ドッグランは、ワンちゃんがリードなしで自由に走り回れる、貴重な社交の場です。ストレス解消や運動不足の解消、他のワンちゃんとの交流の機会にもなるため、日常的に利用している飼い主さま、またはこれからドックランに行ってみたいと思っている方も多いでしょう。しかしその一方で、マナー違反によるトラブルや不快な思いをするケースも少なくありません。
マナー違反は決して珍しいことではなく、気づかぬうちに自分や愛犬が周囲に迷惑をかけている可能性もあります。だからこそ、正しい知識と意識を持ってドッグランを利用することが重要です。
本記事では、実際によく見られるドッグランでのマナー違反の具体例と、それらを未然に防ぐための対策を詳しくご紹介します。
以前、ドッグランを初めて利用する方に向けた「ドッグランマナー」についての記事を執筆しているので、こちらも合わせて参考にしてください↓
ドッグランで守るべきマナーと注意点とは?安心して楽しむためのガイド
よくあるドッグランでのマナー違反行動
ドッグランを利用していると、「これはちょっと困るな」と感じる行動を目にすることはありませんか? マナー違反は、ほんの少しの気の緩みや思い込みから生じることが多く、気づかないうちに周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。悪意がなくても、ルールを守らない行動は結果として他の利用者の安全や快適さを損ねることになります。
ここでは、実際に多くの飼い主さまが悩まされている代表的なマナー違反をピックアップし、その背景と具体的な対策をご紹介します。
1. 排泄物の放置
ドッグラン内でワンちゃんが排泄をしてしまうこと自体は自然なことですが、問題になるのはその「放置」です。放置された排泄物は衛生面での問題を引き起こすだけでなく、他のワンちゃんが踏んでしまうなどの二次トラブルにもつながります。
対策:
・うんち袋やティッシュ、水などを常に携帯しておき、すぐに対応できるよう準備しておく
・おしっこ対策には、排泄後に水をかけるなどのマナーを徹底する
・自分のワンちゃんの動きに常に注意を払い、排泄のサインを見逃さないようにする
2. 攻撃的な行動の放置
ワンちゃん同士の遊びの中には多少のじゃれ合いがありますが、明らかに攻撃的な行動(吠える、追い回す、噛みつこうとするなど)を放置するのは危険です。これにより、他のワンちゃんや飼い主さまが怖い思いをしたり、ケガをする可能性もあります。
対策:
・初めてのドッグランや初対面のワンちゃんが多い環境では、リードをつけたまま様子を見る
・攻撃性や強い興奮が見られる場合は無理に放さず、一旦退場して落ち着かせる
・問題行動が繰り返されるようなら、ドッグトレーナーに相談し根本的な改善を図る
3. 飼い主さまのスマホ依存
ドッグラン内でスマートフォンを見続けていると、ワンちゃんの行動に気づけず、トラブルの発見や対応が遅れてしまいます。場合によっては、他の利用者から不安や不信感を抱かれることもあるので要注意です。中には「ドッグランは犬が遊ぶ場所」と入場してノーリードで放置している方もいる場合がありますが、様々なトラブルを回避するためにもスマホの見過ぎは控えましょう。
対策:
・ドッグラン滞在中は、基本的にスマホをポケットやバッグにしまい、常にワンちゃんを目視で見守る
・会話やスマホ操作は、短時間かつワンちゃんの行動に支障がないときに限る
・飼い主さま自身もワンちゃんとの時間に集中し、コミュニケーションを楽しむ
4. おやつの持ち込みと配布
他のワンちゃんがいる場でのおやつの配布は、食べ物に関する争いや、アレルギー、誤飲などのトラブルを引き起こすリスクがあります。善意で与えたおやつが大きな事故につながることもあるため、慎重な対応が求められます。基本的に愛犬以外にはあげないことを徹底し、もし他のワンちゃんにあげることがあれば必ず飼い主さまに確認しましょう。
