卓でねだらずマットで静かにしている瞬間、来客のチャイムで四本足が床についている瞬間など。3つめはいちばん見落とされますが、「やめさせたい行動」があるときこそ、その反対側を拾うほうが早く進みます。
クリッカートレーニングが難しいと感じます。どこを直せばいいですか?
つまずくところはだいたい決まっていて、ほとんどが道具ではなくタイミングと一貫性の問題です。よくあるのは、鳴らすのが遅い(正解の瞬間からずれた別の動作に印がついている)、鳴らしたのにごほうびを出さない回がある(音の値打ちが下がる)、リードとおやつで片手がふさがる、家族でやり方が違う、の4つです。直し方は、まず「お座り」ひとつだけで練習すること。人だけで素振りをして、瞬間に押す練習をしてもかまいません。屋外で手が足りないなら、言葉のマーカーに替えてよいです。そして間違えて鳴らしてしまったときも、必ずおやつを出してください。
クリッカーのデメリットはありますか?
3つあります。1つめは、手がひとつふさがること。リード・おやつ・クリッカーで、屋外では手が足りなくなります。2つめは、音を怖がる子がいること。身をすくめる、離れていくといった様子が出たら、無理に慣らさず言葉や舌を鳴らす音に替えてください。3つめは、使い続けてしまうこと。覚えた行動にも鳴らし続けている方がいますが、マーカーは教えるための道具なので、覚えたら外します。逆に「お金がかかる」はデメリットになりません。言葉でも代わりになるので、買わずに始められます。
クリッカーはどれを選べばいいですか。100円のものでもよいですか?
音に特別な力がない以上、値段で決まるものではありません。見るところは4つです。毎回同じ音が出るか(音が揺れると印になりません)、片手で押せるか(指を通す輪やバンドが付いていると楽です)、音の大きさがその子に合うか(怖がる子には小さめのものを)、すぐ出せる場所に置けるか(取り出すのに手間取ると鳴らすのが遅れます)。迷ったら、まず言葉のマーカーで1週間やってみて、タイミングが合わないと感じたら道具を足す、という順番でよいと思います。道具を買うことが目的ではありません。
間違えたタイミングで鳴らしてしまいました。どうすればいいですか?
そのままおやつを出してください。同じ説明は「その音は正しい瞬間に印をつけなければならず、鳴らしたからには必ずごほうびが続かなければならない」としています。「間違えたから出さない」がいちばんやってはいけないことで、鳴ったのにごほうびが来ない回が増えると、音そのものの値打ちが下がって反応しなくなります。1回ずれたくらいで、それまでの練習が無駄になることはありません。気にせず出して、次の1回でタイミングを合わせてください。ずれが続くようなら、いったん「お座り」ひとつに戻して練習し直すのが早いです。
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まとめ
クリッカーとは、カチッという音で犬に「いまの行動が正解」と伝える道具です。しつけの世界では「マーカー(印)」と呼ばれます。値打ちは、どの行動にごほうびを出しているのかを正確に伝えられること。おしりが床についた瞬間に鳴らせば、犬は推測しなくて済みます。そして、クリッカーでなければいけない理由はありません。その音に魔法のような力はなく、ふだんのやりとりと区別がつくものなら、指を鳴らす・笛・舌を鳴らす・「イエス」のような言葉でも代わりになります。守る決まりは2つだけです。正しい瞬間に鳴らすこと、鳴らしたら必ずごほうびを出すこと。間違えて鳴らしたときも出してください。使う前に、鳴らす→すぐおやつ、を10〜20回ほど繰り返して結びつけます。次にすでにできることで試し、それから新しいことへ。覚えたら、その行動には使うのをやめます。使い道は、ルアー(誘導)・シェイピング(段階に分けて作る)・キャプチャー(自分からした良い行動を拾う)の3つ。難しいと感じるところは、鳴らすのが遅い・出さない回がある・片手がふさがる・家族でやり方が違う、の4つで、ほとんどは道具ではなくタイミングと一貫性の問題です。選ぶときに見るのは、同じ音が出るか、片手で押せるか、音の大きさが合うか、すぐ出せるか。値段で決まるものではありません。
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