ワンちゃんのしつけは、正しい順番で進めることでスムーズに習得できます。しかし、初めて飼う方やこれから迎え入れようか検討している方にとって、どの順番でやるべきなのか、順番を間違えてしまうと取り返しのつかないことになってしまうのではないか、などといった不安があると思います。
順番を間違えてしまうと、ワンちゃんが混乱したり、しつけが定着しにくくなることもも可能性もゼロではありません。そのため、本記事では、初心者の飼い主さま・ご検討中の方に向けて、ワンちゃんのしつけをどのような順番で進めればよいのかを詳しく解説します。
しつけを始めるタイミング
ワンちゃんのしつけは、できるだけ早い時期から始めるのが理想です。その理由として一番大きい要因が「性格(自我)が形成される前」であれば、比較的スムーズに学習してくれるからです。特に生後2〜3ヶ月の時期は、好奇心が高く意欲的にトレーニングを楽しめる時期のため、学習能力が高く、基本的なルールを身につけやすいです。
ただし、成犬になってからでもしつけは可能なので、しつけを始めるタイミングは「今から」始めるのがベストなタイミングになります。性格が形成された成犬の場合は学習スピードが少し遅いと感じることがあるかもしれませんが、焦らず根気よく進めましょう。
しつけの基本原則

まずは、これからしつけを本格的にやる前に、飼い主さまがしつけに対してのルールを理解し、コツを掴むことが重要になります。基本的な部分ではあるものの、今後のトレーニングなどにも共通するポイントとなるため、しっかりと覚えておきましょう。
1.短時間でこまめに練習する
ワンちゃんの集中力は短いため、1回のトレーニングは子犬の場合は3分~5分程度、成犬の場合は5〜10分程度に抑えましょう。これらはあくまで目安の時間であるので、ワンちゃんの集中力次第で時間はコントロールしてください。
また、ここでのポイントは「集中力が切れる前、楽しいと思っているタイミングでやめる」ことを意識してください。
学習スピードを左右するのは「成功体験による自信」です。
集中力が切れてしまうと失敗が増えてしまったり、トレーニングに飽きてしまい上手く進まないことがあるので、注意が必要です。
2.褒めて育てる
良い行動をしたときに褒めることで、ワンちゃんは学習しやすくなります。
「褒める=これは良いこと」ということをワンちゃんが理解してくれると学習スピードもあがり、成功する頻度も高くなるでしょう。
また、根本的にワンちゃんは飼い主さまが喜ぶ姿が好きで、褒められることに喜びを感じ、それが自信となって成長していきます。そのため、褒めて伸ばすやり方が一番信頼関係を築きながらできるトレーニングになるので、小さな進歩も見逃さず沢山褒めてあげましょう。
3.一貫性を持たせる
ワンちゃんを混乱させないためにも、家族全員で同じ指示やルールを徹底しましょう。
同じ行動をした際に、この人は褒めてくれるのに、この人には褒められない。
お散歩前に扉を開ける際、この人は一回座らせるのに、この人はそのまま出ても許される。
ご飯の時に、この人は「待て」だけど、この人は「ステイ」と言ってくる。
といったように、ご家族内で指示の出すタイミングやシーン、コマンドまで全てがバラバラだと誰の言うことが正解なのか分からず混乱してしまいます。そうならないようにご家族でのルールは初めに決めて一貫性をもったトレーニングになるよう心掛けましょう。
ワンちゃんのしつけの順番