対策:
・ドッグランではおやつの使用を控えるのが基本
・しつけやトレーニングの目的で使用する場合は、周囲の飼い主さまに事前に確認をとる
・ワンちゃん同士が集まりすぎないよう、タイミングと場所にも配慮する
5. 発情期のワンちゃんの同伴
発情期中のワンちゃんをドッグランに連れて行くと、特にオス犬が強く反応し、制御不能な行動に発展することがあります。また、飼い主さま間でのトラブルの原因にもなります。ほとんどのドッグランを始めとする同伴可能施設では「発情期はお断り」が基本になっているので、ルールを守り楽しく利用しましょう。
対策:
・発情期にはドッグランの利用を控え、別の運動手段を選択する
・もし外出が必要な場合でも、他のワンちゃんと接触しないような時間帯・場所を選ぶ
・ドッグラン管理者が設けている利用条件を事前に確認する
トラブルを避けるための意識と準備

マナー違反を未然に防ぐには、飼い主さまが事前にできる「ちょっとした気配り」がとても重要です。ワンちゃんの状態や周囲の環境をよく観察し、適切な判断をすることで、トラブルの多くは回避できます。
ここでは、ドッグランを安心して楽しむために、日頃から心がけておきたい意識と準備についてご紹介します。
ワンちゃんの状態をよく観察する
普段はおとなしいワンちゃんでも、環境の変化や他のワンちゃんの刺激によって興奮しやすくなることがあります。ワンちゃんの表情、動き、鳴き声などを観察し、少しでもいつもと違う様子があれば無理に遊ばせず、休憩をとらせたり、早めに帰る選択をすることも必要です。
入場前のルール確認はマナーの基本
ドッグランごとに設けられているルールや利用規約は、場所ごとに微妙に異なります。利用時間、サイズ別エリアの区分、禁止行動などは事前に掲示物や公式案内を確認し、誤解のないようにしましょう。
飼い主さま同士の声かけも大切
ドッグランでは、飼い主さま同士の気持ちよいコミュニケーションがトラブル防止に大きく役立ちます。たとえば、「はじめまして」「少し一緒に遊ばせてもいいですか?」といった一言で、場の空気が和らぎ、万が一のトラブル時も冷静に対応できる関係性が築けます。
ドッグランエリアは守る
ドックランには、小型犬エリア・大型犬エリア・全犬種エリアなど、ワンちゃんのサイズ別で分けている場合が多いです。その理由は、ワンちゃんの怪我のリスクがあるからです。
大型犬と小型犬では、楽しく遊んでいても少しぶつかっただけでも小型犬には大きな怪我をしてしまう可能性が十分にあります。
利用する際は必ずエリアのルールを守り、全犬種の場合でもリスクを避けるためにも体のサイズが異なるワンちゃんの方に行かないように注意しましょう。
おもちゃの使用について
エリア内でのおもちゃの使用は場所によって異なりますが、遊べる場合は注意が必要です。おもちゃに対しての独占欲が強い子などはケンカに発展しちゃうこともあります。
また、ワンちゃんによってはおもちゃを飲み込んでしまうこともあったりと、複数のワンちゃんたちが遊ぶ場所では注意が必要です。遊ぶ場合は近くにいる飼い主さまに一言声をかけたり、他のワンちゃんに影響がでない範囲で遊ぶなどの配慮を心掛けましょう。
まとめ
ドッグランは、ワンちゃんの健やかな心身の成長や、飼い主さまとの絆を深める素晴らしい場所です。しかしその一方で、利用者全員が気持ちよく過ごすためには、基本的なマナーと気配りが欠かせません。マナー違反の多くは、少しの意識と配慮で防げるものばかりです。飼い主さま一人ひとりが「自分のワンちゃんに責任を持つ」という意識を持ち、周囲の状況にも目を向けることで、トラブルを未然に防ぎ、すべてのワンちゃんが安全で楽しく過ごせる環境が整っていきます。マナー違反をなくして、みんなが笑顔で過ごせるドッグランを作るのは飼い主さま一人ひとりが重要になります!