それでは、下記にて実際に行うしつけの順番について解説していきます。
こちらで紹介する順番はあくまでも日常生活に組み合わせやすく、また子犬を基準としている並びになっているため、必ずこの順番でなければならないというものではございません。
これから始める方の参考としてお読みください。
1. 名前を覚えさせる
まずはワンちゃんに自分の名前を覚えさせましょう。名前を呼んで反応できるようになると、後のしつけがスムーズになります。また、名前を読んだら飼い主さまの目を見る(意識が向く)状態はアイコンタクトの強化にも繋がります。
しつけ方法
- 名前を呼んで、目が合ったら「いい子!」と褒める。
- ごほうび(おやつや撫でる)を与えてポジティブな印象を持たせる。
- 1日数回、短時間で繰り返す。
- 振り向かなくても連呼はしない。
2. 「おすわり」や「ふせ」などの基本指示を教える
基本的なトレーニングを覚えることで、ワンちゃんとのコミュニケーションがスムーズになり、ワンちゃんの安全性も高まります。また、基本的な指示さえできれば、応用やドッグスポーツへの挑戦のハードルも低くなるため、習得を目指しましょう。
参考記事↓
ワンちゃんの基本トレーニングを教える最適なタイミングとは?
しつけ方法
- おやつを使って「おすわり」や「ふせ」の動作を誘導。
- 成功したら、必ず褒めてご褒美を与える。
- 繰り返すことで、指示と行動を結びつける。
- おやつ無しでは指示を聞かないようにしない為に徐々に褒めをご褒美にする
3. トイレトレーニングを徹底する
室内飼いの場合、基本的なトレーニングより先に、トイレトレーニングが最優先事項となるかもしれません。まずは、ワンちゃんが室内のトイレを覚えてからでないと、飼い主さまのメンタルも保てないこともあるので基本トレーニングと平行、もうしくは先にトイレをマスターさせましょう。
参考記事↓
犬のトイレトレーニングにはコツがある!成功のポイントを伝授
しつけ方法
- トイレシートの上で排泄できたら、大げさに褒める。
- 失敗しても怒らず、成功したときに強化する。
- 一定の場所で排泄する習慣をつける。
- ワンちゃんの排泄リズムを把握し、適切なタイミングでトイレに誘導する。
5. 吠え・噛み・飛びつきなどの改善
子犬期が少し過ぎた時期や迎え入れて新居に慣れ始めたタイミングなどから目立ち始める問題行動の要求吠えや興奮して噛んだり、飛びついたりする癖は早めに改善しましょう。
基礎トレーニングを学習させることで、ある程度の問題行動は目立たなくなることもありますが、寂しがり屋の性格なのにお留守番が長い、体力が余っているのにお散歩が足りていない、家族愛が強すぎて来客に吠えてしまう、といったワンちゃんの性格によって現れる問題行動は異なります。
また、早い段階で改善しないと例えば、来客時に吠えることが「仕事」として認識して癖になってしまうと、慣れていない飼い主さまが改善するのは難易度が高くなってしまうでしょう。
参考記事↓
犬の「要求吠え」には無視が効果的だができない場合の対処法も解説
愛犬が家族の中で噛む人と噛まない人を分けてる?その理由を解説
犬が誰にでも飛びついてしまうのはなぜ?しつけ方について詳しく解説
しつけ方法
- 悪いことをしたら楽しいことが無くなることを教えるために無視をする。
- 正しいおもちゃを与え、噛む対象を学ばせる。
- 飛びつきそうになったら「おすわり」を指示し、落ち着かせる。
- 友人や家族にも協力してもらい、さまざまな人との接し方を学ばせる。
- ドッグトレーナーに相談することを恥ずかしく思わない
6. 社会化トレーニングを実施する
社会化トレーニングは5番の問題行動にも関係するトレーニングなので、比較的早い段階でスタートさせるのが理想ですが、ワクチンの問題でお散歩に行けないといったことも考えられるので最後にもってきましたが、とっても重要なトレーニングになるので必ず行いましょう。
社会化についての詳しい内容はこちらをお読みください↓
犬の社会化不足による問題行動の治し方と難しいと言われる理由とは
犬の社会化に”遅い”はない!社会化の理解とトレーニングについて
しつけ方法
- いろいろな人や犬と会わせ、怖がらずに接する機会を作る。
- 無理に接触させず、ワンちゃんのペースに合わせる。
- 公園やドッグカフェなどで慣れさせる。
- 車や電車の音、人混みなどにも慣れさせ、どこでも落ち着けるようにする。
- 子どもの突発的な姿や声に慣れるために公園や幼稚園などをお散歩コース加え様々な刺激に慣れさせる
7. ハウストレーニング(クレートトレーニング)
こちらは必須ではありませんが、ワンちゃんの落ち着ける場所を作ることで、ストレスを軽減でき、災害時にも役に立つトレーニングになります。
参考記事↓
犬が安心できる空間を作るクレートトレーニングのやり方について解説
しつけ方法
- クレートやサークル内に快適な環境を作る。
- ごほうびを中に入れ、「ハウス」の指示で誘導。
- 無理に閉じ込めず、少しずつ慣れさせる。
- クレートを「安心できる場所」として認識させるため、普段から短時間ずつ入れる練習をする。
まとめ

ワンちゃんのしつけは、順番を守って進めることでスムーズに習得できます。今回ご紹介した順番はあくまでも目安としてのものですが、初めて飼う方や検討中の方にとってとても役に立つ内容だったと思います。ワンちゃんがストレスなく学習し、飼い主さまと快適な生活を送るためには、適切なトレーニングを焦らず、ワンちゃんのペースに合わせながら楽しく行うのが理想です!しつけトレーニングは上手くいかない時もあり、悩んでしまうこともあるかと思いますが、継続して行えば必ず覚えてくれるようになり、全て笑い話になるはずです。難しい場合は迷わずドッグトレーナーに相談し前向きに励みましょう!